2026年9月24日、工務店のホームページを調べるために、長野県松本市、岡山県倉敷市、栃木県宇都宮市の三つの市で、同じ九つの言葉を検索しました。そのうちの一つが「{市} 実家 建て替え」です。親の家を建て直そうと考え始めた人が、最初に打ちそうな言葉として選びました。
松本では、十件のうち七件が、松本という名字の芸能人の実家の話でした。倉敷では、十件のうち三件が、市庁舎の建て替えの話でした。宇都宮では、十件のうち八件が、家を壊す話でした。解体業者の一覧、解体の費用、市の解体の補助金です。
三つの市の1ページ目、合わせて三十件のうち、工務店が建て替えについて書いたページは一件でした。
使った検索の道具は各語九件か十件しか返さず、地図の枠と広告が出ていたかは見えていません。ある日の、ある見え方の記録です。九つの言葉すべての結果は工務店のホームページ集客(3つの市で数えた記録)にまとめています。
三十件を埋めていたもの
松本の七件は、地名がよくある名字でもあるために起きた取り違えです。この形の話は狙った検索語が別の意味に取られているときに書いたので、ここでは残りの三件を見ます。地図が二件、もう一件は、実家を解体して売るべきかを扱う個人の記事でした。家を建てる側から答えたページはありません。
倉敷の十件は、松本より家づくりに寄っていました。ただ、並んでいたのは工務店ではありません。新築一戸建ての物件一覧が三件、建て替えを請け負う工務店を探せる一覧サイトが一件、リノベーションと建て替えをまとめて紹介するサイトが一件、全国の大手住宅メーカーが実家の建て替えを解説するコラムが一件。そこに、市庁舎の再編を伝える新聞の記事、市のページ、国の機関のサイトに置かれた構想の資料が加わります。地元の会社で出ていたのは、ある工務店のグループがリノベーションの名前で出している「実家」のページ一件で、建て替えのページではありませんでした。
宇都宮では、「建て替え」がほとんど「解体」として読まれていました。解体業者の一覧サイトが三件、解体業者や解体の情報サイトが四件、市の老朽危険空き家の除却の補助金が一件、不動産会社のブログが一件。残る一件が、地元の工務店が建て替えを考える人に向けて作ったページです。三つの市で、工務店が建て替えに答えたページは、この一件だけでした。
では、工務店の側にそもそも建て替えのページがないのか。各市で、九つの言葉の1ページ目に出てきた地元の工務店を八社ずつ、合わせて二十四社開いて確かめました。八社は検索に出てきた会社で、その市の工務店の全部ではありません。
建て替えの専用のページを持っていたのは、松本ゼロ、倉敷ゼロ、宇都宮一社です。宇都宮の一社は、さきほどの1ページ目の一件の会社でした。専用のページではなく、建て替えかリフォームかを相談する会の案内を置いていた会社が、倉敷と宇都宮に一社ずつあります。倉敷には、コラムで古家付きの土地の解体費用を書いていた会社もありました。材料を持っていないわけではありません。
同じ二十四社で、平屋の専用のページを持つのは十二社、土地探しの案内を持つのは十社でした。平屋と土地に比べて、建て替えだけが極端に少ない。三十件のうち一件という検索結果の数と、二十四社のうち一社というサイトの数は、同じことを外から見たものと内から見たものだと当社は考えています。工務店が答えていないから、別のものが埋めています。
「土地なし」「平屋 建てたい」でも、先にいたのは物件だった
暮らしの条件を足した言葉を、ほかに二つ打っています。
「{市} 土地なし 注文住宅」では、三つの市のどこでも、題に土地探しや土地を持っていない人への案内を掲げたページは一件もありませんでした。宇都宮は九件すべてが住宅のポータルか物件情報で、そのうち五件は、建築の条件が付かない土地の一覧です。倉敷は九件のうち六件がポータルで、土地の一覧が二件、一戸建てや中古住宅の物件一覧が三件、工務店を探せる一覧が一件でした。松本では、地元の工務店が一件だけでした。二十四社のうち十社が土地探しの案内を持っているのに、土地のない人の言葉で出てきたのは、その案内ではなく土地そのものの一覧です。
「{市} 平屋 建てたい」は、市によって分かれました。松本では十件すべてがポータルで、八件は中古住宅や建売の物件一覧です。倉敷では物件一覧が四件ありましたが、地元の工務店のページも四件入っていました。宇都宮でも物件一覧は二件で、地元の工務店のページが三件入っていました。倉敷と宇都宮では、平屋は工務店が答え始めている言葉です。
目を引いたのは、入っていたページの形です。二つの市で1ページ目に入った地元の工務店のページ七件は、すべてコラムかブログでした。平屋の商品を紹介する専用のページは一件もありません。二十四社のうち十二社が平屋の専用のページを持っていても、1ページ目に出ていたのは「平屋を建てたい」という問いの側から書いた読み物のほうでした。工務店の専用のページの形で入っていたのは、倉敷の外、岡山市の会社が倉敷市に向けて作った平屋のページ一件だけです。
建て替えについて言えば、その手前の「ページがある」が、二十四社でまだ一社でした。
建て替えのページを置くなら、解体・仮住まい・名義・費用の順に答える
実家を建て替えたい人は、土地を探さなくてよい代わりに、新しく土地から建てる人にはない問いを、順番に抱えます。三十件の中身は、その最初の問いがどこにあるかを示していました。宇都宮で1ページ目の八件が解体だったのは、この言葉を打つ人が、まず「いまの家をどうするか」を考えているからだと当社は読んでいます。
そこで、答える順番を次のように考えます。
- 解体。 解体は御社で手配するのか、施主が業者を探すのか。家財の片付けはどこまで含むのか。市に解体や空き家の補助金があるなら、対象になる条件と、市のページへの行き方。宇都宮の1ページ目では、市の補助金のページが工務店のページと並んでいました。探す人は両方を見ています。
- 仮住まい。 工事のあいだ、どこに住むのか。工期の目安、引っ越しが二回になること、親と同居していた家族がどうしたか。御社の事例で実際にあったことを書ける段です。
- 名義。 土地が親の名義のままなのか、親が亡くなって相続の手続きが要るのか、兄弟で共有しているのか。ここは御社が答えきる段ではありません。住宅ローンや登記の場面で名義が問題になりやすいことと、誰に相談すればよいか(司法書士など)を書けば足ります。
- 費用。 最後に、建物だけでなく、解体、仮住まい、手続きを足した総額の考え方を書きます。
費用を最後に置くのには理由があります。倉敷で「注文住宅 費用 相場」を検索すると、九件のうち八件が住宅会社のコラムで、どれも一般的な相場の解説が中心でした。建て替えのページを費用から始めると、その棚に並ぶ一枚になります。解体と仮住まいと名義を書いたあとに置く費用は、ほかの相場の記事には書けない、建て替えの総額になります。自社の価格をどこまで出すかは料金を載せるべきかに書きました。
題には、市の字まで入れます。「松本市で実家を建て替えるとき」のように、市の名前と、実家と、建て替えを一続きにします。松本のように地名が名字と重なる土地では、「市」の一字があるかどうかで1ページ目の顔ぶれが入れ替わることを、別の言葉で確かめています。名字の問題がない土地でも、どこの家の話なのかを題で言い切っておくことは、物件の一覧や全国向けの解説と分かれる目印になります。
書いておくべき留保が三つあります。
一つ目、この空白は、探す人が少ないから空いているのかもしれません。何回検索されているかは有料の道具を使わないと分からず、今回は見ていません。
二つ目、宇都宮の一枚が1ページ目に出ていることと、その会社に建て替えの相談が来ていることは別の話で、当社はそれを知りません。
三つ目、建て替えを手がけた事例が手元にないなら、ページは作らないほうがよいと考えます。仮住まいの段で書くことがなく、来た人の問いに答えられないからです。建て替えの相談が、紹介や近所のつながりで十分に来ているなら、ホームページに置く意味も薄くなります。
御社の地域名で、1ページ目の工務店のページを数える
道具は要りません。当社が三つの市でやった順番のまま書きます。
- 御社の地域名に市の字を付け、「実家 建て替え」を足して検索します。「松本市 実家 建て替え」のような形です。当社の記録は市の字を付けずに打ったものですが、御社が題に入れるのは市の字つきの言葉なので、そちらで数えます。
- 1ページ目を、題とアドレスだけ見て、工務店や住宅会社が建て替えについて書いたページを数えます。リフォームや解体だけのページは数えません。
- 残りのページに、何が埋めているかを一言ずつ書き添えます。三つの市で見たのは、別の建て替え(市庁舎など)、人の名前、解体、物件の一覧や工務店を探す一覧サイト、の四つでした。倉敷の市庁舎の話は、市の字を付けても消えるとはかぎりません。
- 同じことを「土地なし 注文住宅」「平屋 建てたい」でもやり、御社のサイトに、その三つの言葉に答えるページがあるかを並べて見ます。
工務店のページが一件もなく、残りが解体や物件で埋まっているなら、御社の商圏でも、建て替えを考え始めた人の最初の問いに答えている工務店はいません。そのとき、ページを置くかどうかを分けるのは、仮住まいの段に書ける建て替えの事例が、御社の手元にいくつあるかです。