新潟市は、弁護士による法律相談を、市役所の本館と、北区、東区、江南区、秋葉区、南区、西区、西蒲区の七つの区役所で、曜日を決めて開いています(2026年9月に市のページで確認)。どの区に住んでいても、自分の区の中で弁護士に相談できる形です。
同じ月に九つの言葉で検索し、1ページ目に出てきた新潟市内の法律事務所は八つでした。所在地を見ると、そのうち七つが中央区です(残る一つは、トップページに区の記載がありませんでした)。そして八つとも、区ごとのページを持っていませんでした。新潟市の調べの全体は新潟市の法律事務所の商圏調査の見本に載せています。
松江市と旭川市でも地元の事務所を八つずつ開き、三つの市の24事務所で、周辺の市や区、町の名前で作ったページは一つもありませんでした。公の相談は区や町の単位まで出向いていて、事務所のサイトは市の単位で止まっている。これが、三つの市で並べたときの形です。ほかの項目の結果は弁護士のホームページ集客:3つの市で数えた記録にまとめました。
先に当社の立場を書きます。区や町の名前だけを入れ替えたページを並べるのは、やめたほうがよい。置くなら、実際に相談が来ている区や町についてだけ、その地域の人が使える公の相談と、そこから御事務所まで来るかどうかを決める材料を、一枚に書く。置く前に、相談の記録で住所を数える。この順番です。
限界も書いておきます。今回は、区や町の名前を付けた言葉を検索していません。そうした言葉で弁護士を探す人がどれだけいるのかは、分かっていません。
公の相談は、区と近隣の町の単位で開かれている
三つの市の公の相談の窓口を、市のページで確かめた範囲で並べます。
新潟市の法律相談は、上の八か所で開かれ、電話で予約して一人30分以内、費用はかかりません。対象は新潟市民に限られ、同じ案件の相談は1回までです。各回の枠は先着6組です。新潟県弁護士会も、新潟の相談所を含めて県内10か所に相談の窓口を持っています。
旭川市の法律相談は、市の総合庁舎の市民相談センターで、毎月第1から第4の木曜の午後に開かれ、一人20分以内です。対象は、旭川市と近隣の八つの町の住民です。旭川弁護士会はサイトの題に「北海道北部」を掲げていて、会の範囲は旭川市より広くとられています。
松江市の法律相談は、おおむね毎月4回、火曜の午後に開かれ、1年度に1人1回です。
検索の結果にも、この単位が出ていました。「新潟市 弁護士 相談」の1位は、隣の市の、弁護士による法律相談の案内でした。新潟市の名前で探しても、公の側の相談の入口は市の境目をまたいで返ってきます。旭川の「弁護士 相談」と「離婚 弁護士」には、弁護士会の地区の法律相談センターのページが入っていました。
ここから読めることが二つあります。一つは、公の側が、中心まで来られない人のために、相談を区や町へ出向かせていることです。もう一つは、その相談に時間と回数の限りがあることです。30分か20分、同じ案件は1回、年度に1回。そこで話を聞いた人の一部は、次に事務所を探します。事務所のページが読まれるのは、その段階です。
事務所の側は、市の中心に集まり、地域のページを持たない
24事務所で、地域の書き方を見た結果です。
- 区や周辺の市・町のページを持つ事務所は、0でした。
- 周辺の市や町の名前を本文に並べていたのが新潟で一つ、「新潟市・新潟市近郊」と一言添えていたのが一つです。
- 県内に複数の拠点を持つ事務所が新潟と松江に一つずつありましたが、拠点の紹介のほかに、その町の人に向けたページは持っていませんでした。
- 相談の入口は、24のうち8が電話だけでした。Webの予約は2、LINEは1、夜や土日の対応を書いていたのは9です。
遠い区や町に住む人から見ると、事務所のサイトから確かに分かるのは、住所と電話番号と受付の時間です。行くまでにどれくらいかかるのか、行く前に電話でどこまで話せるのか、車で来てよいのか。道のりや駐車場は横並びの項目に入れていなかったので数としては数えていませんが、読んだ範囲では、そうしたことを遠くの人に向けて書いたページは目に留まりませんでした。
区や町の名前を入れ替えたページは置かない
地域のページについては、区や町の名前を題に入れたページをたくさん並べれば検索に拾われる、という考え方があります。当社は、少なくとも法律事務所では、これを勧めません。
まず、探す人がいるかどうかが分かっていません。今回は区や町の名前で検索していないので、空いて見える場所が、答える人がいないから空いているのか、探す人がいないから空いているのかの区別がついていません。
次に、中身が作れません。名前だけを入れ替えたページは、その区の人が読んでも、隣の区のページと取り違えないだけの中身を持ちません。その区に事務所があるかのように読める書き方になれば、業務広告の規程が禁じる、誤導や誤認のおそれのある広告に近づきます。
そして弁護士の場合は、地域と事例を結びつけると、依頼者が特定されやすくなります。日本弁護士連合会の規程と指針は、過去の事件を載せられる場合を、依頼者の同意がある場合か、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合などに限っています。人口の少ない町ほど、町の名前と相談の種類だけで、誰の話か見当がつくことがあります。町ごとのページにその町の事例を載せるのは、避けたほうがよいと考えます。
弁護士に頼む用件は一生に何度もないので、遠くても探して来る、だから地域のページは要らない、という考え方もあります。これにも理があると思います。ただ、新潟市が八つの区で相談を開き、旭川市が近隣の町の住民まで受けているのは、中心まで来るのが負担な人がいると見ているからでしょう。行くかどうかを決める材料が遠い人ほど要ることは、変わらないはずです。
置くなら、その地域から来るまでを一枚に書く
置くのは、相談の記録で、実際にその区や町から相談が来ていると分かったところだけです。一枚に書くのは、たとえば次のことです。
- その区や町から事務所までの道のりと、かかる時間。車で来られるかどうか。
- その地域の人が使える公の相談。区役所の相談の日、近隣の町の人も市の相談を使えるのか、市民に限られるのか。新潟と旭川では、ここが違っていました。
- 公の相談を受けたあとで事務所に来るとき、持ってきてほしいもの。相談で聞いたことのメモや、手元の書類。
- 来る前に電話で話せること、予約の方法、夜や土曜に相談できるかどうか。
- 法テラスの援助が使えるなら、その流れ。
- 御事務所が、その地域の人からどんな分野の相談を受けているか。分野の名前までにとどめ、個別の事例は書きません。
どれも、全国のポータルや、名前を入れ替えただけのページには書けないことです。一つの地域で一枚分の中身に満たないなら、無理に分けず、「遠くからご相談の方へ」という一枚にまとめてもかまいません。遠い人が知りたいことの多くは、どの区や町から来ても同じだからです。
固定のページを一枚足すことは、多くのサイトで事務所の方が管理画面から自分でできる作業です。迷うのは、どの地域から書くかのほうでしょう。そこは、次の手順で決まります。
今日、確かめること
- 御事務所の市の法律相談のページを開き、どこで、誰を対象に開いているかを見ます。区ごとか、近隣の町の住民も受けるのか、市民に限るのか。
- 相談の記録から、この一年の相談者の住所を、区や町の単位で数えます。名前は要りません。記録がなければ、今日から付け始めます(付け方は問い合わせ記録シートに置いています)。
- 数の多かった遠い区か町の名前に「弁護士」を付けて検索し、1ページ目に何が並ぶかを数えます。三つの市では、当社はここをまだ確かめていません。
- 御事務所のサイトで、遠くから来る人が知りたいこと(道のり、電話で話せること、夜や土曜の相談、駐車場)が、どこかに書いてあるかを見ます。
記録で、中心から離れた区や町からの相談がまとまってあるなら、最初の一枚はその地域のページです。ほとんどないなら、地域のページより先に、電話がつながる時間と予約の入口を見直すほうが効きます。