士業のホームページの「無料相談」の書き方:条件と、無料のあとを書く

当社は2026年9月24日に、9つの業種、27の商圏で、検索結果の1ページ目と地元の事業者のサイトを同じ項目で数えました。そのうち士業は、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士(以下、社労士)、税理士の五つです。検索に使った言葉には「無料」を一つも入れていません。それでも1ページ目の題には、「無料」が何度も出てきました。

題まで書き留めていた範囲で拾うと、「無料」を題に含む結果は延べ18件ありました。そのうち9件は、市の定例の相談、法務局と司法書士会の相談所、行政書士会の相談会といった、公の窓口の案内です。7件は、弁護士や相続の専門家を探すポータルが、無料で相談できる窓口を集めた記事や一覧でした。地元の事務所のページは2件です。

事務所が「無料相談」と大きく書いたとき、読む人の手元には、すでに公の無料の窓口と、無料で相談できる事務所の一覧があります。当社の立場は一つです。「無料」の二文字は、御事務所を選ぶ理由になりにくい。書くなら、その条件(初回か、何分までか、どの分野か)と、無料のあとに何が起きるかを書く。

数えた事務所は、「無料」をどう書いていたか

相談料の書き方を項目に入れて数えたのは、弁護士、司法書士、社労士の三つです。行政書士は一つの市だけ、税理士は数えていません。士業ごとに数え方が少しずつ違うので、合計はせずに並べます。

弁護士は、新潟市、松江市、旭川市の24事務所のうち13が、借金、交通事故、相続などの分野を限って、初回の相談料をいただかないと書いていました。分野を限らない書き方は一つで、それも初回の30分までです。確かめられた範囲で、条件を書かずに相談料を取らないと書く事務所はありませんでした。取らない範囲を書いた14のうち12は、その範囲の外の相談料の金額も書いていました。

司法書士は、岡山市、富山市、甲府市の20事務所のうち14が、相談に費用がかからないと書いていて、そのうち少なくとも6は、初回や時間の条件を書いていませんでした。本体のサイトと相続の専用サイトで、相談料の書き方が食い違って見える事務所も一つありました。

社労士は、福井市、仙台市、沼津市の19事務所のうち13が、トップに「無料」を掲げていました。初回に限ると書いていたのは5つ、時間まで書いていたのは1つです。13のうち3つは、「無料」が相談ではなく、診断、初めの手続きの費用、問い合わせに付いていました。

行政書士は宇都宮市の8事務所で見ていて、6つが初回か相談が無料だと書いていました。初回と書くのが3つ、時間を書くのが2つで、1つは紹介者がいれば無料、いなければ有料と分けていました。

同じ「無料」でも、弁護士のサイトでは範囲を書く形がほぼ定着していて、司法書士と社労士ではまだ分かれています。この差は、次に書く決まりの書き方の差と、向きがそろっています。

5つの士業の決まりは、「無料」をどう見ているか

当社は法律の専門家ではありません。以下は、公開の資料を当社が読んだ範囲です。詳しくは、士業ごとの規程のページに書いています。

弁護士は、日本弁護士連合会の業務広告に関する指針が、無料の法律相談に限る相談会であっても、その後の相談や依頼につながりうるので広告に当たるとしています。取らないと書くなら、取らない範囲を実際のとおりに書くことになります。

司法書士は、読めた山形県司法書士会の運用指針が、実際には相談料を請求するのに相談無料と書くことを、事実に合致しない広告の例に挙げています。

行政書士は、無料相談を書くことを禁じる条文は見当たりません。一方で、日本行政書士会連合会の行政書士倫理第16条は、受任に際して適正かつ妥当な報酬を提示することを求めています。

社労士は、全国社会保険労務士会連合会の会則第43条の4が、報酬などの重要な事項を故意に告げずに勧誘すること、依頼しない意思を示した人への勧誘、承諾のない電子メールでの広告を禁じています。

税理士は、各税理士会の広告の細則の現行の本文を、当社は公開の場所で読めていません。顧問契約を結べば会社設立の手数料を無料にするような書き方は、細則の「有価物等の供与の禁止」の中身が分からないため、所属の会で確かめてから載せることを勧めています。松山市では、この形の事務所を一つ見ました。

五つを並べると、どの決まりも「無料」という語そのものを問題にしてはいません。見ているのは、書いたことが実際と合っているか、そして、依頼の前に伝えるべきことを伝えているかです。

条件の三つと、無料のあとの三つ

当社が事務所のサイトで「無料」を見つけたときに、その横に書いてあるかを確かめているのは次の三つです。

  • 初回だけか、何回目まで無料か。
  • 何分までか。
  • どの分野、どの業務か。紹介の有無や、法律扶助の対象かどうかで分けるなら、それも。

そのうえで、無料のあとに起きることを三つ見ます。数えた事務所の中にも、すでに書いているところがありました。

一つ目は、範囲を超えたときの金額です。弁護士の事務所の多くは、取らない範囲の外の相談料を「30分◯円」のように、時間と金額で書いていました。司法書士にも「初回30分まで無料、以降30分ごとに◯円」の形がありました。

二つ目は、相談のあとに依頼しなくてよいかです。司法書士の事務所には、相談だけで終わったときに相談料がかかると読める書き方や、電話やメールの相談は受けず、書類の助言は有料と範囲を書く書き方がありました。社労士の事務所には、「着手金・顧問契約は不要」と添えるところがありました。

三つ目は、相談のあとに事務所から連絡をするかです。問い合わせた人を案内メールの送り先に加えるのか、見積りは書面で出すのか。社労士の会則が、承諾のない電子メールと、断った人への勧誘を禁じているのは、ここに当たります。ほかの士業でも、相談をためらう人の気がかりの一つはここにある、と当社は考えています。

この六つが書いてあれば、「無料」の語は小さくてかまいません。「初回30分は相談料をいただきません。30分を超えたら30分ごとに◯円です。ご相談のあと、こちらからご連絡を差し上げることはありません」と書けば、無料の語を使わずに同じことが伝わります。

「無料」を大きく書いたほうが電話は増える、という考え方もあると思います。増えるかもしれません。ただ、増えた相談のうち何件が依頼に進んだかを数えていなければ、増えたのが仕事なのか、相談に使う時間なのかは分かりません。当社は、相談の件数と、そのうち依頼に進んだ件数を並べて数えるところから始めています。数え方は問い合わせ記録シートに書きました。

御事務所のサイトで、今日確かめること

スマートフォンで御事務所のサイトを開き、ページ内検索で「無料」を探します。本体と専用サイトがあるなら、両方で探します。

  1. 見つかった「無料」を一つずつ見て、何が無料なのか(相談か、診断か、見積りか)を書き出します。
  2. それぞれの横に、初回、時間、分野の条件があるかを見ます。本体と専用サイトで書き方がそろっているかも見ます。
  3. 範囲を超えたときの金額と、相談のあとに依頼しなくてよいこと、事務所から連絡をするかどうかが、同じページから読めるかを見ます。
  4. 受付の担当の方に、書いてある条件が実際の運用と合っているかを聞きます。
  5. 「地名 士業の名前 相談」で検索し、1ページ目に公の無料の窓口とポータルがいくつあるかを数えます。

5で公の窓口が並んでいたら、御事務所のページで伝えることは、無料であることではなく、公の窓口ではできないこと(相談のあと、そのまま手続きを頼めるか、など)です。

士業ごとの決まりは、弁護士の広告規程、司法書士の広告規則、行政書士の広告規制、社労士の広告規制、税理士の広告規制にまとめています。三つの市で数えた全体は、弁護士のホームページ集客、司法書士のホームページ集客、社労士のホームページ集客にあります。

ページ内検索で出てきた「無料」の横に条件が一つも書かれていなければ、そこが今日直せる最初の一行です。