ホームページのリニューアル前に確かめること:問い合わせを減らさない進め方

ホームページのリニューアルを考えはじめたとき、最初に決まりやすいのは見た目の案です。けれども、作り直したあとに問い合わせやアクセスが減るときの原因は、見た目よりも、それまで検索から人が入ってきていたページやアドレス(URL)が新しいサイトに引き継がれていないことにあります。この記事は、制作会社に作り直しを相談する前、あるいは見積もりを受け取った段階の方に向けて、作り直す前に自社で確かめられることを順に書きます。

先に結論を書いておきます。

  • 作り直す理由が「見た目」なのか「成果(問い合わせ)」なのかを分けます。見た目だけなら、作り直さずに直せることが少なくありません。成果が理由なら、作り直しだけでは数字は動きにくいと当社は見ています。
  • 作り直すと決めたら、いま検索の入口になっているページと検索語を Search Console で一覧にし、URL が変わるページには一つずつ転送先(301リダイレクト)を決めます。
  • ドメインの名義、Search Console と GA4 の持ち主、問い合わせの計測(GA4 のキーイベント)を新しいサイトへ引き継ぎます。
  • 公開した日のうちに確かめること、数週間後と数か月後に見る数字を、公開前に決めておきます。

作り直す理由は「見た目」か「成果」か

「ホームページ リニューアル」で検索すると、上位には費用の相場、進め方、失敗例をまとめた記事が並びます。どれも作り直すことを前提にした話です。その前に一つ、作り直す理由を一行で書いてみてください。「古く見える」「スマートフォンで崩れる」「自分たちで更新できない」「問い合わせが来ない」。この一行が、作り直しで解決するものかどうかを分けます。

当社が自社のサイトで経験したことを二つ書きます。2026年9月、当社は記事ページの見た目をトップページにそろえました。このとき、WordPress のテーマ(サイト全体の見た目と型を決める部品一式)は替えていません。テーマが持っている共通部品の機能と、追加のCSS(見た目の指定を書き足す欄)で足りたからです。テーマを替えると、そのテーマでしか動かない部品や設定が置いていかれることがあり、その判断はWordPressのテーマは替えずに直すに書きました。

もう一つは、直しにくさの話です。同じ月、メニューに「コラム」を一つ足すだけで、当社は11か所を直しました。トップと固定ページがページごとに手で組まれていて、それぞれが自分のメニューを抱えていたからです。「自分たちで更新できない」「電話番号を変えるだけで制作会社に頼むしかない」という困りごとは、見た目ではなく、この作りから来ていることがあります。この場合に必要なのは全面的な作り直しではなく、共通部分を一か所にまとめる直しです。数え方はホームページを制作会社しか直せないのは、ページごとに作られているからにまとめました。

困りごとと、作り直す前に試せることを並べると、次のようになります。

作り直す理由作り直す前に試せること作り直しが筋の通る場合
古く見える、色や文字がそろっていない今のテーマの設定と追加のCSSで直すテーマの更新が止まっていて、安全に使い続けられない
スマートフォンで崩れる崩れているページを数え、共通の原因(表、画像の幅など)を直すサイト全体がスマートフォン表示を前提にしていない古い作り
自分たちで更新できない共通部分(メニュー、フッター)を一か所にまとめる更新の仕組み(CMS)そのものが入っていない
問い合わせが来ないお客様が使う言葉で検索して、自社のページが出るかを確かめる答えるページを足す余地が、今の作りではどうしても取れない

表の最後の行が、いちばん取り違えやすいところです。問い合わせの数は、困っている人がどんな言葉で検索し、その言葉に答えるページが御社のサイトにあるかで大きく決まる、と当社は考えています。見た目を新しくしても、答えるページの顔ぶれが同じなら、検索からの入口は増えません。逆に、作り直しのときにページをまとめて減らすと、入口が減ることがあります。この記事の残りは、作り直すと決めた場合に、その入口を減らさないための話です。

作り直すなら、いまの入口を Search Console で一覧にする

入口とは、検索した人が最初に開いているページのことです。トップページとは限りません。「◯◯ 費用」で検索した人は費用のページに、「◯◯ 相談 地名」で検索した人は相談の案内のページに直接入ってきます。作り直しで消えやすいのは、こうした下の階層のページです。

一覧は、Search Console(Google が無料で提供している、検索での見え方を確かめる道具)で作れます。次の順です(画面の名前は変わることがあります)。

  1. 「検索パフォーマンス」の「検索結果」を開き、期間を選べるいちばん長い範囲に広げます。季節で動く業種なら、一年分が入っていると判断しやすくなります。
  2. 表の「ページ」のタブで、クリック数の多い順に並べます。ここに並ぶのが、検索から人が入ってきているページです。
  3. 上から順にページを選び、「クエリ」のタブに切り替えて、そのページがどんな検索語で開かれているかを見ます。
  4. 画面右上の書き出し(エクスポート)で、ページの一覧を表計算ソフトに保存します。この表が、あとで転送先を書き込む台紙になります。

Google 検索セントラルの「URL変更を伴うサイト移転」のヘルプでも、移転の準備として、元の URL の一覧を用意することが挙げられています。一覧の作り方として、サイトマップ、サイトの管理画面(CMS)、アクセス解析でアクセスの多い URL を調べること、画像や動画などの URL も含めることが書かれています。Search Console の一覧に加えて、GA4 で「最初に開かれたページ」を見ておくと、検索以外(広告、SNS、他のサイトのリンク)から入ってくるページも拾えます。

一覧ができたら、クリックのあるページごとに、新しいサイトでの行き先を決めます。行き先は三通りしかありません。同じアドレスのまま残す、新しいアドレスに移す、統合や削除で無くなる。三つ目を選ぶページがあるなら、そのページに入ってきていた検索語に、新しいサイトのどのページが答えるのかを書いておきます。答えるページが無いまま消すと、その検索語からの入口はそこで途切れます。

この作業は、制作会社に任せきりにしないほうがよいと当社は考えています。どのページに誰が入ってきているかを一番よく知っているのは、お客様の相談を受けている御社のほうだからです。「この費用のページを見て電話してきた人が多い」という記憶は、Search Console の数字と並べると、残すページの優先順位を決める材料になります。

URLを変えるなら、旧URLごとに転送先を決める(301リダイレクト)

作り直しの方法によっては、ページのアドレスが変わります。WordPress から別の仕組みへ、あるいは別の仕組みから WordPress へ移るときは、たいてい変わります。アドレスが変わったページを古いアドレスで開くと、何もしなければ「ページが見つかりません」が出ます。検索結果やブックマーク、他のサイトに貼られたリンクから来た人は、そこで行き止まりです。

これを防ぐのが転送の設定です。前の章で作った表に、旧URLと新URLを一行ずつ並べ、その対応どおりに転送をかけます。Google 検索セントラルのヘルプに書かれている要点は次のとおりです。

  • 元の URL ごとに、どの URL へ転送するかを決める(URL の対応表を作る)。
  • 転送には、サーバー側の恒久的な転送(301 や 308)を使う。
  • 転送が何段も続く状態(リダイレクトチェーン)は避ける。対応できるのは最大10段とされていますが、3段以下に抑えるのが望ましいとされています。
  • 転送はできるだけ長く残す。目安は一般に1年以上です。
  • 移転のあいだ、検索での掲載順位が一時的に変動するのは通常のこと。中規模のサイトでは、落ち着くまで数週間以上かかることがあります。

ここから先は当社の見立てです。転送先は、そのページと同じ問いに答えるページにします。行き先に困ったページをまとめてトップページへ送ると、検索した人は探していた話にたどり着けません。どのページを残し、どれを統合し、どれを転送せずに消すかの判断は、記事を減らすとき、削除か統合かnoindexかは「入口」で決めるに書いた基準がそのまま使えます。リニューアルは、ページを一度に大量に動かす作業だという点が違うだけです。

アドレスを変えずに済むなら、変えないのがいちばん手間がかかりません。見た目や中身を作り直しても、アドレスが同じなら転送は要りません。見積もりの段階で「今のページのアドレスは、新しいサイトでもそのまま使えますか」と聞いてみてください。変わるなら、対応表と転送の設定が作業に含まれているか、誰が作るのかを確かめます。WordPressのサイトで転送を設定する方法と、設定したあとの確かめ方は、WordPressでリダイレクトを設定する方法にまとめています。

なお、ドメイン(「〜.co.jp」などのサイトの住所)ごと変える場合は、Search Console の「アドレス変更」ツールで Google に移転を知らせる手順が加わります。アドレスは変えずにサーバーだけを替える場合については、Google 検索セントラルに「URL を変更しないサイト移転」という別のヘルプがあり、新しいサーバーにテスト用のコピーを作って動きを確かめること、移転直後に Google のクロール(ページの読み取り)の頻度が一時的に下がるのは通常の動作であることが書かれています。WordPressのサイトをサーバーごと移すときの手順と、移したあとに確かめることは、WordPressの引っ越しに書きました。

ドメインの名義と、問い合わせの計測を引き継ぐ

作り直しを機に制作会社やサーバーを替える場合、ページのほかに引き継ぐものがあります。名義と計測です。

名義は、ドメイン、サーバー、Search Console、GA4 の四つについて、それぞれ誰の名前・誰の Google アカウントで作られているかを確かめます。前の制作会社の持ち物のままだと、作り直しのあとに移管の手続きで止まったり、過去の検索やアクセスの数字が見られなくなったりします。新しいサイトと古いサイトの数字を比べられなければ、作り直しで減ったのか増えたのかも分かりません。四つの確かめ方と、フォームの送り先の見方はホームページを引き継ぐ前に、メニュー一つで何か所直すかを数えるに書きました。

計測は、見落とされやすいところです。GA4(Google のアクセス解析)では、事業の成果として特に大事な動きを「キーイベント」として印を付けます。Google アナリティクスのヘルプによれば、以前「コンバージョン」と呼ばれていたものが、Google 広告と定義をそろえるために「キーイベント」に名前が変わりました。問い合わせフォームの送信や電話番号のタップをキーイベントにしているなら、その合図は、今のサイトのフォームやボタンの作りに結びついています。

当社のサイトでは、フォームの送信完了、電話番号のタップ、メールアドレスのクリックの三つを GA4 に送っています。このうちフォームの合図は、フォームのプラグイン(WordPress に機能を足す追加部品)が送信を終えたときに出るようにしています。作り直しでフォームの部品が替われば、この合図は出なくなり、GA4 の問い合わせの数字は、問い合わせが減っていなくても0になります。逆に、計測が止まっていることに気づかず「作り直したら問い合わせが減った」と読み違えることも起こり得ます。仕組みはGA4で問い合わせを計測するにまとめています。

そのため、作り直しの前に次の三つを書き留めておきます。今キーイベントにしているイベントの名前(GA4 の「管理」の「データの表示」にある「イベント」で、キーイベントの印が付いているもの)。そのイベントがどの操作で出ているか。フォームから送られた内容がどのメールアドレスに届くか。新しいサイトでも同じ名前で同じ操作に合図が出るようにしてもらえば、前後の数字をそのまま比べられます。

費用の幅と、見積もりで確かめること

作り直しの費用は、ページ数と作り方で大きく変わります。当社が2026年10月2日に各社の公式サイトで確かめた公開料金表では、たとえば GoA の制作プランが5ページまでで税込357,500円〜522,500円、10ページまでで税込495,000円〜825,000円、名古屋の花のやの料金ページでは、リニューアルにも対応するとしているプランが税抜940,000円から、となっていました。初期費用を抑えて月額で払う形もあり、あきばれホームページはリニューアルパックを初期費用65,780円・月額6,490円(いずれも税込、すぐ公開できる5ページとひな形9ページ)で公開しています。

金額の比べ方よりも先に、見積もりに次のものが入っているかを確かめてください。

  • 旧URLと新URLの対応表を作り、転送を設定する作業
  • 入口になっているページの本文を、新しいサイトへ移す作業(要約や書き直しで、検索されていた言葉が消えないか)
  • GA4 と Search Console の引き継ぎ、キーイベントの再設定と送信テスト
  • 公開後、転送漏れや「ページが見つかりません」を確かめる期間と、その間に見つかった漏れを直す費用

料金表の金額が同じでも、この四つが入っているかどうかで、公開後に起きることは違います。入っていなければ、別料金になるのか、自社でやるのかを先に決めておきます。

当社は、作り直しを前提にせず、今のサイトに手を入れて問い合わせが来るようになるまで続ける形で引き受けています。作り直しが要るかどうかも、その中で判断します。料金と進め方は料金と進め方に載せています。

公開した日、数週間後、数か月後に見る数字

作り直したサイトを公開したら、見るものを時期で分けておくと、慌てずに済みます。Google のヘルプにあるとおり、移転のあとしばらく順位が揺れるのは通常のことです。揺れと、本当に何かが抜けていることを見分けるために、次の順で確かめます。

公開した日のうちに確かめるのは、動くかどうかです。入口の一覧の上位にあった旧URLを、いくつか実際に開いて、新しいページへ転送されるかを見ます。フォームから一通送り、届くか、GA4 の「リアルタイム」にフォームのイベントが出るかを確かめます。スマートフォンで電話番号をタップして、発信の画面になるかも見ておきます。

数週間後に見るのは、抜けがないかです。Search Console の「ページ」(インデックス登録の状況)で、「見つかりませんでした(404)」に旧URLが増えていないかを見ます。入口の一覧にあったアドレスが出てきたら、転送の漏れです。Google 検索セントラルのヘルプも、移転後は Search Console で新旧のサイトマップのインデックス登録の推移や、検索での表示回数・クリック数を見ることを挙げています。

数か月後に見るのは、成果が戻ったか、増えたかです。Search Console の検索パフォーマンスで、公開前と公開後の同じ長さの期間を比べ、ページごと・検索語ごとのクリック数を並べます。最初に作った入口の一覧と見比べると、どの入口が戻っていないかが分かります。問い合わせは、GA4 のキーイベントの数と、実際に受け付けた問い合わせの記録の両方で見ます。GA4 が数えているのは送信やタップまでで、相談として成り立った件数ではないからです。季節で動く業種なら、前の年の同じ月とも比べてください。

公開の日付は、どこかに書き残しておきます。日付が無いと、数字が動いたとき、それが作り直しのせいなのか、季節のせいなのか、別の変更のせいなのかが分からなくなります。

今日、自社で確かめられること

  1. 作り直したい理由を一行で書き、それが見た目の話か、問い合わせの話かを分けます。見た目の話なら、今のテーマの設定と追加のCSSで直せないかを、制作会社か担当者に聞きます。
  2. Search Console の検索パフォーマンスで、期間をいちばん長くし、「ページ」のタブをクリック数の多い順に並べて書き出します。上位10ページが、作り直しで残すかどうかを最初に決めるページです。
  3. その10ページについて、新しいサイトでアドレスが変わるかを、制作会社に聞きます。変わるなら、旧URLと新URLの対応表と転送の設定が見積もりに入っているかを確かめます。
  4. ドメイン、サーバー、Search Console、GA4 が、それぞれ誰の名義・誰のアカウントで作られているかを書き出します。
  5. GA4 の「管理」から「イベント」を開き、キーイベントの印が付いているイベントの名前と、それがどの操作で出ているかを書き留めます。あわせて、フォームから一通送り、どのメールアドレスに届くかを確かめます。

この五つが手元にそろえば、作り直すかどうか、作り直すなら何を引き継ぐかを、見た目の案より先に制作会社と話せます。