ホームページの成果が出ていないと感じたとき、先に手が動くのは「直すこと」のほうです。文章を書き直す。デザインを新しくする。広告を足してみる。けれど、直した結果が良くなったのか悪くなったのかを確かめる物差しが手元になければ、次の判断ができません。
この記事で申し上げたいことは一つだけです。直す前に、まず数値を正確にとる。それだけを書きます。
電話の本数で「なんとなく」数えている
当社が運営に携わっている相続の事務所も、始める前はそうでした。反響は、電話が多かった月・少なかった月という感覚で把握されていて、件数として正確に数えられてはいませんでした。特別に管理が甘かったわけではありません。多くの事務所がこの状態だろう、と事務所の側でも見ています。
問題は、この状態だと何が効いているのか分からないことです。今月は忙しかった、先月より反響があった気がする、という感覚は残ります。けれど、その反響が広告から来たのか、検索から来たのか、以前のお客様の紹介だったのかは分かりません。分からないまま広告を増やせば、増えたぶんの効果も分からないままです。感覚で判断していると、たまたま良かった月の記憶に引きずられて、効いていないものにお金を払い続けることが起こります。
最初に数えるのは、三つで足ります
数え始めようとすると、つい立派な仕組みを考えてしまいますが、最初は多くなくてかまいません。先の事務所で最初に決めたのも、次の範囲でした。
- 実際に来た件数。電話と問い合わせフォームの合計です。ここで大事なのは「実際に来た」という部分で、着信はしたが話にならなかったもの、業者の売り込み、間違い電話は、分けて数えるか、数から外します。
- どこから来たか。広告を見て来たのか、検索して来たのか、紹介や以前からのお付き合いか。おおまかな区分で足ります。
- そのうち、商談や面談につながったのは何件か。問い合わせが来た件数と、実際に会って話をした件数は別のものです。
三つ目が要になります。件数だけを追っていると、増えた・減ったの話で終わってしまいます。件数と、前に進んだ件数。この二つが並んで初めて、その問い合わせが御社にとって価値のあるものだったのかが見えてきます。
記録の仕方は、表計算で足ります
新しい道具を買う必要はありません。先の事務所でも、表計算ソフトと、もともと使っていた顧客管理のシステムで管理しています。列は、日付、電話かフォームか、どこから来たか、内容、面談になったかどうか。この程度から始めて問題ありません。
続けるために決めておくことが三つあります。誰が書くか、いつ書くか、何を書くかです。「気づいた人が書く」にすると、誰も書かなくなります。電話を受けた人がその場で一行だけ足す、と決めるほうが続きます。
そして、電話を受けたときに一言だけ聞いてください。「差し支えなければ、何をご覧になってお電話くださいましたか」。これが「どこから来たか」の欄を埋める、いちばん取りこぼしの少ない方法です。
今日その場でできる確かめ方も書いておきます。まず、フォームからの自動返信メールを、受信箱で日付順に並べてください。先月ぶんだけでかまいません。何件あったかが分かります。次に、電話の着信履歴を同じ期間ぶん見てください。合計が、御社が感覚で思っていた数と合っているかどうか。アナリティクスを入れているなら、参照元・メディアという項目を開くと、来た人が広告からか検索からか、おおまかに分かります。入れていなくても、先の二つだけで始められます。
数えると、思い込みと違うことが出てきます
数え始めて、先の事務所で分かったことがあります。広告のキーワードのうち、単価が安いものは、たくさん問い合わせが取れているように見えていました。件数あたりの単価も低く、広告の画面の中だけを見ていれば、むしろ増やしたくなる種類のものです。けれど面談までを並べてみると、離脱ばかりが目立っていました。面談まで追いかけて初めて、そこが底の抜けたバケツだったと分かりました。そのあと広告の言葉をどう絞ったかは、士業の検索広告で、どの言葉にお金を使うかに書いています。
この構造は、広告に限りません。反響が多いページ、よく読まれている記事が、商談につながっているとは限らない。数えるというのは、こういう思い込みを一つずつ外していく作業です。
記録を並べると、ホームページの外にある原因が見えることもあります。たとえば、問い合わせから返事までに一日かかっていて、その間に他社で決まっている。日付の列と面談の列を並べれば、返事が遅かった件ほど面談に進んでいないかどうかが分かります。そうであれば、ページを直すより先に、返事の段取りを直すほうが数字は動きます。
広告を止めると問い合わせも止まってしまう、という状態に心当たりがあるなら、広告を止めると問い合わせが止まる状態から抜け出すのほうに、分けて数えてから絞る順番を書いています。
数え始めるときに、気をつけること
一つ、数える項目を増やしすぎないことです。年代、性別、初回か再訪か、と欄を足していくと、一件あたりの記入が重くなり、そのぶん記入漏れが増えます。抜けのある記録は、ない記録より判断を誤らせます。
一つ、続かない記録は意味がない、ということです。三か月で止まった完璧な台帳より、二年続いた粗い台帳のほうが役に立ちます。比べられる期間の長さが、そのまま判断の材料になるからです。
一つ、個人情報の扱いです。問い合わせの記録には、お名前や連絡先、相談の中身が含まれます。誰が見られる場所に置くのか、どこまで書き残すのかを、始める前に決めてください。社内で共有する表であれば、個人が特定される部分は分けておくほうが安全です。
もう一つ、何を問い合わせと数え、どこからを成果とみなすかは、始める前に紙に書いて決めておくことです。当社も運営をお引き受けするときは、ここを始める前に書面で決めています。後から決めると、都合のよい数え方に寄っていくからです。
来月の一件目から、電話を受けた人がその場で「何を見てお電話くださいましたか」の答えを一列書く。それが始め方のすべてです。