ホームページに料金は載せるべきか。載せない理由は誰の都合か

料金のページを開くと、「内容に応じてお見積もりいたします。お気軽にお問い合わせください」とだけ書いてある。御社のサイトにも、そういうページが置かれていないでしょうか。

先に当社の立場を書いておきます。料金を載せないことで守られているものの多くは、載せない側の都合です。そして、載せないことで来なくなった相談は、どこにも記録されていません。載せるなら、金額だけでなく、引き受けない条件まで書く。この記事はその話です。

載せない理由を並べると、守られているのは載せる側です

載せない理由として挙がるものは、だいたい決まっています。案件ごとに違うので一つに決められない。競合に値段を知られたくない。高いと思われて、話を聞く前に離れられたくない。問い合わせてもらえれば、事情を聞いてきちんと説明できる。

どれも嘘ではありません。ただ、一つずつ「それで誰が助かるのか」と問うと、答えはほとんど載せる側に戻ってきます。

案件ごとに違うのは本当でも、何に対する費用か、どういう場合に上がるか、おおよそどこから始まるかは、案件が決まる前でも書けます。競合は、その気になれば客のふりをして電話一本で聞けます。値段が見えなくて困っているのは競合ではなく、初めて御社を見に来た人のほうです。高いと思われて離れられるのは、見積もりを出したあとに断られるのと結果は同じで、違いは、御社がその人の話を聞くのに時間を使ったかどうかだけです。

問い合わせてもらえれば説明できる、というのが一番もっともらしく聞こえます。しかしこれは、いくらかかるか分からない相手に、先に名前と電話番号を渡してくれる人だけを相手にする、ということでもあります。売り込まれるのを警戒している人ほど、その一歩は踏みにくいと思います。

この状態が長く残るのは、ホームページを作る契約の中では、料金のページを「お問い合わせください」のまま納品しても、誰も困らないからです。作った側は納品で役目を終え、その先で来るはずだった相談が来なかったことを確かめる立場にありません。御社の側からも、来なかった相談は見えません。

来なくなった相談は、どこにも記録されない

問い合わせの記録をつけていれば、来た相談は数えられます。何件来て、そのうち何件が面談や商談に進んだか。当社はまずそこを数えるところから始めていて、その数え方はホームページからの問い合わせの数え方に書きました。

ところが、料金が分からずに閉じられたページは、その記録のどこにも出てきません。電話は鳴らず、フォームも送られない。アクセスを測る道具を入れていても、料金のページで離れた人が、何を思って離れたのかまでは分かりません。

つまり「料金を載せない」という判断は、その費用が見えないまま続けられる判断です。載せたら件数が減るのではないか、という心配はもっともで、実際に減ることはあると思います。金額を見て、自分には合わないと思った人は連絡してこなくなるからです。ただ、その人たちは、見積もりを受け取ったあとに断っていたはずの人でもあります。件数は減っても、面談や商談に進む割合が上がるなら、数えている側から見れば悪い変化ではありません。

減った件数は数えられます。来なかった相談は数えられません。どちらを選ぶかで迷うなら、あとから確かめられるほうを選んだほうが、次の判断がしやすくなります。

上位八つの事務所のうち、金額が分かったのは三つ

当社が商圏調査の見本として作った浜松市×相続の見本では、検索結果に繰り返し出てきた地元の事務所を八つ開いて、サイトの作りを横に並べました。具体的な金額を出していたのは、八つのうち三つです。残りの五つは、着手したあとにいくらかかるのかが、サイトを見ただけでは分かりませんでした。

上位にいる事務所でさえ、半分以上が料金を伏せている。見比べる人から見れば、その五つは、問い合わせるまで何も分からない事務所です。これは相続の分野に限った偏りではなく、業種を問わない構造だと思っています。料金を載せないことがその業界の「普通」になっているところでは、載せるだけで、見比べる人の目に違いが出ます。士業のサイトで、上位の事務所が費用を書いているかを数える手順は士業のホームページから問い合わせが来ない理由と、見直しの順番に書いています。

ただし見本では、これを検索の順位とは別の話として扱いました。料金を載せても、それで順位が上がるわけではありません。効くのは、すでに御社のサイトに来ている人に対してです。来ている人がそもそも少ないなら、料金のページを直す前に、見つけてもらえているかを確かめるほうが先になります。

当社は、金額と一緒に引き受けない条件を書いています

当社の料金のページには、金額を書いています。費用は、立ち上げの費用、実費、成果が出てからの月額の三つに分けています。

そして、料金のページと並べて読める進め方のページに、引き受けない条件を先に書いています。同じ商圏で同業は一社しかお預かりしないこと。同時に預かるのは五つの事業までであること。引き受ける前に商圏を調べ、見込みが立たなければお引き受けしないこと。お引き受けしたあとも、十二か月で見込みが立たなければ当社から終えること。

金額だけを書くと、読む人に分かるのは「この値段で何をしてくれるのか」までです。けれども、頼むかどうかを考えている人が本当に知りたいのは、自分はそもそも頼める相手なのか、頼んだらどこで終わるのか、のほうだと考えています。そこが書かれていなければ、金額が書いてあっても、結局は問い合わせるまで分かりません。

引き受けない条件を先に書くと、当社への相談はその分だけ減ります。すでに同業をお預かりしている商圏の方は、読んだ時点で連絡をやめるでしょう。それでよいと考えています。問い合わせてもらってから「その地域はお受けできません」と伝えるほうが、相手の時間を余計に使わせるからです。もう一つ、書いてしまえば、当社はその条件を黙って曲げられなくなります。料金のページに書く条件は、読む人への説明であると同時に、自分たちへの縛りでもあります。

念のために書いておくと、料金を載せても相談が来ない場合はあります。載せたことで見えてくるのが、値段そのものが、その商圏で探している人の考える幅と合っていない、という事実のこともあります。その場合に直すのはページではなく、値段か、売り方のほうです。

自社の料金のページを、初めての人のつもりで開く

確かめ方は短くて済みます。

  1. スマートフォンで、自社のサイトを開きます。トップページから、初めて来た人がたどる順番で料金のページまで進みます。
  2. 「いくらから始まるか」が、一つの数字で分かるかを見ます。「◯◯円から」でも、幅でもかまいません。
  3. 分からなければ、紙に一行、「料金を載せていない理由」を書いてみます。
  4. その一行が、お客の側の理由か、自社の側の理由かを見ます。「案件ごとに違うから」「競合に見られたくないから」「話を聞けば分かってもらえるから」は、どれも自社の側の理由です。
  5. 数字が分かる場合は、その近くに、引き受けない場合や、費用が上がる場合が一行でも書いてあるかを見ます。

書き足すのは、制作会社に頼まなくても御社の中でできる作業です。いちばん正確に書けるのは、実際に見積もりを出している方だからです。ページを編集する権限が手元にない場合だけ、今の会社に一段落の追加を頼んでください。

載せない理由を一行書いてみて、その主語がお客にならないなら、もう載せない理由は残っていません。