ホームページからの問い合わせを増やしたいと考えたとき、思いつく手はたくさんあります。記事を足す、広告を出す、デザインを新しくする、フォームを短くする。検索すると、こうした手を十いくつ並べた記事が多く出てきます。どれも間違いではありません。ただ、どの手から始めるかで、打った手が効くかどうかは変わります。
当社の答えは、次の順番です。今の件数を正しく数える。どの入口から来ているかを見る。問い合わせの手前で離れている場所を直す。そのあとで入口を増やす。この記事は、その順番の全体図です。段階ごとに、何の数字を、どの画面で、どう読むかを書き、詳しい手順はそれぞれの記事に送ります。
結論:手をつける順番と、段階ごとに見る数字
表の中の GA4 は Google アナリティクス 4(Google の無料のアクセス解析)、Search Console は自社のサイトが Google の検索でどう見えているかを確かめる、同じく無料の道具です。
| 順番 | すること | 見る数字 | 主に見る場所 |
|---|---|---|---|
| 1 | 今の件数を数える | 月ごとの問い合わせの件数と、面談や見積もりに進んだ件数 | 受付の記録(電話・フォーム・メール) |
| 2 | 入口を見る | 問い合わせにつながった最初のページと、検索された言葉 | GA4 のランディング ページ、Search Console の検索パフォーマンス |
| 3 | 手前で離れる場所を直す | 問い合わせのページを見た数と、送信や発信の数 | GA4 のページとスクリーン、キーイベント |
| 4 | 入口を増やす | 表示はあるのに選ばれていない言葉、地元の答えが少ない言葉 | Search Console、自分での検索 |
入口を増やすのを最後に置くのは、増えた人が流れ込む先が、手前で人が離れる場所のままだと、増えた分も同じ場所で離れるからです。直す場所を決めるのを入口を見たあとにするのは、問い合わせの大半を運んでいるページが分からないまま直すと、いちばん働いているページを崩すことがあるからです。そして、すべての前に数えるのは、数えていないと、どの手を打っても効いたかどうかを判断できないからです。
この順番は当社の見立てで、調査で確かめられた決まりではありません。当社が運営をお引き受けするときも、この順番で始めています。
1. 増やす前に、今の件数を正しく数える
最初に要るのは、「先月、問い合わせは何件あったか」に一つの数字で答えられることです。電話、フォーム、メール、LINE と窓口が分かれていると、窓口ごとに受ける人が違い、合計を持っている人がいない、ということが起きます。
数えるのは二つです。月ごとの件数と、そのうち面談や見積もりに進んだ件数。業者の売り込みや間違い電話は分けます。件数だけを追うと、増えた・減ったの話で終わってしまい、その問い合わせが御社にとって意味のあるものだったかが見えません。記録の列の作り方と続け方はホームページからの問い合わせの数え方に書いています。
GA4 の数字は、件数そのものではありません
GA4 でフォームの送信を数えていても、その数字は問い合わせの件数と一致しません。売り込みや二重の送信が混ざれば多く出ますし、番号を見て手で電話をかけた人は映らないので少なく出ます。どちらにどれだけ振れるかは会社によって違います。当社が自社のサイトに計測を入れたときに何を数え、何を数えないと決めたかはGA4で問い合わせを計測するに書きました。件数は受付の記録で数え、GA4 の数字はその横に並べて使います。
件数が少ないうちは、月ごとに比べない
地域の事業者のサイトでは、問い合わせが月に数件ということも珍しくありません。月3件が翌月5件になっても、それが手を打った結果なのか、たまたまなのかは区別できません。当社は、手を入れた前後を比べるときは三か月ずつの合計で並べています。季節で動く業種なら、前の年の同じ時期とも並べます。
次の段階に進む目安は、直近三か月の件数と、面談や見積もりに進んだ件数を、窓口を合わせて言えることです。記録が今日からしかなくても、フォームの自動返信メールと電話の着信履歴をさかのぼれば、ある程度は埋められます。
2. どの入口から来ているかを見る
件数がそろったら、その問い合わせがどこから来たかを見ます。入口には二つの見方があります。どのページから入った人か、と、何と検索して来た人か、です。
GA4:問い合わせにつながった最初のページ
GA4 の「レポート」から「エンゲージメント」、「ランディング ページ」と開くと、訪問した人が最初に開いたページごとに、セッションの数やキーイベントの数が並びます(Google のアナリティクス ヘルプによる)。キーイベントは、フォームの送信のように事業にとって大事な動きに付ける印で、以前は「コンバージョン」と呼ばれていました。フォームの送信をキーイベントにしていなければ、この列は空のままです。
見るのは、キーイベントの列に数字が付いているページがいくつあるかです。トップページ以外にほとんど付いていないなら、問い合わせは社名を知って直接来た人に偏っている可能性があります。一つの記事やサービスのページに集まっているなら、そのページが今いちばん働いている入口です。次の段階でどこを直すにしても、このページは崩さないように扱います。
同じ「レポート」の「集客」、「トラフィック獲得」では、検索、広告、直接の訪問、ほかのサイトからのリンクといった経路ごとの数が見られます。問い合わせの多くが広告から来ているなら、入口を増やす前に、広告を止めたとき何が残るかを確かめておく必要があります。その順番は広告を止めると問い合わせが止まる状態から抜け出す順番に書いています。
Search Console:何と検索されて来たか
Search Console の「検索パフォーマンス」には、検索結果に表示された回数、クリックされた回数、クリック率、平均の掲載順位が、検索された言葉(クエリ)ごと、ページごとに出ます。既定では過去3か月分が表示されます。また Search Console のヘルプによれば、利用者のプライバシーを守るため、一部の言葉は一覧に出ません。言葉の一覧を足し上げても全体のクリック数に届かないのはそのためです。
ここでは、言葉を二つに分けて見ます。社名やサービスの固有の名前を含む言葉と、それ以外です。クリックの大半が社名の言葉なら、サイトは御社をすでに知っている人の確認には使われていても、まだ知らない人の入口にはなっていません。それ以外の言葉に、お客様が電話で最初に口にする言い方が見当たらないなら、ページが売る側の呼び名でしか書かれていない可能性があります。その確かめ方はホームページのアクセスが増えないのは、記事の数のせいではありませんに書きました。
電話をかけてくる人は、GA4 にも Search Console にも映らないことがあります。受けたときに「何をご覧になってお電話くださいましたか」と一言聞き、記録に一列足すのが、いちばん取りこぼしの少ない方法です。
次の段階に進む目安は、問い合わせを運んでいる入口を三つまで挙げられ、社名の検索とそれ以外のおおよその割合が分かることです。
3. 問い合わせの手前で離れている場所を直す
入口が分かったら、その入口から問い合わせまでの間で、人がどこで離れているかを見ます。離れ方は大きく二つです。問い合わせのページまで来ない場合と、来たのに送らない場合です。
GA4 の「エンゲージメント」、「ページとスクリーン」で、問い合わせフォームのページの表示回数を見て、同じ期間のフォーム送信の数と並べます。フォームのページは見られているのに送信が少ないなら、フォームそのものを疑います。フォームのページがそもそも見られていないなら、その手前のページ、つまりサービスの説明や料金のページに、問い合わせを決めるための材料が欠けているか、問い合わせへの道が見つけにくいことを疑います。比べる相手は、どこかの業界の平均ではなく、御社の前の期間です。
GA4 の「探索」にある「ファネル データ探索」を使えば、入口のページ、料金のページ、フォーム、送信と、段ごとに何人残ったかを並べることもできます。ただ、件数の少ないサイトでは一人二人の差で割合が大きく動くので、最初は二つの数字を並べるだけで足ります。
フォームの項目数
項目を減らすと送信は増えるのか。中小の事業者の問い合わせフォームに限った公開の調査は、当社が探した範囲では見つかりませんでした。近い調査を二つ挙げます。
- 米国の Baymard Institute は、ネット通販の購入手続きの調査で、2024年の平均的な手続きには11.3の入力項目がある一方、多くのサイトは合計8項目で足りると書いています(Baymard Institute「Checkout Optimization: Minimize Form Fields」)。
- Google とスイスのバーゼル大学の研究者が2014年に発表した研究では、ドイツ語圏の新聞・雑誌サイトの会員登録フォーム三つを、入力フォームの改善の指針に沿って作り直し、65人に使ってもらいました。1回目で送信を終えられた人の割合は、元のフォームの31%、28%、69%から、作り直したフォームではそれぞれ73%、73%、88%になっています(Seckler ほか「Designing Usable Web Forms」)。
どちらも通販や会員登録の話で、項目の数だけを変えた実験でもありません。ここから言えるのは、入力の手間と迷いを減らすと、送り終える人が増える方向に働く、というところまでです。
そのうえで、当社の見立てを書きます。最初の問い合わせで聞くのは、名前、連絡先(電話かメールのどちらか)、相談の内容の三つで足ります。対応する地域が限られる業種なら、市町村を一つ足します。住所のすべて、会社の規模、予算、知ったきっかけは、返事をしてから聞けます。必須でない項目を残すなら、米国の Nielsen Norman Group がフォームの使いやすさについての記事で勧めているように、任意の項目は一つか二つにとどめ、任意であることをはっきり書きます。業種ごとに先に聞いた方がよい項目や、利用目的の書き方、自動返信と通知先の決め方は問い合わせフォームの項目と作り方にまとめました。
電話番号の位置
電話で連絡してくる人が多い業種では、フォームより電話番号の位置のほうが効くことがあります。当社の見立てでは、スマートフォンで開いたとき、どのページでも画面の上か本文の終わりに番号があり、押せばそのまま発信できる形になっていて、受付の曜日と時間がすぐ横に書いてあることが目安です。確かめ方は簡単で、自社のサービスのページをスマートフォンで開き、番号にたどり着くまで何回画面を送ったかを数えます。
料金と対応地域
問い合わせの手前で人が止まる理由として、当社がいちばん大きいと見ているのは、自分が頼める相手かどうかが分からないことです。費用の見当がつかない。自分の住んでいる所が対象か分からない。そういう人は、問い合わせて確かめるより、次のサイトを開くほうを選びやすいと考えています。
実際に地元の事業者のサイトを開くと、ここが書かれていないことは珍しくありません。当社が2026年9月24日に9業種・27の商圏で地元の事業者のサイトを同じ項目で確かめた記録では、料金の目安を載せていた行政書士事務所は24中16でしたが、自社の注文住宅の価格を数字で示していた工務店は24社中3社、売却の仲介手数料を書いていた不動産会社は21社中1社でした。周辺の市町ごとのページを持つ税理士事務所は24中0です。
同じ記録では、料金を載せていれば検索に出る、という関係は見えませんでした。料金や対応地域を書くのは、検索の順位のためではなく、来た人が問い合わせを決めるための材料としてです。だからこの段階で直します。書けば、合わない相談は減ります。減ってよいかどうかは、件数ではなく面談に進んだ件数で見ます。その考え方はホームページを作ったのに問い合わせが来ないのは、御社の失敗ではないに書いています。
次の段階に進む目安は、いちばん働いている入口のページから問い合わせまでの道を、スマートフォンで自分でたどり、引っかかる所がなくなったことです。
4. 入口を増やす:地域で探されているのに、答えているページが少ない言葉
ここまで来て、初めて入口を増やします。記事を足す、ページを足す、広告を出す、のどれも入口を増やす手です。手前を先に直しておけば、増えた人が同じ場所で離れることを減らせます。どの言葉に入口を作るかは、二つの方向から探します。
Search Console で、表示はあるのに選ばれていない言葉
検索パフォーマンスで、表示回数はあるのにクリックが少なく、掲載順位が下のほうにある言葉を探します。御社のサイトは、その言葉で探している人の前に一応は出ているのに、正面から答えるページがないために選ばれていない可能性があります。その言葉に答えるページを一枚作るか、近いページの題と最初の段落をその言い方で書き直すのが、新しい入口の候補です。
お客様の言い方で、自分で検索して数える
Search Console に出てこない言葉もあります。お客様が電話や見積もりの場で最初に口にした言い方に、御社の市の名前を付けて検索し、1ページ目に何が並ぶかを数えます。経営者が自分で「市名 業種」と打つと、お客様が見ている画面がそのまま出てくることは、「市名 業種 集客」で調べると、お客が店を探す画面が出てくるに書いています。
先の27の商圏の記録でも、困りごとの言葉に地元の答えが少ない例がそろっていました。当社が使った検索の道具が返した1ページ目で数えると、「相続した家 売却」「実家 売る」「古家付き土地 売却」では、広島県福山市・高知市・長野県上田市の延べ84件に地元の不動産会社のページが24件入っていましたが、24件ともトップページか、売却の一般的な説明か、物件の一覧で、問いに正面から答えたページはありませんでした。工務店の「実家 建て替え」の1ページ目に工務店の建て替えのページが入っていたのは、長野県松本市、岡山県倉敷市、栃木県宇都宮市でそれぞれ0件、0件、1件です。
ただし、空いて見える言葉が、探す人のほとんどいない言葉ということもあります。検索窓に言葉を打ったときの予測の候補にその言い方が出てくれば、打っている人はいる、とまでは言えます。何回検索されているかの実数は、有料の道具を使わないと分かりません。また、扱っていない仕事の言葉でページを作るのは避けてください。受けられない相談が増えるだけです。
当社が運営をお引き受けする前に有償の商圏調査をしているのは、この段階で、候補の言葉ごとの検索の回数と上位の顔ぶれを並べ、どれから作るかを決めるためです。
検索、地図、広告、SNS、紹介の経路ごとにホームページが担う役割は、ホームページ集客の方法:検索・地図・広告・SNS・紹介でサイトが担う役割にまとめています。
今日、自社で確かめられること
- 先月の問い合わせの件数を、電話・フォーム・メールを合わせて一つの数字にする。フォームは自動返信メール、電話は着信履歴でさかのぼれます。
- そのうち面談や見積もりに進んだものに印をつける。
- GA4 の「エンゲージメント」、「ランディング ページ」で、キーイベントに数字が付いているページを書き出す。列が空なら、フォームの送信がキーイベントになっていません。
- Search Console の「検索パフォーマンス」で、クリックの多い言葉の上から二十のうち、社名を含まない言葉がいくつあるかを数える。
- いちばん働いているページをスマートフォンで開き、電話番号、料金の目安、対応地域のそれぞれにたどり着くまで、何回画面を送ったかを数える。
一つ目と二つ目だけでも、次に手をつける場所はかなり絞れます。件数が言えないうちは、記事や広告を足す前に、数えるところから始めてください。