行政書士のホームページを作るとき、迷うことはだいたい三つです。何ページ要るのか、いくらかかるのか、自分で作るか頼むか。この記事は、その三つに、当社が数えた記録と、各社が公開している料金表で答えます。開業したばかりの方と、開業から何年か経って作り直しを考えている方の両方を想定しています。
記録の多くは、当社が2026年9月24日に、熊本市、静岡市、宇都宮市の三つの市で行政書士を探すときの言葉を九つずつ検索し、よく出てくる事務所を各市八つずつ、合わせて24事務所のサイトを同じ項目で見たものです。当社が数えた24事務所は、全国の平均ではありません。ただ、実際に検索に出ている事務所が何を載せ、何を載せていないかは見えます。行政書士の集客の入口を業務ごとに整理したものは、行政書士の集客方法:業務ごとに違う入口と、紹介・ホームページ・SNSの分担にあります。
先に結論を書きます。
- 開業直後に要るのは、事務所が実在して何を扱い、どう連絡すればよいかが分かる数枚です。数年後に要るのは、いちばん受けたい業務について料金、日数、書類を書いた一枚と、受ける範囲の境目です。
- 費用は、自作なら3年でおよそ6万円とご自身の時間、テンプレート型のサービスなら月1,600〜4,400円ほど、行政書士向けの制作をうたう事業者の公開料金では初期5万円から55万円以上でした(2026年10月2日に当社が確認。独自ドメインの費用は含みません)。
- 行政書士には、広告だけを定めた全国の規程が見当たりません。行政書士法、日本行政書士会連合会の会則と「行政書士倫理」、景品表示法で線を引きます。
- 自作か依頼かは、作った後に誰が手を入れるかで決めるのが分かりやすい、と当社は考えています。
検索から依頼を増やす話は行政書士の業務別ページ:地方の事務所が検索で取れていない業務の言葉に書きました。この記事は、その手前の「作る・作り直す」段階の話です。
開業直後と数年後で、要るページは違う
開業直後のホームページを最初に見に来るのは、紹介や知り合いから名前を聞いた人が多い、と当社は見ています。その人が確かめたいのは、実在する事務所か、自分の用件を扱っているか、どう連絡すればよいか、の三つです。検索で見つけてもらうためのページは、この段階ではまだ急ぎません。
数年経つと事情が変わります。受けたい業務と受けたくない業務がはっきりし、料金や日数を実際の数字で書けるようになります。検索から来る、まだ名前を知らない人に向けたページを書けるのは、この段階からです。ページごとに分けると、次のようになります。
| ページ | 開業直後 | 数年後 |
|---|---|---|
| トップ | 誰が、どこで、何を扱うか。連絡先 | いちばん受けたい業務への入口を上のほうに置く |
| プロフィール | 氏名、所属する行政書士会、経歴 | 扱ってきた業務の中身を足す |
| 業務一覧と報酬額 | 扱う業務と報酬額の目安 | 受けなくなった業務を外す |
| 業務ごとのページ | 受けたい一つか二つ | 料金、別料金になる条件、日数、必要な書類、受ける範囲の境目まで書く |
| 問い合わせ | フォーム、電話、受付時間 | どのページから来たかが分かる形にする |
| 個人情報の取り扱い | フォームを置くなら用意する | 同じ |
| 事例・お客様の声 | なくてよい | 依頼者の了解を取り、数え方を添えて載せる |
| お知らせ・コラム | なくてよい | 書き続ける人がいるなら |
報酬額は、開業直後から載せられます。行政書士法第10条の2は、事務所の見やすい場所に報酬の額を掲示するよう定めています。ホームページへの掲載を義務づける条文ではありませんが、事務所に掲げている額を業務一覧に写すところから始められます。24事務所のうち、料金を載せていたのは16でした。
問い合わせフォームを置くと、相談者の名前や連絡先、相談の中身を受け取ることになります。個人情報保護法第21条は、取得した個人情報の利用目的を本人に通知するか公表することを求めています。フォームの近くに利用目的を書いたページを置いておけば、ここで迷いません。行政書士には法第12条の秘密を守る義務もあり、フォームの通知を誰が受け取るかは、後で書く外部への依頼にも関わります。
数年後の列に入れたページには、24事務所の記録の裏づけがあります。料金と業務のページはよく整っていた一方で、薄かったのは、その業務をどれだけ、どう扱ってきたかを伝える部分と、市の外に向けた案内でした。事例や実績の件数を書いていたのは24のうち6、お客様の声は5、周辺の市町村のページを持っていたのは3です。どれも開業直後には書けないページで、年数を重ねた事務所ほど書く材料を持っています。
業務は並べるか、絞るか
行政書士の業務は幅が広く、扱える業務を全部並べたくなります。24事務所のうち、業務ごとの専用ページを持っていたのは23で、ページを作ること自体はもう多くの事務所が済ませていました。それでも、業務の一覧に名前があるのに、その業務の言葉で検索すると出てこない事務所がありました。一方、静岡市には一つの業務だけを扱うサイトが三つあり、三つとも料金を載せていて、三つともその業務の言葉の1ページ目に出ていました。三つだけで何かの証明にはなりませんが、絞った一枚がその業務を探す人の前に出ている姿は見えました。
当社の考えは、トップの業務一覧はそのままにして、専用の一枚は本当に受けたい一つか二つから作る、です。受けたくない業務のページを作ると、来てほしくない相談が増えます。詳しくは行政書士のホームページは業務を並べるか絞るかに書きました。作り直すときは、ページを増やす前に、業務ごとに「いまも受けたいか」を決め直すと、作るページの数が決まります。
参考にするなら、業務の言葉で1ページ目に出ているページを開く
2026年10月2日に当社が「行政書士 ホームページ 参考」で検索すると、上位に並んでいたのは、制作会社などがまとめたデザインの事例集と、制作会社の一覧でした。見た目の参考にはなりますが、そのサイトが依頼につながっているかどうかは、そこからは分かりません。
当社が勧めるのは、御事務所の地域名といちばん受けたい業務の名前で検索し、1ページ目に出ている事務所のページを開くことです。三つの市の記録では、業務の言葉で出ていたのは、事務所のトップより、業務の名前を題にした専用のページでした。「静岡 車庫証明 代行」の1ページ目に出ていた静岡市内の四件のうち三件は、検索結果に出る題そのものに「税込◯円から」と金額を入れていました。開いたら、デザインより先に、料金、日数、必要な書類、受ける範囲の境目が書いてあるかを見ます。書いてあるところは参考にする候補、書いていないところは、御事務所が先に書ける場所です。
載せる言葉の決まり:行政書士の広告で確かめたこと
当社は法律の専門家ではありません。以下は公開の資料を当社が読んだ範囲です。迷う書き方は、所属する行政書士会に確かめてください。
弁護士や司法書士には広告の規程や規則がありますが、行政書士については、2026年9月24日に当社が公開の資料を読んだ範囲では、広告だけを定めた全国の規程は見当たりませんでした。東京都行政書士会に会員のウェブサイト作成の指針があると紹介する記事は見ましたが、会の公開のページからは本文にたどり着けていません。かかるのは次の四つです。
- 行政書士法:第10条(信用・品位を害する行為の禁止)、第10条の2(事務所での報酬額の掲示)、第12条(秘密を守る義務)。
- 日本行政書士会連合会の会則:第60条の2(事務所の名称の制限)など。
- 日本行政書士会連合会「行政書士倫理」:第10条「行政書士は、不当な目的を意図し、又は品位を損なうおそれのある広告宣伝を行ってはならない。」のほか、第7条(不正・不当な手段で依頼を誘致する行為の禁止)、第16条(適正かつ妥当な報酬の提示)、第26条(他の行政書士の誹謗中傷等の禁止)。
- 景品表示法:消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」など、事業者一般にかかる決まり。
作る段階で引っかかりやすいのは、次の三つです。
「専門」「No.1」「100%」
「専門」を名指しで禁じる記述は、読んだ範囲にはありませんでした。ただ、根拠のない言い切りは、倫理の品位の条文にも、景品表示法の優良誤認(実際よりよく見せる表示)にもかかりえます。他と比べる言葉について、消費者庁の考え方は、主張が客観的に実証されていること、数値や事実を正確かつ適正に引用すること、比較の方法が公正であること、の三つを求めています。静岡市の八つでは、件数の代わりに「100%」「多数」「NO.1」と書く事務所が三つありました。
テンプレートや制作の見本には、こうした決まり文句が最初から入っていることがあります。見本の文言を残したまま公開しないことが、作る段階でいちばん手軽な対策です。言い換え方は士業の「専門」「No.1」「実績◯件」の表示:5士業の決まりと根拠の書き方にまとめています。
報酬額の書き方
「〜円から」は書けます。そのかわり、その金額で済む条件と上がる条件、税込か税別か、法定の手数料や証紙代が別かを、同じ場所に書きます。熊本市で金額を載せていた六つのうち二つは、税込か税別かの書き方が見当たりませんでした。
事務所の名称とサイトの名前
事務所名とは別に「〜センター」のような名前でサイトを立てるなら、会則第60条の2との関係を所属の会に聞いてからにします。そのうえで、どのページにも事務所の正式な名前と所在地を書いておきます。条文ごとの読み方と、24事務所で見た書き方は行政書士の広告規制:ホームページで書けること、避けることにあります。
費用の幅:公開されている料金で比べる
「相場は◯万円」という書き方では、何が含まれているのかが分かりません。ここでは、2026年10月2日に当社が確認した公開料金だけで並べます。独自ドメイン(〜.jp や 〜.com といったサイトの住所)の費用は種類と業者で変わるため、含めていません。期間限定の割引も除いています。3年で払う額は、表の料金から当社が計算した目安です。
| 作り方 | 公開されている料金 | 3年で払う額の目安 | 料金に含まれないもの |
|---|---|---|---|
| 自作(WordPress と有料テーマ) | サーバー:エックスサーバーのスタンダード、12か月契約で月1,100円(税込)。テーマ:SWELL 17,600円(税込、買い切り) | 約57,200円 | 作る時間、文章、写真、直す時間 |
| テンプレート型のサービス | ペライチ:月払いでライト1,628円(公開3ページ)からビジネス4,378円(公開20ページ)、税込 | 約58,600円〜157,600円 | 同上。作る手間は自作より軽い |
| 行政書士向けの制作をうたう事業者X | 初期49,800円または99,800円。月額は4,000円(ドメイン・サーバー・バックアップの費用のみ)か10,000円(簡単なページ修正などを含む)。税の表記は確認できず | 約193,800円〜459,800円 | 月4,000円の場合、ページの修正 |
| 同じく事業者Y | 初期165,000円(事務所ページとブログ)、265,000円(専門業務のページを追加)、550,000円〜(オリジナル制作)。税込で初年度のドメイン・サーバー費を含む。2年目以降のサーバー費(年13,200円)は依頼者の負担 | 約191,400円〜576,400円以上 | 「依頼の流れ」「よくある質問」「お客様の声」「対応エリア」の各ページは追加で55,000円〜 |
並べて目につくのは、事業者Yの料金表で追加の扱いになっている「依頼の流れ」「よくある質問」「お客様の声」「対応エリア」が、前の表で数年後に要るとしたページとほとんど重なることです。初期費用で作られるのは開業直後の形までで、その先のページは、追加で頼むか自分で書くかになります。事業者Xの月10,000円には簡単な修正が含まれますが、どこまでが「簡単」かは料金表からは分かりません。
費用を比べるときは、初期費用の差より、2年目以降に一枚足すといくらかかり、その原稿を誰が書くのかを見ると、違いがはっきりします。そしてどの作り方でも、業務のページの中身、つまり料金、別料金になる条件、日数、必要な書類、受ける範囲の境目は、行政書士ご本人しか持っていない情報です。制作を頼んでも、原稿の材料を出すのはご本人です。
自作か依頼かは、作った後に手を入れる人がいるかで決める
24事務所のうち、2026年9月に何かを更新していたのは4、2026年の日付がどこかに見えたのは9でした。熊本市の八つでは、2026年に入ってからの更新が確認できた三つのうち二つが休業のお知らせで、最新の日付が2020年のままの事務所もありました(熊本市の行政書士事務所の商圏調査の見本)。作るときにどれだけ費用をかけても、その後に手が入らなければ、数年後のページは生まれません。
そこで当社は、次の順で決めることを勧めています。
- 月に数時間、ページの文章に使えるか。使えるなら、開業直後の数枚は自作でもテンプレートでも足ります。作ること自体の難しさは、テーマやテンプレートの整った今は以前ほど高くありません。難しいのは、作った後に書き足し続けることのほうです。
- 使えないなら、依頼先を選ぶ基準は「作った後に誰が手を入れるか」です。公開後の修正がどこまで料金に含まれ、一枚足すといくらかかるのかを、契約の前に確かめます。
- どちらの場合も、ドメインとサーバーの契約者が誰になっているか、やめるときにデータを受け取れるかを確かめます。サイトの住所にあたるものなので、事務所の名義にしておくと、作り直しや業者の切り替えのときに困りません。
- 外部に運用まで頼むなら、問い合わせの通知先は事務所にし、業者への支払いを問い合わせや受任の件数に連動させない形にします。件数に連動させると、倫理第7条の不当な誘致や、名義貸しとの境目に近づくと当社は読んでいます。これは当社の見解で、会の公式の解釈ではありません。契約の前に、所属の会で確かめてください。
当社は、ホームページを作って終わりにせず、問い合わせが来るようになるまで手を入れ続ける運営を、月額でお引き受けしています。他社が作ったサイトもそのまま引き受け、料金は、始めるときの契約料20万円と実費のほかは月額で、低く始めて、問い合わせが増えるにつれて上がる形です(料金)。始める前に、その地域で検索されている言葉と上位の顔ぶれを数える有償の商圏調査を行い、見込みが立たなければお引き受けしません。作り直すか、いまのサイトに手を入れ続けるかを決める材料としても使えます。
御事務所で今日確かめられること
- 事務所に掲示している報酬額と、ホームページの料金を見比べます。金額が同じか、税込か税別か、法定の手数料が別かが書いてあるかを確かめます。
- 業務の一覧の一つずつに、「いまも受けたいか」を書き込みます。一つか二つに絞れたら、それが最初に作る、または作り直す業務のページです。
- いちばん受けたい業務について、料金、別料金になる条件、かかる日数、必要な書類、受ける範囲の境目の五つを、紙に一行ずつ書いてみます。書けない行があれば、ページより先にそこを決めます。
- スマートフォンのページ内検索で「専門」「No.1」「100%」「一番」を探し、根拠が同じページにない言葉を、消すか、扱っている用件の言葉に直します。
- ドメインとサーバーの契約者の名前と更新日を、契約のメールや管理画面で確かめます。作り直しを考えているなら、いまの業者から受け取れるものの一覧も聞いておきます。
出典
- 行政書士法(e-Gov 法令検索、第10条・第10条の2・第12条)https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov 法令検索、第21条)https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057
- 日本行政書士会連合会「日本行政書士会連合会会則」(令和4年8月31日総務大臣認可の版)https://www.gyosei.or.jp/sites/default/files/1697501737/2-01%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E4%BC%9A%E9%80%A3%E5%90%88%E4%BC%9A%E4%BC%9A%E5%89%87(22.8.31).pdf
- 日本行政書士会連合会「行政書士倫理」https://www.gyosei.or.jp/sites/default/files/2016/03/67802fb07fb14bca3f834134942e4491-2.pdf
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_37.pdf
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf
- エックスサーバー「料金」https://www.xserver.ne.jp/price/ 、SWELL「購入・ダウンロード」https://swell-theme.com/download/ 、ペライチ「料金・プラン一覧」https://peraichi.com/pages/pricing (いずれも2026年10月2日確認)
- 行政書士向けの制作をうたう事業者2社の公開料金ページ(2026年10月2日確認。名称は控えます)