「民宿 ホームページ 集客」や「ゲストハウス 集客 方法」で検索すると、1ページ目に並ぶのは、集客の方法を網羅して並べた記事や、ホームページ制作会社の比較サイトです(2026年9月に当社が確かめたとき)。間違ったことは書いていませんが、「民宿」を「歯科医院」に置き換えても、ほとんどそのまま通じます。御社の宿がある土地で、泊まる人がどんな言葉で宿を探し、その1ページ目に誰のページが並んでいるのかは、そうした記事からは分かりません。
当社は、ホームページの運営を引き受ける前に、その商圏の検索結果を数えます。小さな宿(民宿、ゲストハウス、一棟貸し、ペンションや小さなロッジ)について、2026年9月24日に、静岡県下田市、長野県白馬村、沖縄県宮古島市の三つの土地で同じやり方を試しました。泊まる人が打ちそうな九つの言葉で1ページ目に誰が出るかを数え、土地ごとに八軒ずつ、合わせて24軒の宿を開いて、同じ項目で並べています。そのうち公式サイトが見つかったのは23軒でした。宮古島は商圏調査の見本として一本にまとめています。
当社は海外(インドネシアのロンボク島)のリゾート宿泊施設で、サイトの設計・構築・集客を担当しています。ただ、この記事に書く見立ては、その仕事から持ってきたものではなく、国内の三つの土地で数えた結果から組み立てたものです。
先に、数えられなかったことを書きます。九つの言葉は、三つの土地で同じ形にそろえました。中心の言葉が「地名+民宿」「地名+ゲストハウス」「地名+宿 公式サイト」の三つ、泊まる人の条件から出てくる言葉が「素泊まり 安い」「一棟貸し」「犬と泊まれる 宿」「長期滞在 宿」「民宿 口コミ」「海が見える 宿 小さい」(白馬は「山が見える」)の六つです。使った検索の道具は一つの言葉につき9件か10件の題とアドレスを返すだけで、地図枠、広告、宿の検索で画面の上によく出る料金比較のホテル枠は、九つすべてで見えていません。検索は日本の外から行い、各地のスマートフォンの画面と同じとはかぎりません。検索回数の実数も分かりません。数え方そのものは検索結果の1ページ目を数えるに書いています。
三つの土地とも、1ページ目の小さな宿の公式サイトは8件だった
三つの土地の九つの言葉で、1ページ目は延べ253件でした。内訳は、予約サイト(楽天トラベルやじゃらん、Booking.comのような宿泊予約サイト=OTA、旅行会社の予約サイト、料金比較の検索を含む)が123件、まとめ記事・観光ポータル・口コミサイトが73件、観光協会・旅館組合・村の観光局が22件、宿の公式サイトが35件です。公式サイトのうち11件は大型ホテルやリゾート、複数の拠点を持つ運営会社のもので、小さな宿の公式サイトは24件、全体の1割に届きません。
土地ごとに見ると、小さな宿の公式サイトは下田が85件中8件、白馬が83件中8件、宮古島が85件中8件で、三つとも同じでした。
違いが出たのは宿の外の顔ぶれで、宮古島は予約サイトが46件と最も多く、観光協会は3件だけでした。下田は観光協会と旅館組合が11件、白馬は村の観光局が8件です。
もう一つ、三つの土地に共通していたことがあります。小さな宿の公式サイト24件は、同じ宿のページが二つ並んだ一組を除いてすべて別々の宿で、どの宿も九つのうち一つの言葉にしか出てきませんでした。反対に、予約サイトは同じ名前が何度も出ます。宮古島ではじゃらんが九つのうち七つの言葉に、下田では楽天トラベルが六つの言葉に出ていました。予約サイトは「素泊まり」「ペット可」「一棟貸し」と条件ごとの絞り込みのページを持ち、言葉が変わるたびにそのページで枠を取ります。宿のサイトは、一つの言葉に出るのがやっとでした。
言葉ごとに見ると、小さな宿の公式サイトがまとまって入っていたのは「ゲストハウス」でした。下田は10件中4件、宮古島は10件中5件で、宮古島では6位から10位までが宿自身のページです。ただ白馬では、この言葉に出た公式サイト2件がどちらもゲストハウスのチェーンや複数の拠点を持つ運営会社で、個人の宿は入っていませんでした。
反対に、「素泊まり 安い」「民宿 口コミ」「海(山)が見える 宿 小さい」の三つは、三つの土地の延べ85件のうち、小さな宿の公式サイトが一件もありませんでした。「小さい」と打っても、1ページ目は施設の一覧とランキングで埋まっていました。
「地名+宿 公式サイト」は、打った人の意図がいちばんはっきりした言葉のはずです。それでも下田では、1ページ目の公式サイト4件がすべて大型ホテルとチェーンで、宮古島では公式サイトそのものが一件も出ず、予約サイトが7件、観光協会が2件、まとめが1件でした。白馬だけは例外で、小さな宿の公式サイトが3件入っていましたが、三つのうち二つの土地で、この言葉は小さな宿の入口になっていません。
比べる人の言葉は予約サイトの場所で、宿が出るのは一つの問いに答えたときだった
ここから当社の立場を書きます。小さな宿の公式サイトを、「地名+民宿」「素泊まり 安い」「口コミ」のような言葉で予約サイトより上に出そうとするのは、時間の使い方としてやめたほうがよいと考えています。
理由は、その言葉を打つ人が探しているのが、一軒の宿ではなく、宿を並べて比べられる場所だからです。「安い」と打つ人は、安い順に並んだ一覧を見たい。「口コミ」と打つ人は、何軒もの宿の評判を一度に読みたい。一軒の宿の公式サイトは、どれだけよく作っても自分の宿のことしか書けず、比べる人の問いに一覧より上手に答えることはできません。「地名+民宿」には1〜2件の小さな宿が入っていましたが、それは地元で先に席を持っている宿の場所で、後から入る宿がそこを取り合っても、空く席は多くありません。予約サイトの多い言葉と正面から取り合わない考え方は、地方の会社と全国ポータルにも書きました。
では、宿のサイトが出てきたのはどういう言葉だったか。「長期滞在 宿」の結果が、いちばん分かりやすく見えました。
白馬では、この言葉の1ページ目に小さな宿のページが2件入っていました。一つは長期滞在のプランを一枚のページにまとめ、題にもそう書いた宿のページ、もう一つは、題から見て長期滞在での過ごし方を書いた宿の読み物です。宮古島でも、1ページ目に入った小さな宿は、題に「長期滞在もできる」と書いていた宿でした。
下田では、この言葉の1ページ目に宿の公式サイトは一件もなく、予約サイトと観光協会だけでした。ところが、開いた宿の中には、半月や一か月の料金をはっきり出している宿が一軒あります。料金を確かめられたのは予約の申し込みのページの中で、その宿が1ページ目に出たのは「ゲストハウス」の言葉のほうです。宮古島でも、8軒のうち4軒が週や月の料金、長期滞在の記事という材料を持っていながら、「長期滞在」の1ページ目に出たのは1軒だけでした。残る3軒は「ゲストハウス」の言葉では1ページ目に出ているので、検索に拾われていないわけではありません。
回数が少なく、理由を言い切ることはできません。ただ、同じ材料を持っていても、その問いを題にした一枚のページがある宿は出てきて、料金表やフォームの中にだけ材料がある宿は出てこなかった、という並びにはなっていました。
犬連れでも似た形が見えました。宮古島には、ペットの受け入れを案内するページを持つ宿が一軒ありましたが、「犬と泊まれる 宿」の1ページ目は予約サイトとペット宿の紹介サイトだけでした。三つの土地の27件で、小さな宿の公式サイトは2件です。「一棟貸し」も、27件のうち小さな宿の公式サイトは3件でした。
予約サイトの絞り込みは、「ペット可」の印が付いた宿を並べることはできます。けれども、大きな犬を二頭連れて部屋に上がれるのか、一か月いたら洗濯と食事はどうするのか、一棟に車を何台停められるのか、英語で問い合わせて返事が来るのか。泊まる前に確かめたいこうした問いには、その宿しか答えられません。当社が狙う場所と考えているのは、この問いです。ただし、御社が実際に受けている条件に限ります。
23軒の公式サイトを並べると、「予約できるサイト」と「料金が読めるサイト」に分かれていた
三つの土地で開いた24軒のうち、下田で予約サイトに繰り返し出ていた一軒は、公式サイトが見つかりませんでした(一度探しただけです)。残る23軒の公式サイトを、同じ項目で確かめました。下田と宮古島の15軒はすべて独自のドメインで、白馬の8軒のうち3軒は、プロバイダや観光局、運営会社のサイトの中に置かれたページです。
空室を見て、その場で予約を終えられると確かめられたのは、23軒のうち7軒でした(下田2、白馬4、宮古島1)。予約のページや空室の表示はあるものの、仕組みまで確かめきれなかった宿を足しても10軒です。残る宿の受付は、送信したあと宿からの返信で確定するフォーム、電話やLINEだけ、あるいは予約のボタンを押すと予約サイトの宿のページへ移る形でした。
料金の金額をサイトに載せていたのも、23軒のうち10軒です(下田2、白馬3、宮古島5)。
この二つを重ねると、はっきり分かれました。その場で予約できると確かめられた7軒のうち、サイトの本文に金額を載せていた宿は一軒もありません。金額は予約の画面に進めば出るはずで、そこは確かめていません。それでも、泊まる人は日付と人数を入れるまで、いくらかかるのかを知ることができません。反対に、金額を載せていた10軒は、どれも予約の仕組みがないか、確かめられなかった宿でした。料金は読めるのに、予約は返信待ちです。
公式サイトで予約する理由を書いていたのは、23軒のうち6軒です(下田2、白馬1、宮古島3)。「予約サイトより公式からのほうがお得」「公式からの予約が最安値」「直接の予約で1割引」「ホームページ限定の長期滞在のプラン」といった書き方です。その6軒のうち、その場で予約を終えられると確かめられたのは1軒でした。理由を読んで公式で予約しようと決めた人が、そこから返信を待つことになります。この食い違いについては、公式サイトから予約が入らない宿のサイトで見たことに分けて書きました。
外国語のページを持っていたのは4軒でした(下田2、白馬2、宮古島0)。一週間や一か月の料金を出していたのは5軒です(下田1、白馬1、宮古島3)。
これはサイトを外から見ただけの話で、各宿の稼働や予約の比率は分かりません。常連の多い宿なら、電話とメールで足りているのかもしれません。
土地ごとに空いていたもの:下田の宿の一覧、白馬の外国語、宮古島の長期滞在
下田では、1ページ目の外に多くの宿がいた。 下田市観光協会のサイトの民宿の一覧には19軒が載り、各宿の紹介ページに「ホームページ」の欄があります。開けた18軒のうち、この欄に独自のホームページがあったのは7軒、Instagramだけが1軒で、10軒は欄が空いていました。料金の記載があったのは18軒中1軒、メールの記載は一軒もなく、予約の方法は電話と書かれた宿がほとんどです。ホームページを持つ7軒も、九つの言葉の1ページ目に公式サイトとしては一軒も出ていません。一方で、観光協会の宿の一覧は四つの言葉の1ページ目に出ていました。泊まる人がたどり着く場所の一つが協会のページで、その先が電話番号だけで終わる宿が多い、ということです。下田市の統計書によると、令和6年度の宿泊客は913,718人、宿泊施設508軒のうち257軒が簡易宿所(民宿やゲストハウス、一棟貸しの多くが入る区分)でした。
白馬では、外国から来る人の多さに、宿のサイトの言葉が追いついていなかった。 白馬村の統計では、2025年の外国人観光客の延べ宿泊者数は534,091人で、前年の119.4%でした。いちばん多いのはオーストラリアで38.6%を占め、月では12月と1月が多くなっています。村の宿泊事業者の実態調査(令和2年度)でも、2018〜19年の冬に外国からの客を受け入れた施設は57.8%、宿泊客の7割以上が外国人という施設が14.7%ありました。ところが、開いた8軒のうち外国語のページを持っていたのは2軒で、残る6軒の民宿・ペンション・ロッジは日本語だけでした。日本語で検索した1ページ目にさえ、台湾版の料金比較サイトのページが三つの言葉に、英語の宿のガイドが一つの言葉に出ていました。ただし、外国の人が英語で検索したときの1ページ目は数えていません。言えるのは、外国から泊まりに来る人の多い土地で、個人の宿のサイトの多くが日本語でしか話していない、というところまでです。
宮古島では、長期滞在の材料を持つ宿が、長期滞在の言葉にいなかった。 宮古圏域の入域観光客は令和7年度に1,263,397人で、県の資料のグラフで見るかぎりコロナ前の最多を上回りました。宿泊施設は572軒で県内でいちばん多く、一年で23軒増えています。先に書いたとおり、8軒のうち4軒が長期滞在の材料を持っていながら、「長期滞在 宿」の1ページ目に出たのは1軒でした。この土地では、宿のサイトに足りないのは材料ではなく、その材料を問いの形に組み直した一枚だと見ています。長期滞在と外国語の二つの空白は、長期滞在と外国語の問い合わせを取りこぼす宿のサイトで、宿の側で何を書けばよいかまで書いています。
「OTA依存からの脱却」ではなく、公式サイトに移せる予約を移す
「OTA 依存 脱却 宿」で検索すると、当社が確かめたときは、予約サイトに頼ることの良し悪しと施策を並べた記事が1ページ目の多くを占めていました。宿の経営者が自分の経験を書いた記事もありますが、予約の比率の数字までは出ていません。
白馬村の実態調査には、宿がどの経路で客室を売っているかを尋ねた設問があります(2018〜19年の冬、複数回答、有効回答160件、回収率は約40.7%)。答えは、自施設での直接販売が75.6%、国内の予約サイト(じゃらん・楽天など)が56.9%、海外の予約サイト(Booking.com・Expediaなど)が52.5%、村の旅行会社が39.4%、国内大手の旅行会社の予約サイトが36.3%でした。複数回答なので、それぞれの経路を使っている宿の割合と読めます。
読み取れるのは、多くの宿が直接の販売と予約サイトを両方使っている、ということです。なお、「自施設での直接販売」には電話や常連からの予約も入っているとみられ、ホームページ経由がどれだけかは、この調査の区分からは分かりません。
当社も、予約サイトをやめる話はしません。1ページ目の半分近くが予約サイトだった以上、宿を比べて探す人に見つけてもらう場所は、これからも予約サイトです。ホームページの役目は、その外側にあります。一つは、予約サイトで御社を見つけた人が、宿の名前で公式サイトを探しに来たとき、そこで予約を終えられること、そして公式で予約する理由が書いてあること。もう一つは、予約サイトの絞り込みでは答えきれない問いに、宿自身が答えていることです。順位を追うことより、予約の置き場所を少しずつ公式に移すことのほうが、小さな宿のホームページにできる仕事だと見ています。
そのうえで、ホームページが効きにくい場面もはっきりあります。
- 繁忙期は、予約サイトだけで埋まる。 下田市の統計書の月別の数を足すと、令和6年度の宿泊客のうち3割近くが7月と8月の二か月に集まっていました。その時期に予約サイトだけで満室になる宿では、ホームページで増やせるのは予約の数ではありません。同じ予約のうち公式に移る分と、残る十か月のほうです。
- 1ページ目に入っても、見えにくいことがある。 宿の検索では料金比較のホテル枠と地図枠が画面の上を占めることがあり、今回は確かめられていません。
- 空いている言葉が、探されていない言葉かもしれない。 「長期滞在」や「犬と泊まれる」に小さな宿が少ないのは、探す人が少ないからという可能性も残ります。検索回数の実数を見るまで、空白の値打ちは決められません。
- 常連で回っている宿。 電話とメールで予約が足りているなら、予約の仕組みを入れても数字は動きません。予約の仕組みを入れれば、予約サイトと公式サイトの空室を合わせる手間も増えます。
今日、御社の宿で確かめられること
スマートフォンと紙で確かめられます。三つの土地で差が見えた順に並べます。
- 宿の名前だけで検索する。 公式サイトが予約サイトの宿のページより上に出るかを見ます。予約サイトで御社を知った人が打つ言葉です。
- 地名に、御社が実際に受けている条件を足して検索する。 「長期滞在」「犬と泊まれる」「一棟貸し」など。紙に「宿の公式」「予約サイト」「まとめ・ポータル」の三つの欄を書き、1ページ目を上から数えます。宿の公式が一件もなく、御社がその条件を受けているなら、そこが一枚のページを置く候補です。
- スマートフォンで公式サイトを開き、泊まりたい日の予約を終えるまでを数える。 何回の操作と、どれだけの返信待ちがあるか。同じことを予約サイトの御社のページでもやって、並べます。
- 公式サイトに、公式で予約する理由と料金が読めるかを見る。 一行でもあるか。料金を載せるかどうかの考え方は料金を載せるべきかに書いています。
- 観光協会や旅館組合のサイトで、御社の紹介ページを開く。 下田では、泊まる人がたどり着く場所の一つがここでした。ホームページの欄、料金、メールの欄が空いていないかを見ます。載せる内容を協会に伝えるだけで直ることもあります。
- この三か月の予約を、経路ごとに数える。 予約サイト、公式サイト、電話、メッセージ、常連の直接の連絡。記録がなければ、次の予約から「何を見てご連絡いただいたか」を一言聞いて残します。数え方は問い合わせの数え方にまとめています。
1から3で、御社の宿が「予約サイトの中でだけ見つかっている」のか、「公式サイトまで来た人を返信待ちで手放している」のか、それとも「答えられる問いがあるのに、まだ一枚も置いていない」のかの見当がつきます。6の記録が三か月たまれば、そのどれを先に直すかは、外から数えた話ではなく、御社の数字で決められます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「民宿 ホームページ 集客」「ゲストハウス 集客 方法」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、三つの土地で実際に数えた中身のあるページを置きました。
御社の宿を探す人も、同じように探しています。「宮古島 長期滞在 宿」「下田 犬と泊まれる 宿」のように、土地と条件と気がかりを掛け合わせた言葉です。当社が御社の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御社が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。