弁護士・法律事務所のホームページ制作の費用は、何ページ作るかと、原稿を誰が書くかでほぼ決まります。当社が2026年10月2日に確かめた制作会社の公開料金表の例では、4ページで22万円(税別)、5ページで45万円(原稿は依頼者が用意)、10ページで75万円(原稿の手直しを含む)、15ページで125万円(取材をして原稿を新しく作る)でした。法律事務所なら、報酬、法律相談、弁護士・事務所の案内、問い合わせとトップの数ページで始められ、取扱い分野のページを足すほど10ページ、15ページの側に寄っていきます(費用の相場の章)。
法律事務所のホームページを作る、または作り直すときに決めることは、どのページを置くか、報酬をどう載せるか、問い合わせを受けたあとに何を確かめるか、の三つです。弁護士の場合、三つとも日本弁護士連合会(以下、日弁連)の会規に、そのまま関わる条文があります。報酬は「報酬基準を作り、事務所に備え置く」ことが会規で決まっています。問い合わせについては、利益相反(同じ件で相手方の側から相談や依頼を受けていないか)にかかわる条文があり、当社は、相談の中身を詳しく伺う前にそれを確かめる作りを勧めています。この記事は、その二つを中心に、サイトの作り方を整理したものです。
材料は、日弁連と弁護士会の公開資料、弁護士法の条文、法テラスの案内、そして当社が2026年9月24日に新潟市、松江市、旭川市で検索結果の1ページ目と地元の24事務所のサイトを同じ項目で数えた記録です。どの言葉で検索の上位に出るかは法律事務所のポータルサイトと自社ホームページ:地方の事務所が検索で入れる場所に、広告の言葉づかいは弁護士の広告規程:ホームページで書けること、避けることに書いたので、ここではサイトの作りに絞ります。当社は法律の専門家ではありません。判断に迷うところは、所属の弁護士会で確かめてください。
この記事の結論
- 依頼する人の多くは、ポータルや紹介、公の相談窓口で事務所の名前を知り、最後に事務所のサイトで「頼めるか」を確かめに来る、と当社は見ています。三つの市の1ページ目、延べ249件のうち、事務所の料金のページが出たのは2件でした。
- 報酬のページは、事務所に備え置いている報酬基準(日弁連「弁護士の報酬に関する規程」第3条)を、区分、算定方法、支払時期まで、依頼する人が読める形に移すところから始めます。
- 分野ごとのページは「取扱い分野」として立て、「専門」の表示や、事務所の名称と別の「○○センター」という名前は使いません。
- 問い合わせのフォームは、相談の中身より先に、相手方の名前を伺う作りにします。
- 表示する事項は、個人の弁護士なら氏名と所属弁護士会、弁護士法人なら名称、主たる法律事務所または広告に係る従たる法律事務所の名称、所属弁護士会です。分野ごとの専用サイトにも同じ表示が要ります。
依頼する人は、事務所のサイトに何を確かめに来るか
2026年10月2日に当社が「弁護士 探し方」で検索すると、上位にはポータルサイトや法律事務所が書いた「探し方」の解説記事が並びました。そのうちポータルの一つは、選ぶときに、費用の説明が明確か(事前に見積書が示され、内訳が分かるか)、解決事例、口コミを確かめるよう勧めていました。
当社が数えた三つの市の結果も、同じ方向を指しています。弁護士を探すときの九つの言葉で、1ページ目は延べ249件でした。無関係なものを除く234件のうち、ポータルが99件、全国に支店を持つ事務所のページが18件、市や弁護士会、法テラスなどの公の側が33件で、地元の事務所は73件です。料金のページが1ページ目に出たのは249件のうち2件だけでした。依頼する人は、検索から事務所のサイトに直接着くより、どこかで名前を知ってから確かめに来ることが多い、と当社は見ています。
確かめる先は、事務所のサイトだけではありません。たとえば愛知県弁護士会の「弁護士情報」のページは、日弁連のシステムによる弁護士の基本情報の検索と、取扱業務や重点取扱業務から探せる「ひまわりサーチ」を案内しています。ひまわりサーチは任意の登録で、情報は各弁護士の自己申告によるものだと断り書きがあります。サイトに書いた氏名、事務所名、所在地、取扱業務が、こうした検索で出る内容と食い違っていないことが、確かめに来た人を迷わせない最初の条件です。
依頼する人の側から、事務所のサイトで確かめたいことを並べると、受けてもらえる分野か、いくらかかるか、相談はどういう条件で受けられるか、誰が担当するのか、の四つになります。もう一つ、依頼する人は意識していなくても、事務所の側が最初に確かめなければならないことがあります。相手方との関係です。以下、この五つに沿ってページを並べます。
作る・作り直すときに置くページ
当社が法律事務所のサイトに置きたいと考えるページです。扱っていない分野のページは要りません。上から順に優先します。右の列は、そのページに主に関わる決まりです。
| ページ | 書くこと | 主に関わる決まり |
|---|---|---|
| 1. 報酬 | 相談料、着手金、報酬金、手数料・日当・実費の区分、算定方法、支払時期、分野ごとのモデルケース | 弁護士の報酬に関する規程第3条〜第5条、業務広告規程第9条の2 |
| 2. 取扱い分野ごとのページ | その分野で受ける事務の範囲、進み方、期間の目安、その分野の報酬 | 業務広告に関する指針(「専門」の表示)、法律事務所等の名称等に関する規程 |
| 3. 法律相談のご案内 | 相談料と時間、かからない条件、法テラスの扱い、相談の方法 | 業務広告に関する指針(無料の相談も広告) |
| 4. 弁護士・事務所 | 氏名、所属弁護士会、法人なら名称と法律事務所の名称、所在地、担当の決め方 | 業務広告規程第9条、弁護士法第20条・第30条の3 |
| 5. お問い合わせ | 相手方の名前を先に伺うフォーム、受付時間、返信の目安、個人情報の利用目的 | 弁護士職務基本規程第27条・第28条・第57条、個人情報保護法第21条 |
| 6. 解決事例・読み物 | 依頼者の同意を得たもの、または依頼者が特定されない書き方のもの | 業務広告規程第4条 |
新しく作るときは1から5までで足ります。6は、書き続ける人がいるかどうかで決めます。24事務所で解決事例を載せていたのは6、お客様の声は5、2026年に入ってから読み物を出していたのは2でした。以下、1から5を順に見ます。
報酬のページ:備え置いている報酬基準を、読める形に移す
弁護士の報酬には、ほかの士業とは違う形の決まりがあります。日弁連の「弁護士の報酬に関する規程」(会規第68号)第3条は、「弁護士等は、弁護士等の報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならない」とし、その基準には「報酬の種類、金額、算定方法、支払時期その他弁護士等の報酬を算定するために必要な事項」を明示するとしています。第4条は、依頼しようとする人から申出があったときは報酬見積書を作って渡すよう努めるとし、第5条は、受任のときに報酬とその他の費用を説明すること、報酬に関する事項を含む委任契約書を作ることを求めています。法律相談、簡易な書面の作成、顧問契約などの継続的な契約などは、契約書を作らなくてよい場合として挙がっています。弁護士職務基本規程の第29条と第30条も、受任の際の説明と委任契約書の作成を定めています。
これらは、ホームページへの掲載を義務づける条文ではありません。ただ、基準はすでに事務所に備え置かれているはずのものです。当社は、サイトの報酬のページを、新しく値段を決める場所ではなく、備え置いている基準を依頼する人が読める言葉に移す場所だと考えています。基準とサイトの言葉が違うと、相談のときの説明とも食い違います。
三つの市の24事務所では、着手金・報酬金を金額で載せていたのが11で、そのうち少なくとも8は「〜」の付く金額を含んでいました。多くは、経済的利益(その事件で依頼者が得る、または守れる金額)の割合による段階表に最低の着手金を添える形か、分野ごとの定額です。日弁連の「業務広告に関する指針」は、実際には表示を著しく超える着手金を受け取っているのに「〜円から」と書くことや、着手金0円と書きながら手数料などの別の名目で受け取るのにその旨をはっきり書かないことを、誤導の例に挙げています。
当社なら、報酬のページを次の区分で分けます。金額の欄は、事務所の基準の数字を入れる場所です。
| 区分 | 書くこと | 書き方の形 |
|---|---|---|
| 相談料 | 時間あたりの額と、かからない条件 | 30分ごとに◯円。◯◯の初回のご相談は30分までいただきません |
| 着手金 | 受任のときに払う額と算定の方法、支払時期 | 経済的利益が◯万円までの部分は◯%、最低◯万円。委任契約のときにお支払いいただきます |
| 報酬金 | 事件が終わったときに払う額と算定の方法、支払時期 | 得られた経済的利益の◯%。事件の終了時にお支払いいただきます |
| 手数料・日当・実費 | 着手金・報酬金とは別に生じるもの | 遠方の裁判所への出張は日当◯円。収入印紙や郵便切手の代金は実費 |
そのうえで、分野ごとに一つか二つ、モデルケースを置きます。「交通事故で、保険会社から示談金の提示を受けたあとに依頼し、増額した場合」のように場面を決め、着手金、報酬金、実費のそれぞれと合計まで書く形です。経済的利益の割合だけでは、依頼する人は自分の場合の額を計算できません。金額は画像やPDFにせず、文字で書きます。見積書を出せることも、このページに一行書いておくと、第4条の申出の入口になります。
電話やメールなどの通信手段だけで受任する分野がある場合は、そのページに、受任する事務の範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、途中で契約を解除できることと清算の方法を表示する義務があります(業務広告規程第9条の2)。来所せずに受ける債務整理などを案内するページは、ここに当たりえます。
分野ごとのページ:「取扱い分野」として立て、別の名前を付けない
三つの市では、離婚、交通事故、相続のような暮らしの言葉で地元の枠に入っていたのは、分野を一つに絞ったページでした。新潟では、分野ごとの専用サイトを別に持つ二つの事務所が、地元の20件のうち13件を占めていました。松江では専用サイトはほとんどなく、同じサイトの中の離婚や交通事故のページ、料金のページが直接入っていました。別のドメインを立てるかどうかより、一つの分野に絞った一枚があるかどうかが入口になっている、というのが数えた結果からの当社の見立てです。
分野のページを立てるときに、弁護士で気をつけたい決まりが二つあります。
「専門」ではなく「取扱い分野」と書く
業務広告に関する指針は、「専門」「専門分野」の表示を、客観性が担保されないまま表示すると誤導のおそれがあるので控えるのが望ましいとし、「スペシャリスト」「プロ」「エキスパート」も同じ扱いとしています。「取扱い分野」「取扱い業務」は評価を伴わない表示として認められ、「積極的に取り組んでいる分野」という言い方が勧められています。分野のページの題や見出しは、「当事務所が取り扱う交通事故の事件」「相続のご相談で最初に伺うこと」のように、扱っている事実を書く形にします。
「○○センター」「○○相談所」を事務所の名称と別に使わない
日弁連の「法律事務所等の名称等に関する規程」(会規第75号)の解釈及び運用の指針は、登録されている事務所の名称と別に、取扱分野を表す方法として「○○センター」「○○相談所」などの表示を用いることを、一つの事務所に複数の名称を付ける例として挙げています。「交通事故」「相続」「債務整理」などの取扱分野を表す字句に「専門」などを加えた名称も、品位を損なう名称の例として挙がっています。東京弁護士会の非弁提携弁護士対策本部も、法律事務所や弁護士法人の名称とは別に「○○交通事故相談センター」「○○遺言相続センター」などの名称を表示した業務広告は違反広告だとして、注意を呼びかけています。
分野ごとに専用サイトを立てるなら、サイトの名前や題には事務所の正式な名称を使い、各サイトに業務広告規程第9条の表示(後の「弁護士・事務所のページ」の見出しで書きます)を置きます。ドメイン名そのものについての記述は、当社が読んだ範囲では見当たりませんでした。事務所の名称と違う言葉をドメインに使うなら、所属の会に確かめてからにしてください。
法律相談のご案内:かからない条件と、法テラスの扱いを書く
24事務所のうち13は、借金、交通事故、相続などの分野を限って、初回の相談料をいただかないと書いていました。分野を限らない書き方は一つだけで、それも初回の30分までです。確かめられた範囲では、条件を書かずに相談料を取らないと書いた事務所はありませんでした。弁護士のサイトでは、条件を書く形がほぼ定着しています。指針は、無料の法律相談に限る相談会であっても、その後の相談や依頼につながりうるので顧客を誘う目的があるとしていて、相談料の案内も広告として書くことになります。
抜けていたのは、会社の相談です。会社や事業者の相談の料金をはっきり書いていたのは、24のうち一つでした。会社の顧問を受けたい事務所なら、顧問料の表より先に、顧問になる前に会社が一度相談するといくらで何分か、を書く一行が要ると当社は見ています。数えた結果と書き方は顧問弁護士の集客:3つの市で地元は28件中15件、会社の相談料が抜けていたにまとめました。
法テラス(日本司法支援センター)への言及があったのは、24のうち9でした。法テラスの案内によれば、無料法律相談は1回30分、同じ問題につき3回までで、収入と資産が一定の基準以下の人が対象です。法テラスの地方事務所のほか、法テラスと契約している弁護士の事務所でも受けられます。契約している事務所なら、そのことと、基準に当たるかどうかは相談のときに確かめる旨を一行書いておくと、費用を心配して連絡をためらう人に届きます。基準の額や費用の立替えの条件は法テラスの側で変わることがあるので、額を書き写すより、法テラスの案内ページへのリンクを置くほうが、直す手間が少なくて済みます。
弁護士・事務所のページ:個人の事務所と弁護士法人で表示が違う
業務広告規程第9条は、広告をする者が表示する事項を定めています。事務所のホームページも広告に当たるので、これに沿います。
- 弁護士:氏名(職務上の氏名を使っている人は、その氏名)と、所属弁護士会。
- 弁護士法人:名称、主たる法律事務所の名称または広告に係る従たる法律事務所の名称、所属弁護士会。
- 共同で広告する場合:広告を代表する者が、弁護士なら上の二つ、弁護士法人なら上の三つを表示すれば足ります。
東京弁護士会の非弁提携弁護士対策本部は、所属弁護士会の表示がない事務所のウェブサイトを違反広告として注意を呼びかけ、この表示が、広告の責任の所在をはっきりさせ、利用者が不適正な広告を通報しやすくするためのものだと説明しています。トップページにだけ表示して、分野のページや専用サイトには事務所名しかない、という形は避けます。ページの下の端(フッター)に入れておけば、どのページにも出ます。
名称にも決まりがあります。弁護士法は、弁護士の事務所を「法律事務所」と称すること、弁護士はどんな名義でも二つ以上の法律事務所を設けられないことを定め(第20条)、弁護士法人には名称中に「弁護士法人」の文字を使うことを求めています(第30条の3)。名称規程の指針は、弁護士法人の従たる法律事務所の名称に「支所」「分室」「支部」など、従たる事務所であることを示す文字を付けるとしています。複数の拠点を持つ法人なら、拠点ごとのページの題と事務所案内に、登録している名称をそのまま使います。
担当の決め方も、このページに書きます。複数の弁護士がいる事務所なら、誰が担当するのか、途中で替わることがあるのか。依頼する人が確かめたい「誰が担当するのか」への答えです。
お問い合わせ:相談の中身より先に、相手方の名前を伺う
ほかの士業の問い合わせフォームと最も違うのがここです。弁護士職務基本規程第27条は、相手方の協議を受けて賛助し、またはその依頼を承諾した事件(第1号)と、相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの(第2号)について、職務を行ってはならないとしています。第28条は、受任している他の事件の依頼者を相手方とする事件や、依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件などを挙げています(依頼者などの同意がある場合の例外があります)。第57条は、共同事務所の所属弁護士について、ほかの所属弁護士が第27条や第28条で職務を行い得ない事件は、職務の公正を保ち得る事由があるときを除いて扱えないとしています。弁護士法第25条にも、職務を行い得ない事件の定めがあります。
フォームに書かれる相談の中身は、それ自体が「協議」の入口になりえます。どこからが第27条第2号の「信頼関係に基づく」協議に当たるのかは、当社には判断できません。それでも、相手方の名前を確かめる前に事情を詳しく書いてもらう作りより、先に相手方と関係者の名前を伺い、事務所で確かめてから詳しく伺う作りのほうが、事務所にも相談する人にも負担が小さいと当社は考えています。相談する人にとっても、詳しい事情を書いたあとで「お受けできません」と返ってくるのはつらいことです。
当社なら、フォームの項目を次の順にします。
- お名前と連絡先(電話、メール)、連絡してよい時間帯。
- 相手方のお名前(会社なら会社名)と、ほかに関わる人がいればその名前。「同じ件で相手方からご相談を受けていないかを確かめるために伺います」と添えます。
- ご相談の分野。事務所の取扱い分野から選べるようにします。
- ご相談の概要を数行で。詳しい事情は確認のあとに伺う旨を添えます。
- 希望する相談の方法(来所、電話、オンライン)と日時。
- 事務所を知ったきっかけ(ポータル、紹介、弁護士会や法テラス、検索など)。
フォームの近くには、受付時間、返信の目安、個人情報の利用目的を書きます。個人情報保護法第21条は、取得した個人情報の利用目的を本人に通知するか公表することを求めています。フォームの通知を誰が受け取るかも決めておきます。制作や運用の業者に相談の中身が届く設定のままになっていないかは、作り直しのときに確かめたい点です。弁護士を探すサイトについての日弁連の指針は、事業者が面談の日程を調整することなどを周旋(依頼者と弁護士の間に入ってとりもつこと)の例に挙げていて、受付を外に任せる形はこの線にも関わります。
24事務所のうち、フォームかメールの入口があったのは16で、相談の入口が電話だけの事務所が8ありました。フォームを置くかどうかは事務所の体制によります。電話の受付で相手方の名前を先に伺っているなら、フォームでも同じ順に聞くと、受付の流れが揃います。
法律事務所のホームページ制作の費用相場:ページ数と原稿で決まる
制作費は、上の1から5のページを何枚にするかと、報酬のモデルケースや分野のページの原稿を誰が書くかで大きく変わります。当社が2026年10月に確かめた制作会社の公開料金表では、トップ以外のページは1ページ単位で9,350円〜30,000円、WordPressなどのCMS(管理画面から文章を書き換えられる仕組み)の導入は50,000円〜132,000円、原稿を頼むと1ページ14,300円〜30,000円ほどでした(項目ごとの内訳はホームページ制作の見積もりの見方)。法律事務所の場合、原稿を制作会社に頼んでも、報酬や分野の書き方が会規に沿っているかは弁護士本人が読んで確かめることになるので、その時間も日程に入れておきます。
総額で見ると、次のようになります。左の列は、上の項目単価と同じ時期に当社が確かめた公開料金表の規模別の例です(会社名と内訳は見積もりの見方の記事)。右の列は、それを法律事務所のページに当てはめた当社の見立てです。
| 公開料金表の規模別の例(2026年10月2日確認) | 法律事務所に当てはめると |
|---|---|
| 4ページで22万円(税別) | トップ、報酬、法律相談、弁護士・事務所の案内だけの最小の形。取扱い分野は報酬や事務所のページの中で案内し、問い合わせは電話かメールで受ける |
| 5ページで45万円(原稿は依頼者が用意) | 上の表の1〜5をそろえた形。分野のページは一枚にまとめ、原稿は弁護士が書く |
| 10ページで75万円(原稿の手直しを含む) | 1〜5に、離婚、相続、交通事故など受けている分野のページを四、五枚足した形 |
| 15ページで125万円(取材をして原稿を新しく作る) | 分野ごとのページとモデルケース、解決事例までそろえ、原稿は制作会社が取材して書く形 |
この金額は作るまでの費用です。公開したあとは、WordPressの本体やプラグインの更新、バックアップ、障害時の復旧といった保守が毎月かかります。当社が保守を専門にする会社の公開料金表で確かめた範囲では、一番下のプランが月8,800円〜22,000円(税込)でした(ホームページ保守料金の相場)。3年分にすると31万6,800円〜79万2,000円で、ドメインとサーバーの実費(.co.jp のドメインと一般的なレンタルサーバーで年17,578円)は別です。見積もりは、制作費だけでなく3年の総額で並べると、安く見えた見積もりと高く見えた見積もりの差が縮んだり広がったりします。
法律事務所で金額がいちばん動くのは、分野のページとモデルケースの原稿を誰が書くかです。制作会社に頼んでも、報酬の書き方や「取扱い分野」の表示が会規に沿っているかは、弁護士本人が読んで確かめることになります。当社は、原稿の下書きを事務所で書き、制作会社には構成と体裁と言い回しの整えを頼む分け方を勧めています。費用が表の上の段に寄るうえ、会規に照らした確認の手戻りも減るからです。
集客の中でホームページが担う役割
「弁護士 集客」で検索すると、ポータル、検索広告、紹介、ホームページと、依頼が来る経路の一覧が並びます。ホームページの制作は、その経路の一つです。三つの市の1ページ目に事務所の料金のページが出たのは249件中2件で、多くの依頼者はポータルや紹介で名前を知ってから事務所のサイトを確かめに来る、と当社は見ています。そのため制作では、検索で上に出ることより先に、確かめに来た人が報酬、取扱い分野、相談の条件、担当者を読める作りにすることを優先します。経路ごとの役割と業務広告の規程は弁護士の集客方法:経路ごとの役割と、業務広告の規程で気をつけることに、地方の事務所がポータルと自社サイトのどちらで検索に入れるかは法律事務所のポータルサイトと自社ホームページに分けて書いています。
制作の進め方と期間:原稿と弁護士の確認が日程を決める
制作の流れは、どの会社に頼んでもおおむね次の順です。法律事務所で日程が延びやすいのは、3と4です。
- 事務所に備え置いている報酬基準と、受けている分野を一覧にする。
- 置くページと、ページごとの見出しを決める(上の「作る・作り直すときに置くページ」の1〜5)。
- 原稿を書く。報酬のモデルケース、分野ごとの事務の範囲と進み方、相談の条件。
- 弁護士が原稿を読み、「専門」の表示、報酬の書き方、表示事項(氏名と所属弁護士会)を確かめる。
- デザインと組み上げ、問い合わせフォームの設定。
- 公開前の確認。全ページの下に表示事項があるか、フォームを実際に送って通知がどこに届くか、スマートフォンでどう見えるか。
期間は、ページの数より、3と4にかかる時間で決まります。制作会社の作業の日数は見積もりのときに聞けますが、原稿と確認は事務所の側の時間です。誰がいつまでに何ページ分を書き、誰が読むかを依頼の前に決めておくと、公開日が見積もれます。公開した日の画面は保存しておきます。業務広告規程第11条は広告物を広告の終了から3年保存するよう定めていて、ホームページを直すたびの前後の画面も、その控えになります。
制作会社の選び方:見積もりの前に聞く六つのこと
法律事務所のサイトを頼む先を比べるとき、当社なら金額より先に次の六つを聞きます。どれも、この記事で見た日弁連の会規か、作ったあとの手間に関わることです。
- 原稿の確認の段取り。公開の前に弁護士が読む工程が、日程と契約に入っているか。
- 表示事項。その会社が作った士業のサイトの例で、どのページの下にも氏名(法人なら名称と法律事務所の名称)と所属弁護士会が出ているか。
- 問い合わせの通知先。フォームの通知が事務所だけに届く設定にできるか。相談の中身が制作会社にも届く設定になっていないか。
- 支払いの形。制作費や月額が、問い合わせや受任の件数に連動していないか(職務基本規程第12条・第13条)。
- 記録の控え。公開したときと直したときの画面、契約書と入出金の記録を、3年残せる形で渡してもらえるか(業務広告規程第11条)。
- ドメインと著作権。ドメインを事務所の名義で取るか。公開後に事務所や別の会社が文章を直してよいか。確かめ方はホームページ制作の見積もりの見方に書いています。
士業のサイトを作った実績を聞くのも一つの手です。ただ当社は、実績の数より、この六つにその場で答えられるかのほうが、法律事務所のサイトを任せられるかの見分けになると考えています。
弁護士のホームページ制作でよくある質問
ポータルサイトに載っていれば、事務所のホームページは要りませんか
要ると当社は考えています。三つの市の結果からは、依頼する人はポータルや紹介で名前を知ったあと、事務所のサイトで報酬や担当を確かめに来ると見ています(上の「依頼する人は、事務所のサイトに何を確かめに来るか」)。ポータルの掲載ページは、書ける項目や見た目を運営会社が決めます。報酬基準を読める形にした報酬のページと、相手方の名前を先に伺う問い合わせの入口は、自前のサイトに置いておくのが確かです。
自分で作ることはできますか
できます。WordPressやノーコードの道具なら、数ページのサイトは事務所の中で組めます。その場合も、報酬のページの書き方、「取扱い分野」の表示、表示事項、問い合わせの順番は、この記事の内容がそのまま当てはまります。自分で作るか頼むかの分かれ目は会社のホームページは自作か依頼かで比べています。
分野ごとに別のサイトを作るべきですか
先に、今のサイトの中に分野のページを置くことを勧めます。三つの市では、別のドメインを立てているかどうかより、一つの分野に絞った一枚があるかどうかが入口になっていました。別のサイトにすると、表示事項と報酬の書き方を二か所で直し続けることになります。立てるなら、名前の付け方は上の「○○センター」の項のとおりです。
制作費に補助金は使えますか
公募の時期と、その回の対象経費によります。名古屋・愛知の事業者が使える補助金の2026年10月時点の公募の状況は、名古屋・愛知でホームページに使える補助金で確かめています。
作成や運用を外に頼むとき
弁護士の場合、業者に払うお金の形と、記録の保存にも決まりがあります。職務基本規程は、依頼者の紹介を受けたことへの対価を払うこと(第13条)と、報酬を弁護士でない者と分けること(第12条)を禁じています。業務広告規程第11条は、広告物と、広告業者との契約書・入出金の記録などを、広告を終えてから3年保存するよう定めていて、契約書と入出金の部分は2026年7月1日から加わりました。ホームページの制作や運用を頼む業者も、指針のいう広告業者に当たりえます。支払いの計算式に問い合わせや受任の件数が入る契約は、所属の会で確かめてから進めてください。経路ごとのお金の形は弁護士の集客方法:経路ごとの役割と、業務広告の規程で気をつけることで整理しています。
当社は、弁護士の事務所には、問い合わせや受任の件数に連動しない、期間で決まる定額の月額制プランを用意しています(料金)。始める前に、その市で検索されている言葉と上位の顔ぶれを数え、どの分野のページから手を入れるかを決めます。
御事務所で、今日確かめられること
- 事務所に備え置いている報酬基準と、サイトの報酬のページを並べ、区分、算定方法、支払時期が同じ言葉で書かれているかを見ます。「〜」の付く金額があれば、それを超える場合の条件が同じページにあるかも見ます。
- 分野のページと専用サイトを一つずつ開き、題や見出し、画像の中の文字に「専門」「○○センター」「○○相談所」がないか、ページの下に氏名(法人は名称と法律事務所の名称)と所属弁護士会があるかを見ます。
- 所属弁護士会のサイトから弁護士の検索を開き、表示される事務所名や所在地が、サイトの事務所案内と同じかを確かめます。
- 問い合わせフォームを自分で送ってみて、相手方の名前を伺う欄がどこにあるか、通知が誰に届くかを確かめます。
- 法律相談の案内に、相談料、時間、かからない条件、法テラスの扱いが書いてあるかを見ます。会社の相談を受けるなら、会社が一度相談するときの料金と時間もあるかを見ます。
- 次の一か月、新しい相談のたびに、どこで事務所を知り、サイトのどのページを見てから連絡したかを一行で残します。どのページから手を入れるかの材料になります。
ほかの業種のホームページ制作の費用と決まりは、司法書士、税理士、社労士、行政書士、学習塾、整骨院・接骨院の記事にまとめています。
出典
- 日本弁護士連合会「弁護士の報酬に関する規程」(会規第68号)(PDF)
- 日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」(会規第70号)(PDF)
- 日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」(会規第44号)(PDF)
- 日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」(PDF)
- 日本弁護士連合会「法律事務所等の名称等に関する規程及び外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規程の解釈及び運用の指針」(PDF)
- 東京弁護士会 非弁提携弁護士対策本部「法律事務所または弁護士法人の名称とは別に「○○交通事故相談センター」、「○○遺言相続センター」などの名称が表示されている業務広告は、違反広告です」
- 東京弁護士会 非弁提携弁護士対策本部「事務所のウェブサイトに、所属弁護士会の表示がないものは違反広告です。」
- 弁護士法(第20条・第25条・第30条の3)、個人情報の保護に関する法律(第21条)
- 愛知県弁護士会「弁護士情報」
- 法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」
- (いずれも2026年10月2日確認)