ある工務店は、九月の連休に、平屋を建てたときの総額を一緒に試算する相談会を開いていました。総額は、来てくれた人に出す。多くの工務店のサイトは、この順番で作られています。
当社は2026年9月24日に、長野県松本市、岡山県倉敷市、栃木県宇都宮市の三つの市で、注文住宅を探すときの言葉を九つずつ検索し、1ページ目に出てきた地元の工務店のサイトを各市8社、計24社開きました。三つの市の全体は工務店のホームページ集客にまとめています。この記事で扱うのは、そのうち価格のことだけです。
先に立場を書きます。来場を決める前の人が知りたいのは、自分たちの家がおおよそいくらになるのか、総額の見当です。自社の価格を数字で出している工務店は少ないので、坪単価の幅か、実際に建てた家の総額の幅を出すだけで、比べられる側に立てます。出し方は、施工事例に総額の幅を添えるのが、いちばん誤解が少ないと考えています。
24社のうち、自社の家の値段が数字で分かったのは3社
24社のサイトで、自社が建てる注文住宅の価格を数字で確かめられたのは3社でした。松本が8社中2社、倉敷が8社中1社、宇都宮は8社中0社です。
3社の出し方は、それぞれ違いました。松本の1社はよくある質問の中で坪単価の幅を、もう1社はコラムの中で、この地域で建てる場合の建物価格と坪単価の目安を書いていました。倉敷の1社は、費用の相場を解説するコラムの中に、自社で建てた家の本体価格をいくつか載せていました。3社とも、数字があったのはよくある質問かコラムの中です。
残る21社には、数字がないか、あっても別の数字が書かれていました。月々の返済額だけを示す会社が1社(松本)。自社の価格ではなく、一般的な相場を紹介する記事だけを置く会社が3社(松本1、宇都宮2)で、松本の記事は2022年のものでした。分譲地や建売の価格、土地の価格だけが載っている会社が3社(倉敷2、宇都宮1)。そして14社は、サイトを見ただけでは価格の見当がつきませんでした。宇都宮のある会社はよくある質問のページを持っていましたが、そこにも数字はありません。
確かめたのは主にトップページと、そこから開いた一部のページです。奥の資金計画のページなどを見落としている可能性はあります。ただ、見落としがあるとしても、それは当社が何度か押しても届かなかった場所にある、ということでもあります。
「費用 相場」の1ページ目で相場を語っていたのは、市の外の会社だった
同じ日に「倉敷市 注文住宅 費用 相場」「宇都宮市 注文住宅 費用 相場」と検索しました。松本でも同じ言葉を検索しましたが、この言葉の1ページ目の内訳を分けて記録していなかったので、ここでは二つの市で見ます。使った検索の道具は1語あたり9件前後しか返さず、地図の枠と広告は見えません。
倉敷の9件のうち8件は、住宅会社のコラムでした。そのうち5件は倉敷市の外の会社のもので、岡山市の会社が3件、広島県福山市の会社が1件、山陰の会社が1件です。倉敷の工務店のページは3件あり、そのうち自社で建てた家の金額を確かめられたのは1件でした。先ほどの、相場のコラムに本体価格を載せていた会社です。
宇都宮の9件では、住宅会社のコラムが6件ありました。宇都宮の工務店2社で3件、市の外の会社が2件、全国ブランドの販売会社が1件です。宇都宮の工務店の3件は、どれも一般的な相場や県の平均の話で、自社の注文住宅の価格は書かれていませんでした。残りの中には、坪単価で絞り込んで住宅会社を探せるポータルの一覧も入っていました。
二つの市で同じことが起きています。「この地域で建てるとだいたいいくらか」を解説するページは、すでに1ページ目を埋めていて、書いているのはその市の工務店だけではありません。そして、どのページを読んでも分かるのは地域の話までで、「この会社に頼むといくらか」ではない。比べる人は、ポータルで坪単価の絞り込みを使い、よその会社のコラムで相場をつかみ、地元の工務店のサイトに来て、そこで値段が分からなくなります。
倉敷では、もう一つ目に入ったことがあります。岡山市の住宅会社が倉敷市のためのページを作り、自社の坪単価を「◯万円台から」の形で出していました。このページは「倉敷市 注文住宅」と「倉敷 平屋 建てたい」の1ページ目に入っています。この二つの言葉の1ページ目で、自社の注文住宅の値段を数字で見せていた住宅会社は、倉敷の外の会社のほうでした。
相場の記事をもう一本書くことは、当社は勧めません。そこはもう埋まっています。空いているのは、地元の会社が自分の家の値段を出す場所です。
月々の返済額も相場も、御社の家の値段にはならない
24社で見た数字の出し方を並べると、それぞれが答えている問いが違います。
月々の返済額は、「払えそうか」には答えますが、金利や頭金や返済の年数で変わるので、読む人は総額を逆算できません。一般的な相場は地域の話で、御社の話ではありませんし、年がたてば古くなります。分譲や建売、土地の価格は、注文で建てたい人から見れば別の商品の値段です。
坪単価の幅は、御社の数字になります。これだけでも、数字を出していない会社と並んだときに比べられる側に立てます。ただ、坪単価は何を含めるか(付帯工事、設計料、外構など)と、どの面積で割るかで、同じ家でも数字が変わります。読む人は自分の欲しい坪数を掛けて総額を思い描くので、含まれていないものの分だけ、見学会で聞く総額との間に差が出ます。出すなら、何を含めた数字かを一行添えます。
いちばん誤解が少ないのは、施工事例に総額の幅を添える形です。「延床◯坪、◯◯市、土地から探して、建物と付帯工事で◯◯万〜◯◯万円台(◯年に完成)」。一軒の家の条件と一緒に出すので、読む人は自分の条件と見比べられます。幅にするのは、お施主様の家の値段をそのまま公開しないためと、同じ仕様でも建てた時期で金額が変わるためです。
材料は、どの会社もすでに持っています。24社すべてが施工事例を載せていて、倉敷と宇都宮では、事例に建てた市町村を書いている会社が多くありました。それでも、確かめられた範囲で自社の家の金額を見せていたのは倉敷の1社だけで、それも事例のページではなく相場のコラムの中でした。新しいページを作る前に、いまある事例三つに一行ずつ足せば足ります。金額をいちばん正確に書けるのは見積もりを出している方なので、更新の権限が手元にあれば、社内でできる作業です。
正直に書いておくと、価格を出しても来場が増えない場合はあります。数字を見て予算に合わないと思った人は、来なくなります。件数が減ることをどう考えるかは料金を載せるべきかに書きました。出した数字が、その地域で探している人の考える幅と大きく離れていれば、見直すのはページではなく、価格か家の組み立てのほうです。また、価格を出すことで検索の順位が上がるわけではありません。効くのは、すでに御社のサイトに来ている人に対してです。
御社のサイトで、価格の見当がつくまで何回押すか
当社が三つの市で実際に見た順番で書きます。
- スマートフォンで、御社の地域名に「注文住宅 費用 相場」を付けて検索します。地名がよくある名字と同じなら、「市」の字まで入れます(松本では、市の字の有無で1ページ目の顔ぶれが入れ替わりました)。
- 1ページ目のうち、住宅会社のページに印をつけ、御社の市の会社か、市の外の会社かを分けます。
- 地元の会社のページを開き、その会社自身が建てた家の金額が書いてあるかを見ます。倉敷では9件中1件、宇都宮では0件でした。
- 次に御社のサイトを、初めて来た人のつもりでトップから開きます。価格の見当がつくまでに何回押したかを数えます。当社が24社で見た順は、トップ、よくある質問、施工事例、コラムでした。
- 最後に施工事例を三つ開いて、延床面積、建てた市町村、金額の幅が書いてあるかを見ます。
検索結果の数え方をもう少し詳しく知りたい場合は検索結果の数え方に、松本の調査の全体は松本市×工務店の見本に書いています。
地域の相場は、もう市の外の会社が書いています。御社のサイトに足すのは、御社が建てた家の総額の幅です。