この見本について
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏を調べます。家を建てる人がどれだけいる土地なのか、その人たちがどういう言葉で探しているのか、いま検索の上位にいるのは誰で、どういう作りでそこにいるのか。そのうえで、後から入る余地があるかを判定し、見込みが立たなければお引き受けしません。
調査はそれだけでもお受けしていて、費用は5万円(税別)、期間は二週間程度です。この見本は、その報告書が実際にどういう形になるのかをお見せするためのものです。同じ注文住宅で長野県松本市を調べた松本市の見本と同じ形で、今回は世帯の数がおよそ倍の岡山県倉敷市を選びました。三つの市を並べた話は工務店のホームページ集客に書いています。
最初に、この見本が何でないかを書いておきます。
特定の工務店からご依頼をいただいて作ったものではありません。岡山県倉敷市と注文住宅という組み合わせを、当社の側で題材として選んだだけです。調査時点は2026年9月で、使ったのは公開されている情報だけです。公的統計を探して読み、言葉を打ち込んで検索し、出てきたサイトを開いて確かめた。それ以上のことはしていません。
実際にお引き受けする調査では、ここに二つが加わります。一つは御社の記録です。ホームページから資料請求や来場予約が月に何件あり、そのうち何件が打ち合わせに進み、何件が契約になったのか。今回開いた地元の工務店は九社とも見学会やモデルハウスの見学を入口にしており、ホームページからの問い合わせは、電話やフォームだけでなく、その予約の形でも届きます。その数は御社の中にしかありません。もう一つは検索回数の実数です。どの言葉が月に何回探されているのかは、有料の道具を使わなければ確定できません。この見本で「探され方」と書いているのは、検索したときに何が出るかという意味で、何人が探しているかという意味ではありません。
地元の工務店は、社名を出さず件数だけで扱います。どこが優れているかを比べるための調査ではなく、この商圏に後から入る余地があるかを見るための調査だからです。
商圏の規模
注文住宅は、一つの家族が一生に一度か二度しか買わないものです。まず、その一度が起きうる家族がどれだけいるかを見ます。
倉敷市の人口は468,887人、世帯数は223,959世帯です(2026年8月末現在、倉敷市公式ホームページの表示)。市は支所ごとの人口を毎月公開していますが、表はPDFとCSVの形式で、今回の調べ方では中身を読み取れませんでした。一年前と比べて増えているのか減っているのかは、この見本では確かめきれていません。
肝心の住宅着工は、市の単位で確かめきれませんでした。倉敷市の統計書(令和7年版)には「建設」の章がありますが、Excelの形式で、今回の調べ方では中身を読むことができませんでした。倉敷市で持家(自分で住むために建てる家、注文住宅の多くがここに入ります)が年に何戸建っているのかは、この見本では不明です。推計では埋めません。
確かめられたのは、県と全国の数字です。岡山県の持家の着工は、令和5年に4,139戸でした(岡山県「C-23 新設住宅着工戸数」、資料出所は国土交通省「建築着工統計調査」)。少し古い年の数字なので、いまの水準とは言えません。全国では、令和7年の持家の着工が201,285戸で、前年から7.7%減っています(国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」)。注文住宅の市場が全国的に縮んでいる中での調査だということは、先に押さえておきます。
隣の生活圏も見ておきます。北に接する総社市は人口69,459人、30,641世帯です(令和8年8月末現在、総社市公式ホームページ)。今回開いた地元の工務店九社のうち、総社市を事例の建築地か施工の範囲に挙げていたのは、確かめた範囲で三社でした。それより目立ったのは岡山市です。九社のうち八社が岡山市で建てた事例を載せていて、残る一社も「岡山」を施工地に挙げています。倉敷の工務店にとって、実務上の商圏は倉敷市と総社市を合わせた25万世帯あまりに、岡山市の一部が重なる形と見るのが自然です。この重なりは、後で見るように、岡山市の会社が倉敷の言葉に入ってくるという形でも表れていました。
探され方
九つの言葉を、2026年9月24日に検索しました。松本市の見本と同じ組み立てで、中心の言葉が三つ(「倉敷 工務店」「倉敷市 注文住宅」「総社 工務店 注文住宅」)、暮らしの側から出てくる言葉が六つ(「倉敷 平屋 建てたい」「倉敷 土地なし 注文住宅」「倉敷 高断熱 住宅 工務店」「倉敷市 注文住宅 費用 相場」「倉敷 実家 建て替え」「倉敷 移住 家を建てる」)です。
先に限界を書きます。検索結果は、見る人、時点、地域の設定で変わります。今回使った検索の道具は、倉敷市内のスマートフォンから検索したときと同じ画面を返すとはかぎりません。タイトルとURLの一覧しか返さないため、地図枠が出ていたか、広告が出ていたかも分かりません。この二つは、九つすべてで不明です。
九つの言葉で1ページ目に出たのは、延べ82件でした。内訳は、住宅の全国ポータル・比較サイト・フランチャイズの本部・物件情報が41件、地元(倉敷市と総社市)の工務店が25件、他の都市の事業者が10件、市や業界の団体の案内が3件、家づくりと無関係なものが3件です。ここでは、岡山市などに本社を置き、倉敷に展示場や店を持つ会社も「他の都市」に数えています。線引きとしては厳しめです。
ポータルが半分を占める形は、松本市と同じでした。違うのは地元の厚さです。同じ日に同じ組み立てで数えた松本市では、延べ83件のうち地元の工務店は13件でした(松本市の見本と工務店のホームページ集客の数字、2026年9月24日時点)。倉敷では、およそ三件に一件が地元です。
言葉ごとに見ると、四つの傾向に分かれました。
ポータルが埋めている言葉。 「総社 工務店 注文住宅」は九件のうち七件がポータルとフランチャイズの本部で、地元は二件でした。一件は総社市の工務店、もう一件は倉敷市の工務店が作った総社市専用のページです。「倉敷 工務店」も九件のうち六件がポータルで、地元の二件は同じ一社の、「おすすめの工務店◯選」という、ポータルと同じ形の比べる記事でした。ほかの一件は、工務店の業界団体の会員一覧です。「倉敷 土地なし 注文住宅」は九件のうち六件が物件情報とポータルで、地元の二件はトップページと費用の記事でした。土地を持っていない人に向けた案内を題に掲げたページは、九件のどれにもありません。
地元がすでに答えを置いている言葉。 「倉敷 高断熱 住宅 工務店」は九件のうち五件(四社)が地元で、九つの中でいちばん多い言葉でした。「倉敷市 注文住宅」は地元が四件で、四件とも会社のトップページです。「倉敷 平屋 建てたい」も地元が四件で、二社が二件ずつ、平屋についての記事で入っていました。松本の「平屋 建てたい」は十件すべてがポータルで、平屋を建てたい人に工務店として答えているページは一つもありませんでした。倉敷では、その場所にすでに地元の記事があります。九つの言葉を通して見ると、地元の一社が九つのうち六つの言葉に、主にブログやコラムで顔を出していました。
他の都市の会社が入っている言葉。 「倉敷市 注文住宅 費用 相場」は九件のうち八件が住宅会社のコラムで、そのうち五件は、岡山市、広島県福山市、島根や鳥取の会社が「倉敷の相場」として書いた記事でした。地元は三件です。「倉敷市 注文住宅」と「倉敷 平屋 建てたい」には、岡山市の会社が倉敷市向けの専用ページで入っています。倉敷は、岡山市の会社から見ても自分の商圏の一部だということが、検索結果にそのまま出ています。
工務店が答えていない言葉。 「倉敷 実家 建て替え」の十件のうち三件は、市庁舎の建て替えの話でした。新聞の記事、市の計画のページ、国の資料です。残りは全国の住宅会社のコラムや物件一覧、建て替えの会社を探すサイトで、地元の工務店は一件、それも建て替えではなくリノベーションのページでした。一方、「倉敷」は名字に引っ張られることはなく、同じ名前の他社は九つの言葉を通して0件でした。松本では「松本 工務店」の九件のうち七件が、他県の同じ社名の会社でした。
残る「倉敷 移住 家を建てる」は、九件のうち市の移住の案内が二件、ポータルと情報サイトが三件、地元が二件、他の都市の会社が二件と、分かれていました。地元の二件のうち一件は、倉敷に移り住んで家を建てた家族の事例と補助金をまとめた記事です。
上位の顔ぶれ
九つの言葉を通して1ページ目に出てきた、倉敷市に本社を置く工務店は、九社でした。そのうち四社は二つ以上の言葉で出てきて、残る五社は一度ずつです(総社市の一社は、ここには含めていません)。この九社をすべて開き、主にトップページで、同じ項目を確かめました。
- 価格の目安:自社の注文住宅の価格を数字で示しているのが確かめられたのは、九社のうち一社です。その一社も、トップページではなく、費用の相場を解説する記事の中で、自社で建てた家の本体価格や坪単価を挙げていました。建売の価格だけを載せている会社が一社、価格の記事が検索結果には出ていたのに、開くと見つからず(ページがない、という表示でした)確かめきれなかった会社が二社あります。残りの五社は、サイトを見ただけでは価格の見当がつきません。
- 施工事例:九社とも載せています。トップページに並ぶのは三件から十数件で、全体の件数はほとんどの会社で読み取れませんでした。事例ごとに建てた市町村を書いていたのは、確かめた範囲で八社です。残る一社は「岡山・倉敷・総社など」とまとめて書いていて、事例ごとの記載は確かめきれませんでした。
- お客様の声:載せていたのは九社のうち七社です。残りの二社には、声の掲載が見当たりませんでした。
- 更新:2026年9月に入ってからの更新があったのが八社、最新の日付が2026年2月だったのが一社です。ただし9月の八社のうち、家づくりについての記事だったのは三社で、ほかは社員の日々の話、完成見学会の案内、社内行事の報告でした(もう一社は家づくりの解説記事も出していますが、日付を確かめきれませんでした)。
- 地域ごとのページ:市町村ごとの専用ページを持っていたのは二社です。ほかの会社は、施工の範囲として市町村の名前を並べるにとどまります。倉敷市は支所ごとに八つの地域に分かれていますが、その単位でページを作っている会社はゼロでした。
- 暮らしの側の入口:平屋の専用ページや平屋の商品を持つのは三社、土地の情報や土地探しの相談会を置いているのは五社でした。建て替えの専用ページを持つ会社はゼロで、建て替えの相談会を案内している会社が二社あります。
- 性能の数字:断熱と気密の性能を実測の数値で示していたのは一社で、その会社は「自社施工の、ある工法の場合の、何年時点の実測値」と条件を添えていました。残る八社は、トップページでは数値が見当たらず、「高気密・高断熱」という言葉や、目指している認定の名前にとどまっていました。
- 相談への導線:九社とも、見学会やモデルハウスの見学、来場予約の案内を置いています。LINEでの相談を受けているのは六社、資料請求を置いているのは七社です。
全体として、倉敷の九社は、松本の八社より「当たり前」の水準が高く見えました。事例に建てた場所を書くことも、お客様の声を載せることも、LINEで相談を受けることも、倉敷では多数派です。ここで差をつけるのは難しい。薄いのは、やはり価格と性能です。いくらで建つのか、どれくらいの性能の家なのか。来場を決める前の人が比べたいことに、数字で答えている会社は九社のうち一社ずつでした。
これはサイトの作りを外から見ただけの話です。各社が年に何棟建てているのか、広告にどれだけ使っているのか、紹介でどれだけ受注しているのかは分かりません。サイトが薄い会社が仕事に困っている、という意味ではありません。
書けることと、書けないこと
工務店の広告には、医療や士業のような、業種ごとの広告の規程はありません。今回、公式の資料で確かめたのは二つです。
一つは景品表示法です。品質や性能を実際より著しくよく見せる表示(優良誤認表示、第5条第1号)と、価格や取引の条件を実際より著しく有利に見せる表示(有利誤認表示、第5条第2号)を禁じています。消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、出せなければ不当な表示として扱われます(不実証広告規制)。もう一つは、不動産の表示に関する公正競争規約です。宅地建物取引業の免許を持ち、公正取引協議会の構成団体に属する事業者などが、インターネットを含む広告で不動産を表示するときの決まりで、建築条件付土地の表示も対象に入っています。「最高」「完全」「日本一」のような言葉は、裏付けの資料を持っていなければ使えません(第18条第2項)。注文住宅の建築請負そのものについての定めは、規約の中に見当たりませんでした。
倉敷の九社のうち五社は土地の情報を載せ、一社は建売の価格を載せていました。工務店のホームページでも、土地や建売を扱うページには規約がかかりうるということです。ホームページで迷いやすい三つに当てはめると、次のようになります。
- 価格:注文住宅の価格を載せることを禁じる決まりはありません。「〜万円から」と書くなら、その額に何が含まれ、どういう場合に上がるのかを添えます。土地や建売の価格を載せるときは、公正競争規約の決まりを先に確かめます。
- 性能:数字を書くなら、実測なのか、設計の計算なのか、等級なのかを分けて書きます。実測なら、何棟の平均か、いつの測定かを添えます。倉敷で実測を出していた一社は、自分からその条件を添えていました。「高気密・高断熱」の言葉だけを掲げるより、裏付けを問われたときに答えられる書き方です。考え方は高気密・高断熱をホームページでどう書くかに書きました。
- 比べる言い方:「地域で一番」「最高品質」のような言い方は、裏付けがなければ避けます。「おすすめの工務店◯選」のように自社を含めて順位を付ける書き方は、どういう基準で選んだのかを書かないと、読む人には判断がつきません。
ここに書いたのは、公開されている資料を読んだ範囲の整理です。個々の表示が許されるかどうかの判断ではありません。
入る余地
ここまでの観察から、空いている場所を五つ挙げます。それぞれ、どの検索結果とどのサイトの観察を根拠にしているかを添えます。
一つ目、実家の建て替え。 「倉敷 実家 建て替え」の1ページ目に、工務店の建て替えのページは一件もありませんでした。十件のうち三件は市庁舎の話で、残りは全国の住宅会社のコラム、物件一覧、会社探しのサイトです。九社のうち建て替えの専用ページを持つ会社もゼロで、相談会を案内しているのが二社でした。親から受け継いだ土地に建て直す人は、土地を探す必要がない代わりに、解体、仮住まい、名義といった別の問いを抱えています。その問いに正面から答えるページが、いまこの商圏の検索結果には見当たりません。ページの作り方は工務店の建て替えのページについての記事に書きました。
二つ目、自社で建てるといくらか。 「倉敷市 注文住宅 費用 相場」の1ページ目は住宅会社のコラムで埋まっていますが、九件のうち五件は倉敷の外の会社が書いたものです。中身は県の平均や坪単価の幅といった一般的な相場の解説が中心でした。九社のうち自社の注文住宅の価格を数字で示していたのは一社です。相場の記事はあるのに、「この会社で建てるといくらか」が分かるサイトは少ない。家を建てたい人が来場を決める前に知りたいのは、たぶん後者です。出し方は工務店の価格の載せ方についての記事に、載せるかどうかの考え方は料金を載せるべきかに書きました。
三つ目、土地を持っていない人。 「倉敷 土地なし 注文住宅」は九件のうち六件が物件情報とポータルで、土地を持っていない人に向けた案内を題に掲げたページはありませんでした。九社のうち五社が土地の情報や土地探しの相談会を置いていますが、確かめた範囲では物件の一覧や相談会の案内です。土地探しから始める家族は、工務店を選ぶ前に土地で迷います。その順番に合わせて、どの辺りでどれくらいの広さの土地を探し、建物と合わせていくらを見ておくのか、に答えるページは、まだ空いています。
四つ目、総社市。 「総社 工務店 注文住宅」は九件のうち七件がポータルなどで、地元は二件でした。倉敷の工務店でこの言葉に入っていたのは、総社市専用のページを作っていた一社だけです。九社のうち市町村ごとのページを持つのは二社でした。事例に総社市の家がある会社なら、その事例を集めたページが、ポータルの間に並ぶ材料になります。
五つ目、性能の数字。 これは探され方の空白ではなく、サイトの作りの問題です。「倉敷 高断熱 住宅 工務店」には地元が五件入っていましたが、入っていた四社のうち、自社の実測の数字を出していたのは一社でした。九社全体でも一社です。順位とは別に、ポータルや見学会で御社を知った人が、ほかの会社と並べて比べるときの差になります。
一方で、余地と言えない場所もあります。「倉敷 高断熱 住宅 工務店」と「倉敷 平屋 建てたい」は、すでに地元の会社が記事やトップページで四件から五件を取っています。「倉敷 移住 家を建てる」にも、地元の一社が移住した家族の事例をまとめた記事を置いていて、市の案内も二つ入っています。事例に建てた市町村を書くことも、倉敷ではすでに八社がしていて、書いただけでは差になりません。
この商圏に、これから入る事業者の見込みはあるか
この範囲の情報からは、「条件つきで見込みはある」と見えます。ただし、松本市の見本よりも、空いている場所は絞られます。
規模の面では、足りています。倉敷市だけで22万世帯あまり、総社市を合わせれば25万世帯を超え、岡山市の一部も重なります。ただし、倉敷市で年に何戸の持家が建っているのかは確かめられておらず、全国では持家の着工が一年で7.7%減っています。
競争の面では、二つの層があります。一つは松本と同じで、中心の言葉を押さえているのは全国ポータルです。地元の一社がホームページだけでその上に出ようとするのは、重い課題になります。そこでは正面から戦わず、ポータルが取りに来ない言葉から置いていくほうが筋がよいと考えます(考え方は地方の会社と全国ポータルに書きました)。もう一つは倉敷に特有の層で、暮らしの言葉に、地元の会社と岡山市などの会社がすでに記事を置き始めています。平屋、高断熱、移住、費用の相場。松本では空いていたこれらの場所が、倉敷では半分ほど埋まっています。
それでも空いている言葉は見つかりました。建て替え、土地のない人、総社市。いずれも1ページ目に地元の工務店の答えがないか、一件しかありません。サイトの作りでも、自社の価格と性能の実測を数字で出しているのは九社のうち一社ずつです。事例や声で並ぶのは難しい商圏ですが、価格と性能で並ぶことは、遠い目標ではありません。
条件というのは、次の三つが埋まることです。
一つは、その言葉が実際に探されているかです。「倉敷 実家 建て替え」の1ページ目が市庁舎の話で埋まっているのは、探す人が少ないからかもしれません。検索回数の実数を見なければ、時間をかける価値のある空白かどうかは決められません。
二つ目は、地図枠と広告です。工務店の検索では、地図の枠やポータルの広告が画面の上を占めることがあります。今回はそれを確認できていません。地図枠が大きく出る言葉であれば、記事で上位に入っても目に触れにくくなります。
三つ目は、御社の記録です。いまホームページから月に何件の来場予約や資料請求があり、そのうち何件が契約になっているのか。工務店は一棟あたりの金額が大きく、年に数件の違いが経営に響きます。問い合わせの件数よりも、契約までの流れのどこで止まっているのかが分からないと、何を直せばよいのかを見積もれません。
判定を「見込みはある」まで上げなかったのは、市の着工戸数と検索回数という、規模を決める二つの数字が欠けているからです。加えて倉敷では、暮らしの言葉の半分ほどに、すでに誰かの答えがあります。実際にお引き受けする調査では、二つの数字と御社の記録が埋まります。そのうえで見込みが薄いと判断したときは、その理由をお伝えします。
もし引き受けるなら、最初の半年に何をするか
以下は、この商圏で一般的にどういう順番になるかという話です。お約束の形ではありませんし、御社の現状によって順番は変わります。当社が注文住宅の工務店で実績を持っているという話でもありません。
- 数え方を決める。 来場予約、資料請求、LINE、電話がそれぞれ何件あり、どこを見て来た人で、何件が打ち合わせに進んだか。これを記録する形を先に作ります。倉敷では岡山市の会社とも比べられているはずなので、来場のときに「何を見て来られたか」に加えて「ほかにどこを見ているか」を聞く一行を、記録の形に入れておきます。数え方は問い合わせの数え方にまとめています。
- 価格の目安を出す。 出すかどうかは御社の判断ですが、出すなら坪単価の幅か、実際の事例の総額の幅か、どちらの形にするかを決めます。九社のうち一社しか出していない以上、出すこと自体が比べられる理由になります。すでに載っている事例に総額の幅を足すところから始められます。
- 性能の数字の種類を分ける。 実測の記録があるなら、何棟の平均か、いつの測定かを添えて出します。ないなら、設計の数字と等級を、そのとおりに書きます。いま「高気密・高断熱」の言葉だけを掲げているなら、そこを直すのが先です。
- 空いている言葉に一本ずつ置く。 実家の建て替え、土地のない人、総社市。上で挙げた余地のうち、御社が実際に手がけていて、事例で裏付けられるものから順に作ります。建て替えの経験がないのに建て替えのページを作っても、来場した人に答えられません。
- 相談への道を一つずつ変える。 見学会の案内、来場予約、LINE、資料請求。まとめて変えると、数字が動いたときに何が効いたのか分からなくなります。一つずつ変えて、記録と突き合わせます。
半年で結果が出るかというと、そこは動き始めるかどうかの時期です。当社が運営に携わっている相続の事務所でも、数字が動き始めたと感じたのは半年ほど経ってからでした。業種が違い、相談から契約までの流れも違うため、同じ速さで動くとは考えていません。
この見本で分からないこと
まとめて書いておきます。
- 検索結果は、見る人・時点・地域の設定で変わります。ここにあるのは2026年9月24日の一つの記録です。
- 地図枠と広告の表示は確認できていません。九つの言葉すべてで不明です。
- 各言葉の検索回数は、公開情報だけでは分かりません。
- 倉敷市の持家の着工戸数は、市の統計書がExcelの形式で今回の調べ方では読めず、不明です。県の数字も令和5年のものしか確かめていません。倉敷市の人口の一年前との比較も、確かめきれていません。
- 各社の年間の棟数、売上、広告の出し方、紹介による受注は、外からは分かりません。
- 九社は、九つの言葉で1ページ目に出てきた倉敷市の工務店の全部ですが、倉敷市の工務店の全部ではありません。2ページ目以降や、ポータルの中にだけ名前がある会社は含んでいません。
- 各社のサイトは主にトップページで確かめました。奥のページにある価格や性能の数字、声の掲載を見落としている可能性があります。検索結果に出ていた価格の記事のうち二本は、開くとページが見つからず、中身を確かめきれませんでした。
- サイトの内容は、要約を介して読み取った部分があります。件数や日付は元の表現を拾うよう努めましたが、見落としの可能性は残ります。
公開情報だけで言えることは、ここまでです。この先を埋めるために、実際の調査では御社の記録と検索回数の実数を加えます。
御社でも、今日できること
道具を入れていなくても、今日のうちに確かめられることがあります。今回の調べ方で、実際に差が見えた順に並べます。
- 「倉敷」に御社の扱う家(平屋、建て替え、土地探しなど)を足して検索し、1ページ目にポータル、地元の工務店、岡山市など他の都市の会社がそれぞれいくつ出るかを数える。
- 同じことを、総社市や早島町など、御社が施工している隣の市町の名前でもやってみる。
- 御社のサイトをスマートフォンで開いて、価格の見当がつくページまで何回で届くかを数える。届かなければ、来場を迷っている人も同じところで止まっています。
- 御社のサイトで性能の数字を探し、それが実測か、設計の数字か、等級か、目標かを書き分けられるかを見る。
- この三か月の来場予約のうち、ホームページを見て来た人が何人いたかを、来場のときの記録から数える。記録がなければ、次の見学会から一行だけ聞くようにする。
最初の二つだけでも、御社の商圏が「中心の言葉をポータルが埋めている」だけなのか、「暮らしの言葉にもすでに誰かが答えを置いている」のかは、おおよそ見当がつきます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「工務店 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、実際に数えた中身のあるページを置きました。
御社のお客様になる家族も、同じように探しています。「倉敷 実家 建て替え」「倉敷 土地なし 注文住宅」のように、地域と用件と迷いを掛け合わせた言葉です。当社が御社の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御社が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。
御社の商圏でも、同じ形で調べます
この見本は倉敷市と注文住宅を題材にしましたが、形はどの商圏でも同じです。規模を見て、探され方を見て、上位の顔ぶれを見て、業種の決まりを確かめ、入る余地を挙げ、見込みを判定する。見込みが立たないときは、その理由をお伝えしてお引き受けしません。調べた報告書は、お引き受けに至らない場合もお渡しします。
同じ商圏で同業の会社を同時にお預かりすることはありません。すでにお預かりしている商圏では、お受けできない場合があります。御社の商圏でこの形の報告書を見てみたい段階でしたら、相談するからご連絡ください。
出典
- 倉敷市公式ホームページ(トップページの人口・世帯数の表示、2026年8月末現在) https://www.city.kurashiki.okayama.jp/
- 倉敷市「支所別人口(毎月更新)」 https://www.city.kurashiki.okayama.jp/cityinfo/statistics/1002688/1012464/index.html
- 倉敷市「令和7年版 倉敷市統計書 一覧」 https://www.city.kurashiki.okayama.jp/cityinfo/statistics/1002699/1025211/1025212.html
- 総社市公式ホームページ(人口・世帯数の表示、令和8年8月末現在) https://www.city.soja.okayama.jp/
- 岡山県「C-23 新設住宅着工戸数」 https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/366004.pdf
- 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)について」 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha25.pdf
- 消費者庁「表示規制の概要」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」 https://www.rftc.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/02/h_kiyaku.pdf