2026年9月24日、当社は自社のサイトに問い合わせの計測を入れました。サイトは WordPress で、問い合わせフォームには Contact Form 7 というプラグイン(WordPress に機能を足す部品)を使っています。計測の道具は、Google のアクセス解析である GA4(Google アナリティクス 4)です。
設定そのものは短い作業でした。時間を使ったのは、その前に「ここに出る数字を何と呼ぶか」を決めることです。当社の答えは、GA4 で問い合わせを数えられるようにするのは入口にすぎず、出てくる数字は問い合わせの件数ではない、というものです。道具が数えているのは「送信」と「タップ」です。件数は受付の記録で数え、道具の数字はその横に並べて使う。そう決めてから設定を入れました。
当社が入れた合図は三つ
GA4 に届くのは「イベント」と呼ばれる合図です。ページが表示された、リンクが押された、といった出来事に名前をつけて一つずつ送ります。当社が足したのは次の三つです。
- generate_lead:Contact Form 7 のフォームが、メールの送信まで済ませたとき
- phone_tap:電話番号のリンク(tel: で始まるリンク)がタップされたとき
- email_click:メールアドレスのリンクがクリックされたとき
generate_lead は GA4 があらかじめ用意している推奨の名前で、Google の説明では「フォームの送信や情報の請求」にあたります。phone_tap と email_click は当社がつけた名前です。
Contact Form 7 は、送信の結果に応じていくつかの合図をページの中に出します。当社が使ったのは、メールの送信まで成功したときだけに出る wpcf7mailsent です。よく似た wpcf7submit は、入力に不備があって送れなかったときや、迷惑送信と判定されたときにも出ます。「送信ボタンが押された」と「送信が届いた」は別の出来事で、数えたいのは後者です。
仕組みを示すと、次の数行です(当社の入れ方をそのまま写したものではなく、形の例です)。
document.addEventListener('wpcf7mailsent', function () {
gtag('event', 'generate_lead');
});
document.addEventListener('click', function (e) {
const a = e.target.closest('a[href^="tel:"], a[href^="mailto:"]');
if (!a) return;
gtag('event', a.href.startsWith('tel:') ? 'phone_tap' : 'email_click');
});
Contact Form 7 以外のフォームでは、送信完了の合図の名前も出し方も違うので、そのフォームの説明を確かめてください。送信後に「ありがとうございました」の別ページへ移る作りなら、そのページの表示を数える方式もあります。ただしこの方式では、そのページを再読み込みしたり、あとから開き直したりしても一件に数えます。
GA4 の上では、generate_lead を「キーイベント」に設定します。キーイベントは、事業にとって大事な出来事として別枠で集計するための印です。以前は GA4 の中でも「コンバージョン」と呼ばれていましたが、2024年に名前が変わり、いまの GA4 で「コンバージョン」と言うと Google 広告の成果の計測に使うものを指します。この記事を書いている時点で、当社は合図が GA4 に届くことを確かめる段階にいて、キーイベントへの設定はこれからです。
道具が数えているのは「送信」と「タップ」
三つの合図を、言葉どおりに読むとこうなります。
generate_lead が一件増えたとき分かるのは、フォームから一通が届いたことです。それが見積もりの依頼なのか、営業の売り込みなのか、同じ人が念のためにもう一度送ったものなのかは、GA4 には分かりません。迷惑送信の判定をすり抜けたものも、届いた以上は一件です。
phone_tap が一件増えたとき分かるのは、誰かが電話番号を押したことです。電話がつながったのか、発信の画面で思い直してやめたのかは分かりません。email_click は、メールの作成画面が開くところまでです。そのメールが書かれて送られたかどうかは、サイトの外の出来事です。
そして、三つのどれにも映らない人がいます。番号を見て、手で打ってかけた人です。パソコンで会社のページを見ながら手元の電話でかける人、スマートフォンで番号を控えてあとからかける人の電話は、GA4 の上では一件も起きていません。閲覧の記録を送らない設定や拡張機能を使っている人の動きも、GA4 には届きません。
つまり道具の数字は、実際の問い合わせより多く出ることもあれば、少なく出ることもあります。多く出るのは売り込みや二重の送信が混ざるから、少なく出るのは手でかける電話が映らないからです。どちらにどれだけ振れるかは会社によって違い、GA4 の画面をいくら眺めても分かりません。
件数は受付の記録で数える、と決めた理由
当社は、問い合わせの件数は GA4 ではなく受付の記録で数える、と決めました。運営の記録にもそう書いています。
理由の一つは、上に書いた手でかける電話です。電話で連絡してくる人がいる業種では、GA4 の件数は電話の分だけ欠けます。欠けている量が分からない数字を件数と呼んで月ごとに並べると、問い合わせの増減と、欠け方の増減が混ざってしまいます。
もう一つは、送信のあとのやり取りが続かない問い合わせがあることです。フォームは届いたが、返信しても返事がない。タップは記録されたが、その時刻の着信に心当たりがない。GA4 の一件は、商談の一件どころか、会話の一件にもなっていないことがあります。当社が成果と呼ぶのは問い合わせが来ることですが、その「来た」は、受けた人が記録に一行書ける問い合わせのことです。
受付の記録は、日付、窓口、何を見て連絡したか、面談や見積もりに進んだかを一件ずつ書くものです。当社が配っている形と、電話で「何をご覧になって」と一言うかがう運用は、問い合わせの記録シートに置いています。
では GA4 の数字は要らないのかというと、そうではありません。記録と並べたときに、はじめて意味を持ちます。たとえばある月の generate_lead が十件で、記録に残ったフォームの問い合わせが六件なら、差の四件は売り込みか二重の送信か、受けた人の書き忘れです。phone_tap は月に数件なのに記録の電話が毎日あるなら、電話の人はサイト以外の場所で番号を見ているか、手で打っています。そして GA4 の側には、どのページを読んだあとに送信やタップが起きたかが残ります。件数は記録で、どこから来たかの手がかりは道具で数える。片方だけでは、どちらの数字も判断に使えません。
自社のフォームから一通送って、リアルタイムを見る
御社のサイトが送信を数えているかどうかは、五分あれば確かめられます。
- 自社のサイトを開き、問い合わせフォームから試しに一通送ります。内容欄に「計測の確認です」と書いておけば、受けた人が迷いません。
- 送ってすぐ、GA4 の「レポート」から「リアルタイム」を開きます。直近の数分の動きが出る画面です。
- イベント名の一覧に、ページの表示(page_view)などのほかに、送信にあたる名前が出ているかを見ます。スマートフォンなら、電話番号を押して発信せずに戻り、それも出るかを見ます。
画面の名前は変わることがあります。
何か出たなら、少なくとも送信は数えられています。そのうえで、「管理」の「データの表示」にある「イベント」で、その名前がキーイベントになっているかを見ておきます。
何も出なければ、いまのサイトは送信を数えていません。制作会社や運用の会社から届く報告に「コンバージョン」や「CV」の数字が載っているなら、それが何を数えているのかを聞いてください。フォームの送信完了なのか、送信ボタンのクリックなのか、ありがとうページの表示なのか。電話は含まれているのか。社内で受けた問い合わせの数と並べたことはあるのか。当社が毎月の報告に何を載せているかは順位の報告は成果ではないに書いています。
GA4 の管理画面に入れない場合でも、受付の記録だけで件数は数えられます。道具の設定を待つ理由はありません。
今日フォームから一通送り、リアルタイムに何も出なかったら、次の報告を受け取る前に「このコンバージョンは何を数えていますか」と一行だけ聞いてください。