制作会社から毎月「保守費」の請求が届いていて、この金額は相場と比べて高いのか、そもそも何に払っているのかが分からない。経理からは勘定科目を聞かれる。この記事は、そういう立場の方に向けて書いています。
先に結論を三つ書きます。
- WordPressの保守を専門に引き受けている会社の公開料金表では、本体とプラグインの更新、バックアップ、障害時の復旧が入った一番下のプランが、月8,800円から22,000円(税込)でした。上位のプランは月19,800円から52,800円で、修正作業や報告、セキュリティ対策が手厚くなります。
- 保守費は「サーバーやドメインの実費」と「人が手を動かす手間代」に分かれます。小さな会社のサイトなら実費は月1,500円前後で、保守費のほとんどは手間代です。
- 勘定科目は「通信費」「支払手数料」などがよく使われますが、科目名より先に、いつ費用になるか(年払い、機能の追加)を確かめる必要があります。最終的な判断は顧問の税理士に確認してください。
金額は、2026年10月2日に当社が各社の公式サイトで確かめたものです。料金は改定されることがあるので、比べるときは最新の料金表をご覧ください。名古屋の会社の公開料金表でホームページ制作費を比べた記事は、名古屋のホームページ制作の相場と費用:公開料金表で比べた差の出どころです。
ホームページの保守費用の相場:公開料金表の三社で月8,800円から
「ホームページ 保守 費用 相場」で検索すると、「月5,000円から5万円」のような幅の広い数字がよく出てきます。たとえば比較サイトのPRONIアイミツは、最低限の管理で月5,000円から1万円程度、更新・バックアップ・セキュリティ対策を含めると月1万円から5万円程度、としています。ただ、この幅だけでは自社の請求額が妥当かどうかは判断できません。同じ「保守」でも、中に入っている作業が会社ごとに違うからです。
そこで当社は、WordPressの保守を単独のサービスとして料金表を公開している会社のうち、作業の中身まで書かれている三社を並べました。
| 公開料金表 | プランと月額(税込) | 料金表に書かれている主な作業 |
|---|---|---|
| WP KEEPER | ベーシック 22,000円/プロフェッショナル 44,000円 | 本体・プラグインの更新、死活監視(止まっていないかの見張り)、バックアップと復元、トラブル対応。上位プランで手動更新、改ざん検査、電話サポートが加わる |
| WP保守ガード | ライト 14,300円/スタンダード 19,800円/カスタマイズ 33,000円から(初期費用33,000円から) | 本体・プラグインの更新、定期バックアップ、障害時の復元、保守報告。ライトから「写真差替や文字変更など、1時間以内の変更作業」を含む。上位でアクセス解析レポートなど |
| 株式会社ハイファイブクリエイト(WordPress保守管理サポート) | マネジメント 8,800円/ビジネス 19,800円/カスタマイズ 30,800円/カスタマイズプロ 52,800円 | 全プランに1日1回のバックアップ、更新、障害時の復旧、改ざんチェック、稼働監視。ページ更新は月8,800円の追加オプション。サーバー・ドメイン代は別 |
三社とも、一番下のプランに入っているのは「サイトを壊さずに動かし続ける」ための作業です。値段が上がるにつれて、文章や写真の差し替え、アクセスの報告、相談が加わります。当社は、保守費の差の大部分は、人が判断したり手を動かしたりする時間の差だと見ています。
なお、この三社は保守を専門にしている会社です。制作会社が自社で作ったサイトに付ける保守は、作った会社が中身を把握している分、これより安い月額で出ていることもあると当社は見ていますが、今回は料金表で確かめていません。逆に、安い保守では更新作業が入っていなかったり、修正は都度見積もりだったりします。金額だけで比べず、次の章の項目ごとに、自社の契約に何が入っているかを確かめてください。
保守費に含まれる作業と、それぞれの費用の目安
保守費の中身は、大きく二つに分かれます。一つは、サーバーやドメインのように、誰が管理しても同じようにかかる「実費」。もう一つは、更新や復旧、修正のように、人が手を動かす「手間代」です。請求書が「サイト保守一式」とだけ書かれていると、この二つが混ざって見えなくなります。
サーバー:月1,000円前後から(実費)
サーバーは、ホームページのデータを置いておく場所です。レンタルサーバーの一つ、エックスサーバーの公式料金表では、一番下のスタンダードプランが月990円(36か月契約)から1,320円(3か月契約)で、初期費用は0円でした(税込、キャンペーンの還元を除く通常の料金)。同じプランに無料の独自SSL(後述)と、14日分の自動バックアップが含まれています。
アクセスが多いサイトや、社内で複数のサイトをまとめるなら上のプランになりますが、会社案内と問い合わせフォームが中心のサイトなら、この価格帯で足りることが多いと当社は見ています。
ドメイン:年1,700円から4,400円程度(実費)
ドメインは、example.co.jp のようなホームページの住所です。メールアドレスの後半にも使われます。ドメインの登録サービスの一つ、ムームードメインの料金表では、1年ごとの更新料金が .com で1,728円、.jp で3,344円、.co.jp で4,378円でした(税込)。同じ料金表で .co.jp の1年目の取得料金は900円と、更新料金よりかなり安く表示されていました。毎年払い続けるのは更新料金のほうなので、比べるときは更新料金で比べます。
保守費にドメイン代が含まれている場合は、ドメインが誰の名義で登録されているかも合わせて確かめてください。制作会社の名義のままだと、契約を見直すときに手間が増えます。確かめ方はドメインの名義が制作会社のままになっていないかに書いています。
SSL:無料の証明書で足りることが多い(実費)
SSLは、サイトとの通信を暗号化する仕組みで、アドレスが https で始まるのはこれが入っているからです。無料の証明書を発行しているLet’s Encryptは、公式のよくある質問で、証明書の発行に費用は請求しないこと、有効期限は90日であること、ドメインの持ち主であることだけを確かめる「DV」という種類であることを説明しています。前述のレンタルサーバーのように、この種の無料SSLを料金の中に含め、期限の更新も自動で行うサーバーがあります。
会社の実在まで確かめる種類の証明書(OV、EV)は有料で、Let’s Encryptは発行していません。取引の性質上それが必要な会社でなければ、保守費の中に「SSL証明書代」として別の金額が入っていないかは、一度見ておく価値があります。
CMSとプラグインの更新:手間代の中心
CMSは、WordPressのように、管理画面から文章を書き換えられる仕組みのことです。プラグインは、そこに機能を足す部品です。どちらも、見つかった弱点(脆弱性)を直した新しい版が出るたびに入れ替える必要があります。
その頻度は、思っているより高いかもしれません。WordPress公式のリリース情報では、2026年5月20日の7.0から9月22日の7.1.2まで、最新の版を追っていくと、本体の正式な版だけで8回の更新が公開されていました(7.0、7.0.1〜7.0.4、7.1、7.1.1、7.1.2。7.0の系列にとどまるサイト向けには、これとは別に7.0.5と7.0.6も出ています)。ここにプラグインの更新が加わります。情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」も、ウェブサイトを構成しているソフトウェアの脆弱性対策を定期的にしているか、を確認項目の一つに挙げています。
更新そのものはボタン一つで終わることもありますが、手間がかかるのはその前後です。更新でデザインが崩れたり、問い合わせフォームが送れなくなったりしていないかを確かめ、問題が出たら元に戻す。公開料金表の一番下のプランが月1万円から2万円ほどになるのは、主にこの確認と戻す作業の分だと当社は見ています。WordPressの保守でやることと頻度の目安、自社でやるか頼むかの分け方は、WordPressの保守とはに書きました。
同じ20ヶ条には、クラウドなどのサービスを使うときに自組織の責任範囲を把握しているか、という項目もあります。一般的なレンタルサーバーでは、サーバー会社が受け持つのはサーバーそのものまでで、その上に入れたWordPressとプラグインを最新に保つのは利用者の側の仕事です(自動更新の機能を用意しているサーバーもあります)。保守を頼んでいるなら、それが制作会社の作業に入っているかどうかが、保守費の中身を見るときの一番の確認点です。
バックアップ:サーバー付属の分と、別に取る控え
バックアップは、サイトのデータの控えです。前述のとおり、サーバーの料金に14日分の自動バックアップが含まれている例があります。この場合、控えを取ること自体の費用は実費の中に入っています。
保守の料金表で「1日1回のバックアップ」「定期バックアップ」とある場合、サーバーとは別の場所に控えを置いているのか、サーバー付属の機能を確かめているだけなのかは、料金表だけでは分からないことがあります。改ざんに気づくのが遅れたときに戻れる日数も変わるので、何日分をどこに置いているかを聞いておくと安心です。
障害対応と軽微な修正:会社ごとの差が一番大きいところ
サイトが表示されない、フォームが届かない、といったときの対応や復旧は、三社とも一番下のプランの項目に挙げていました。差が出るのは文章や写真の差し替えです。WP保守ガードはライトプランから「1時間以内の変更作業」を含め、ハイファイブクリエイトはページ更新を月8,800円の追加オプションにしています。同じ月1万円台でも、修正が入っているかどうかで中身はかなり違います。
自社の保守契約に修正が何回、何時間まで入っているかが契約書から読み取れない場合は、この一年に頼んだ作業と、そのうち追加の見積もりが来たものを並べると、実際の範囲が見えてきます。並べ方は保守費を払っても問い合わせが増えない理由に書いています。
自社の保守費から実費を引くと、手間代がいくらか分かる
ここまでの数字を使って、会社案内と問い合わせフォームが中心の、.co.jp のWordPressサイトを例に計算してみます。
| 項目 | 年額(税込) | 月あたり |
|---|---|---|
| サーバー(エックスサーバー スタンダード、12か月契約の月1,100円) | 13,200円 | 1,100円 |
| ドメイン(.co.jp の更新料金、ムームードメイン) | 4,378円 | 約365円 |
| SSL(サーバー付属の無料SSL) | 0円 | 0円 |
| 合計(実費) | 17,578円 | 約1,465円 |
サーバーとドメインの代金が保守費に含まれている契約なら、保守費からこの約1,500円を引いた残りが、手間代です。仮に保守費が月11,000円なら、手間代は月9,500円ほどになります。
この残りの金額を、前の章の項目と見比べてください。本体とプラグインの更新を毎月確かめてくれていて、障害時の復旧と軽い修正が入っているなら、公開料金表の三社と比べても外れた金額ではありません。反対に、更新のあとに誰が何を確かめているのかが分からず、修正は毎回見積もり、という内容で手間代が月1万円近いなら、契約の中身を聞き直す理由になります。
サーバーとドメインを自社で契約していて、保守費とは別に払っている場合は、保守費がまるごと手間代です。どちらの形かは、サーバー会社やドメインの登録サービスから自社宛てに請求やカード明細が来ているかで分かります。
ホームページの保守費用の勘定科目:科目名より、いつ費用になるかが先
ここからは経理の話です。当社は税理士ではないので、ここに書くのは公開されている資料で当社が確かめた範囲です。自社の処理は、顧問の税理士に確認してください。
まず、科目の名前について。会計ソフト会社の解説を見ると、サーバー代やドメイン代は「通信費」か「支払手数料」で処理する例が多く挙がっています(マネーフォワードの解説)。制作会社に払う保守料は「支払手数料」や「修繕費(保守修繕費)」で処理する例が挙がっています(freeeの解説)。一方、国税庁の資料で当社が確かめられたのは、後で書く「いつ費用になるか」の考え方で、ホームページの保守にどの科目名を使うかを指定したものは見当たりませんでした。マネーフォワードの解説は、一度決めた科目を続けて使うことを勧めています。
| 支払いの中身 | よく使われる科目の例 | 確かめておくこと |
|---|---|---|
| サーバー代 | 通信費、支払手数料 | 年払い・複数年払いかどうか |
| ドメインの更新料 | 通信費、支払手数料 | 年払い・複数年払いかどうか |
| 制作会社への月額の保守料(更新、復旧、軽い修正) | 支払手数料、修繕費 | サーバー代などの実費が含まれているか |
| 保守とは別に頼んだ機能の追加 | (内容によっては資産になりうる) | 現状を保つ修正か、機能を足す改修か |
年払い・複数年払いのとき
サーバーは36か月契約のほうが月あたりは安くなりますが、まとめて払った分は、原則としてその期の費用にはなりません。国税庁の法人税基本通達2-2-14は、まだ受けていないサービスの分の支払い(前払費用)は原則としてその事業年度の損金にならないとしたうえで、支払った日から1年以内に受けるサービスの分は、支払った期の損金として継続して処理していれば認める、としています。つまり、1年契約の年払いと、3年契約の一括払いとでは扱いが分かれる可能性があります。決算の直前にまとめて払う場合は特に、事前に税理士に相談してください。
「修正」と「機能の追加」を分けておく
保守の中で行う作業の多くは、今の状態を保つためのものです。国税庁の法人税基本通達7-8-6の2は、ソフトウエアのプログラムの修正が、機能上の障害の除去や現状の効用の維持にあたるときは修繕費に、新たな機能の追加や機能の向上にあたるときは資本的支出(資産の価値を高める支出)にあたる、としています。また国税庁のタックスアンサーNo.5461は、資産として扱うソフトウエアの耐用年数を、販売用や研究開発用を除いて5年としています。
ホームページのどの作業がこれにあたるかは個別の判断になりますが、少なくとも、毎月の保守費と、予約の仕組みを新しく付けるといった改修の費用は、請求書を分けてもらっておくと、税理士が判断しやすくなります。個人事業の場合も考え方の近い部分はありますが、扱いは同じとは限らないので、同様に確認してください。
保守費で買えるもの、買えないもの
ここまで見てきたとおり、保守費で買っているのは、サイトが去年と同じように動き続けることです。それ自体は欠かせない仕事ですが、問い合わせを増やすための仕事、つまり何をどのページに載せるかを決めて書き直していく仕事は、たいてい含まれていません。保守費が相場の範囲に収まっていても問い合わせが増えない、ということは普通に起こります。この違いは保守と運営が別の仕事である理由で詳しく書きました。
当社は保守だけのお仕事はお受けしておらず、問い合わせを増やすための運営を引き受けるときに、更新や復旧といった保守の作業も含めて行っています。その場合もサーバーとドメインは御社の名義で契約していただくので、実費は御社の契約として支払われ、当社の料金とは分かれます。料金の決め方は料金に載せています。今の制作会社から移るか迷っている段階なら、先に引き継ぐ前に確かめることを読んでおくと、移るときの手間が見積もれます。
ホームページの保守契約は必要か:自社で回せる範囲と、頼んだほうがよい場合
保守料金を調べている方の中には、そもそも保守契約が要るのかを迷っている方も多いと思います。WordPressの場合、更新の作業そのものは、以前より自社で回しやすくなっています。WordPress.orgの説明では、バージョン5.5から、プラグインとテーマの自動更新を一つずつ有効にでき、自動更新が成功したときも失敗したときも、初期設定でサイトの管理者にメールが届きます(出典:WordPress.org「Plugin and themes auto-updates」、2026年10月17日確認)。
残るのは、更新のあとに表示やフォームが壊れていないかを確かめること、壊れていたら戻すこと、障害のときに原因を探すことです。上の公開料金表で一番下のプランにも入っていたのは、まさにこの部分でした。当社の見立てでは、社内に管理画面を触れる人がいて、バックアップから戻す手順を一度試したことがあるなら、保守を頼まずに、自動更新と月に一度の確認で回す形もありえます。そうでなければ、一番下のプランで足りるかを、修正が含まれるかどうかと合わせて確かめるのが順番です。自社でやる場合の作業と頻度はWordPressの保守とはにまとめています。
ホームページの保守料金でよくある質問
保守契約をやめると、サイトは止まりますか
サーバーとドメインを自社の名義で契約していれば、保守をやめてもサイトはそのまま表示され続けます。止まるおそれがあるのは、サーバー代とドメイン代が保守料金に含まれていて、契約の名義が制作会社になっている場合です。やめる前に、上の「実費を引く」の章の方法で、サーバーとドメインを誰が契約しているかを確かめてください。
保守料金を下げるには、どこから見直しますか
当社なら三つの順で見ます。一つ目は、サーバーとドメインを自社の契約に移し、実費と手間代を分けること。二つ目は、契約に入っている作業のうち、使っていないもの(毎月の報告書、使わない修正の枠など)を外せるかを聞くこと。三つ目は、文章の修正を毎月の料金に含めるか、頼むたびに払う形にするかを、この一年に頼んだ回数で決めることです。
保守と運用は何が違いますか
保守はサイトを今のまま動かし続ける仕事、運用は問い合わせを増やすためにページを書き足したり直したりする仕事です。保守料金が相場の範囲でも問い合わせが増えないのは、たいていこの違いによります。詳しくは保守費を払っても問い合わせが増えない理由に書きました。
今日、自社で確かめられること
- 直近の保守費の請求書を出し、サーバー代とドメイン代が含まれているか、別に払っているかを確かめる。
- 含まれているなら、保守費から月1,500円前後(自社のサーバーとドメインの実際の料金がわかればその額)を引き、手間代を出す。
- 契約書か料金表で、本体とプラグインの更新、バックアップ(何日分をどこに)、障害時の復旧、文章の修正(何回・何時間まで)が入っているかに印をつける。
- 印がつかない項目があれば、制作会社に「保守の範囲を一覧でいただけますか」と頼む。
- サーバーやドメインを年払い・複数年払いにしている場合と、保守とは別に機能を追加した支払いがある場合は、その請求書を顧問の税理士に見せて処理を確認する。