この見本について
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏を調べます。どれだけの人がその土地を訪れているのか、その人たちがどういう言葉で宿を探しているのか、いま検索の上位にいるのは誰で、宿自身のサイトはどういう作りでそこにいるのか。そのうえで、後から入る余地があるかを判定し、見込みが立たなければお引き受けしません。
この見本は、その報告書の形をお見せするためのものです。特定の宿からご依頼をいただいて作ったものではなく、長野県北安曇郡白馬村と小さな宿(民宿、ペンション、ロッジ、ゲストハウス、一棟貸し)という組み合わせを、当社の側で題材として選びました。調査時点は2026年9月で、使ったのは公開されている情報だけです。公的統計を探して読み、言葉を打ち込んで検索し、出てきた宿のサイトを開いて確かめた。それ以上のことはしていません。
実際にお引き受けする調査では、ここに二つが加わります。一つは御社の記録です。予約がどの経路から何件入っているのか。予約サイト経由、電話、公式サイトのフォーム、村の旅行会社、リピーターの直接の連絡。宿の場合、ホームページから届く「問い合わせ」の多くは予約そのものか、予約の一歩手前の空き確認です。その内訳は御社の中にしかありません。もう一つは検索回数の実数です。どの言葉が月に何回探されているかは、有料の道具を使わなければ確定できません。この見本で「探され方」と書いているのは、検索したときに何が出るかという意味で、何人が探しているかという意味ではありません。
宿の名前は出さず、件数だけで扱います。どの宿が優れているかを比べるための調査ではなく、この商圏に後から入る余地があるかを見るための調査だからです。同じ日に、同じやり方で静岡県下田市と沖縄県宮古島市も調べました。三つの土地を並べた結果は小さな宿のホームページ集客に、宮古島の報告書は宮古島の小さな宿の見本にまとめています。
商圏の規模
宿の商圏は、住んでいる人の数では決まりません。見るのは、村を訪れる人の数と、その人たちを受け止める宿の数です。村に住む人は、令和8年9月1日現在で8,167人です。この数字は外国籍の住民を含み、月によって数百人の幅があります(令和8年4月1日現在は8,875人、4,907世帯)。
訪れる人から見ます。白馬村の「観光客入り込み状況(速報値)」によると、令和7年(2025年1月から12月)に村を訪れた人は2,909,680人でした。平地の観光が2,856,300人、山岳の観光が53,380人です。前の年の2,710,590人から約7%増えています。令和8年は1月から8月までで2,161,540人、前の年の同じ8か月(当社の計算で2,190,930人)とほぼ同じ水準です。この数字は、令和3年1月分から携帯電話の位置の情報をもとにした統計で推計されたもので、日帰りと宿泊の区別はありません。
月ごとに見ると、波は二つあります。令和7年は1月が480,330人、2月が472,180人と冬に山があり、8月にも502,900人と、冬と同じくらいの山がもう一つありました。反対に、4月は74,800人、11月は77,440人で、山の月の6分の1ほどです。
外国から来る人は、冬に偏っています。村の「令和7年 外国人観光客延宿泊者数統計」では、2025年の外国人の延べ宿泊者数は534,091人で、前の年の119.4%でした。いちばん多いのはオーストラリアで38.6%、続いて台湾、北アメリカがそれぞれ8.5%です。月では12月が28.7%、1月が23.3%で、この二か月で半分を超えます。上の入り込みの数は人数、こちらは泊まった延べの数なので、そのまま割り算はできません。ただ、8月の山は、外国から来る人の山とは重なっていないということは読み取れます。
受け止める側はどうか。村の「令和2年度 白馬村宿泊事業者実態調査報告書」には、長野県の旅館業の許可施設の一覧をもとにした数字が載っています。村内の宿泊施設は919軒、客室は8,503室、定員は29,680人です。内訳は、ホテルが67軒、旅館が277軒、簡易宿所(民宿やペンション、ゲストハウス、一棟貸しの多くが入る区分)が570軒で、定員30人以下の施設が全体の約64.6%を占めます。数字は5年以上前のもので、住宅宿泊事業法による民泊は含まれていません。いまの軒数は、この見本では確かめられませんでした。
まとめると、訪れる人は年に290万人を超え、冬と夏に二つの山があります。同時に、住む人8千人あまりの村に、令和2年度の調査の時点で900軒を超える宿があり、その多くが小さな宿です。人の多い商圏であり、選ばれる側がきわめて多い商圏でもある、というのが出発点です。
探され方
九つの言葉を、2026年9月24日に検索しました。中心の言葉が三つ(「白馬 民宿」「白馬 ゲストハウス」「白馬 宿 公式サイト」)、泊まる人の条件から出てくる言葉が六つ(「白馬 素泊まり 安い」「白馬 一棟貸し」「白馬 犬と泊まれる 宿」「白馬 長期滞在 宿」「白馬 民宿 口コミ」「白馬 山が見える 宿 小さい」)です。下田と宮古島では最後の言葉を「海が見える」にしており、白馬だけ「山が見える」に置き換えました。ほかの八つは三つの土地で同じ形です。
先に限界を書きます。検索結果は、見る人、時点、地域の設定で変わります。今回の道具は日本国外から検索したもので、白馬や首都圏のスマートフォンの画面と同じとはかぎりません。タイトルとURLの一覧しか返さないため、地図枠、広告、そして宿の検索でよく上に出る料金比較のホテル枠が出ていたかは、九つすべてで不明です。この枠が出ている言葉では、宿の公式サイトは画面の上ではここに書くよりさらに下に見えているはずです。また、日本語の言葉だけを検索しています。外国の人が英語で探したときの1ページ目は数えていません。
九つの言葉で1ページ目に出たのは、延べ84件でした。内訳は、予約サイト(旅行会社の予約サイトと料金比較の検索を含む)が48件、まとめ記事・宿の案内サイト・口コミサイトが17件、村の観光局と地元の観光協会のページが6件、宿の公式サイトが13件です。宿の公式サイト13件のうち5件は、複数の拠点を持つゲストハウスの運営会社、ホテル、複数の施設を持つ運営会社、規模を確かめられなかったコテージ型のホテルで、小さな宿は8件、84件のうち1割に届きません。この8件には、自分のホームページを持たず、観光局のサイトの中に置かれた民宿のページ1件を含めています。ほかの地域の宿や、宿と無関係なページは出てきませんでした。
言葉ごとに見ると、四つに分かれました。
小さな宿のページが入っている言葉。 「白馬 民宿」は十件のうち三件が小さな宿のページで、1位は観光局のサイトの中にある民宿のページでした。ほかに観光局の宿の案内と、地元の観光協会の宿の一覧が一件ずつ、地図サイトの一覧が一件入り、予約サイトは四件です。「白馬 宿 公式サイト」は九件のうち三件が宿の公式サイトで、そのうち二件が小さな宿でした。同じ日の宮古島では、この言葉に宿の公式サイトは一件も出ていません(柱の記事の2026年9月24日時点の数字)。「白馬 長期滞在 宿」も九件のうち二件が小さな宿のページで、どちらも長期滞在をページの題にしていました。
予約サイトが埋めている言葉。 「白馬 素泊まり 安い」は十件のうち八件、「白馬 一棟貸し」は九件のうち八件が予約サイトと料金比較で、残りはまとめ記事です。「白馬 民宿 口コミ」も九件のうち六件が予約サイトの順位のページ、三件が口コミサイトでした。どれも宿の公式サイトはありません。安さや評判を比べたい人の検索では、比べられる側の宿ではなく、比べる場所が選ばれています。
「ゲストハウス」と打っても、個人の宿が出ない言葉。 宮古島では小さな宿がいちばん多く入った「ゲストハウス」ですが、白馬では十件のうち予約サイトが五件、宿の案内サイトが二件、観光局が一件で、宿の公式サイト二件はどちらも複数の拠点を持つ運営会社のものでした。個人で営む宿は一件も入っていません。白馬では、この言葉は小さな宿の入口になっていません。
条件に答えるページが、まとめと予約サイトと観光局しかない言葉。 「白馬 犬と泊まれる 宿」は九件のうち五件がペット宿の紹介サイトやまとめ記事、二件が予約サイトのペット可の順位で、宿の公式サイトは二件、そのうち小さな宿は一件でした。「白馬 山が見える 宿 小さい」は九件のうち五件が予約サイト、二件が観光局の宿の案内と予約のページ、二件が口コミとまとめで、「小さい」に答える宿のページは一つもありません。
九つを通して、2回以上1ページ目に出てきた小さな宿は一軒もありませんでした。反対に、同じ予約サイトは何度も出てきます。多いものでは九つのうち六つの言葉に顔を出していました。予約サイトは言葉ごとに絞り込みのページを持っているので、条件の言葉が増えるほど、その条件に合わせたページで枠を取ります。もう一つ、白馬で目についたのは村の観光局です。観光局のサイトは九つのうち四つの言葉に出ており、宿の案内、宿ごとの紹介ページ、予約のページと、入り口を複数持っていました。三つの土地の観光協会・観光局のページについては民宿にホームページは必要かに書いています。
上位の顔ぶれ
九つの言葉で1ページ目に出た小さな宿のページは、8軒でした。この8軒をすべて開き、同じ項目で確かめました。内訳は民宿が3軒、旅館、ペンション、ロッジ、古い民家を使った宿が1軒ずつ、種類をサイトから確かめきれなかった宿が1軒です。1軒は、置かれている運営側のサイトの入口のページが開けず、運営の規模を確かめられませんでした。宿のページそのものは読めたので、8軒とも項目は数えています。
- 公式サイトの作り:独自のドメインで公式サイトを持っていたのは5軒です。残る3軒は、プロバイダが用意する住所のサイト、観光局のサイトの中のページ、運営側のサイトの中のページでした。SNSのページや予約サイトのページだけで営業している宿は、今回の8軒にはいません。ただしこれは選び方の性質で、SNSだけの宿はそもそも「公式サイト」として検索結果に出てきません。
- 空室を見て、そのまま予約できるか:日付を入れて空室を探す予約の画面につながっていたのは3軒です。最後の確定まで進めて試してはいません。ほかに2軒は、空室の表や外部の予約の仕組みへの入口を置いていますが、その場で予約が決まるかまでは確かめきれませんでした。残る3軒には、予約の仕組みがありません。
- 電話・メール・フォームのみか:その3軒の受付は、電話、メール、ファクスといった、宿が返事をして予約が決まる形です。そのうち1軒は、予約のページで、まず空き状況や料金を問い合わせるよう案内していました。
- 予約サイトへのリンク:公式サイトから予約サイトの宿のページへ案内しているのは1軒で、二つの予約サイトにつないでいます。残る7軒は、予約サイトに載っているかどうかにかかわらず、公式サイトからは案内していません。
- 公式サイト限定の料金や特典:はっきり書いていたのは2軒です。1軒は「予約サイトより安く予約できる」という趣旨、1軒はホームページ限定のプランと特典でした。ほかに1軒、泊まった人向けの割引を書いている宿がありましたが、公式サイトから予約した人に限るものではありません。
- 料金の表示:金額を出していたのは4軒です。4軒とも、空室を見てそのまま予約できる仕組みを確かめられた3軒には入っていません。
- 周辺の案内と読み物:店や観光地までの距離、村での過ごし方といった周辺の案内や読み物を置いていたのは5軒、地図と道順だけが2軒です。お知らせや読み物から2026年に入ってからの更新がうかがえたのは1軒、最後の日付が2025年のものが1軒、それより前の日付しか見当たらなかったのが2軒で、残る4軒は日付のある記事やお知らせが見当たりませんでした。それより前の日付しか見当たらなかった2軒のうち1軒は、日付のない新しいお知らせも置いており、実際の更新の時期は確かめきれませんでした。
- 外国語のページ:英語などのページを持っていたのは3軒です。残る5軒は日本語だけでした。
- 問い合わせの導線:7軒が電話を載せ、7軒がメールかフォームを持ち、7軒が自分の宿のInstagramかFacebookへつないでいます。LINEで受け付けているのは1軒でした。
項目の外で、もう一つ目についたことがあります。8軒のうち4軒が、長期滞在に向けた材料を持っていました。長期のプランを一枚のページにまとめた宿、長く泊まる人への割引と村での暮らし方の記事を置いた宿、長期滞在を歓迎すると一行書いた宿、連泊の料金は相談に応じると書いた宿です。一週間や一か月の料金を金額で出している宿はありませんでした。ほかに、犬連れを受け入れると書いた宿が2軒ありました。
全体として、8軒のサイトは二つに分かれていました。料金が読める宿と、その場で予約できる宿です。料金を出していた4軒は、どれも予約の仕組みがないか、確かめきれなかった宿でした。反対に、日付を入れて空室を探せる3軒は、どれも本文に金額を載せていません。泊まる人から見ると、料金を読んだ宿では返信を待ち、すぐ予約できる宿では日付と人数を入れるまでいくらか分からない、ということになります。予約サイトなら同じ画面で両方が済みます。予約サイトと公式サイトを見比べる人がどちらを選ぶかは、ここで決まりやすいと考えます。この分かれ方は、三つの土地の23軒でも同じでした(公式サイトから予約が入らない宿のサイトで見たこと)。
これはサイトの作りを外から見ただけの話です。各宿の稼働率や、予約サイトと直接予約の比率、リピーターの多さは分かりません。予約の仕組みを持たない宿が困っている、という意味ではありません。常連の多い宿なら、電話で足りているのかもしれません。村の実態調査でも、2018〜19年の冬に自分の施設で直接売っていた宿は回答の75.6%、国内の予約サイトは56.9%、海外の予約サイトは52.5%、村の旅行会社は39.4%でした(複数回答、有効回答160件)。多くの宿が、直接の販売と予約サイトを両方使っているということです。
入る余地
ここまでの観察から、空いている場所を挙げます。それぞれ、どの検索結果とどのサイトの観察を根拠にしているかを添えます。
一つ目、長期滞在。 「白馬 長期滞在 宿」の1ページ目には、小さな宿のページが2件入っていました。どちらも、長期滞在をページの題にした宿です。つまりこの言葉は、宿自身のページが実際に入れる場所です。一方で、8軒のうち長期滞在の材料を持つ4軒のうち、この言葉に出なかった2軒は、材料が「歓迎します」「ご相談ください」という一行にとどまっていました。一週間や一か月でいくらか、台所や洗濯はどうか、冬なら道具の置き場、夏なら車と買い物はどうするか。長く泊まる人が知りたいことに一つのページで答え、その言葉を題に入れる。ただ、村の山は冬と夏の二つで、長く泊まる人が冬のスキーの人か、夏の暑さを避ける人かで、書く中身は変わります。どちらの人が御社に泊まっているかは、御社の記録で決めます。
二つ目、公式サイトで予約する理由と、そこで予約を終えられること。 公式サイトで予約する理由を書いていたのは8軒のうち2軒、日付を入れて空室を探せるのは3軒で、両方がそろっている宿は確かめた範囲ではありませんでした。これは検索の空白ではなく、サイトの作りの問題です。観光局のページや予約サイトで宿を見つけた人が、宿の名前で公式サイトを探しに来たとき、そこで料金が読めて、予約を終えられるかどうか。順位とは関係なく、直接予約の件数に響く部分です。料金を載せるかどうかの考え方は料金を載せるべきかに書きました。
三つ目、観光局の紹介ページ。 観光局のサイトは九つのうち四つの言葉の1ページ目に出ており、「白馬 民宿」の1位は、自分のホームページを持たない民宿の、観光局のサイトの中のページでした。そのページには料金、予約の方法、電話とメールが載っています。村のほかの宿の紹介ページをどこまで埋めているかは、今回は開いていません。ホームページを作り直すより先に、観光局の紹介ページの欄が埋まっているかを見る価値があります。載せ方の手続きは観光局の側で決まっているはずで、当社は確かめていません。
四つ目、犬連れと外国語。 「白馬 犬と泊まれる 宿」の1ページ目で、小さな宿のページは1件だけでした。残りはまとめ記事と予約サイトで、まとめ記事は数軒を短く紹介するだけです。犬の大きさや頭数、部屋での過ごし方は、その宿しか書けません。外国語については、外国から泊まる人が年に延べ53万人いる土地で、8軒のうち5軒が日本語だけでした。ただし英語で検索したときの1ページ目は数えておらず、外国の人がどこで宿を決めているのかは今回の資料では分かりません。どちらも、御社がその人を実際に受けている場合だけの余地で、候補として挙げるにとどめます。長期滞在と外国語で宿の側が何を書けばよいかは、長期滞在と外国語の問い合わせを取りこぼす宿のサイトに書きました。
一方で、余地と言えない場所もはっきりしています。「白馬 素泊まり 安い」「白馬 一棟貸し」「白馬 民宿 口コミ」「白馬 山が見える 宿 小さい」は、予約サイト、まとめ記事、口コミサイト、観光局で1ページ目が埋まり、宿の公式サイトは一件もありません。いずれも比べる場所を探す人の検索です。「白馬 ゲストハウス」も、個人の宿ではなく複数の拠点を持つ運営会社が入っています。一軒の宿のページがそこに入って並ぶのは難しく、時間をかける先ではないと考えます。予約サイトと正面から枠を取り合わない考え方は、地方の会社と全国ポータルに書いたことと同じです。
この商圏に、これから入る事業者の見込みはあるか
この範囲の情報からは、「条件つきで見込みはある」と見えます。
規模の面では、足りています。村には年に290万人を超える人が訪れ、前の年より増えています。冬だけでなく夏にも同じくらいの山があり、外国からの延べ宿泊者も前の年の2割増しでした。一方で、宿の数は919軒(令和2年度の調査時点)と、住む人の数に比べてきわめて多い。人が多い分、選ばれる側も多い商圏です。
競争の面では、相手は同業の宿ではなく、予約サイトとまとめ記事、それに村の観光局です。九つの言葉の84件のうち71件がそのどれかでした。予約サイトの枠を奪いに行っても勝ち目は薄い。それでも白馬では、「長期滞在」のように、その問いをページの題にした小さな宿が1ページ目に入っている言葉がありました。予約サイトの絞り込みでは答えきれない問い(長く泊まるときの暮らし方、犬との過ごし方、英語での問い合わせ)に、宿自身が答えるページを置く。それが入る場所だと考えます。
条件というのは、次の三つが埋まることです。
一つは、その言葉が実際に探されているかです。「白馬 長期滞在 宿」や「白馬 犬と泊まれる 宿」に小さな宿が少ないのは、探す人が少ないからかもしれません。検索回数の実数を見なければ、時間をかける価値のある空白かどうかは決められません。
二つ目は、地図枠と料金比較のホテル枠です。宿の検索では、この二つが画面の上を大きく占めることがあります。今回は確かめられていません。枠が大きく出る言葉であれば、ページで1ページ目に入っても目に触れにくくなります。
三つ目は、御社の記録です。いま予約のうち何件が予約サイト経由で、何件が公式サイト、電話、村の旅行会社、リピーターの直接の連絡なのか。そして、それが冬と夏でどう違うのか。冬に予約サイトと旅行会社だけで埋まっている宿なら、ホームページの役目は冬の予約を増やすことより、同じ予約を公式サイトに移すことや、春と秋の空きの多い時期を埋めることになります。どちらなのかで、置くべきページも、数えるべき数字も変わります。
判定を「見込みはある」まで上げなかったのは、検索回数と画面の上の枠という、効き目を決める二つが見えていないからです。加えて、宿の軒数は5年以上前の数字しか確かめられず、外国の人が英語で探したときの画面も数えていません。実際にお引き受けする調査では、これらと御社の記録が埋まります。そのうえで見込みが薄いと判断したときは、その理由をお伝えします。
もし引き受けるなら、最初の半年に何をするか
以下は、この商圏で一般的にどういう順番になるかという話です。お約束の形ではありませんし、御社の現状によって順番は変わります。当社は海外のリゾート宿泊施設でサイトの設計・構築・集客を担当していますが、ここに書く順番は、国内の小さな宿での実績から組み立てたものではありません。
- 予約の経路を数える形を決める。 予約サイト、公式サイトのフォームや予約の仕組み、電話、メール、村の旅行会社、リピーターの直接の連絡。それぞれ月に何件あり、何泊だったかを記録する形を先に作ります。電話やメールで入った予約は、どこを見て連絡してきたのかが残りません。受けるときに「何を見てご連絡いただいたか」を一言聞く欄を入れ、答えの中に「観光局のページ」も加えておきます。数え方は問い合わせの数え方にまとめています。
- 観光局の紹介ページを確かめる。 料金、予約の方法、メール、ホームページの欄が埋まっているか、写真の季節が古くないかを見ます。ホームページに手を入れるより前にできることです。
- 公式サイトで料金が読めて、予約を終えられるようにする。 空室の見え方、予約の確定までの手順、料金の出し方、公式サイトで予約する理由の書き方を見直します。仕組みを入れるかどうかは、宿の規模と手間で決めます。電話で足りている宿に仕組みを入れても、数字は動きません。
- 持っている材料で、空いている言葉に一本ずつ置く。 長期滞在を受けているなら、長く泊まる人に向けたページに組み直します。冬の人向けか夏の人向けかは、1の記録で決めます。犬連れを受け入れているなら、その条件を詳しく書いたページに。英語での問い合わせを受けているなら、よく聞かれることに英語で答える一枚を置きます。御社が実際に受けていない条件のページは作りません。泊まった人に答えられないからです。
- 変えるのは一つずつ。 観光局の紹介ページ、予約の仕組み、料金の出し方、新しいページ。まとめて変えると、数字が動いたときに何が効いたのか分からなくなります。一つずつ変えて、記録と突き合わせます。季節の波が大きい土地なので、比べる相手は前の月ではなく、前の年の同じ月です。
半年で結果が出るかというと、そこは動き始めるかどうかの時期です。当社が運営に携わっている相続の事務所でも、数字が動き始めたと感じたのは半年ほど経ってからでした。業種が違い、宿には冬と夏の波と、その間の静かな時期もあるため、同じ速さで動くとは考えていません。
この見本で分からないこと
まとめて書いておきます。
- 検索結果は、見る人・時点・地域の設定で変わります。ここにあるのは2026年9月24日の一つの記録で、日本国外からの検索です。
- 地図枠、広告、料金比較のホテル枠の表示は確認できていません。九つの言葉すべてで不明です。
- 各言葉の検索回数は、公開情報だけでは分かりません。
- 日本語の言葉だけを検索しています。外国の人が英語などで検索したときの1ページ目は数えていません。
- 村の宿泊施設の軒数は、令和2年度の村の調査報告書に載っている数字で、いまの軒数は確かめられていません。民泊の届出の件数も見つけられませんでした。
- 観光客の入り込みの数は村の速報値で、携帯電話の位置の情報をもとにした推計です。日帰りと宿泊の区別はありません。
- 8軒は、九つの言葉で1ページ目に出た小さな宿のページの全部ですが、村の小さな宿の全部ではありません。2ページ目以降の宿や、予約サイトや観光局の中にだけ名前がある宿は含んでいません。
- どこまでを「小さな宿」と数えるかには判断が入っています。コテージ型のホテル1件は規模を確かめられず、小さな宿に数えませんでした。1軒は運営側のサイトの入口を開けず、運営の規模を確かめていません。
- 予約の仕組みは、日付を入れて空室を探す画面につながることまでを確かめ、予約の確定までは試していません。
- サイトの内容は、要約を介して読み取った部分があります。件数や日付は元の表現を拾うよう努めましたが、見落としの可能性は残ります。
- 各宿の稼働率、予約の経路の内訳、リピーターの割合は、外からは分かりません。
公開情報だけで言えることは、ここまでです。この先を埋めるために、実際の調査では御社の記録と検索回数の実数を加えます。
御社でも、今日できること
道具を入れていなくても、今日のうちに確かめられることがあります。今回の調べ方で、実際に差が見えた順に並べます。
- 村の名前に、御社の宿が受けている条件(長期滞在、犬連れ、一棟貸しなど)を足して検索する。1ページ目に宿の公式サイトがいくつ、予約サイトがいくつ、まとめ記事や観光局のページがいくつ出るかを数える。御社のサイトがどこにもなければ、その条件に答えるページがまだないのかもしれません。
- 御社の宿の名前だけで検索し、公式サイトが予約サイトより上に出るかを見る。予約サイトや観光局のページで御社を見つけ、公式サイトを探しに来る人が、まず打ちそうな言葉です。
- 観光局のサイトで御社の紹介ページを開き、料金、予約の方法、メール、ホームページの欄が埋まっているかを見る。
- スマートフォンで御社の公式サイトを開き、料金を確かめ、泊まりたい日の空きを確かめて予約を終えるまでに、何回の操作と何時間の待ちがあるかを数える。同じことを予約サイトの御社のページでもやって、並べてみる。
- この一年の予約を、予約サイト、公式サイト、電話、メール、旅行会社、リピーターに分け、冬と夏とそれ以外の月で数える。記録がなければ、次の予約から一言聞くようにする。
最初の三つだけでも、御社の宿が「予約サイトや観光局の中でだけ見つかっている」のか、「公式サイトまで来た人を返信待ちで逃している」のかは、おおよそ見当がつきます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「民宿 集客」「ペンション 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、実際に数えた中身のあるページを置きました。
御社の宿を探す人も、同じように探しています。「白馬 長期滞在 宿」のように、土地と条件と気がかりを掛け合わせた言葉です。当社が御社の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御社が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。
御社の商圏でも、同じ形で調べます
この見本は白馬村と小さな宿を題材にしましたが、形はどの商圏でも同じです。規模を見て、探され方を見て、上位の顔ぶれを見て、入る余地を挙げ、見込みを判定する。見込みが立たないときは、その理由をお伝えしてお引き受けしません。
同じ商圏で同業の宿を同時にお預かりすることはありません。すでにお預かりしている商圏では、お受けできない場合があります。御社の商圏でこの形の報告書を見てみたい段階でしたら、相談するからご連絡ください。
出典
- 白馬村「人口の推移(月次別)」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/gyosei/soshikikarasagasu/somuka/kikakuchoseigakari/15/2/1564.html
- 白馬村「行政区人口・世帯数」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/gyosei/soshikikarasagasu/somuka/kikakuchoseigakari/15/2/1566.html
- 白馬村「観光統計」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/gyosei/soshikikarasagasu/kankoka/kankoshokokakari/4/1576.html
- 白馬村「観光客入り込み状況(速報値)」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/material/files/group/7/irikomi.pdf
- 白馬村「令和7年 外国人観光客延宿泊者数統計」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/material/files/group/7/gaikokujin.pdf
- 白馬村「令和2年度 白馬村宿泊事業者実態調査報告書」 https://www.vill.hakuba.lg.jp/material/files/group/7/shukuhakujittaichousa.pdf