問い合わせフォームの項目と作り方:地域の事業者・士業が最初に聞くこと、聞かないこと

問い合わせフォームを作る、あるいは作り直すときに迷うのは、何を聞いて何を聞かないかです。「問い合わせフォーム 項目」で調べると、氏名、メールアドレス、電話番号、問い合わせ内容を基本に「項目は最小限に」と勧める記事が多く出てきます。方向は当社も同じです。ただ、地域の事業者や士業事務所のフォームでは、最小限の項目だけでは足りない場面があります。最初の返事をするために、先に聞いておかないと困る項目があるからです。

この記事は、フォームの項目を「最初の返事に要るか」で分け、業種ごとに先に聞いた方がよい項目、利用目的の書き方、迷惑送信への備え、送信後の自動返信と通知先までを、作る順に並べたものです。法律や道具の仕様は、個人情報保護法の条文、個人情報保護委員会の Q&A、Google と Contact Form 7 の公式の説明で確かめた範囲で書きます。当社は法律の専門家ではないので、判断に迷うところは各団体や専門家に確かめてください。

この記事の結論

  • 最初のフォームで必須にするのは、最初の返事に要る項目だけです。当社の目安は、名前、連絡先(電話かメールのどちらか)、相談の内容の三つです。
  • ただし、その項目しだいで「お受けできるか」が変わるものは、先に聞きます。弁護士や司法書士なら相手方の名前、工務店なら建てる場所、不動産会社なら物件の所在地です。
  • フォームで個人情報を受け取るときは、原則として、あらかじめ利用目的を明示します(個人情報保護法第21条第2項)。送信ボタンより前、入力欄の近くに書くのが当社のやり方です。
  • 迷惑送信の対策は、入力する人に手間をかけない仕組みから入れます。弾かれた正当な問い合わせは届かないので、入れたあとに自分で送って確かめます。
  • 送信のあとは、自動返信の中身と、通知が誰に届くかを決めます。Contact Form 7 は送信内容をどこにも保存しないので、通知メールが届かなければその問い合わせは残りません。

最初の連絡で必須にするのは、返事に要る項目だけ

項目を減らすと送り終える人が増える方向に働く、という調査はホームページから問い合わせを増やす方法の「フォームの項目数」の節で紹介しました。通販の購入手続きや会員登録の調査で、問い合わせフォームそのものの調査ではない、という限界も含めてそちらに書いています。ここでは、その考え方を地域の事業者のフォームにどう当てはめるかを書きます。

当社が項目を選ぶときの問いは一つです。「この項目がないと、最初の返事ができないか」。返事ができるなら、その項目は返事のあとに、電話やメールのやり取りの中で聞けます。

項目最初のフォームでの扱い(当社の目安)理由
お名前必須返事の宛名に要ります。
電話番号・メールアドレスどちらか一方を必須返事の手段が一つあれば足ります。両方必須にすると、片方を持ちたくない人が止まります。
相談の内容必須(数行で足りると添える)何の件か分からないと、返事の中身が決まりません。
連絡してよい時間帯・方法任意電話を折り返す業種では、書いてもらえると行き違いが減ります。
住所のすべて、ふりがな、性別、生年月日置かない見積もりや契約の段階で聞けます。
会社の規模、予算、知ったきっかけ置かないか、任意で一つまで返事の前に要らないことが多く、返事のあとで聞けます。
メールアドレスの確認欄置かない入力の手間が増えます。打ち間違いには、自動返信が届かないときの連絡先を書いて備えます。

「知ったきっかけ」は、集客の判断に使える項目です。ただ、フォームで聞かなくても、最初の返事や電話の中で一言伺えば埋まります。当社は、受け付けた問い合わせを問い合わせの記録シートに一行ずつ書き、「何を見て連絡したか」の列はやり取りの中で埋める運用を勧めています。フォームに置く場合は任意にし、選択肢から選ぶ形にします。

必須と任意は、両方とも書く

必須の項目にだけ印を付け、任意の項目に何も書かないと、入力する人には任意かどうかが分かりません。当社は「必須」「任意」を両方の項目に書きます。任意の項目は一つか二つにとどめます。任意の項目が多いと、入力する人は埋めた方がよいのか迷う、と当社は見ています。

業種ごとに、先に聞いた方がよい項目

「返事に要る項目だけ」の例外が、業種ごとに出てきます。その項目しだいで「お受けできるかどうか」が変わり、それを確かめないまま詳しい話を伺うと、双方の手間が無駄になる項目です。以下は当社の見立てで、業界の決まりではありません(弁護士と司法書士の行は、法律の条文を根拠に加えています)。

業種先に聞く項目先に聞く理由
弁護士相手方の名前(会社なら会社名)と、ほかに関わる人同じ件で相手方の側から相談や依頼を受けていないか(利益相反)を、詳しい事情を伺う前に確かめるため
司法書士裁判書類の作成など争いのある件なら、相手方の名前司法書士法第22条にも、相手方の依頼を受けて業務を行った事件などは扱えない定めがあるため
工務店建てる場所の市町村と、土地がすでにあるか施工できる地域の外なら、最初の返事でそう伝えられるため
不動産会社(売却)物件の所在地(町名まで)と種別(土地、戸建て、マンション)扱う地域か、どの担当が返事をするかが、所在地で決まるため
税理士・社労士法人か個人か、決算や申告などの期限が迫っているか受けられる時期かどうか、急ぎの対応が要るかが分かるため
学習塾学年と、通える教室空きのある学年・教室かどうかで、返事が変わるため

弁護士の場合、弁護士職務基本規程の第27条・第28条と弁護士法第25条に、職務を行えない事件の定めがあります。相手方の名前を相談の中身より先に伺う順番と、各項目の並べ方は弁護士・法律事務所のホームページ制作の「お問い合わせ」の節に書いたので、ここでは繰り返しません。司法書士法第22条は、相手方の依頼を受けて裁判書類の作成などを行った事件について、裁判書類の作成などの業務を行ってはならないと定めています。どこからが該当するかの判断は当社にはできませんが、フォームの順番を「相手方の名前を確かめてから、詳しい事情を伺う」にしておくことは、事務所の受付の流れとそろえやすい作りです。

工務店や不動産会社の「所在地」は、住所のすべてではありません。最初の返事に要るのは、扱う地域の内か外かと、どの担当が返事をするかです。市町村や町名までで足ります。番地まで必須にすると、まだ相談の段階で詳しい場所を教えたくない人が止まります。

自由記述の欄で、詳しい事情を書かせない

相談の内容の欄には、何を書いてもらうかの目安を添えます。士業や医療に近い業種では、そこに病歴や事件の経緯が書かれることがあります。個人情報保護法は、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実などを含む個人情報を「要配慮個人情報」と定め(第2条第3項)、法令に基づく場合などを除いて、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないとしています(第20条第2項)。

本人が自分で書いて送ってくる場合の扱いを、当社は判断できません。それでも、最初のフォームでそうした事情を詳しく書いてもらう必要は、たいていありません。当社は相談の内容の欄に「数行で足ります。詳しい事情は、こちらからご連絡したあとに伺います」と添えます。弁護士の利益相反の確認と同じく、書いたあとで「お受けできません」と返ってくることを避ける意味もあります。

個人情報の利用目的は、送信ボタンより前に書く

個人情報保護法第21条第2項は、本人から直接、書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければならないとしています。個人情報保護委員会の Q&A(Q4-17)は、申込書等の書面に「ホームページ上の入力画面を含む」とし、そこに本人が記入して直接取得する場合は、原則として利用目的の明示が必要だとしています。

同じ Q&A は、取得の状況からみて利用目的が明らかな場合は例外的に明示が不要(第21条第4項第4号)とし、申込の確認などに使う場合を例に挙げる一方で、新たなサービスの案内や提携先への提供に使うことは、自明の利用目的に当たらない場合があるとしています。問い合わせに返事をするだけなら明らかと言える場面もありますが、問い合わせてきた人に後日お知らせのメールを送るつもりがあるなら、それは書いておく必要があります。

扱う件数の少ない事業者も対象です。個人情報保護委員会の Q&A(Q1-50)は、個人情報データベース等を事業に使っていれば、人数の多寡にかかわらず個人情報取扱事業者に当たるとし、2017年5月30日より前にあった5000人分以下の除外がなくなったことを書いています。

同意のチェック欄と、利用目的の明示は別のもの

フォームの最後に「プライバシーポリシーに同意する」のチェック欄を置くサイトは多くあります。第21条第2項が求めているのは利用目的の「明示」です。本人の同意を求めているのは、要配慮個人情報の取得(第20条第2項)や、個人データを第三者に提供する場合(第27条第1項)などで、場面が違います。チェック欄があっても、利用目的がどこにも書かれていなければ明示にはなりません。

当社は、送信ボタンの上、入力欄の近くに、利用目的を短く書きます。たとえば「お預かりした情報は、このお問い合わせへの返信と、ご依頼いただいた場合の手続きのためにのみ使います。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください」の程度です。チェック欄を置くかどうかは、そのうえで決めます。Contact Form 7 の同意のチェック欄(acceptance checkbox)は、既定では必須の項目として働き、チェックしないと送信できません(Contact Form 7 の公式ドキュメントによる)。置くなら、チェックの文言と利用目的の文が、同じ画面の中で読めるようにします。

迷惑送信への備え:手間をかけない仕組みから

フォームを置くと、宣伝や意味のない文字列の送信が届くようになります。WordPress の Contact Form 7 の公式ドキュメントには、Google の reCAPTCHA(v3)、Cloudflare の Turnstile、Akismet との連携、WordPress の「ディスカッション」設定にある拒否する語句の一覧を使う方法が載っています。

reCAPTCHA v3 は、画像を選ばせるような操作を入力する人に求めません。Google の開発者向けの説明では、v3 は利用者の操作を中断せず、やり取りごとにスコア(1.0 は正当な操作の可能性が高く、0.0 は機械による可能性が高い)を返し、既定では 0.5 をしきい値に使えるとしています。Contact Form 7 は 5.1 以降で v3 を使い、Google の管理画面で取得したサイトキーとシークレットキーを、WordPress の「お問い合わせ」の「インテグレーション」に入れて設定します。

reCAPTCHA を入れると、画面の隅に reCAPTCHA の小さな表示(バッジ)が出ます。Google の FAQ では、このバッジを隠す場合は、reCAPTCHA で保護されていることを利用者の目に入る形で示す必要があるとしています。また、Google の仕組みをページに読み込むことになるので、当社はプライバシーポリシーにも reCAPTCHA を使っていることを書いています。

ここで一つ気をつけたいのは、判定で弾かれた送信は、正当な問い合わせであっても届かないことです。迷惑送信が減ったのか、問い合わせそのものが減ったのかは、通知メールだけを見ていては区別できません。当社は、対策を入れた日と、しきい値などの設定を変えた日を記録しておき、入れたあとに自分のスマートフォンと会社のパソコンからそれぞれ一通送って、届くことを確かめます。

送信のあと:自動返信と、通知が届く先

自動返信に書くこと、書かないこと

送った人がまず知りたいのは、届いたかどうかと、いつ返事が来るかです。当社が自動返信に書くのは、受け付けたこと、返事の目安(「2営業日以内に」など、実際に守れる日数)、返事が来ないときの電話番号と受付時間、の三つです。

一方で、入力された相談の内容をそのまま全文載せることはしていません。自動返信は、フォームに入力されたメールアドレスに届きます。他人のアドレスを入れて送信されると、入力された文章がそのまま、会社の名前でその人に届くことになるからです。何を受け付けたかは、受付の日時と、相談の分野のように選択肢で選んだ項目までにとどめます。これは当社の運用上の判断です。

Contact Form 7 では、追加のメールの雛形である「メール (2)」を自動返信に使えます。送信元(From)は、サイトと同じドメインのメールアドレスにすること、なりすまし対策として SPF や DKIM といった送信ドメインの認証を使うことが、公式の「メール設定のベストプラクティス」に書かれています。同じ説明は、サイトと別のドメインのアドレスを送信元に使うと、迷惑メールと扱われやすくなることにも触れています。業種別の自動返信の文面の例と、「メール (2)」の設定の手順は問い合わせの自動返信メールの文面にまとめました。

通知は誰に届くか、届かなかったらどうなるか

Contact Form 7 の公式ドキュメントは、Contact Form 7 は送信された内容をどこにも保存しないと書いています。通知メールが届かなかった、あるいは迷惑メールのフォルダに入ったまま気づかなかった場合、その問い合わせはサイトにも残りません。送信内容をデータベースに保存したい場合は、同じドキュメントが Flamingo というプラグインを案内しています。保存する場合は、個人情報がサーバーに残ることになるので、誰が見られるか、いつ消すかも決めておきます。WordPressでフォームを置く手順と、通知メールが届かないときの確かめ方は、WordPressのお問い合わせフォームにまとめています。Flamingo の入れ方と、保存した送信内容を誰が見られて、いつ消すかはFlamingoの使い方に書きました。

通知の宛先は、担当者一人の個人のアドレスより、二人以上が読める受付用のアドレスにしておくと、休みや退職で止まりません。作り直しや引き継ぎのときには、制作や運用の業者に相談の中身が届く設定のままになっていないかも見ます。士業の事務所では、相談の中身が外に届くこと自体が問題になりえます。

送信を数えておく

フォームを作ったら、送信が何件あったかを GA4(Google アナリティクス 4。Google の無料のアクセス解析)で数えられるようにしておきます。Contact Form 7 の場合、送信ボタンが押されたことと、メールの送信まで済んだことは別の合図として出るので、どちらを数えるかで数字が変わります。当社が自社のサイトで何を数え、何を数えないと決めたかはGA4で問い合わせを計測するに書きました。迷惑送信の対策を変えた前後で送信の数がどう動いたかを見るのにも、この数字が使えます。ただし件数そのものは、電話も含めて受付の記録で数えます。フォームと並べてLINEで相談を受ける場合の料金と、ホームページから友だちになった人の数え方はLINE公式アカウントの集客と料金に書きました。

今日、自社のフォームで確かめられること

  1. フォームの項目を書き出し、一つずつ「これがないと最初の返事ができないか」を問います。できる項目は、任意にするか外す候補です。
  2. 反対に、その項目しだいで「お受けできるか」が変わるもの(相手方の名前、建てる場所、物件の所在地など)が抜けていないかを見ます。
  3. 送信ボタンより前に、利用目的が書かれているかを見ます。後日お知らせを送るつもりがあるなら、それも書かれているかを確かめます。
  4. 自分のスマートフォンからフォームを一通送り、自動返信が迷惑メールに入らずに届くか、自動返信に入力内容の全文が載っていないかを見ます。
  5. その通知が誰の受信箱に届いたかを確かめ、社外の業者や、今はいない人のアドレスが宛先に残っていないかを見ます。

参照した資料:個人情報の保護に関する法律(第2条第3項・第20条第2項・第21条・第27条第1項)、個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」Q1-50・Q4-17、司法書士法第22条、Google「reCAPTCHA v3」「reCAPTCHA FAQ」、Contact Form 7 公式ドキュメント(Setting up mail、Best practice to set up mail、reCAPTCHA (v3)、Acceptance checkbox、Save submitted messages with Flamingo)(いずれも2026年10月3日確認)。