この見本について
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏を調べます。家や土地を手放す人がどれだけいる土地なのか、その人たちがどういう言葉で探しているのか、いま検索の上位にいるのは誰で、どういう作りでそこにいるのか。そのうえで後から入る余地があるかを判定し、見込みが立たなければお引き受けしません。
この見本は、その報告書がどういう形になるのかをお見せするためのものです。形は福山市の不動産会社の見本と同じです。今回は高知県高知市で、家や土地の売却の仲介と買取を受けている地元の不動産会社を想定しました。賃貸の仲介や管理も不動産会社の大きな仕事ですが、探され方がまったく違うため、この見本では扱っていません。
特定の会社からご依頼をいただいて作ったものではありません。高知市と不動産の売却という組み合わせを、当社の側で題材として選びました。当社は、相続の手続きを扱う事務所のサイトと、相続の情報サイトの運営に携わっており、相続した家の売却や空き家の話は、そこで繰り返し扱ってきました。この業種を選んだのはそのためで、不動産会社のサイトを運営してきたという意味ではありません。
調査時点は2026年9月で、使ったのは公開されている情報だけです。統計と法令、業界の規約を読み、九つの言葉で検索し、繰り返し出てきた地元の会社のサイトを開きました。
実際にお引き受けする調査では、ここに二つが加わります。一つは御社の記録です。いま査定の依頼が月に何件あり、そのうち何件が媒介の契約に進み、何件が成約したのか。その依頼が、一括査定のサイト、御社のホームページ、電話、紹介のどこから来ているのか。その数は御社の中にしかありません。もう一つは検索回数の実数です。どの言葉が月に何回探されているかは、有料の道具を使わなければ確定できません。この見本で「探され方」と書いているのは、検索したときに何が並ぶかという意味で、何人が探しているかという意味ではありません。
地元の会社は、名前を出さず件数だけで扱います。どこが上手いかを論じるための調査ではなく、この商圏に後から入る余地があるかを見るための調査だからです。
商圏の規模
売却の相談は、家を買う相談よりも数が限られます。一つの家族が家を売るのは、住み替え、相続、転居といった節目だけです。そこで人口と世帯に加えて、売られる前の家、つまり空き家の数を見ます。
高知市の人口は306,655人、世帯数は153,529世帯です(2026年9月1日現在の推計人口、高知市「高知市の統計」)。前の月は306,882人、153,635世帯でした。一か月の動きなので、傾向とまでは言えません。
空き家は、2018年の住宅・土地統計調査で16,900戸、空き家率は16.2%でした。2013年は15,550戸、15.6%で、五年で1,350戸増えています(高知市「第二期 高知市空家等対策計画」2022年4月)。この中には、賃貸や売却に出ている住宅も含まれます。計画は、売りにも貸しにも出ていない「その他の住宅」が空き家の中で占める割合が、2013年から11.4ポイント上がったと書いています。その戸数そのものは、今回読んだ範囲では確かめきれませんでした。
市は、統計とは別に、建物を一棟ずつ見て回る実態調査もしています。空き家と判定されたのは、2015年度の5,864件(5.0%)から、2020年度の6,680件(5.8%)に増えていました。計画はさらに、高齢化率が40%を超える地区で空き家率が高く、海沿いのいくつかの地区では20%を超えていると書いています。どの地区で空き家が多いのかを、市がすでに地区の単位で出していることになります。
2023年の同じ調査の、高知市の数字は確かめきれませんでした。県の確報の概要には市町村別の表がなく、今回の調べ方では市の値を読み出せなかったためです。推計では埋めません。参考までに、高知県全体では、2023年の空き家率が20.3%、売りにも貸しにも出ていない空き家の率が12.9%でした(2018年は19.1%と12.8%。高知県「令和5年住宅・土地統計調査確報」)。
市内の売買の件数や相続の件数は、今回は調べていません。検索に出てきた会社の中には、南国市、香南市、土佐市、いの町まで対象に掲げる会社もあり、実務の商圏は市の境より広いと見ています。
探され方
九つの言葉で検索し、1ページ目に何が並ぶかを記録しました。検索したのは2026年9月24日です。中心の言葉が三つ(「高知市 不動産 売却」「高知 不動産会社」「高知市 不動産 買取」)、暮らしや困りごとから出てくる言葉が六つ(「高知市 空き家 売却」「高知市 相続した家 売却」「高知 実家 売る」「高知市 土地 査定」「高知市 古家付き土地 売却」「高知市 空き家 管理」)です。
先に限界を書きます。検索結果は、見る人、時点、地域の設定で変わり、今回の道具が高知市内のスマートフォンと同じ画面を返すとはかぎりません。タイトルとURLの一覧しか返さないため、地図枠と広告は九つすべてで不明です。売却の言葉は、一括査定のサイトが広告を出しやすい言葉でもあります。実際の画面では、ここに書くよりもポータルの側に寄って見える可能性が高いと考えています。返ってきた件数は9件か10件でした。
九つで1ページ目に出たのは、延べ82件でした。内訳は、全国のポータルや一括査定・比較のサイトが41件、地元の不動産会社が33件、市や県、業界団体のページが8件、他の都市の会社が0件、無関係なものは0件です。ポータルの41件のうち26件は、売りたい人が複数の会社にまとめて査定を頼む一括査定のサイトか、会社や買取業者を並べて比べるサイトでした。
もう一つ、高知ならではの事情があります。「高知」は県の名前でもあるため、「高知市」と打っても、「高知県で空き家の売却に強い業者」のような県の単位のページが混ざります。「高知 実家 売る」のように市の字を付けない言葉では、なおさらです。
言葉ごとに見ると、三つの形に分かれました。
地元の会社が並ぶ中心の言葉。 「高知市 不動産 売却」は9件のうち6件が地元で、一括査定や比較のサイトは3件でした。「高知市 不動産 買取」は9件のうち7件が地元です。この中には、本体のサイトとは別に作った売却専用のサイトが二つ入っていました。中心の三つを合わせると、地元16件、ポータル10件でした。ただし「高知 不動産会社」と打つと、賃貸を含む会社の一覧やランキングが上の6件を占め、地元は3件になります。
一括査定と比較のサイトが並ぶ困りごとの言葉。 「高知市 相続した家 売却」は、9件のうち5件がポータルで、地元は4件でした。その4件は、どれも会社のトップページか売却の総合ページです。タイトルに「相続」を含むページは、9件のどれにもありませんでした。「高知 実家 売る」は10件のうち7件がポータルで、地元は3件です。地元の3件のうち1件は、ある会社のブログの「実家じまい」の記事で、タイトルに実家を掲げた地元のページはこれだけでした。「高知市 古家付き土地 売却」では、タイトルに「古家」を含むのは、土地を買う人向けの物件一覧の2件だけです。地元の3件も、売却の総合ページと、買う人向けの物件一覧でした。「高知市 土地 査定」は、ポータルが5件、地元が4件で、地元の中に「エリア別の土地相場」を掲げたページが1件ありました。
市が並ぶ空き家の言葉。 「高知市 空き家 売却」の地元は3件で、3件ともタイトルに空き家を掲げたページでした。残りの6件のうち3件は、全国の買取会社や比較のサイトが書いた、県の単位の「空き家の買取に強い業者」の記事です。「高知市 空き家 管理」になると、地元の不動産会社はゼロでした。9件のうち5件が市のページ(空き家対策の計画、管理のお願い、管理サービスの案内、中山間地域の空き家バンク)、1件が県の空き家のポータル、残りの3件は全国の空き家の管理の団体やサービスです。市の管理サービスのページが案内しているのは、シルバー人材センターの見守りで、基本の料金は1回2,500円でした(2022年6月更新のページ)。このページには、売ることになったときの相談先は書かれていません。
上位の顔ぶれ
九つの言葉に出てきた地元の会社は十四社で、二つ以上の言葉に出たのは八社でした。一つの会社の売却専用のサイトは、九つのうち六つの言葉に出ています。八社のうち一社はサイトが開けなかった(読み込みを断られた)ため、一度だけ出た会社から、空き家の記事で入っていた一社を加えて、八社のサイトを同じ項目で確かめました。本体と売却専用の二つのサイトを持つ会社は、両方を見ています。
- 手数料:売却の仲介手数料の計算式を書いていた会社は、開いたページの範囲では八社のうち一社でした。それも、買取なら手数料がかからないことを説明する流れの中で、仲介なら通常これだけかかる、と書いたものです。800万円以下の家の報酬の特例に触れた会社はありませんでした。
- 査定の説明:査定の依頼の入口は八社すべてにありました。査定の方法に触れていたのは一社で、空き家の売却のページの中で、机上の査定と訪問の査定の違いを書いていました。ほかの七社には、何を根拠に価格を出すのかの説明は見当たりません。
- 成約の事例:成約や売却の実績のページや欄を持つのは六社でした。町名まで書いているのを確かめたのは三社で、残りの三社はリンクの先まで確かめきれていません。
- お客様の声:四社が載せています。件数が読めたのは一社で、4件でした。ほかに一社、声を紹介すると書いた見出しはあるものの、個々の声は見えませんでした。
- 更新:2026年9月に入ってからの更新を確かめられたのは三社で、三つとも物件の掲載、価格の変更、成約、物件数の更新でした。9月に読み物の記事を出していた会社は、確かめた範囲ではありません。読み物の記事がいちばん新しくて2026年2月という会社が二社あり、四社は日付を確かめきれませんでした。
- 地区のページ:市内の東西南北や周辺の市町ごとに分けたページを持つのは五社でした。五つとも、物件を探す買う人のための区分けで、売る人に向けて、その地区で何が売れてきたかをまとめたページはゼロでした。検索に出ていた「エリア別の土地相場」のページは、開けなかった一社のもので、中身は確かめきれていません。
- 相続と空き家のページ:相続か空き家の専用ページを持つのは三社です(相続が三社、空き家が二社、両方が二社)。このうち一社の相続のページは、遺産分割の話し合い、名義の手続き、売却の準備、引き渡し、代金の分配という順番に沿って書かれていました。ただ、そのページに、古い家を解体してから売るのか、そのまま売るのかの話はありません。専用ページではなく、ブログやお知らせの記事で相続や空き家を扱っている会社がほかに二社ありました。空き家の管理の料金を載せていた会社は、開いたページの範囲では見当たりませんでした。
- 相談の導線:査定の依頼のフォームか査定のページが八社とも、電話も八社とも、LINEは三社でした。
- 一括査定との関係:一括査定のサイトのバナーを自社のサイトに置いていたのは一社です。逆に、全国の空き家の買取業者を並べたサイトの側に、地元の会社を紹介するページがあり、それが二つの言葉の1ページ目に入っていました。
全体として、八社のサイトは「買う人」に向けてよく作られています。物件の情報はこまめに更新され、地区の区分けも買う人のためのものです。売る人に向けた作りでは、売却専用のサイトを持つ会社が二社あり、相続の順番に沿ったページも一つありました。それでも、いくらかかるのか、査定の価格はどう決まるのか、自分の地区でどんな家が売れてきたのか、古い家は壊してから売るのか。売ることを決める前の人が知りたいことに、サイトの上で答えている会社は多くありません。そして、専用のページを持っている会社でも、「相続した家 売却」の1ページ目に出ていたのは、専用のページではなく総合のページのほうでした。
これはサイトの作りを外から見ただけの話で、サイトが薄い会社が仕事に困っている、という意味ではありません。
書けることと、書けないこと
不動産の広告には、法律と業界の規約の二つの層の決まりがあります。公式の資料で確かめたことを書きます。
宅地建物取引業法は、物件の所在や規模、利用の制限、交通などの利便、代金や支払い方法について、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示を禁じています(第32条)。売買の広告では、自社が売主か、代理か、仲介かを明示しなければなりません(第34条)。報酬の額は国土交通大臣が定め、事務所ごとに見やすい場所に掲示する義務があります(第46条)。
業界の規約は、不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」です。第18条は、「最高」「格安」「完全」「日本一」「当社だけ」「業界一」「厳選」といった言葉を、裏付けとなる合理的な根拠の資料を持っていなければ使ってはならないとしています。ほかに、二重価格の表示の制限、おとり広告の禁止、比較広告の基準、取引の条件や事業者の信用などについての不当な表示の禁止があります(第20〜23条)。
もう一つ、2024年7月1日から、報酬の上限に特例が加わりました。物件の価格が800万円以下の宅地や建物(低廉な空家等)の売買の仲介では、仲介にかかる費用を勘案して、原則の上限を超えて報酬を受けられます。上限は30万円の1.1倍です。ただし、仲介の契約を結ぶときに、あらかじめ報酬の額を依頼者に説明し、合意しておく必要があります(高知県「空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについて」)。この特例を説明している公的なページの一つは、地元の高知県のものです。
これを、ホームページで迷いやすい三つに当てはめると、次のようになります。
- 手数料:載せてよく、法の側も掲示を求めています。空き家の多い商圏では、800万円以下の家の報酬がどう決まるのかを先に書いておくことは、契約のときに求められる説明を前もってしておくことにもなります。
- 「地域で一番」という言葉:規約の特定用語に当たりうるので、根拠の資料が要ります。何を、いつ、誰が数えたのかを添えられないなら、使わないほうが安全です。今回開いたサイトにも、この種の言葉を掲げたものがありました。
- 成約の事例とお客様の声:規約で直接禁じてはいません。ただ、実際より良く見せる書き方は不当な表示の問題になりえます。価格や町名をどこまで出すかは、売主の了解と、特定されない書き方が前提です。
会社の案内のページやコラムに規約の表示事項がどこまでかかるのかは、今回の資料からは確かめきれていません。迷うときは、所属する団体や地域の公正取引協議会に確かめておくのが安全です。
入る余地
ここまでの観察から、空いている場所を五つ挙げます。それぞれ、どの検索結果とどのサイトの観察を根拠にしているかを添えます。
一つ目、空き家の管理から売却へ。 「高知市 空き家 管理」の1ページ目に、地元の不動産会社はゼロでした。市のページが5件並び、市が案内する管理の担い手はシルバー人材センターの見守りです。そのページには、売ることになったときの相談先は書かれていません。空き家は、すぐに売ると決める人ばかりではなく、まず管理を頼み、何年か経って売ると決める人もいます。市の見守りを使っている人が、売ると決めたときに何が起きるのか。その話を書いた地元の会社のページは、この商圏の検索結果にはまだありません。この言葉の形は空き家の管理の言葉について書いた記事にもまとめています。
二つ目、相続した家。 「高知市 相続した家 売却」の1ページ目に、タイトルに相続を含むページは一つもありませんでした。地元の会社は4件出ていますが、どれもトップページか売却の総合ページです。八社のうち相続のページを持つのは三社で、手続きと売却の順番に沿って書いていたのは一社だけ、そのページも1ページ目には出ていませんでした。しかも、その順番の中に、古い家を壊すかどうかと、家の中の片付けは入っていません。相続した家を売る人は、価格の前に、名義、兄弟姉妹の間の話し合い、片付け、解体するかどうかで止まっています。
三つ目、古家付きの土地。 「高知市 古家付き土地 売却」で、売る側に向けて古家を扱うページはゼロでした。タイトルに古家を含むのは、土地を買う人向けの物件一覧だけです。古い家を壊してから売るか、そのまま売るかは、費用も買い手も変わる分かれ目で、売る人が最初に迷うところです。八社の中で、この分かれ目に触れていたのは、確かめた範囲では、空き家のページと実家じまいの記事の二つだけでした。
四つ目、売る人向けの地区。 地区のページを持つ五社は、すべて買う人向けの区分けでした。一方で、市の空き家の計画は、高齢化率の高い地区で空き家率が高いことを、地区の単位で示しています。自社で扱った地区の成約を、地区の単位で見られるページは、県の単位の比較記事や、市の単位の相場のページにはない材料で作れます。ただ、「エリア別の土地相場」のページを持つ会社がすでに1件、「土地 査定」の1ページ目に入っています。中身を確かめられていないので、ここがどれだけ空いているかは、実際の調査で見直します。
五つ目、手数料と、800万円以下の家の特例の説明。 仲介手数料の計算式を書いていたのは八社のうち一社で、特例に触れた会社はありませんでした。空き家の率が高い商圏では、特例は多くの売主にかかわる話で、県が自ら説明のページを出しています。載せるかどうかの考え方は料金を載せるべきかに、手数料と査定の根拠の空白は仲介手数料と査定の根拠についての記事に書きました。
一方で、余地と言えない場所もあります。「高知市 不動産 売却」と「高知市 不動産 買取」は、地元の会社が6件と7件並び、売却専用のサイトもすでに入っています。後から入って並ぶのは簡単ではありません。「高知市 空き家 売却」も、空き家を掲げた地元のページが3件入り、残りは県の単位の比較記事です。「高知 実家 売る」は、ポータルが7件並び、地元の会社の実家じまいの記事もすでに1件あります。同じ日に数えた福山市では、この言葉でタイトルに実家を掲げた地元のページはありませんでしたから(三つの市を比べた記事、2026年9月24日時点)、高知の実家の言葉は、福山ほど空いてはいません。
この商圏に、これから入る事業者の見込みはあるか
この範囲の情報からは、「条件つきで見込みはある」と見えます。
規模の面では、15万世帯の市に、2018年の時点で空き家が1万7千戸近くあり、五年で1,350戸増えていました。市が一棟ずつ見て回った調査でも、五年で800件あまり増えています。売られる前の家は、少なくとも減ってはいない商圏です。ただし、2023年の市の数字と、市内で年に何件の売買が成立しているかは確かめられていません。
競争の面では、中心の言葉と困りごとの言葉とで、形が違います。中心の言葉は、地元の会社が売却専用のサイトまで作って押さえています。困りごとの言葉のうち、相続や実家、査定の言葉は、一括査定や比較のサイトが半分以上を占めています。そのどちらもほとんどいない場所が、空き家の管理と、古家付きの土地と、相続した家の順番です。空き家の管理では、市が案内役になっていて、その先の売却の話を書く会社がいません。一括査定のサイトが取りに来ない言葉から置いていくという考え方は地方の会社と全国ポータルに書きましたが、この商圏はその形に近いと見ています。
サイトの作りの面では、八社のうち手数料の計算式を書く会社が一社、特例に触れる会社はゼロ、売る人向けの地区のページもゼロ、査定の方法を書く会社が一社でした。相続や空き家の専用ページを持つ会社は三社ありましたが、それが1ページ目に出ているとはかぎりません。作りで並ぶこと自体は、遠い目標ではありません。
条件というのは、次の三つが埋まることです。
一つは、その言葉が実際に探されているかです。「空き家 管理」や「古家付き土地 売却」の1ページ目に地元の会社がいないのは、探す人が少ないからかもしれません。検索回数の実数を見なければ、時間をかける価値のある空白かどうかは決められません。
二つ目は、地図枠と広告です。売却の言葉は、一括査定のサイトの広告が画面の上を占めやすい言葉です。今回はそれを確認できていません。広告が大きく出る言葉であれば、記事で1ページ目に入っても目に触れにくくなります。
三つ目は、御社の記録です。いま査定の依頼がどこから来ていて、どれだけが媒介の契約と成約に進んでいるのか。一括査定のサイトから来る依頼は、同じ家に何社もの査定が並ぶ依頼です。御社のサイトから直接来る依頼と比べて、成約までの割合がどう違うのかが分かれば、サイトに何を置くべきかがはっきりします。
判定を「見込みはある」まで上げなかったのは、検索回数と地図枠・広告という、余地の大きさを決める二つの情報が欠けているからです。加えて、高知では、売却専用のサイトを持つ会社が、すでに相続と空き家のページまで用意しています。その会社がページの出し方を変えれば、いま空いている場所の一部はすぐに埋まりえます。実際の調査では、検索回数と地図枠・広告、御社の記録が埋まります。
もし引き受けるなら、最初の半年に何をするか
以下は、この商圏で一般的にどういう順番になるかという話です。お約束の形ではありませんし、御社の現状によって順番は変わります。当社が不動産会社のサイトで実績を持っているという話でもありません。
- 数え方を決める。 査定の依頼、売却の相談の電話、空き家の相談が、それぞれ何件あり、どこを見て来た人で、何件が媒介の契約と成約に進んだか。これを記録する形を先に作ります。一括査定のサイトから来た依頼と、御社のサイトから来た依頼は、分けて数えます。
- いまある成約の事例に条件を足す。 新しく書く前に、すでに載せている事例に、相続した家だったか、空き家だったか、古家付きの土地だったか、解体したか、といった条件を、売主の了解の範囲で足します。町名まで書く会社がすでにある以上、差がつくのは町名の先の条件です。
- 空いている言葉に一本ずつ置く。 空き家の管理から売却へ、相続した家の順番、古家付きの土地。上で挙げた余地のうち、御社が実際に扱っていて、事例で裏付けられるものから順に作ります。扱ったことのない話のページを作っても、相談に来た人に答えられません。
- 手数料と査定の説明を置く。 報酬の上限の考え方、800万円以下の家の特例、査定の価格を何から決めるのか。出すかどうか、どこまで出すかは御社の判断ですが、八社のうち特例に触れた会社がない以上、書くこと自体が比べられる理由になります。
- 相談への道を一つずつ変える。 査定のフォーム、電話、LINE、空き家の相談。まとめて変えると、数字が動いたときに何が効いたのか分からなくなります。一つずつ変えて、記録と突き合わせます。
半年で結果が出るかというと、そこは動き始めるかどうかの時期です。当社が運営に携わっている相続の事務所でも、数字が動き始めたと感じたのは半年ほど経ってからでした。業種が違い、相談から成約までの期間も違うため、同じ速さで動くとは考えていません。
この見本で分からないこと
まとめて書いておきます。
- 検索結果は、見る人・時点・地域の設定で変わります。ここにあるのは2026年9月24日の一つの記録です。
- 地図枠と広告の表示は確認できていません。九つの言葉すべてで不明です。売却の言葉では、一括査定のサイトの広告が出ている可能性が高いと考えています。
- 各言葉の検索回数は、公開情報だけでは分かりません。
- 高知市の空き家の数は2018年のもので、2023年の数字は読み出せていません。「その他の住宅」の戸数も確かめきれていません。空き家の計画の数字は、資料の要約を介して読み取った部分があります。市内の売買の件数、相続の件数は調べていません。
- 各社の成約の数、一括査定のサイトへの支払い、紹介による依頼は、外からは分かりません。
- 八社は、九つの言葉で1ページ目に出てきた地元の会社から選んだもので、高知市の不動産会社の全部ではありません。二つ以上の言葉に出た会社のうち一社は、サイトを開けず、横並びから外しています。一度だけ出た会社のうち五社は、サイトを開いておらず、タイトルに高知市を掲げていることで地元と数えています。
- サイトの内容は、要約を介して読み取った部分があります。手数料や声の有無は、主にトップページと売却のページで確かめたもので、下層のページやよくある質問に書かれている可能性は残ります。
公開情報だけで言えることは、ここまでです。この先を埋めるために、実際の調査では御社の記録と検索回数の実数を加えます。
御社でも、今日できること
道具を入れていなくても、今日のうちに確かめられることがあります。今回の調べ方で、実際に差が見えた順に並べます。
- 「高知市」に、「空き家 管理」「相続した家 売却」「古家付き土地 売却」を足して検索する。1ページ目に地元の会社がいくつ、一括査定や比較のサイトがいくつ、市や県のページがいくつあるか、地元の会社のページがその言葉に答えたページなのか、売却の総合ページなのかを数える。
- 御社のサイトに相続や空き家のページがあるなら、そのページの題に「高知市」と、その言葉が入っているかを見る。専用のページがあっても、検索に出ているのが総合のページなら、専用のページは探す人に届いていません。
- 御社のサイトをスマートフォンで開いて、手数料と査定の決め方が書いてあるページまで何回で届くかを数える。届かなければ、売るかどうかを迷っている人も同じところで止まっています。
- この三か月の査定の依頼を、一括査定のサイト、御社のサイト、電話、紹介に分けて数え、それぞれ何件が媒介の契約に進んだかを並べる。分けて記録していなければ、次の依頼から「何を見てご連絡いただいたか」を一行だけ残す。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「不動産会社 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、実際に数えた中身のあるページを置きました。
御社に売却を頼む人も、同じように探しています。「高知市 空き家 管理」や「高知市 相続した家 売却」のように、地域と用件と困りごとを掛け合わせた言葉です。当社が御社の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御社が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に、相続した家の言葉については不動産会社の相続の集客についての記事に書いています。
御社の商圏でも、同じ形で調べます
この見本は高知市と不動産の売却を題材にしましたが、形はどの商圏でも同じです。規模を見て、探され方を見て、上位の顔ぶれを見て、業種の決まりを確かめ、入る余地を挙げ、見込みを判定する。見込みが立たないときは、その理由をお伝えしてお引き受けしません。
同じ商圏で同業の会社を同時にお預かりすることはありません。すでにお預かりしている商圏では、お受けできない場合があります。御社の商圏でこの形の報告書を見てみたい段階でしたら、相談するからご連絡ください。
出典
- 高知市「高知市の統計」(推計人口・住民基本台帳人口) https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/7/toukei1.html
- 高知市「第二期 高知市空家等対策計画」(令和4年4月) https://www.city.kochi.kochi.jp/joho/upload/files/1713/dainikiakiyakeikaku.pdf
- 高知市「空き家管理サービスについて」 https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/58/akiyakannri.html
- 高知県「住宅・土地統計調査」(令和5年住宅・土地統計調査確報) https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/juutaku/
- 高知県「高知県空き家ポータルサイト」 https://akiya-kochi.jp/
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索) 第32条・第34条・第46条 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 高知県「空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについて(令和6年7月1日施行)」 https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024091900481/
- 不動産公正取引協議会連合会「公正競争規約の紹介」 https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」 https://www.rftc.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/02/h_kiyaku.pdf