問い合わせの管理表のテンプレートを探しているなら、ダウンロードする前に、いま手元にある記録を一度だけ見てください。表計算ソフトの表でも、電話の横に置いたノートでも、フォームの通知が溜まった受信箱でもかまいません。そこに、その問い合わせが面談や見積もりに進んだかどうかを書く場所はあるでしょうか。
ないなら、道具を替えても状況は変わらないと思います。記録がうまくいかない原因は、道具より列にある。当社はそう考えています。
件数だけの管理表は、数えていないのと同じ
件数だけを書いた表から分かるのは、先月より多かったか少なかったかです。それも数字には違いありませんが、次に何をするかを決める材料にはなりません。十件増えた月に、その十件が見積もりの手前で全部止まっていたなら、増えたことを喜ぶ理由はありません。反対に、件数が減った月でも面談に進んだ件数が変わっていなければ、減ったのは「来ても前に進まない問い合わせ」だけかもしれません。
電話かフォームかの列を足した表も、同じところで止まります。「うちは電話が多い」という事実は、電話をかけてきた人が広告を見たのか、検索で見つけたのか、知人に聞いたのかについて、何も教えてくれません。どの窓口から来たかと、何を見て来たかは別の問いで、お金の使い道を決めるのは後者です。
当社が運営に携わっている相続の事務所でも、使ったのは表計算ソフトと顧客管理のシステムで、特別な道具ではありませんでした。最初に決めたのは、来た件数と一緒に、面談につながったかを数えることです。何をどう数えることにしたかは問い合わせの数え方に書いています。
当社が配っている記録シートの列
当社が運営をお引き受けするとき、ページを直す前にまず置くのが、この記録シートです。配っているものと同じ形を、ここにも置いておきます。問い合わせ記録シート(Excel)。ご自由にお使いください。
列は八つで、これより増やしていません。
- 日付
- 経路(電話・フォーム・その他)
- 何を見て連絡したか(広告・検索・紹介・その他)
- 広告・検索の場合、分かれば言葉
- 相談の内容(ひとこと)
- 面談・見積もりに進んだか(はい・いいえ・未定)
- 受任・成約したか(はい・いいえ・未定)
- メモ
いくつかの列には、そうしている理由があります。
「経路」と「何を見て連絡したか」を分けているのは、窓口ときっかけが別の問いだからです。フォームなら項目を一つ足せば埋まりますが、電話は聞かなければ埋まりません。受けた人が「何をご覧になってお電話くださいましたか」と一言うかがって、その答えを書きます。
「言葉」の列に「分かれば」と付けているのは、ここが空欄だらけになる前提で作っているからです。検索で来た方が、打ち込んだ言葉を覚えているとは限りません。埋まらないことを気にして記録そのものが止まるより、分かったときだけ書くほうが続きます。
面談と見積もりを一つの列にしているのは、業種によって「前に進んだ」の形が違うからです。事務所なら面談、工務店や製造の会社なら見積もりの依頼が、それにあたることが多いはずです。御社で「ここまで来たら話が進んでいる」と言える段階を始める前に一つだけ決めて、そこに届いた件を「はい」とします。
「未定」を置いているのは、問い合わせを受けたその日には、面談に進むかどうかはまだ分からないからです。受けた日に一行書き、進んだら書き換える。そうしておくと、「未定」のまま何週間も残っている行が、そのまま「誰も追いかけていない問い合わせ」の一覧になります。
受任・成約を面談とは別の列にしているのは、ホームページの手が届く範囲を切り分けるためです。問い合わせから面談までは、ページの言葉や相談への案内で変わりうる部分です。面談から成約までは、料金、提案の中身、返事の速さといった、ホームページの外にあることが大きく効きます。面談には進むのに成約しない並びが続くなら、直す場所はページではないかもしれません。
お名前や連絡先の列は置いていません。誰の件かは、受信箱や御社の顧客台帳を見れば分かります。この表は数えるための表なので、社内の誰に見せても差し支えない形にしておくほうが回しやすくなります。
集計のシートが答えるのは「どこから来た人が前に進んだか」
記録のシートに一行ずつ書いていくと、月ごとの集計のシートに次の数字が出ます。
- その月の件数
- 電話とフォームの内訳
- 広告・検索・紹介の内訳
- 面談・見積もりに進んだ件数と、その割合
- 広告から来て、面談・見積もりに進んだ件数
- 検索から来て、面談・見積もりに進んだ件数
当社がいちばん見ているのは、最後の二行です。広告の管理画面が教えてくれるのは、広告から何件の問い合わせが来たかまでで、その先は映りません。検索の側も、順位やアクセスの報告は、来た人がそのあとどうなったかを教えてくれません(報告の読み方は順位の報告は成果ではないに書きました)。この二行があって初めて、広告と検索を「来た件数」ではなく「前に進んだ件数」で並べられます。
先の相続の事務所では、単価の安い広告の言葉が件数を稼いでいる一方で、面談まで並べてみると離脱ばかりが目立っていました。件数の列しかなければ、むしろ増やしたくなる種類の言葉です。その後どの言葉に絞ったかは士業の検索広告で、どの言葉にお金を使うかにあります。
一つだけ、読み方の注意を書いておきます。月に数件の会社では、面談に進んだ割合は一件で大きく揺れます。一か月の割合で判断せず、面談に進んだ件数そのものを何か月か並べて見てください。
先月の三件を、この列に書いてみる
シートを開いたら、新しい問い合わせを待つ前に、先月の問い合わせを思い出せる範囲で三件、書き込んでみてください。受信箱と電話の着信履歴を見ながらでかまいません。
書いてみると、埋まる列と埋まらない列に分かれます。日付と経路は、たいてい埋まります。相談の内容も、ひとことなら思い出せるはずです。
止まりやすいのは、「何を見て連絡したか」と「面談・見積もりに進んだか」の二つです。前者が埋まらないのは、聞いていなかったからで、次の電話から一言足せば埋まるようになります。
後者が埋まらない件が出たら、それが今の記録の穴です。問い合わせを受けたあと、その件がどうなったかを誰も書き残していない。担当者に聞けば分かるかもしれませんが、聞かなければ分からない状態のままでは、月ごとに並べることはできません。並べられない数字で、広告を続けるか、ページを直すかを決めることもできません。
三件とも面談の列がすんなり埋まったなら、御社はすでに数えています。足りないのは、それを月ごとに並べる形だけで、そこはこのシートがそのまま使えます。
今日やることは一つです。先月の三件をシートに書き、面談の列が埋まらなかった件のメモ欄に、誰に聞けばその答えが分かるかを書いておいてください。