自社の地域名と業務名を並べて検索すると、上から比較サイト、全国展開している会社の「◯◯市の〜」というページ、よその町の業者が続き、御社のページは2ページ目にある。資本も人手も違う相手に、同じ言葉で追いつけるとは思えない。
その感覚は、半分は当たっていると思っています。外れているのは、残りの半分です。
大手が取りに来る言葉では、順位を追わない
全国で商売をしている会社は、一つの説明を書けば、都市の名前を差し替えて何十の町にも同じページを置けます。どの町でも中身の変わらない仕事、手続きの流れが全国で同じ仕事なら、なおさらです。そのページには予算がかかっていて、同じサイトの中でたくさんのページが互いを支えています。
この言葉で同じ説明を書いて並ぼうとすると、御社の強みである「その町を知っている」ことが、ページのどこにも出てきません。説明が同じなら、残る差は予算と量です。そこで追いかけるのは、勝ちにくい勝負を続けることになります。
ですから、大手が並んでいる言葉では順位を追わない、というのが当社の立場です。もし毎月の報告でその言葉の順位だけが示されているなら、見るべきは順位ではありません。その理由は順位の報告は成果ではないに書きました。
ただし、大手は全部の言葉を取りに来るわけではありません。ここからが残りの半分です。
浜松市×相続の見本では、大手がいる言葉といない言葉が分かれていた
当社は2026年9月に、静岡県浜松市の相続の分野を題材にして、商圏調査の見本を作りました(見本の全文)。九つの言葉で検索して1ページ目に何が並ぶかを記録し、よく出てくる地元の事務所を八つ開いてサイトの作りを確かめたものです。
大手が来ていた言葉から書きます。「浜松 相続登記」では、全国展開しているチェーン系のサービスが、浜松市専用のページを作って上位に入っていました。「浜松 家族信託」はさらにはっきりしていて、地元の金融機関、全国規模のポータル、浜松に拠点を置かない他都市の事業者が、浜松向けのページを作って並んでいました。
一方で、大手の姿が薄い言葉もありました。
- 「浜松 実家 名義変更」は、1ページ目の三分の一ほどが自動車の名義変更のページで、親の家を相続したあとの手続きに正面から答えているページは、実質一つか二つでした。この言葉の話はアクセスが増えない原因で詳しく書いています。
- 相続放棄には三か月という期限があり、探す人は急いでいます。それでも「浜松 相続放棄」の上位で、相続放棄の専用ページを持つ地元の事務所は、確認できた範囲で一つだけでした。
- 浜松市は2024年に行政区を7区から3区に再編しています。新しい3区の単位でページを作っている事務所は、八つのうちゼロでした。周辺市の専用ページを持つのも一つだけです。
- 県外に住む子や、遠方から手続きを進めたい人に向けたページは、八つのいずれにもありませんでした。
もう一つ書いておくと、「浜松 遺言書 作成」や「浜松 相続税 税理士」のように、大手ではなく地元の事務所が1ページ目の大半を占めている言葉もありました。何年も積み上げてきた先行者がいる場所です。後から入る側にとって重い言葉は、大手のいる言葉だけではありません。
これは一時点の、ある道具を通して見えた並びで、地図枠と広告が出ていたかは確認できていません。八つの事務所も全数ではありません。それでも、言葉によって並ぶ顔ぶれがはっきり違うことは読み取れます。
大手が取りに来ない言葉は、その町を知らないと書けない
空いていた言葉を並べると、共通点があります。どれも、全国で同じ説明を使い回すだけでは答えにくい言葉です。
区の再編で、旧区名で覚えている人と新区名の案内との間にずれが残っている。これは、その町の事情を知っている側でないと書けません。「実家 名義変更」のような生活の言葉は、業務の名前ではなく、その人に起きていることの言い方で、都市名を差し替えて作るページは、たいてい業務の名前のほうで作られています。期限に追われている人の「過ぎてしまったらどうなるか」「何を用意すればいいか」に答えるには、実際にその相談を受けている側の説明が要ります。遠方に住む子は、自分の住む町ではなく親の町の名前で探し、「行かなくても進むのか」を知りたがっています。
つまり、大手が来ない言葉では、地元にいることがそのままページの中身になります。不利なのは同じ説明で並んだときの話で、町の事情を書く場所では立場が逆になる。相続はここでは例で、業種を問わない構造だと思っています。
家族信託のように大手が来ている言葉でも、見本では、認知症への備えや親の財産の管理という切り口から厚く書けば届く余地がある、と見ました。正面の言葉ではなく、生活の側から入るという点は同じです。
ポータルに掲載の費用を払って問い合わせを得ている場合も、構造は変わりません。それは、中心の言葉の席を借りている状態です。借りること自体は悪くありませんが、払うのをやめれば席がなくなる点は広告と同じで、その抜け出し方は広告を止めると問い合わせが止まる状態から抜け出す順番と重なります。抜け出す順番は、ポータルをやめることからではなく、ポータルが取りに来ない言葉に自社のページを先に置くことから始まります。
当社は、中心の言葉で正面から戦わない
当社が運営を引き受けるとき、最初に中心の言葉の順位を狙うことはしません。周辺の空いている場所から入ります。見本の結論も、中心の言葉で正面から戦わず、周辺の空いている場所から入ってサイトの作りを上位に並べれば見込みはある、というものでした。断定はしていません。
そのために、引き受ける前に商圏を調べます。中心の言葉に誰がいるか、周辺に空きがあるか。中心は大手と先行者で埋まり、周辺にも空きが見当たらない商圏なら、お引き受けしません。ホームページに手を入れても動かない場所で、月々の費用をいただき続けることになるからです。
反対の考え方があることも分かっています。中心の言葉のほうが探す人は多いはずで、そこで上位に出なければ意味がない、という考え方です。正直に書くと、周辺の言葉は一つ一つを見れば探す人が少ないかもしれません。空いて見えるのは、答える人がいないからではなく、探す人がいないからという場合もあります。公開情報だけでは、どの言葉が月に何回検索されているかは分かりません。それでも、勝てない場所で順位を待つより、答えれば読まれる場所に一枚ずつ置くほうが、問い合わせにつながるまでの道は短いと考えています。
二つの検索で、御社が書く場所を確かめる
道具は要りません。
- 御社の地域名と業務名で検索します。1ページ目の十件を、題とアドレスで見分けて数えます。ポータルや比較サイト、全国展開している会社(同じサイトに都市名だけ違うページがあり、アドレスに地名が入っていることが多い)、よその町の業者(開いて所在地を見ると御社の地域の外)、そして地元の同業。前の三つが何件あるかを書き留めます。
- 最近、電話で聞いた言い方を一つ思い出します。業務の名前ではなく、相手が最初に口にした言葉です。それに地域名を付けて検索し、同じように数えます。あわせて、その困りごとに正面から答えているページがいくつあるかも数えます。
- 一つ目に大手が多く、二つ目に少ないなら、御社が書く場所は二つ目の言葉です。
二つ目も大手で埋まっていたら、言い方を変えて試します。区や周辺の市の単位、期限のある手続き、遠くに住む家族。御社の仕事にも、これに当たる言い方があるはずです。どれを試しても空きが見つからないなら、その商圏でホームページから入る余地は薄く、見直すのはページではなく、どこで誰に売るかのほうかもしれません。
今日、次にかかってきた電話で、相手が最初に言った言葉を一行だけ書き留めてください。それに地域名を付けて検索した1ページ目に大手が少なければ、御社が次に置く一枚はその言葉のためのページです。