この見本について
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏を調べます。どれだけの依頼の元がある土地なのか、依頼する人がどういう言葉で事務所を探しているのか、いま検索の上位にいるのは誰で、どういう作りでそこにいるのか。そのうえで後から入る余地があるかを判定し、見込みが立たなければお引き受けしません。
この見本は、その報告書がどういう形になるのかをお見せするためのものです。形は岡山市と富山市の司法書士の見本と同じです。今回は山梨県甲府市で、相続登記、住宅ローンを返し終えたあとの抵当権の抹消、会社の設立や役員の変更の登記、遺言や成年後見の相談を受けている司法書士事務所を想定しました。甲府市は、岡山市・富山市と並べて司法書士のホームページ集客の記事でも数えています。この見本は、そのうち甲府市の分を、あらためて検索し直し、報告書の形で一本にまとめ直したものです。三つの市の中でいちばん小さい商圏なので、空いている場所が見えても、それがどれだけの依頼になるかを割り引いて見るようにしています。
特定の事務所からご依頼をいただいて作ったものではありません。甲府市と司法書士という組み合わせを、当社の側で題材として選びました。調査時点は2026年9月で、使ったのは公開されている情報だけです。公的な統計と制度の案内、広告の決まりを読み、九つの言葉で検索し、1ページ目に出てきた地元の事務所のサイトを開いて確かめました。それ以上のことはしていません。
実際にお引き受けする調査では、ここに二つが加わります。一つは御事務所の記録です。いま依頼が月に何件あり、そのうち不動産会社や金融機関、税理士などからの紹介がどれだけで、会や市や法務局の相談日、ポータル、ホームページから来たものがどれだけか。その数は御事務所の中にしかありません。もう一つは検索回数の実数です。どの言葉が月に何回探されているかは、有料の道具を使わなければ確定できません。この見本で「探され方」と書いているのは、検索したときに何が並ぶかという意味で、何人が探しているかという意味ではありません。
地元の事務所は、名前を出さず件数だけで扱います。どこが上手いかを論じるための調査ではなく、この商圏に後から入る余地があるかを見るための調査だからです。
商圏の規模
司法書士への依頼の多くは、不動産と会社の登記から生まれます。家を買う、相続する、ローンを返し終える、会社を作る、役員が替わる。そのため、まず人の数と、登記の相談の窓口がどれだけあるかを見ます。
甲府市の人口は181,467人、世帯数は95,300世帯です(令和8年9月1日現在、住民基本台帳による市の公表)。同じ日に数えた三つの市の中ではいちばん小さく、富山市の約40万人の半分に届かず、岡山市の約70万人の4分の1ほどです(岡山市と富山市は、同じ日に数えた柱の記事の数字。2026年9月24日時点)。
司法書士の数は、山梨県司法書士会の会員が129人、司法書士法人が3です(2026年9月1日現在、日本司法書士会連合会の公表)。富山県の会は140人と5法人で、県の会の規模は大きく変わりません。山梨県司法書士会のサイトで甲府市の司法書士を載せたページには、59件が表示されていました。個人の名前で載っているものと法人の名前で載っているものが混ざっていて、事務所の数とも人の数とも言い切れません。画面から読み取った件数で、柱の記事では同じページを60件と数えています。
規模を見るうえで、ここは甘く見ないようにしています。富山市は、人口約40万人に対して会の検索で50名でした。甲府市は、その半分に満たない人口に対して60件近くが載っています。数え方がそろっていないので細かい比べ方はしませんが、人口のわりに司法書士が少ない商圏ではない、とは言えそうです。
相続登記の依頼の元になる市の年間の死亡数は、今回は取れていません。市の統計書に人口動態の表が置かれていますが、表計算のファイルで、中身を読み取るところまでは進められませんでした。周辺の市や町の人口も調べていません。依頼が市の外からどれだけ来ているかは、事務所の記録でしか分かりません。実際の調査では、ここを人の手で埋めます。
規模とは別に、この商圏には書いておくべき事情が二つあります。
一つは、制度が依頼の元を増やしていることです。相続登記は2024年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請し、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料の対象です。義務化の前に起きた相続も対象で、その場合は施行日から3年以内です。さらに2026年4月1日からは、住所や氏名が変わったときの登記も義務になりました。変更の日から2年以内、怠れば5万円以下の過料の対象で、義務化の前に変わった人は2028年3月末までに登記する必要があります。どちらも法務省の案内によります。甲府地方法務局も、相続登記の義務化を知らせるページを出しています。
もう一つは、費用のかからない相談の窓口が公の側に厚くあることです。甲府地方法務局と山梨県司法書士会は、相続登記と遺言の相談所を一緒に開いていて、法務局の案内では毎月第1・第3火曜日の午後、甲府合同庁舎で、予約制です(2024年4月に掲載された案内)。甲府市も本庁舎の市民相談室で司法書士の相談日を設けていて、10月の一覧では7日の午前10時から午後1時の一回で、予約は司法書士会が受けています。同じ一覧には、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、宅地建物取引業の団体の相談も並んでいます。会も、相続登記相談センターと総合相談センターを置いています。市は相続の相談窓口をまとめたページで、土地や建物の名義変更は司法書士の相談へ、遺言書の作成は行政書士の相談へ、と振り分けて案内しています。
探され方
九つの言葉で検索し、1ページ目に何が並ぶかを記録しました。検索したのは2026年9月24日です。中心の言葉が三つ(「甲府市 司法書士」「甲府市 相続登記」「甲府市 司法書士 相談」)、手続きや困りごとから出てくる言葉が六つ(相続登記の費用、抵当権抹消、会社設立の登記、遺言書の作成の相談、成年後見の申立て、住所変更登記の義務化)です。柱の記事と同じ言葉で、あらためて検索しました。
先に限界を書きます。検索結果は、見る人、時点、地域の設定で変わり、今回の道具が甲府市内のスマートフォンと同じ画面を返すとはかぎりません。タイトルとURLの一覧しか返さないため、地図枠と広告は九つすべてで不明です。返ってきた件数は、九つとも9件でした。
九つで1ページ目に出たのは、延べ81件でした。内訳は、地元の事業者が19件(うち司法書士事務所が16件、行政書士の事務所が1件、税理士の事務所が1件、運営者を確かめきれなかった県内の会社設立の案内のサイトが1件)、全国ポータルや比較サイト、全国に同じ型のページを持つサイト、全国向けのコラムが22件、他都市の事業者が3件、法務局・法務省・市・裁判所・司法書士会などが34件、無関係なものが3件です。
四割あまりが公の側です。内訳は、法務局が10件、甲府市が10件、法務省が3件、裁判所が3件、厚生労働省の資料が3件、司法書士会・法テラス・住宅金融支援機構・国の中小企業の相談窓口・他の市の役所が1件ずつです。同じ日に数えた岡山市は82件中33件、富山市は81件中26件が公の側でした(柱の記事の数字、2026年9月24日時点)。甲府は三つの市でいちばん多くなっています。富山と違って、会のページそのものが出たのは1件だけで、代わりに法務局と会が一緒に開く相談所の案内が、「相談」と「遺言書 作成 相談」の二つの言葉に入っていました。市のページも多く、相続登記の義務化を知らせる市のページが、相続登記と費用の二つの言葉に入っていました。
言葉ごとに見ると、五つの形に分かれました。
ポータルと公の窓口が並ぶ中心の言葉。 「甲府市 司法書士」は9件のうち地元の事務所が4件(事務所としても四つ)、電話帳、比較サイト、相続の専門家を集めたポータルが3件、会の甲府市の一覧が1件、求人のサイトが1件でした。地元の4件は、どれもトップページです。「甲府市 司法書士 相談」は、地元の司法書士のページが2件で、どちらも同じ事務所の相続の専用サイトでした。残りは、法務局と会の相談所、市の相続の相談窓口の案内、法テラスの3件と、比較サイトや相続の専門家を集めたポータル、地図サービスに載った弁護士のページの4件です。「甲府市 相続登記」は、上の3件が法務局の2ページと市の義務化の案内で、地元の事務所が4件(事務所としても四つ)、相続のポータルが1件、労働局の資料が1件でした。
地元の事務所が並ぶ費用の言葉。 「甲府市 相続登記 費用」は、上の3件がやはり法務局と市で、地元の司法書士事務所が4件、全国に同じ型を持つ名義変更のサイトと行政書士のポータルが1件ずつでした。岡山と富山のこの言葉に並んでいた全国の見積サイトや比較サイトは、入っていません。地元の4件のうち、料金表のページが1件、料金表を載せた相続のページが1件、トップページに相続登記の金額を載せたページが1件で、残る1件は相続の説明のページで金額はありませんでした。柱の記事では、この言葉に出た地元の料金のページは岡山で0件、富山で1件でした。
手続きの窓口が上を占める言葉。 「甲府市 成年後見 申立て」は9件のうち7件が、市、裁判所、厚生労働省の資料でした。地元の事業者は0件で、残る2件は東京の事務所のコラムと、相続の弁護士を集めたポータルです。「甲府市 遺言書 作成 相談」も、上の2件が市の相続の相談窓口の案内と、法務局と会の相談所でした。市の無料相談の一覧と厚生労働省の資料を合わせて、公が4件です。ポータルが4件(行政書士を集めたものが2件、相続の専門家を集めたものが2件)、地元は1件で、これも同じ事務所の相続の専用サイトでした。
全国の型と別の士業が並ぶ設立の言葉。 「甲府市 会社設立 登記」は、全国の会計ソフトの会社の設立の解説が2件、合同会社の設立を全国で受けるサイトの管轄のページが1件、法務局の商業登記のページと国の中小企業の相談窓口の設立の講座の案内が2件でした。地元は4件ですが、司法書士事務所のページは1件でした。残りは地元の行政書士、税理士、運営者を確かめきれなかった設立の案内のサイトが1件ずつでした。
地元の司法書士が一件もない言葉。 「甲府市 抵当権抹消」の9件に、甲府市の司法書士事務所は一つもありませんでした。上から、法務局の住宅ローンを返し終えた人への案内が並び、法務省の手続きの案内の資料、住宅金融支援機構の完済の案内と合わせて、公が4件です。全国向けの不動産会社のコラム、「自分でやる方法」の解説、山梨県の法務局の一覧を載せた抹消の受付のサイトが3件。そして他都市が2件で、千葉県の司法書士事務所の抵当権抹消のページと、北海道の不動産会社のコラムでした。富山では法務局の案内がこの言葉の1ページ目に出ていませんでしたが、甲府では上に並んでいます。自分で手続きをする人には、すでに答えが出ている並びです。「甲府市 住所変更登記 義務化」も、地元の事業者は0件でした。9件のうち7件が公の側ですが、そのうち甲府市の3件は、どれも市内の転居や市外からの転入といった住民票の手続きの案内で、登記の話ではありません。登記の住所変更の義務化を説明していたのは、法務省の2ページと、仙台市の問い合わせ窓口のページでした。ほかは甲府地方法務局のトップページ、全国の不動産の情報サイトの解説、契約書の条項の例文のサイトです。
もう一つ目立ったのは、一つの事務所の相続の専用サイトが、九つのうち四つの言葉に5件入っていたことです(相続登記、司法書士の相談に2件、相続登記の費用、遺言書の作成の相談)。同じ事務所の別のサイトも「甲府市 司法書士」に入っていて、地元の司法書士の16件のうち6件がこの事務所のものでした。相続の言葉で地元の枠に入っている事務所の数は、見かけより少ないということです。
上位の顔ぶれ
九つの言葉の1ページ目に出た甲府市内の司法書士事務所は、六つでした。目安の八つに届かなかったのは、出てきた事務所をすべて数えても六つだったからです。そのうち一つは、サイトを開こうとしても今回の道具では接続できず、中身を確かめきれませんでした。残る五つのサイトを開いて、同じ項目で確かめています。会のページで甲府市に59件が載っていることと比べると、九つの言葉に顔を出していたのはその一割ほどです。三つのドメインでサイトを持つ事務所は、一つとして数えています。
- 料金の目安:業務の料金を金額で載せていたのは、五つのうち三つです。トップページに金額があるのが一つ、相続の説明のページに料金表を置いているのが一つ、料金表のページに置いているのが一つでした。相続登記の金額として読めるものは、どれも5万円前後からでした。ただ、報酬だけを示して戸籍の収集や協議書の作成を別に積むもの、書類の作成を一種ごとに加えるもの、一つの金額だけを示すものと、含むものがそれぞれ違います。並べて比べられる形ではありません。実費や登録免許税を別と明記していたのは二つで、不動産の数や評価額による加算の条件まで書いていたのは一つでした。
- 事例:事例のページがあったのは一つです。
- お客様の声:載せていたのは三つです。件数や載せ方はそれぞれ違いました。
- コラム・お知らせの更新:2026年に入ってからの日付は、五つのどれにも見当たりませんでした。最新が2025年のものが二つ、2016年のものが一つ、最新の日付を読み取れなかったものが二つです。
- 周辺の市や町:周辺の市や町の名前を並べていたのが一つありました。それぞれに別のページがあるのか、中身がどうなっているのかまでは確かめきれませんでした。対応地域を「山梨県全域」と書くものが二つ、「甲府市を中心に」と書くものが一つ、市の名前だけのものが一つです。
- 相談の導線:電話とフォームは、確かめられた四つとも持っていました。残る一つは、トップページの読み取りで電話番号もフォームも見つけられず、確かめきれませんでした。LINEは五つともありません。予約や日程が合えば夜間や土日に対応すると書いていたのが二つ、ファクスを載せていたのが一つ、メールアドレスを載せていたのが一つでした。
- 相続登記の義務化:2024年4月からの義務化をはっきり書いていたのは二つで、見当たらないのが三つでした。
- 住所変更登記の義務化:2026年4月からの義務化に触れていた事務所は、五つのうちゼロでした。
- 相談料の書き方:相談に費用がかからないと書いていたのは三つです。そのうち「初回」や「書類の作成の助言だけなら有料」と条件を書いていたのが二つ、条件を書いていないのが一つでした。相談料について何も書いていないのが一つです。
全体として、甲府の五つは、富山の七つと比べても、更新と新しい制度への対応が薄く見えます。2026年の日付は一つもなく、2026年4月からの住所の変更の登記の義務化には、どの事務所も触れていません。一方で、相続の周りを厚くしている事務所が一つあり、その相続の専用サイトは料金、事例、声をそろえて、四つの言葉に5件入っています。後から入る事務所が、相続の中心の言葉で並ぶことになる相手は、まずこの一つです。
これはサイトの作りを外から見ただけの話で、各事務所の受任の数や評判は分かりません。依頼の入口は紹介など検索の外にもあるので、サイトが薄い事務所が仕事に困っている、という意味ではありません。
書けることと、書けないこと
司法書士法は、司法書士に品位を保ち、公正かつ誠実に業務を行うことを求めています(第2条)。広告そのものは2001年に自由化されていて、日本司法書士会連合会が規則の基準を示し、各地の司法書士会が会則に基づいて業務広告の規則を定める形になっています。
山梨県司法書士会については、会が情報公開のページに置いている会則に、会員は虚偽もしくは誇大な広告、品位を欠く広告をしてはならない、という条があります(第88条。令和5年11月8日に認可された版)。ただ、業務広告の規則そのものは、その情報公開のページにも載っておらず、今回は確かめきれませんでした。ここでは、規則を公開している福岡県と山形県の会の規則と運用指針を読み、一般的な線として書きます。実際に書く前には、所属の会の規則で確かめてください。会ごと、版ごとの違いは司法書士の広告規則のまとめに書いています。
- 料金:載せてかまいません。避けるのは「割安な報酬で」「この地域で最も安価な報酬で」「他の事務所の見積より下げます」といった形です。山形の運用指針では、前の二つが誤導のおそれのある広告の例、最後の一つが不当な誘いの例として挙がっています。「〜円から」と書くなら、何を含み、どういうときに加算されるのかを添えます。
- 実績と事例:件数を書くこと自体は禁じられていませんが、取扱件数を過大に表す広告や、実際にない事件を事例として載せることは、事実に合致しない広告の例とされています。過去の事件は、依頼者の書面の同意があるか、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合に載せられます。登記も、ここでいう「事件」に含まれます。市の規模が小さいほど、地域と手続きの組み合わせだけで依頼者に思い当たりやすくなるので、依頼者が特定されない書き方にとくに気をつけます。
- 比較:特定の事務所と比べる広告は禁じられています。名前を出さなくても、特定の事務所を思い起こさせれば当たります。
- 専門の表示:山形の運用指針は、「専門」「スペシャリスト」「プロ」といった表示は客観的な基準がないため控えるのが望ましいとし、「取扱い分野」「積極的に取り組んでいる分野」という言い方を勧めています。
- 不安をあおる書き方:規則は「困惑させ、又は過度な不安をあおる広告」を禁じています。義務化を書くとき、過料だけを大きく掲げる書き方がこれに当たるかどうかは会の判断ですが、期限と手順を先に書き、過料は事実として添える順番のほうが無理がないと考えます。
- 相談料:実際に費用を取らないなら書けます。相談料を取るのに取らないと書くのは、事実に合致しない広告の例として挙がっています。条件があるなら、条件まで書きます。サイトを二つ以上持つなら、どちらも同じ書き方にそろえます。食い違っていると、どちらかが事実に合わなくなります。
このほか、面識のない人への訪問や電話による広告、特定の事件の当事者に宛てた郵便での勧誘は禁じられています。ポータルや紹介のサイトに、掲載料とは別に依頼の数に応じた対価を払う形も、ウェブ広告として認められない類型に挙がっています。
入る余地
ここまでの観察から、空いている場所を挙げます。それぞれ、どの検索結果とどのサイトの観察を根拠にしているかを添えます。
一つ目、住所変更登記の義務化。 「甲府市 住所変更登記 義務化」の1ページ目に地元の事業者は0件で、五つの事務所のサイトで触れていたのもゼロでした。甲府市のページは3件入っていましたが、どれも住民票の手続きです。登記の住所変更を説明していたのは法務省のページと、仙台市の問い合わせ窓口のページでした。甲府で探した人に、他の市の役所が答えている並びです。義務化は2026年4月に始まったばかりで、義務化の前に住所が変わった人には2028年3月末という期限があります。相続登記の相談に来た人が、もともと自分の名義で持っている不動産の住所は古いままだった、ということは起こりうるので、単独のページだけでなく、相続登記のページからもつながる形が考えられます。ただし、市の名前を付けてこの言葉を探す人がどれだけいるかは、今回の調べでは分かりません。甲府の規模では、その数はさらに小さいと見ておくべきです。書き方は住所変更登記の義務化の書き方で扱いました。
二つ目、抵当権の抹消。 「甲府市 抵当権抹消」で、甲府市の司法書士事務所は0件でした。代わりに、千葉県の司法書士事務所のページが入っています。地元の事務所のページがないため、他の地域の一般的な解説がそのまま並んでいる形です。ただ、富山と違って、1ページ目の上には法務局の案内が並んでいます。自分で手続きをしたい人への答えは、すでに法務局が出しています。そのため、地元の事務所が同じ手順の説明を書いても、並ぶ理由は弱くなります。書くなら、甲府地方法務局のどこに出すのか、自分でしてよい場合と頼んだほうがよい場合の分かれ目、頼んだ場合に何が省けていくらかかるか、の三つを甲府の事情で一ページにまとめる形です。掘り下げは抵当権抹消のページに書いています。
三つ目、読み物の更新と、新しい制度への対応。 五つの事務所のどれにも2026年の日付がなく、相続登記の義務化を書いていたのも二つでした。義務化の前に起きた相続は2027年3月末が期限で、住所の変更の登記の義務化は始まったばかりです。この時期に、甲府の法務局や相談の窓口の事情を入れた読み物を出している地元の事務所は、今回の範囲では見当たりませんでした。これは検索の順位の空白というより、読んだ人の判断の材料の空白です。後から入る事務所が差をつけられるのは、ページの数より、新しさと甲府に固有の中身です。
四つ目、料金の書き方(小さい余地)。 「甲府市 相続登記 費用」には地元の事務所がすでに4件並び、そのうち3件は金額を載せています。枠としては空いていません。空いているのは中身のほうで、含むものと加算の条件まで書いていたのは一つだけでした。報酬、実費、登録免許税を分け、戸籍の収集や協議書を含むかどうか、不動産の数や相続人の数による加算まで書いた料金のページは、読み比べる人の判断の材料になります。ただ、この言葉で上に並ぶための余地としては小さいと見ています。料金を出すかどうかの考え方は料金を載せるべきかに書いています。
一方で、余地とは言えない場所もあります。「甲府市 司法書士」は、地元の四つとポータル、会の一覧で埋まっています。「甲府市 司法書士 相談」は、法務局と会の相談所、市、法テラスとポータルが並び、地元は一つの事務所の専用サイトだけです。費用のかからない公の相談がこれだけ並ぶ言葉で、事務所の相談を前に出しても違いは伝わりにくいと考えます(相談料の書き方は士業の相談料の書き方に書いています)。「甲府市 成年後見 申立て」は9件中7件が公の側で、申立ての手引きも書式も家庭裁判所から直接出ています。遺言の言葉は、公の窓口と行政書士や相続のポータルが並び、市も遺言書の作成の相談を行政書士の相談に振り分けています。司法書士が書くなら、遺言のあとの相続登記までつながる形でなければ、並ぶ理由が弱くなります。会社設立の言葉は、全国の設立の解説と別の士業が並びます。設立の入口に別の士業が先に立つ話は会社設立の登記で、全国の型が先に出る言葉にどう向き合うかは地方の会社と全国ポータルで書いています。
この商圏に、これから入る事務所の見込みはあるか
この範囲の情報からは、「条件つきで見込みはある。ただし、岡山や富山より狭い」と見ています。入れる場所は中心の言葉ではなく、相続登記の周りの手続きの言葉と、読み物の新しさに限られます。そして、そこを取れたとしても、そこから来る依頼の数は大きくないと見ておく必要があります。
規模の面は、三つの市でいちばん弱いと見ています。人口は約18万人で、会のページには甲府市の司法書士が60件近く載っています。人口のわりに司法書士が少ない商圏ではありません。市の名前を付けて手続きの言葉を探す人の数も、岡山や富山より少ないと考えるのが自然です。相続登記と住所の変更の登記の義務化は、これから数年のあいだ、登記の依頼の元を押し上げる方向に働きますが、市の年間の死亡数という、規模を確かめるための数が今回は取れていないので、ここは弱い根拠のまま書いています。
競争の面では、形がはっきりしていました。中心の言葉はポータルと地元の四つの事務所と会の一覧で埋まり、相談の言葉は公の窓口とポータルが並び、手続きの言葉は法務局や市や裁判所が上を占めます。相続の言葉では、一つの事務所の専用サイトが多くの枠に入っています。後から入る事務所が、同じ形で並ぶ余地は大きくありません。
それでも見込みがゼロではないと見るのは、地元の司法書士が一件もいない言葉が二つあり、どちらも制度や手続きの具体で答えられる言葉だからです。住所の変更の登記の義務化と、抵当権の抹消です。加えて、五つの事務所のどれにも2026年の日付がなく、住所の変更の登記の義務化にも誰も触れていません。岡山・富山と同じ空白が、甲府ではより広く見えます。
条件は四つです。一つ目は、相続登記の周りの手続き(住所の変更、抵当権の抹消、費用の説明)を、実際に受けていてこれからも受けたい業務として扱えること。二つ目は、料金を、含むものと加算の条件まで書いて出せること。三つ目は、月に数本でも、実際の相談から、甲府の法務局や相談の窓口の事情を入れた読み物を書き続けられること。四つ目は、増える依頼が月に数件の規模でも見合うかどうかを、始める前に御事務所の記録と照らして決めておくことです。相続登記の報酬が5万円前後からの商圏なので、何件増えれば続ける意味があるかを、先に数字で置いておきます。そこが合わなければ、お引き受けしないという判断もありえます。
判定を確かにするために足りていないのは、次の五つです。
- 各言葉の検索回数。特に、市の名前を付けた手続きの言葉は、甲府ではそもそも探される回数が小さい可能性があります。市の名前ではなく「山梨」を付けて探す人のほうが多いかもしれず、その場合は言葉の選び方から考え直すことになります。
- 地図枠と広告。「甲府市 司法書士」のような言葉では、地図枠が1ページ目の上を占めていることが考えられますが、今回は確認できていません。
- 市の年間の死亡数、周辺の市や町の人口、会のページの59件の数え方。規模の判定の根拠が、今は人口と、県の会員数と、画面の件数だけです。
- 開けなかった一つの事務所のサイトの中身。
- 御事務所の記録。不動産会社や金融機関、税理士からの紹介で十分に回っている事務所と、紹介の外からの入口を増やしたい事務所とでは、同じ余地の意味が違います。
もし引き受けるなら、最初の半年に何をするか
以下は、この商圏で一般的にどういう順番になるか、という話です。お約束の形ではなく、御事務所の現状によって順番は入れ替わります。当社が甲府の商圏で運営の実績を持っている、という意味でもありません。
- 依頼の入口を分けて数える。 不動産会社、金融機関、税理士などからの紹介、法務局や会や市の相談日、ポータル、ホームページ。甲府市の外からの依頼がどれだけあるかも分けます。どこから来て、そのうち何件が受任になったか。商圏が小さいほど、一件の増減の意味が大きくなるので、ここを数えないまま直すと、ホームページが効いたのかどうかが分からなくなります。
- 住所変更登記の義務化のページを置く。 始まった日、2年という期限、義務化の前に変わった人の2028年3月末という期限、自分でする場合の手順、相続登記と一緒に確かめる流れを書きます。住民票の手続きとは別の手続きであることを、最初に書きます。過料は事実として添え、先に掲げることはしません。
- 抵当権の抹消のページを置く。 金融機関から書類が届いてからの流れ、甲府地方法務局のどこに出すか、自分でしてよい場合と頼んだほうがよい場合の分かれ目、料金を一ページに並べます。法務局の案内へのリンクも置き、手順の説明はそちらに任せます。
- 相続登記の料金のページを整える。 報酬、実費、登録免許税を分けて書き、戸籍の収集や協議書を含むかどうか、不動産の数や相続人の数で加算される条件を並べます。相談料の書き方は、持っているすべてのサイトでそろえます。
- 実際の相談から読み物を書く。 月に数本、受けた相談の中から、依頼者が特定されない形で書きます。甲府の規模では、地域と手続きの組み合わせだけで依頼者に思い当たることがあるので、とくに気をつけます。周辺の市や町のページは、その地域に固有の情報を書けて、実際にその地域から依頼があると分かってから置きます。同じ型のページを並べることはしません。
半年で依頼が増えるかというと、そこは動き始めるかどうかの時期です。当社が運営に携わっている相続の事務所のサイトでも、相続登記の相談につながる記事を扱ってきましたが、数字が動き始めたと感じたのは半年ほど経ってからでした。商圏も事務所の形も違うため、同じ速さで動くとは考えていません。甲府の規模では、動いたとしても、その幅は岡山や富山より小さいと見ています。
この見本で分からないこと
- 検索結果は、見る人・時点・地域の設定で変わります。ここにあるのは2026年9月24日の一つの記録で、地図枠と広告は九つすべてで確認できていません。検索回数も扱っていません。
- 市の年間の死亡数と、周辺の市や町の人口は取れていません。会のページの59件は画面から読み取った件数で、数え方は確かめきれませんでした。
- 広告の決まりは、山梨県司法書士会の会則の広告の条までは確かめましたが、業務広告の規則そのものは確かめきれず、福岡県と山形県の会の規則と運用指針で書いています。日本司法書士会連合会の会則と行為規範の本文も読めていません。
- 抵当権の抹消と住所の変更の登記以外の、不動産の売買や贈与の登記、相続放棄、裁判の書類といった言葉は検索していません。「山梨」を付けた言葉も検索していません。
- 六つの事務所は、九つの言葉に出てきた甲府市内の事務所のすべてですが、市内の事務所の一部です。そのうち一つはサイトを開けませんでした。開けた五つも、サイトの内容は要約を介して読み取った部分があり、下層のページや、画像で置かれた情報の読み落としはありえます。
- 各事務所の受任の数、紹介の割合、ポータルへの掲載料の支払いは、外から分かりません。
御事務所でも、今日できること
調べる道具を入れていなくても、次のことは今日のうちに確かめられます。今回の調べ方で、実際に差が見えた順に並べます。
- 「甲府市 住所変更登記 義務化」のように、御事務所の市の名前と、制度の言葉を並べて検索する。1ページ目に地元の事務所のページが何件あり、住民票の手続きの案内や、他の市の役所のページがどれだけ混じっているかを数える。
- 御事務所のサイトの中で、住所の変更の登記の義務化に触れているページがあるかを探す。相続登記のページから、そこへつながっているかも見る。
- 「甲府市 抵当権抹消」を検索し、何が出てくるかを見る。法務局の案内と、他の地域の事務所や全国向けの解説ばかりなら、そこは地元が答えていない言葉です。
- 御事務所のサイトの最新の日付を見る。2026年に入ってから、読み物かお知らせを出しているか。
- 御事務所の料金のページを開き、報酬・実費・登録免許税が分けて書いてあるか、戸籍の収集や協議書を含むかどうか、加算の条件が書いてあるかを見る。サイトを二つ以上持っているなら、相談料の書き方がそろっているかも見る。
- 次の一か月、依頼のたびに、どこで御事務所を知ったかを一行で残す。紹介なら、誰からの紹介かまで。市の外に住む方からの依頼かどうかも。
最初の三つだけでも、御事務所の商圏で地元の事務所が答えていない言葉がどこか、おおよその見当がつきます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「司法書士 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、実際に数えた中身のあるページを置きました。
御事務所に依頼する人も、同じように探しています。「甲府市 抵当権抹消」のように、地域と用件と困りごとを掛け合わせた言葉です。当社が御事務所の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御事務所が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。
御事務所の商圏でも、同じ形で調べます
この見本は甲府市と司法書士を題材にしましたが、形はどの商圏でも同じです。規模を見て、探され方を見て、上位の顔ぶれを見て、業種の決まりを確かめ、入る余地を挙げ、見込みを判定する。見込みが立たないときは、その理由をお伝えしてお引き受けしません。
同じ商圏で同業の事務所を同時にお預かりすることはありません。すでにお預かりしている商圏では、お受けできない場合があります。司法書士の事務所には、成果に応じた報酬ではなく、毎月定額の月額制のプランをご用意しています(料金)。御事務所の商圏でこの形の報告書を見てみたい段階でしたら、相談するからご連絡ください。
出典
- 甲府市「住民基本台帳人口・世帯数」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shimin/shise/toke/jinko/ugoki.html
- 甲府市「令和7年版統計情報」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/somu-somu/r7toukyisho/toukeisho.html
- 日本司法書士会連合会「全国司法書士会一覧」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/association/shiho_shoshi_listh/
- 山梨県司法書士会「甲府市」(最寄りの司法書士の一覧) https://yamanashi-shiho.or.jp/moyori_cat/kofu/
- 山梨県司法書士会「情報公開資料」 https://yamanashi-shiho.or.jp/joho/
- 山梨県司法書士会「山梨県司法書士会会則」 https://yamanashi-shiho.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/05/2023kaisoku.pdf
- 山梨県司法書士会「相続登記相談センター」 https://yamanashi-shiho.or.jp/sozoku/
- 甲府地方法務局「甲府地方法務局・山梨県司法書士会相続登記・遺言無料相談所の開設について」 https://houmukyoku.moj.go.jp/kofu/page000001_00289.html
- 甲府地方法務局「相続登記のルールが大きく変わります。」 https://houmukyoku.moj.go.jp/kofu/page000001_00180.html
- 法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00687.html
- 法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/info-net_00001.html
- 甲府市「相続のことで聞きたいことがあるのですが、相談窓口はありますか?」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shimintaiwa/faq/kurashi/zekin/noze/00188.html
- 甲府市「無料相談」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shimintaiwa/kurashi/shimin/documents/sodan201201.html
- 甲府市「相続登記が義務化されます」 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/akiyataisaku/sozokutokigimuka.html
- 司法書士法(昭和25年法律第197号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197
- 日本司法書士会連合会「司法書士業務の広告について(会長談話)」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/statement_list/936/
- 福岡県司法書士会「会員の業務広告に関する規則」(令和6年10月1日改正までを含む版) https://www.fukuokashihoushoshi.net/uploads/fck/admin/file/gyoumukoukoku-kisoku_20241001.pdf
- 山形県司法書士会「司法書士の業務広告に関する規則の運用指針」 https://www.yamagata-shiho.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/bb467f4af93c23c7ac79c33d68028536.pdf