社労士事務所のホームページ:作る・作り直すときに要るページと顧問料の載せ方

社労士事務所のホームページを作る、または作り直すときに迷うのは、どのページを置くか、顧問料をどう載せるか、社労士の決まりのどこに気をつけるか、の三つです。制作会社の解説には、事務所概要、代表挨拶、業務内容、料金、お客様の声、アクセス、お問い合わせといった項目の一覧がよく並んでいます。どれも要るページですが、その一覧は税理士や司法書士の事務所に置き換えても、ほとんど同じです。

この記事は、社労士ならではの三つの事情から、ページの分け方と顧問料の載せ方を整理したものです。一つは、社会保険労務士法が業務を「書類の作成と提出の代行」「帳簿書類の作成」「相談・指導」に分けていること。二つ目は、顧問料が従業員の人数で変わりやすく、手続きと相談のどちらを頼むかでも中身が変わること。三つ目は、電子申請やマイナンバーなど、手続きの道具と情報の扱いが依頼先選びの材料になっていることです。材料は、全国社会保険労務士会連合会(以下、連合会)の実態調査と会則、社会保険労務士法(以下、法)、厚生労働省と日本年金機構の案内、そして当社が2026年9月24日に福井市・仙台市・静岡県沼津市で19の社労士事務所のサイトを同じ項目で見た記録です。当社は法律の専門家ではないので、迷う書き方は所属の社労士会で確かめてください。

この記事の結論

  • ページは、法第2条の業務の区分(申請書等の作成と提出の代行、帳簿書類の作成、相談・指導)に合わせて分けると、依頼する会社が「自分の用件はどれか」を選びやすくなり、料金表の区分ともそろいます。
  • 顧問料は、従業員数の区分と「手続きだけ」「相談だけ」「両方」の組み合わせで表にし、含まれないもの(給与計算、就業規則、助成金、年1回の届出の扱いなど)を同じ場所に書きます。開業社労士の顧問先の63.9%は従業員29人以下なので、区分は小さい会社の側を細かくするのが読みやすいと当社は考えています。
  • 給与計算と助成金は、ページを作る前に「検索の入口にするか、顧問先向けの説明にとどめるか」を決めます。当社が数えた3つの市では、「給与計算 代行」は社労士を探す言葉としてほとんど働いていませんでした。
  • 電子申請への対応、訪問とオンラインの範囲、個人情報の扱い(SRPⅡ認証の有無など)は、「社労士 選び方」で調べた会社が確かめる項目です。書いておけば、遠方の会社にも判断の材料になります。

社労士の業務は、法律の上で三つに分かれている

法第2条第1項は、社労士の業務を号ごとに定めています。ホームページの分け方に関わるところだけ、条文の言葉で並べます。

  • 第1号・第1号の2・第1号の3:労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、その提出に関する手続の代行、申請や届出などについての代理。会社が「入社と退社の手続きを任せたい」と言うときの業務です。
  • 第2号:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成。
  • 第3号:事業における労務管理その他の労働に関する事項と、社会保険に関する事項についての相談・指導。顧問として受ける「困ったときに聞ける」の部分です。連合会の「労務管理の相談指導業務」のページは、この相談・指導の例として、就業規則や諸規程の作成・見直し、人事や賃金の制度づくりなどを挙げています。
  • 第1号の4から第1号の6:個別労働関係紛争のあっせんや調停などで当事者を代理する業務。第2条第2項により、紛争解決手続代理業務試験に合格して付記を受けた社労士(特定社会保険労務士)に限られます。

連合会の「2024年度社労士実態調査」の概要は、開業社労士の受託業務範囲の内訳を平均値で示しています。手続業務(手続に関連する相談を含む)が41.5%、労働及び社会保険に関する相談業務が14.3%、給与計算業務が14.2%、各種規程の作成・改定・整備が10.4%、助成金業務が4.8%です。概要からは、この割合が売上の割合なのか時間の割合なのかは読み取れませんでしたが、手続きが中心で、相談、給与計算、規程づくりが続く形は見て取れます。

依頼する会社の側から見ると、この区分はそのまま「用件の違い」です。手続きだけ外に出したい会社、相談相手がほしい会社、就業規則を作り直したい会社、給与計算ごと任せたい会社は、同じ「社労士に頼みたい」でも、確かめたいことが違います。当社が勧めるページの分け方は次のとおりです。

依頼する会社の用件置くページそのページに書くこと
入社・退社などの手続きを任せたい手続きの代行対象の手続き、会社が用意するもの、電子申請の対応、顧問でない場合のスポット料金
困ったときに聞ける相手がほしい労務相談・顧問相談の方法と回数、返事の目安、社長と担当者のどちらが窓口になれるか
就業規則を作る・直したい就業規則(規程)料金、日数、会社が用意するもの、届出までするか、従業員への説明までするか
給与計算も任せたい給与計算人数での加算、締め日と支払日、勤怠データの受け取り方、年末調整の分担
助成金が使えるか知りたい助成金受けられない場合、事前に整える書類、報酬の基準、受給できなかったときの費用
従業員や家族の年金のこと障害年金など(扱う場合)本人と家族向けの言葉で、会って相談できる場所と回数

第1号の4以降の紛争解決手続の代理は、付記を受けている場合だけ業務として書けます。付記を受けているなら、事務所案内に「特定社会保険労務士」と書き、どういう場面で使える業務かを一段落添えると、労使のもめごとを抱えた会社が判断できます。

顧問料の載せ方:従業員数の区分と、含まれるもの

社労士の報酬には、いまは会が定めた基準がありません。2002年の第154回国会に出された社会保険労務士法の改正法律案の要綱は、社労士会と連合会の会則の記載事項から、報酬に関する規定を削除するとしています。その代わりに、連合会の会則第43条の3は、受任するときに業務の内容と報酬などを書面の交付などで示し、十分に説明することを求めています。ホームページの料金は、この書面の手前に置く目安です。

当社が見た19事務所では、料金の目安を何らかの形で載せていたのは13でした。福井で載せていた四つは、金額がどれも料金のページやPDFの奥にあり、トップで金額が見えたところはありません。仙台では、少なくとも三つがトップで顧問料の金額を出していました(詳しくは社労士のホームページ集客:3つの市で検索結果と19事務所のサイトを数えた)。

区分の決め方に使える数字があります。実態調査の概要によれば、開業社労士の顧問契約社数の総数を顧問先の従業員規模で分けると、29人以下が63.9%、30〜99人が20.9%、100〜299人が4.4%、300人以上が2.6%(不明8.2%)でした。顧問先の多くは小さな会社です。読む社長の多くも、自分の会社が表のいちばん上の数行のどこかに入るかを探すことになります。

当社なら、顧問料の表を次の形にします。金額は御事務所の料金を入れるところで、ここでは空けています。

従業員数手続きのみ相談のみ手続きと相談
5人未満月額◯円月額◯円月額◯円
5〜9人月額◯円月額◯円月額◯円
10〜19人月額◯円月額◯円月額◯円
20〜29人月額◯円月額◯円月額◯円
30〜49人月額◯円月額◯円月額◯円
50人以上個別にお見積り(目安:◯円〜)同左同左

この表の下に、次の三つを文字で書きます。

  1. 人数の数え方。役員を含むか、パートやアルバイトを含むか、月の途中で人数が変わったときにいつ料金が変わるか。
  2. 顧問料に含まれるものと、含まれないもの。毎年の労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届を顧問料に含むのか別料金なのか、就業規則の作成、給与計算、助成金、年金の請求は別の料金か。含まれないものを先に書くと、契約後の「それは別料金です」が減ります。
  3. 「〜円から」と書く場合に、どういうときに上がるのか。会則第43条の4第1項は、報酬などの重要な事項について故意に事実を告げずに勧誘することを禁じています。下限だけを大きく見せる書き方は、この条文の側に寄ります。

金額は画像やPDFにせず、文字で書きます。料金を改めたときに一か所を直せば済むよう、トップには「顧問料は月額◯円から(従業員4人以下・手続きのみの場合)」のように条件つきの一行だけを置き、表は料金のページ一枚にまとめるのが、直し忘れの起きにくい形です。

給与計算は、人数の加算と「どこまでやるか」を書く

給与計算を受けるなら、顧問料とは別の表にします。基本料金に何人分までを含み、一人増えるごとにいくら加わるのか。締め日から支払日まで何日あれば受けられるのか。勤怠のデータを、紙、表計算のファイル、勤怠や給与のクラウドの仕組みのどれで受け取るのか。年末調整や住民税の更新まで受けるのか、顧問の税理士と分けるのか。この四つが書いてあれば、会社は今の自社のやり方のまま頼めるかを判断できます。

ただし、給与計算のページを検索の入口として当てにするのは慎重にしたほうがよいと当社は見ています。3つの市で「給与計算 代行」を検索したところ、沼津では十件すべてが運転代行や家事代行などの無関係なページ、福井では十件のうち五件が給与計算の仕事を探す人向けの求人で、仙台で出た地元の六件のうち三件は税理士や経理代行の会社でした。この言葉は、社労士の場所というより、会計や経理の会社と求人の場所でした。給与計算のページは、顧問を検討している会社が「給与もまとめて頼めるか」を確かめる一枚として作るのが、当社の数えた範囲では合っています。

就業規則・助成金・障害年金のページで気をつけること

就業規則は、業務の名前を掲げた一枚があるかどうかで検索の出方が分かれた業務です。「仙台 就業規則 作成」の1ページ目には市内の事務所の就業規則のページが6件並び、「福井 就業規則 作成」には福井市の事務所のページが一件もありませんでした。福井の事務所が就業規則を扱っていないわけではなく、料金表の一行や業務の一覧の一語にとどまっていたためと当社は見ています。一枚に書くこと(料金、日数、会社が用意するもの、届出と従業員への説明をどこまで受けるか、届け出る労働基準監督署)は社労士の就業規則のページが検索に出ないときにまとめました。

助成金のページは、入口としての力が強い一方で、書き方を誤ると事務所と顧問先の両方の信用を傷つけます。要点だけ挙げます。

  • 「必ずもらえる」「確実に受給」のように、受給を約束するように読める言い方は使いません。助成金は審査を経て決まり、会則第43条の4第3項は誇大または虚偽の事項で相手を欺くおそれのある広告を禁じています。
  • 報酬を受給額の割合で書くなら、受給額と申請額のどちらに対する割合か、受給できなかったときに何がかかるかを同じ場所に書きます。
  • 申請の前に整える社内の書類や決まりを説明します。ここが就業規則や顧問の相談につながる入口になります。
  • 社労士でない業者が申請を請け負い、その申請に社労士の名前を使う形は、法第27条と第23条の2にかかります。業者と組む前に確かめます。

厚生労働省の不正受給の措置や労働局の案内も含めた詳しい話は、社労士の集客方法:紹介・セミナー・助成金など五つの経路の全体図と決まりに書いています。

障害年金は、会社ではなく本人や家族から来る依頼です。仙台では、事務所の名前とは別に、障害年金の相談室や窓口を名乗る専用のサイトが1ページ目に並んでいました。企業向けのサイトの中に一枚置くか、別のサイトを立てるかは、受けたい件数と手間で決めます。別に立てる場合も、どのページにも社労士の氏名と事務所の所在地を書いておきます。

オンライン対応と電子申請:対応地域の書き方が変わる

19事務所でオンライン面談を明記していたのは、福井で一つ、仙台で三つ、沼津でゼロでした。LINEで相談を受けていたのは二つで、どちらも仙台です。社労士の手続きは、会社と役所の間で書類を行き来させる仕事なので、オンラインで何ができるかは、面談の方法より広い話になります。

一つは電子申請の義務化です。厚生労働省のQ&Aによれば、2020年4月以降に始まる事業年度から、資本金などの額が1億円を超える法人などの「特定の法人」は、健康保険・厚生年金保険の算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、雇用保険の資格取得届と喪失届、労働保険の年度更新の申告書などを電子申請で出すことになりました。特定の法人が社労士を通じて行う手続きも、義務化の対象です。こうした会社から見ると、電子申請に対応しているかは、依頼先を選ぶ前提の一つです。

もう一つは、電子申請で提出を代行するときの段取りです。日本年金機構のよくある質問によれば、社労士が電子申請で手続きを代行する場合、GビズID(行政の電子申請で使う共通のアカウント)は社労士本人が取得し、適用事業所の側のGビズIDは要りません。事業所の側は「提出代行に関する証明書」を作って社労士に渡します。

これをホームページに置き換えると、手続きのページには次のことを書いておくと、遠方の会社や、初めて社労士に頼む会社が段取りを想像できます。

  • 電子申請に対応している手続きの範囲。
  • 会社にお願いする書類(提出代行に関する証明書など)と、その受け渡しの方法。
  • 訪問する市町の範囲と、それより外はオンライン面談と電子申請で進めること。訪問に交通費がかかるなら、そのことも料金のページに書きます。
  • 対応している勤怠や給与のクラウドの仕組みがあれば、その名前。今の仕組みのまま頼めるかは、会社が気にするところです。

「社労士 選び方」「評判」で調べる会社が確かめていること

2026年10月2日に当社が「社労士 選び方」で検索し、上位の解説記事を開くと、挙げられていたのは、業種や会社の規模に合った経験、返事の早さ、料金の分かりやすさと追加費用の条件、ITへの対応、個人情報の守り方(プライバシーマークやSRPⅡ認証)、といった項目でした。ほとんどは、事務所のサイトで答えられることです。

このうち社労士に特有なのがSRPⅡ認証です。連合会のページによれば、特定個人情報(マイナンバー)と個人情報について適切な保護措置を講じる体制を整えている社労士事務所を、連合会が認証する制度で、認証された事務所には認証番号、認証書、認証マークが付与され、認証事務所を検索するサイトもあります。認証を受けているなら、事務所案内に認証番号とともに書けます。受けていない場合でも、従業員の個人番号や給与の書類をどう受け取り、どこに保管し、契約が終わったらどうするかを書けば、同じ問いに答えることになります。

返事の早さは、守れる範囲で目安を書きます。「24時間以内に返信」と書いて守れなければ、事実と合わない表示になります。受付の時間帯と、電話、メール、チャットのどれで受けるかを書くだけでも、比べる材料になります。

「評判」で調べる会社に向けては、お客様の声と事例が答えになりますが、19事務所で声を載せていたのは二つ、個別の事例は一つでした。守秘の中でどう書くかは社労士のホームページに事例と声がないときに、労使の中立や比較の言い方など、広告の決まりで避ける書き方は社労士の広告規制:ホームページで書けること、避けることにまとめています。経営者向けのサイトでも「経営者の味方」と言い切らず、会社が何をすれば法に沿うかを書く形にします。

制作費の幅と、作ったあとに直す手間(2026年10月2日確認)

社労士事務所向けの料金を公開している例を二つ見ました。株式会社日本法令の社労士ホームページ制作サービスは、初期費用110,000円・月額4,400円(7ページ以内、テンプレートから事務所が作る)、初期費用220,000円・月額4,400円(15ページ以内)、初期費用440,000円・月額4,400円(15ページ以内、ヒアリングを経て同社が作る)の三つのプランで、どれも税込、月額にサーバー費用を含み、毎週の記事の自動投稿と月1回の修正対応がついています。士業専門の制作会社である有限会社ポーカー・フェイスは、よくある質問で、社労士事務所のホームページの制作費をレスポンシブ対応込みで20万円台後半から40万円程度が代表的な目安とし、初期費用5万円前後から使える社労士向けのテンプレート型サービスもあると書いています。

金額の差は、主に「誰が文章を書き、誰が直すか」の差です。社労士のサイトは、料金の改定、顧問先の規模に合わせた区分の見直し、法改正にともなう業務ページの書き換えと、公開後に直す箇所が多い部類です。配信される記事は更新が止まって見えないという役には立ちますが、当社が見た福井と沼津では、別の事務所に同じ日付・同じ題の記事が載っていました。御事務所に頼む理由になる文章は、料金の表と業務のページのほうです。制作費を比べるときは、公開後に料金の表を事務所の中で直せるか、直せないなら一回いくらかかるかも確かめておくと、作ったあとで止まりにくくなります。

当社は、作って終わりにせず、問い合わせが来るようになるまで手を入れ続ける形で運営を引き受けています。料金は月額で、低く始めて問い合わせが増えるにつれて上がる仕組みです(料金)。始める前に、その地域で検索されている言葉と上位の顔ぶれを数え、どの業務のページから手を入れるかを決めます。

御事務所のサイトで、今日確かめられること

  1. スマートフォンでトップページを開き、顧問料の金額まで何回の操作でたどり着けるかを数えます。たどり着いた表に、人数の数え方と、含まれないものが書いてあるかを見ます。
  2. 業務の一覧を、手続き、相談、就業規則、給与計算、助成金に分け、それぞれ一枚のページがあるのか、一覧の一語だけなのかを確かめます。
  3. 「御事務所の市の名前+就業規則 作成」で検索し、1ページ目に地元の事務所の就業規則のページがあるか、御事務所のページがあるかを見ます。
  4. 助成金のページで「必ず」「確実」「もらえる」を探し、受けられない場合と、受給できなかったときの費用が書いてあるかを読みます。
  5. 電子申請に対応しているか、会社に何をお願いするか、訪問とオンラインの範囲、SRPⅡ認証の有無や個人番号の扱いが、サイトのどこかに書いてあるかを確かめます。

出典

  • 社会保険労務士法(e-Gov 法令検索。第2条、第23条の2、第27条)
  • 全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士総合研究機構「2024年度社労士実態調査 調査結果概要」(2024年11月)
  • 全国社会保険労務士会連合会「全国社会保険労務士会連合会会則」(令和6年11月29日施行。第43条の3、第43条の4)
  • 衆議院「第154回国会 閣法43 社会保険労務士法の一部を改正する法律案」要綱
  • 厚生労働省「Q&A〈特定法人に係る電子申請の義務化〉」
  • 日本年金機構「電子申請の義務化」、よくある質問「社会保険労務士が電子申請により手続きを代行する場合、GビズIDはどのように取得するのですか。」
  • 全国社会保険労務士会連合会「社労士事務所における個人情報保護」(SRPⅡ認証制度)、「労務管理の相談指導業務」
  • 各社の公開情報:株式会社日本法令「社労士ホームページ制作サービス 料金プラン」、有限会社ポーカー・フェイス「社会保険労務士事務所のホームページ制作費用の相場はどのくらいですか?」
  • (いずれも2026年10月2日確認。実態調査と会則は2026年9月から10月に確認)