2026年9月、当社は静岡県浜松市の相続の分野を題材に、商圏調査の見本を作りました。九つの言葉で検索して、1ページ目に何が並ぶかを記録したものです。その記録の中に、アクセスが増えない理由をそのまま示している一行があります。
「浜松 実家 名義変更」の1ページ目は、三分の一が車の話でした
親が亡くなって、実家の名義を自分に移したい。相続登記という言葉を知らない人は、そういう場面で「実家 名義変更」と打つはずです。ところが2026年9月20日に見た1ページ目は、三分の一ほどが自動車の名義変更のページでした。親の家を相続したあとの手続きに正面から答えているページは、実質一つか二つしかありません。「浜松市 相続手続き」でも、求人のページが紛れ込んでいました。
浜松市に相続を扱う事務所のサイトが少ないわけではありません。見本で開いた八つのうち七つは、相続登記、相続放棄、遺言と、手続きごとにページを分けていました。ページの数はそろっています。それでも、「実家 名義変更」と打った人の前には、車の手続きが出てきます。
調べた範囲と全体の結果は商圏調査の見本:浜松市×相続に載せています。この記事で扱うのは、この一行が示していることだけです。
ページが足りないのではなく、その言い方に答えるページがない
相続登記のページは、「相続登記」と打った人に答えるページです。「実家 名義変更」と打った人は、自分の探しものがそのページに書いてあることを知りません。探す側から見れば、答えてくれるページは一枚もないのと同じです。
アクセスが増えないとき、記事を足すことを考えるのは自然な流れです。けれど、足す記事が「相続登記の費用」「相続登記の必要書類」のように、売る側の言葉で書かれているなら、何本足しても、生活の言葉で探している人の前には出てきません。増えるのは、同じ言葉を別の角度から書いたページだけです。
仕事の名前は、売る側が付けた呼び名です。探す人は、自分に起きていることの言葉で打ちます。この二つがずれたままなら、本数を増やしても、届く相手は増えません。
確かめ方:二つの言葉で検索して、1ページ目を種類ごとに数える
見本で当社がやったことを、御社の言葉でそのままやってみてください。道具は要りません。
- 御社のサービスのページが狙っている言葉を一つ書き出します。ページの題や見出しに入っている言葉です。
- 同じ用件を、お客様が電話や見積もりの場で最初にどう言ったかを思い出して、もう一つ書き出します。社内の呼び名ではなく、お客様の口から出た言い方です。
- 二つとも、地域名を付けて検索します。
- それぞれ1ページ目の十件を、題とアドレスだけ見て種類ごとに数えます。御社と同業の事業者、全国のポータルや比較サイト、自治体や公的機関、そして用件の違うページ(見本でいえば、車の名義変更や求人)。
一つ目の言葉が同業で埋まっているなら、そこは先に来た人が積み上げてきた場所です。見本でも「浜松 遺言書 作成」「浜松 相続税 税理士」は、1ページ目の大半が地元の事務所でした。そこへあとから入るのは、時間のかかる話です。
見てほしいのは二つ目です。お客様の言い方で検索した1ページ目に用件の違うページが混じっていて、その人の困りごとに正面から答えているページが二つ三つしかない。これが見本の「実家 名義変更」と同じ形です。探している人がいるはずなのに、答えている人がいない言葉です。
Search Console を入れているなら、「検索パフォーマンス」に、御社のページがどんな言葉で表示されたかが出ます。お客様の言い方が一つも見当たらなければ、同じことを別の側から確かめたことになります。
なお、社名で検索しても御社のページが出てこないなら、言葉の前に、検索に出ない設定が残っていないかを疑ってください。その確かめ方は過去の記事を書き直すべきか、新しく書くべきかに書いています。
空いて見える言葉が、誰にも探されていない言葉のこともある
この確かめ方には限界があります。1ページ目が別の用件で埋まっている理由は、二つ考えられます。答える人がいないからか、その言い方で探す人がほとんどいないからか。検索結果の画面だけでは、この二つを見分けられません。
見本でも、ここは確定できないと書きました。「実家 名義変更」の余地が広く見えても、浜松で月に数人しか打っていなければ、そこに時間をかける意味は薄くなります。何回検索されているかは、有料の道具を使わないと分かりません。検索窓に言葉を打ったときの予測候補にその言い方が出てくれば、打っている人はいる、というところまでは言えます。
もう一つ、商圏にその仕事を探す人がそもそも少ない場合は、言い方をどれだけ合わせても、アクセスは大きくは動きません。そのとき見直すのはホームページではなく、どこで、誰に売るかのほうです。
次に書く一枚は、お客様の言い方の側に置く
書くことは、御社の中でできます。材料は、お客様が最初に口にした言い方と、そのとき実際に説明したことです。見本の例でいえば、「実家の名義を変えたい」という人に、それが相続登記という手続きであること、何を用意すればよいか、どこに頼めるかを書く。題と最初の段落には、お客様の言い方をそのまま使います。相続登記のページを書き換える必要はありません。同じ手続きへの入口を、生活の言葉の側にもう一枚作るということです。
ただし、扱っていない仕事の言い方でページを作らないでください。相談が来ても受けられないページは、アクセスが増えるほど困ることになります。
任せたほうが早いのは、候補の言い方がいくつも出てきて、どれに先に時間を使うかを決める段です。それぞれが何回検索されているかと、上位に誰がいるかを並べないと、順番は決まりません。当社の商圏調査で、見本にはない検索回数の実数を加えているのは、この順番を決めるためです。
お客様の言い方で検索した1ページ目に、その困りごとに正面から答えているページが二つ三つしかないなら、次に書く一枚は、その言葉のためのページです。