競合調査のやり方:順位より先に、検索結果の1ページ目を数える

検索の順位は、いちばん手軽に見られる数字です。報告書にも載せやすく、上がれば前に進んでいるように見えます。ただ、順位が教えてくれるのは、一つの言葉の中で御社がどこにいるかだけです。その言葉の1ページ目が、そもそも御社のような会社の並ぶ場所なのかどうかは、順位からは分かりません。

当社はホームページの運営を引き受ける前に商圏を調べますが、そこで最初にするのは、順位を調べることではなく、1ページ目に誰が並んでいるかを数えることです。この記事では、その数え方を書きます。ポータルの多い言葉とどう向き合うかは地方の会社と全国ポータルに書いたので、ここでは数える手順と、数えて見えたことに絞ります。

自分が何位かより、その1ページ目が誰の場所かを先に見る

ある言葉の1ページ目が、比較サイトと全国チェーンで九件中八件埋まっているとします。そこで御社が二ページ目の後ろから前に上がっても、その言葉のためにページを書くかどうかの判断は変わりません。地元の会社に残されているのは、一枠あるかないかだからです。反対に、1ページ目が他の町の業者や、用件の違うページで埋まっている言葉なら、御社が何位かを調べる前に、その問いに地元から答えているページがあるかどうかが問題になります。

順位は「位置」を教え、1ページ目の内訳は「その場所の性格」を教えます。書くかどうかを決めるのは、後者のほうだと考えています。

順位に意味がない、とまでは言いません。すでに1ページ目にいる言葉で、ページを直したあとに動いたかを確かめるには役に立ちます。ただ、それは書く言葉を決めたあとの話です。順番を逆にすると、動かない場所で動かない数字を毎月眺めることになります。

当社が見本で使った数え方

2026年9月に、商圏調査の見本を四本公開しました。浜松市×相続、松本市×工務店、高崎市×学習塾、金沢市×税理士です。業種も土地も違いますが、数え方は同じです。

言葉を九つ、中心の言葉と暮らしの言葉を混ぜて選ぶ

中心の言葉は、地名に業種を付けたものです(「松本市 注文住宅」「金沢 税理士」)。これだけを並べると、比較サイトが強い場所ばかりを見ることになるので、残りは困っている本人が打ちそうな言い方にします。「松本 平屋 建てたい」「高崎 中学生 勉強 ついていけない」「金沢 税理士 変更したい」。松本では中心の言葉が三つと暮らしの言葉が六つ、金沢では中心が四つと周辺・暮らしの言葉が五つでした。

1ページ目を五つの欄に分けて数える

欄は、地元の事業者、全国ポータル・比較サイト・チェーン本部、他都市の事業者、自治体・公的機関、無関係の五つです。多くは題とアドレスで見分けがつき、迷ったものは開いて所在地を見ます。

迷うのは境目です。高崎の塾では、市内にある教室でも、全国チェーンの教室ページは地元に入れませんでした。そのページを書いているのは本部だと見たからです。業種によっては欄を割ります。高崎では地元を、個人・小規模の塾と、県内に十数教室以上を持つ塾グループに分けました。「高崎 中央中等 塾」の1ページ目を押さえていたのが、個人塾ではなく塾グループだった(九件中六件)と分かったのは、割って数えたからです。

「無関係」には、用件の違うページが入ります。地名が名字や社名と同じだと、この欄が大きく膨らみます。その話は狙った言葉が別の意味に取られるときに分けて書きました。

もう一つ、同じ事業者が何回出てくるかも数えます。金沢では、ある一つの事務所が九つの言葉のうち七つで1ページ目に入っていました。地元の枠が少ないうえに、その枠を少数が繰り返し取っている形は、欄の合計だけでは見えません。

よく出てくる地元の事業者を八つ開き、同じ項目で横に並べる

数えたあとは、繰り返し出てきた地元の事業者を八つ開き、料金の目安、事例やお客様の声、更新の日付、地域ごとのページ、相談の入口を同じ順番で確かめます。一社ずつ見ていると気づかないことが、横に並べると出てきます。高崎では、料金を出している塾と更新を続けている塾が、ほとんど重なっていませんでした。金沢では、八つのうち四つが税理士の変更についての専用ページを持っているのに、「金沢 税理士 変更したい」の1ページ目に入っていた地元の事務所は一件だけで、それも変更の問いに答えるページではありませんでした。ページがあるのに出てこない、という場所です。

高崎では九つの言葉に地元の塾が少ししか出なかったため、地元の塾が出やすい言葉で補助の検索を四つ足して、八つをそろえました。数えた結果に合わせて、開く相手の集め方も変えています。

この数え方で見えないもの

使った検索の道具は、言葉ごとに9件か10件しか返しません。タイトルとアドレスの一覧だけなので、地図枠(地図と店の一覧が出る枠)と広告は見えず、四本とも全項目で「不明」と書きました。どの言葉が月に何回検索されているかの実数は有料の道具が要るため、見本では扱っていません。ですから、空いて見える言葉が、実は探す人の少ない言葉である可能性は残ります。結果は、見る人、時点、地域の設定でも変わります。

四つの商圏で、1ページ目の並びはこれだけ違った

同じ「地名と業種」でも、数えると顔ぶれはまるで違いました。

浜松市×相続では、中心の言葉の多くを地元の事務所が押さえていました。「浜松 相続税 税理士」は地元の税理士事務所が六件、全国規模のポータルは二件です。松本市×注文住宅は反対で、九つの言葉の1ページ目延べ83件のうち、全国ポータル・比較サイト・チェーン本部が43件、地元の工務店は13件でした。高崎市×学習塾では「高崎 塾」「高崎市 個別指導塾」「高崎 高校受験 塾」の三つで、九件中八〜九件が比較サイトか全国チェーンです。金沢市×税理士では、九つのうち五つの言葉でポータルが過半を取り、地元が過半なのは「金沢 記帳代行」だけでした。

浜松でも松本でも、後から入る会社が中心の言葉から始めにくいのは同じです。ただ、その理由が違います。浜松では何年も積み上げてきた地元の先行者がいて、松本では工務店を並べて比べる側が席を持っている。順位を見ているだけなら、どちらも「上位に出られない」の一言で終わります。数えると、次にすることが分かれます。先行者のいる商圏では、その先行者のサイトを並べて薄いところを探すことになり、浜松の八つでは費用を具体的に出していたのが三つでした。ポータルの商圏では、ポータルが取りに来ない言葉を探すことになり、「松本 実家 建て替え」の1ページ目には工務店のページが一件もありませんでした。

ポータルの多い言葉でも、入り込んでいる地元のページの種類が見えることがあります。「金沢市 税理士 顧問料」で、ポータルの間に入っていた地元の三件は、三つとも料金のページでした。

紙に五つの欄を書いて、御社の言葉を三つ数える

道具は要りません。紙とスマートフォンで足ります。

  1. 紙に五つの欄を書きます。地元の同業、ポータル・比較サイト・チェーン、他の町の業者、役所や公的機関、用件の違うページ。
  2. 言葉を三つ決めます。地名と業種を並べた言葉を一つ。お客様が最初の電話で口にした困りごとに地名を付けた言葉を一つ。隣の市や、教室・店のある地区の名前に業種を付けた言葉を一つ。見本でも、松本の隣の「安曇野 工務店 注文住宅」は九件中八件がポータルなど、高崎の「箕郷 塾」は九件中七件が塾探しと関係のないページで、中心の言葉とは違う並びが出ました。
  3. 1ページ目を上から一件ずつ、題とアドレスを見て欄に正の字を付けます。二つ以上の言葉に出てきた会社には丸を付けます。地図枠や広告が出ていたら、欄の外にそう書き添えます。当社の見本で見えていなかった部分です。
  4. 三つの言葉を見比べます。ポータルの欄が過半の言葉は、順位を追う言葉から外してかまいません。地元の欄が過半の言葉は先行者がいる場所で、丸の付いた会社のサイトを開いて、何が薄いかを見る場所です。他の町の業者や用件の違うページが多い言葉は、地元からの答えがまだない場所ですが、探す人が少ないだけという可能性も一緒に書き留めておきます。

三つとも地元とポータルで厚く埋まっていて、言い方を変えても空きが見つからないなら、ホームページの直し方の前に、その商圏で何を売るかを考え直す場面かもしれません。

三つのうち、地元の欄が少なく、ポータルの欄も埋まっていない言葉が一つでもあれば、御社が順位を追うより先に書く一枚は、その言葉のためのページです。