「社労士 集客」で読める記事の多くは、ホームページ、ポータル、セミナー、紹介と、手段を順に並べたものです。「社労士」を「税理士」に差し替えても、ほとんどそのまま読めます。ただ、御事務所の地域で社長が「就業規則 作成」と打ったとき、1ページ目に誰が並んでいるのかは、そこからは分かりません。社会保険労務士の依頼は、顧問、就業規則、給与計算、社会保険の手続き、助成金と、業務ごとに頼む人も打つ言葉も違います。障害年金のように、会社ではなく本人や家族から来る依頼もあります。
当社は、士業の事務所のホームページの運営に携わってきました。運営を引き受ける前には、その商圏で検索結果を数えます。社会保険労務士について、2026年9月24日に、福井市、仙台市、静岡県沼津市の三つの市で同じやり方を試しました。各市で九つの言葉を検索しています。地名に「社労士」を付けた言葉、「顧問」「助成金」を足した言葉、そして就業規則の作成、給与計算の代行、社会保険の手続きの代行、社長の労務相談、障害年金、36協定の届出です。1ページ目を、地元の事業者、比較サイトや全国向けの窓口・解説、他の市町の事業者、役所・労働局・年金事務所・社労士会、無関係の五つに分けて数えました。
そのうえで、1ページ目に出てきた地元の社労士事務所のサイトを同じ項目で並べました。仙台が八つ、福井が六つ、沼津が五つで、合わせて19事務所です。福井では、九つの言葉に出た市内の社労士事務所のうち、サイトを開いて確かめられたのが六つでした。沼津では、1ページ目に出た市内の社労士事務所がそもそも五つで、検索に出ない事務所を名簿から足すことはしていません。福井は商圏調査の見本として一本にまとめています。
使った道具は一つの言葉につき9件か10件を返し、見えるのは題とアドレスだけです。地図枠と広告は見えず、月に何回探されているかも分かりません。以下は、その範囲で数えた話です。
中心の言葉は、仙台だけが地元の事務所の場所だった
「仙台 社労士」は、九件のうち七件が市内の事務所でした。残りの二件は比較サイトで、社労士会のページは一件もありません。「顧問」「助成金」を足した言葉まで合わせた中心の三つの言葉の27件で、仙台の地元の事務所は21件です。
福井と沼津は形が違いました。福井の中心の三つの27件は、地元の事務所が8件、比較サイトが9件、社労士会の会員検索や会のページなどが8件、市外や県外の事務所が2件です。「福井 社会保険労務士 顧問」では、会のページが九件のうち三件を占めました。顧問料を題に掲げたページは、九件のどれにもありません。沼津の中心の三つは29件で、地元が8件、比較サイトや補助金の一覧が10件、役所や会などが8件、他の市の事務所が1件、無関係が2件でした。無関係の一件は、字面の近い「沼田」の労働基準監督署管内の事務所一覧でした。
地名の読まれ方も、市によって違います。「福井」は県の名前でもあるので、県内の鯖江市や越前市の事務所、名前に「福井」を含む他の県の事務所まで入ってきました。沼津では「沼津 助成金 社労士」が、住まいの補助金や給付金を集めた一覧に引っ張られ、十件のうち地元の事務所は一件でした。
仙台は人口およそ110万人(2026年9月1日現在の推計人口)で、福井市の四倍を超えます。事務所が多く出るのは市の大きさの差でもあるはずですが、次に見る業務の言葉では、数だけでは説明のつかない差が出ていました。福井と沼津の中心の言葉は、事務所のサイトで上から取りにいく場所ではないと考えています。比較サイトや会のページとの付き合い方は地方の会社と全国ポータルに書きました。
業務の言葉で差がついたのは、事務所の数より、業務の名前を掲げた一枚だった
仙台の地元の社労士事務所は、九つの言葉で延べ40件出ていました。そのうち19件が、就業規則、給与計算、助成金、障害年金といった業務の名前を掲げたページか、その業務だけを扱う専用のサイトです。「仙台 就業規則 作成」では、市内の事務所の6件がすべて就業規則のページでした。
福井の地元の社労士事務所は延べ16件で、業務の名前を掲げたページは障害年金の3件だけ、残る13件はどれもトップページです。沼津は延べ14件で、業務のページは就業規則の2件でした。沼津の14件のうち6件は、一つの事務所です。
差がいちばんはっきりしたのは、手続きの言葉です。
「福井 就業規則 作成」の1ページ目に、福井市の社労士事務所は一件もありませんでした。並んでいたのは県と労働局のページが六件、そして広島県福山市の事務所とみられる就業規則のページが三件です。「福井」と「福山」の字面の近さによるものと見ています。福井市の事務所の就業規則のページが少ないために、字面の近いページが繰り上がったのかもしれません(これは推測です)。字面の取り違えは狙った言葉が別の意味に取られるときにも書きました。沼津の同じ言葉は、労働基準監督署や市、県、労働基準協会のページが七件で、市内の事務所の就業規則のページが二件でした。
「36協定 届出」では、三つの市のどれにも地元の社労士事務所のページがありませんでした。27件に並んでいたのは、労働局のページ、給与や勤怠の仕組みを扱う会社の解説記事、そして東京の社労士法人のコラムや作成代行のページです。東京の一つの社労士法人のページは、三つの市すべての1ページ目に出ていました。福井の1ページ目にいた地元の事業者は、法律事務所の一問一答が一件だけです。
地元の事務所が就業規則を扱っていないわけではありません。福井で開いた六つには、就業規則の作成の料金を載せている事務所も、就業規則を前に出している事務所もありましたが、この言葉の1ページ目には出てきません。料金表に一行あることや業務の一覧に名前があることと、その業務を探す社長の問いに一枚で答えていることは、別のことです。
題を見るかぎり、県や労働局のページが扱っているのは様式と届け出の方法で、社労士に頼んだらいくらで、何日かかり、会社が何を用意すればよいのかは出てきません。そこが、地元の事務所が答えられる場所です。何を一枚に書くかは社労士の就業規則のページが検索に出ないときで掘り下げました。ただ、この二つの言葉で探す人には、自分で書類を作ろうとしている人も多いはずです。ページが出ても依頼にはならない言葉かもしれず、その割合は、検索回数と、実際に来た問い合わせの中身を見るまで分かりません。
障害年金は、別の名前の専用サイトと、全国の窓口の場所だった
「仙台 障害年金 社労士」は、九件のうち六件が市内の事務所でした。そのうち五件は、事務所の名前とは別の、障害年金の相談室や窓口を名乗る専用のサイトです。一つの事務所は、二つの専用サイトで出ていました。本人と家族に向けた入口を、企業向けのサイトとは別に立てる形です。
福井は九件のうち六件が、全国対応を掲げる事務所の県別のページと、事務所を探すポータルでした。地元は、障害年金を専門にする一つの事務所が二件と、所在地を確かめられなかった一件です。沼津は、市内の事務所が一件もありません。六件の事業者はすべて市外で、開いたのはそのうち一件、県内の別の市の事務所が作った沼津向けのページだけでした。そこには、沼津市内で月に二回、相談会を開いていることが書いてありました。
障害年金は、会社の顧問とはまったく別の人から来る依頼です。近くで会って相談できることは、それだけで書く価値のある中身だと考えます。ただし、実際に障害年金を受けていて、これからも受けたい事務所に限った話です。
「給与計算 代行」は、依頼先を探す言葉として働いていなかった
九つの言葉を選んだときには、どれも社労士を探す言葉のつもりでした。数えてみると、三つの市で共通して、そう働いていない言葉がありました。
「給与計算 代行」は、沼津では十件すべてが無関係でした。運転代行、家事代行、退職代行の求人やまとめで、給与計算のページは一件もありません。福井では十件のうち五件が、給与計算の仕事を探す人向けの求人です。地元の事業者は三件で、そのうち二件は社労士事務所ではなく、会計事務所と経理代行の会社でした。どちらも一人あたりの単価を数字で出しています。仙台は地元が六件出ていましたが、うち三件は税理士や経理代行の会社でした。三つの市で見るかぎり、この言葉は社労士の場所というより、会計や経理の会社と求人の場所です。
「社会保険 手続き 代行」は、福井で十件のうち八件、仙台で七件が、市や年金事務所、協会けんぽなどのページでした。福井では、おくやみの手続きや国民健康保険の代理の手続きといった、個人の手続きに引っ張られています。沼津では年金事務所に寄り、障害年金の窓口が年金事務所ごとに作ったページが並びました。会社が入社や退社の手続きを頼む先を探す言葉としては、どの市でもほとんど働いていません。
「労務 相談 社長」は、「社長」を入れたのに、三つの市とも上位は市や県の労働相談、労働局、労働組合といった働く人の側の窓口でした。福井で十件のうち七件、仙台で八件、沼津で五件です。社長が実際にどういう言葉で困りごとを探しているのかは、この言葉からは分かりませんでした。
言葉を選んだ側の見込みは、検索すると簡単に外れます。当社も、この三つは外しました。「給与計算 委託 料金」「問題社員 相談」「解雇 相談 会社側」のような別の言い方は次の候補として控えていますが、今回は検索していません。書く前に一度その言葉で検索し、1ページ目が同じ用件のページで埋まっているかを見るだけで、この外れは避けられます。数え方は検索結果の1ページ目を数えるに書いています。
19事務所を並べると、料金はあり、事例と声と地区がなかった
サイトの中を、同じ項目で見た結果です。
- 料金の目安:福井は六つのうち四つ(うち一つは手続きのスポットの料金だけ)、仙台は八つのうち六つ、沼津は五つのうち三つ(うち一つは顧問料の一部だけ)でした。福井の四つは、金額がどれも料金のページやPDFなどの奥にあり、トップで金額が見えたところはありません。仙台では、少なくとも三つがトップで顧問料の金額を出していました。
- 事例・実績:件数や金額を書いていたのは、福井の二つだけで、どちらも助成金です。個別の事例を並べていたのは、そのうち一つでした。仙台の八つの事務所のサイトと沼津の五つには、事例も実績の件数も見当たりません。
- お客様の声:19のうち二つで、どちらも仙台です。福井の六つと沼津の五つはゼロでした。
- 更新:2026年9月に何かを更新していたのは、福井で一つ、仙台で四つ、沼津で一つです。福井と沼津の一つずつは同じ日付の同じ題の記事で、配信を受けた記事と見ています。仙台の四つのうち三つはお知らせでした。
- 周辺の市町のページ:19のうちゼロです。沼津では五つのうち四つが、対応する市や町の名前を一行に並べていましたが、市町ごとのページはありません。
- 相談の入口:電話かフォームは19すべてにありました。LINEは二つ(どちらも仙台)、オンライン面談を明記していたのは福井で一つ、仙台で三つ、沼津でゼロです。
- 相談が無料だとトップに書いていたのは、福井で六つのうち五つ、仙台で八つのうち七つ、沼津で五つのうち一つでした。
料金と相談の入口は、おおむね整っています。薄いのは、その事務所に誰が頼み、何が変わったかを伝える部分です。相談が無料だとトップに書く事務所は19のうち13あるのに、頼んだ会社の声を載せていたのは二つでした。紹介で来る会社も、依頼の前にサイトを見ることがあります。そこで読めるのが「無料」の二文字と業務の一覧だけでは、紹介の裏づけになりません。守秘の決まりの中で事例と声をどう書くかは、社労士のホームページに事例と声がないときに分けて書きました。
配信の記事は、更新が止まって見えないという役には立ちますが、同じ記事が別の県の事務所にも同じ日に載ります。御事務所に頼む理由にはなりにくい記事です。手間が小さいのは、奥にある料金をトップから一度でたどれるようにすることのほうです。考え方は料金を載せるべきかに書きました。
社労士の広告の決まりで、確かめられたことと、見つからなかったこと
社会保険労務士の広告には、医療のように「広告してよい事項」を並べた決まりはありません。法律と連合会の会則が、一般的な言葉で縛っています。公式の資料で確かめた範囲を書きます。当社は法律の専門家ではないので、迷う書き方は所属の会に確かめてください。
社会保険労務士法は、品位を保ち、公正な立場で誠実に業務を行うことを求め(第1条の2)、信用や品位を害する行為を禁じ(第16条)、業務で知った秘密を漏らしたり盗用したりすることを、業務をやめたあとも含めて禁じています(第21条)。全国社会保険労務士会連合会の会則は、誇大または虚偽の事項で相手を欺くおそれのある方法での広告・宣伝と、相手の承諾を得ない電子メールでの広告を禁じています(第43条の4)。受任するときには、業務の内容と報酬を書面などで示して説明することも求めています(第43条の3)。連合会の倫理綱領も、守秘の義務を掲げています。
見つからなかったものも書きます。広告だけを扱う連合会の規程や指針は、連合会が組織のページで公開している四つの資料と、厚生労働省が掲載している連合会の資料からは見つけられませんでした。福井県社会保険労務士会の会則や広告の規則も、会のサイトからは見つけられていません。宮城県と静岡県の会の規則は、確かめていません。
もう一つ、報道があります。日本経済新聞の見出しによれば、「100%経営者の味方」という社労士の広告が、労使の中立に反するとして是正の対象になりました。本文は読めておらず、どの規程に基づき、いつの話なのかは確かめていません。
ホームページに当てはめると、次のようになります。
- 料金:載せることを禁じる決まりは見当たりません。受任のときに書面で示す報酬の、手前の目安として載せる形です。「〜円から」と書くなら、どういう場合に上がるかを添えます。
- 実績の件数や助成金の受給額:出すこと自体を禁じる決まりは見当たりません。誇大な表示にならないよう、何を数えたのか、いつ時点の数なのかを書きます。県内での順位のような比べる言い方には、根拠が要ります。
- 労使のどちらに立つか:社労士に特有の点です。経営者向けのサイトでも、片方の味方だと言い切る書き方は避けます。社長の困りごとに答えるページは、「会社の味方」と名乗るより、会社が何をすれば法に沿うのかを書く形にします。
- お客様の声と事例:禁じる決まりは見当たりません。守秘の義務があるので、依頼した会社の了解と、会社が特定されない書き方が前提です。
ホームページが効く場面と、効きにくい場面
数えた結果から、当社の立場ははっきりしています。社労士のホームページで集客をするなら、「地名+社労士」の順位を追うより、実際に依頼先を探す言葉として働いている業務の言葉を一つか二つ選び、公的なページが書かない「頼んだ場合」を、その業務の一枚で答えるほうが効きます。そして、その一枚の近くに、同じ業務を頼んだ会社の事例を置きます。
社労士の顧問は紹介で決まるのだから、ホームページは名刺代わりでよい、という考え方もあります。福井と沼津の事務所の多くは、実際にそういう作りでした。紹介で十分に顧問先が増えているなら、困ることはありません。ただ、名刺代わりとして見ても、紹介の裏づけになる事例と声がほとんどありませんでした。
効きにくい場面から書きます。
- 福井と沼津の中心の言葉。比較サイトと会のページが先に出ます。
- 依頼先を探す言葉として働いていない言葉。「給与計算 代行」「社会保険 手続き 代行」「労務 相談 社長」は、三つの市とも別の用件か公的な窓口が並びました。
- 仙台の就業規則のように、地元の業務のページがすでに厚く並んでいる言葉。後から同じ形で並ぶのは簡単ではありません。
- 自分で書類を作る人の言葉かもしれない言葉。福井と沼津の就業規則や36協定で地元が空いているのは、頼む人が少ないからかもしれません。検索回数を見るまでは、時間をかける価値のある空白かどうかは決められません。
- 会や市の相談の仕組みから来る依頼。沼津市は県の社労士会と協定を結んでいます(中身は確かめていません)。こうした入口から来る依頼に、ホームページの出番は大きくありません。
効きやすいのは、その逆の場所です。福井と沼津の就業規則と36協定には、地元で頼んだ場合を書く一枚を置く余地があります。障害年金は、会って相談できる体制がある事務所なら、福井と沼津で入口が空いていました。事例と声は、三つの市のどこでも空いています。順位の空白ではなく、読んだ会社が依頼を決めるときの空白です。周辺の市町は、沼津で名前を一行に並べる事務所が四つあってページはゼロでしたが、市町の名前で検索した結果は数えていないので、まだ仮説です。
原因がホームページの外にある場合もあります。受けたい業務が決まっていなければ、ページを直しても入口は定まりません。すでに手いっぱいなら、ページを増やす理由はありません。
御事務所で、今日確かめられること
道具を入れていなくても、スマートフォンで確かめられます。三つの市で実際に差が見えた順に並べます。
- 御事務所がこれから増やしたい業務の名前と地名を並べて検索し(例:「○○ 就業規則 作成」)、1ページ目に地元の事務所のページが何件あるか、御事務所のページがあるかを数えます。出ていたら、それがトップページなのか、その業務のページなのかを見ます。
- 同じ1ページ目にある労働局や県のページを一つ開き、社労士に頼んだ場合の料金、日数、会社が用意するものが書いてあるかを読みます。書いていなければ、そこが御事務所の一枚で答えられる場所です。
- 狙っている言葉のうち一つ(「給与計算 代行」など)を検索し、求人や別の「代行」が何件混ざっているかを数えます。半分を超えるなら、その言葉のためのページは後回しにします。
- 御事務所のトップから料金の金額まで何回で着くかと、事例と声がそれぞれ何件あるかを数えます。
- 次の一か月、問い合わせのたびに、紹介か、会の相談会か、ポータルか、ホームページかを一行で残します。残し方は問い合わせの数え方にあります。
最初の三つで、御事務所の地域で空いているのがどの業務の言葉で、どの言葉は追わなくてよいのか、おおよその見当がつきます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「社労士 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、三つの市で実際に数えた中身のあるページを置きました。
御事務所に依頼する会社も、同じように探しています。「福井 就業規則 作成」「沼津 障害年金 社労士」のように、地域と用件と困りごとを掛け合わせた言葉です。当社が御事務所の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御事務所が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。