「ローカルSEO」は、地域の事業者が、近くで店や事務所を探している人に検索で見つけてもらうための取り組みを指す言葉です。地方の町で「市の名前と業種」を検索すると、地図の枠が出る言葉では、画面に地図と数件の事業者がまとまった枠と、その下に続くウェブページの一覧の二つが並びます。この記事は、地方で店や会社、士業の事務所を営む方に向けて、この二つがそれぞれ何で決まり、自社のどこを手入れすれば届くのかを、Googleが公表している説明と、当社が9業種・27の商圏で検索結果を数えた記録をもとに一枚の全体図にしたものです。個々の作業の手順は、関連する記事へ分けています。
先に結論を書きます。
- 地図の枠(ローカルパックとも呼ばれます)は、Googleビジネスプロフィールの情報から作られます。Googleは、その順位を「関連性」「距離」「知名度」で決めると公表しています。
- 通常の検索結果は、自社サイトなどのページから作られます。店の名前を比べる前に、用件や困りごとで調べる人には、地域と用件に答えるページで届きます。
- 当社が数えた範囲では、地域の人が打ちそうな用件の言葉に、地元の事業者の答えるページがほとんどない場所がありました。司法書士の「抵当権抹消」は、三つの市の1ページ目28件に、地元の司法書士事務所のページが一つもありませんでした。
- 都市名だけを差し替えた地域のページを並べるのは、Googleのスパムポリシーが「誘導ページ」の例として挙げている形に近く、当社は勧めていません。
- 二つの側には、無料の計器が一つずつあります。地図の側はビジネスプロフィールの「パフォーマンス」、通常の検索結果の側はGoogle Search Consoleです。
ローカルSEOとは:「市の名前と業種」の検索に出る二つの場所
Googleビジネスプロフィールのヘルプは、ユーザーが現在地付近の店舗や場所を検索すると「Google マップと Google 検索にローカル検索結果が表示されます」と書いています。ローカル検索とは、近くの店や事業者を探す検索のことです。Googleが検索の仕組みを説明したページでも、ローカルな意図を持つ検索を認識できる例として、「ピザ」と検索すると配達する近くの店舗に関する結果が表示される、という説明があります(出典:Google 検索の仕組み「検索結果の掲載順位」)。
スマートフォンで「市の名前と業種」を検索した画面を思い浮かべてください。地図の枠が出る言葉では、上のほうに地図と数件の事業者の名前、評価、電話やルートのボタンがまとまった枠があり、その下にウェブページの一覧が続きます。広告が入ることもあります。この記事では、前者を「地図の枠」、後者を「通常の検索結果」と呼びます。
「MEO」という言葉もよく使われます。地図の検索で上位を目指す取り組みを指して国内の業者がよく使う言葉で、ローカルSEOと同じ意味で使う会社も、地図の側だけを指す会社もあります。使い方が揃っていないので、この記事ではローカルSEOを、地図の枠と通常の検索結果の両方で地域の人に見つけてもらうこと、という広い意味で使います。業者と話すときは、見積もりがどちらの側の作業なのかを先に確かめると話が早くなります。
地図の枠と通常の検索結果は、別の仕組みで決まる
二つは同じ画面に並びますが、元になる情報も、順位の決まり方も違います。表の上二行はGoogleの公表している説明、下の三行は当社の整理です。
| 地図の枠 | 通常の検索結果 | |
|---|---|---|
| 元になる情報 | Googleビジネスプロフィール(Googleが無料で提供している、地図と検索に事業者の情報を載せる登録) | 自社サイトなど、ウェブ上のページ |
| Googleが挙げている決まり方 | 関連性・距離・知名度の三つ | 意味・関連性・品質・ユーザビリティ・コンテキストなど。検索する人の場所もコンテキストに含まれる |
| 一件の単位 | 事業者(拠点)ごとに一件 | ページごとに一件。一つのサイトから複数のページが出ることもある |
| 自社で手入れするところ | カテゴリー、営業時間、サービス提供地域、写真、口コミへの返信 | 地域と用件に答えるページ、その題と見出し |
| 見る計器 | ビジネスプロフィールの「パフォーマンス」 | Search Console の「検索パフォーマンス」 |
地図の枠:関連性・距離・知名度
Googleのヘルプは、関連性を「検索語句とビジネス プロフィールが合致する度合い」、距離を「検索しているユーザーから各ビジネス拠点までの距離」、知名度を「ビジネスがどれだけ広く知られているか」と説明し、知名度はビジネスにリンクしているウェブサイトの数やクチコミの数などの情報にも基づくとしています。同じページには、ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じていない、という一文もあります(出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google でのローカル検索結果のランキングを改善する方法」)。三つのうち距離は拠点の場所で決まるので、自社では動かせません。残る二つを自社でどう手入れするかは、Googleマップ集客とビジネスプロフィール運用の記事に作業の順で書いています。
「自社サイトの評価が高いと地図の順位も上がる」と説明する解説も見かけます。ただ、当社が2026年10月に読んだこのヘルプの日本語版と英語版には、自社サイトの検索順位が地図の順位に影響する、という記述はありませんでした。書かれているのは、知名度の材料の一つとして、ビジネスにリンクしているウェブサイトの数が挙がっていることです。当社は二つの側のつながりを、順位の連動としてではなく、お客の動きとして考えています。地図の枠でプロフィールを見た人が「ウェブサイト」のボタンからサイトに来て、料金や進め方を読んでから連絡する、という流れです。地図で選ばれても、その先のページが用件に答えていなければ、連絡には至りません。
通常の検索結果:その言葉に答えるページ
通常の検索結果に並ぶのは、事業者ではなくページです。Googleの「SEO スターター ガイド」は、ユーザーがコンテンツを探すときに検索しそうな言葉を考え、検索行動の違いを予測して読者を意識して書くことを勧めています(出典:Google 検索セントラル「SEO スターター ガイド」)。地域の事業者に当てはめれば、その町の人が打ちそうな「地域と用件」の言葉に、正面から答えるページを置くということです。先の検索の仕組みのページは、同じ「フットボール」でもシカゴとロンドンで出る結果が変わる例を挙げていて、通常の検索結果も、検索する人の場所によって変わります。
言い換えると、地図の枠は事業者の名前と評価を見て選ぶ場所で、通常の検索結果はページを読んで選ぶ場所です。地図の枠で比べられるのは、距離、口コミ、営業時間です。通常の検索結果で比べられるのは、自分の用件を扱っているか、料金はいくらか、どういう順で進むのか、といった中身です。
Googleマップへの登録は、ビジネスプロフィールを作ることから
Googleマップに自社を載せる手続きは、Googleビジネスプロフィールを作ることです。Googleのヘルプ「ビジネス プロフィールを作成する」に書かれている流れは、Googleアカウントでログインし、ビジネス名と業種を入れ、実店舗があるかを選び、お客の所へ出向く事業ならサービス提供地域を指定し(20か所まで)、電話番号とウェブサイトのURLを入れ、最後にオーナー確認をする、というものです。ヘルプは、オーナー確認が完了してはじめてプロフィールが検索できるようになる、と書いています。ビジネスプロフィール自体は無料で、Googleは管理を代行する業者に対しても、そのことを事業者に伝えるよう求めています(出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのサードパーティ ポリシー」)。
登録で迷いやすいのは、ビジネス名に地名やサービス名を足してよいか、自宅を拠点にした事業で住所を表示するか、の二つです。どちらもGoogleのガイドラインに決まりがあり、Googleマップ集客とビジネスプロフィール運用の記事で取り上げています。業者に登録や運用を頼む場合の料金の形と、オーナー権限を自社に残す確かめ方は、MEO対策の費用と、業者に頼む前に確かめることにまとめました。登録は、ローカルSEOの片側の入口です。
地図の枠が答えない言葉に、地元のページが少ない
では、通常の検索結果の側に、地域の事業者が入れる場所はどれだけあるのか。当社は2026年9月24日に、9つの業種と27の商圏(地方の市や村)で、その業種のお客が打ちそうな九つの言葉を検索し、1ページ目に誰のページが並ぶかを数えました。全体はホームページ集客は業種と地域で何が違うか:検索結果の調査にまとめています。ローカルSEOの全体図として見ると、目立ったのは次の二つです。
「市の名前と業種」は、お客が店を探す言葉として扱われる
同じ日に、地方の市と業種の組み合わせを24組選び、「市名 業種 集客」の形で検索しました。集客の方法を書いた記事や制作会社のページが1件でも入ったのは24組中3組で、残りの21組は、ポータルや比較サイト、予約サイトと、その業種の事業者自身のページで埋まっていました。「松本市 工務店 集客」は9件中8件が家探しのポータルです(「市名 業種 集客」で調べると、お客が店を探す画面が出てくる)。「市の名前と業種」は、経営者が打っても、お客が店を探す言葉として扱われます。
この種類の言葉では、地図の枠のほかに、ポータルや比較サイトと同業のページが同じ画面に並びます。工務店の三つの市では、九つの言葉の1ページ目の半分前後を住宅ポータルなどが占めていました(松本83件中43件、倉敷82件中41件、宇都宮82件中47件)。当社は、地図の枠を、この画面で地元の事業者が名前を出せる場所の一つと見ています。
用件や困りごとの言葉には、答えている地元のページが少ない
もう一つは、地域の人が用件や困りごとで探す言葉に、地元の事業者の答えるページがほとんどなかったことです。いくつかを並べます。
| 業種(数えた市) | 言葉 | 1ページ目の地元の事業者 |
|---|---|---|
| 司法書士(岡山・富山・甲府) | 抵当権抹消 | 28件中0件 |
| 司法書士(同) | 住所変更登記 義務化 | 27件中0件 |
| 税理士(大分・松山) | 創業融資 相談/法人化 タイミング 相談 | どの1ページ目も0件 |
| 行政書士(静岡・宇都宮) | 補助金 申請 サポート | 10件中0件ずつ |
| 社会保険労務士(福井・仙台・沼津) | 36協定 届出 | 27件中0件 |
| 工務店(松本・倉敷・宇都宮) | 実家 建て替え | 工務店の建て替えのページは各市0〜1件 |
| 不動産会社(福山・高知・上田) | 相続した家 売却 | 27件のうち、題に「相続」を含むページは0件 |
こうした言葉は、店の名前を比べる前の段階で打たれます。抵当権抹消を調べている人がまず知りたいのは、近くの事務所の評価より、何をすればよいのか、頼むならいくらかかるのかでしょう。地図の枠はその問いに答える場所ではありません。答えるのは、通常の検索結果に並ぶページです。当社が地図の側と同じ重さで通常の検索結果の側を扱っているのは、この空きがあるからです。
ただし、中身を持っていれば出られる、というわけでもありません。宮古島市では長期滞在の料金や記事を持つ宿が8軒中4軒あったのに、「長期滞在 宿」の1ページ目に出たのは1軒でした。金沢市では税理士の変更の専用ページを持つ事務所が8つのうち4つありましたが、その言葉の1ページ目には出ていません。サイトのどこかに書いてあることと、その言葉に答えるページがあることは、別のことだと当社は見ています。
この数字には限界があります。当社が使った検索の道具は一つの言葉につき9〜10件の題とアドレスを返すだけで、地図の枠と広告は見えていません。月に何回検索されている言葉かも扱っていないので、空いて見える言葉が、探す人の少ない言葉である可能性は残ります。数え方は競合調査のやり方:順位より先に、検索結果の1ページ目を数えるに書きました。
地域のページは、都市名を入れ替えて量産しない
通常の検索結果で地域の人に届こうとすると、周辺の市や区ごとにページを作る、という案がよく出ます。当社が開いた地元の事業者のサイトでは、こうしたページを持つところは少数でした。周辺の市町ごとの専用ページは、税理士24事務所中0、社会保険労務士19事務所中0、弁護士24事務所中0、司法書士20事務所中1で、その1事務所のページも、中身は市ごとに同じ型でした。
少ないからといって、都市名だけを差し替えたページを並べるのは別の話です。Googleの「スパムに関するポリシー」は、誘導ページの不正使用を「特定の類似した検索語句で検索結果の上位に表示されることを目的にサイトまたはページを作成すること」と定義し、例として「特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、それらのドメインから 1 つのページにユーザーを誘導する」ことや、内容が類似する複数のページを作ることを挙げています(出典:Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」)。
当社は検索の1ページ目で、全国のWeb会社が倉敷市、宇都宮市、松本市と都市名だけを差し替えた同じ作りのページを、それぞれの市の検索に出している例を見ています。名前を入れ替えたページでも1ページ目に入ることはある、というのは事実です。それでも当社がこの形をとらないのは、読む人から見て、そのページがその町のことを何も言っていないからです。地域のページを作るなら、その地区のどこまで出向けるか、その地区から多い用件は何か、窓口や手続きで隣の市と違うところはあるか、といった、地名を入れ替えると嘘になる中身が要ります。自社のページを2枚並べて地名を消し、見分けがつくかを確かめる方法は、業種別・地域別のページは、名前を入れ替えるだけなら作らないに書いています。
どちらから手を付けるかは、お客が打つ言葉で決まる
地図の枠と通常の検索結果のどちらに先に手間をかけるかについて、当社の見立てを書きます。分かれ目は業種名より、お客が何を打って探すかです。
- お客が「市の名前と業種」で探し、近さで選ぶ事業(来店して使う店や教室、動物病院など):先に地図の側です。プロフィールの正確さと、口コミへの返信から手を付けます。
- お客が用件や困りごとの言葉で探す事業(士業、家の売却、建て替えなど):地図の側は正確に整えたうえで、手間の多くを、用件に答えるページに回します。
- お客の所へ出向く事業や、拠点から離れた地域のお客も取りたい事業:距離は動かせないので、離れた地域には、出向く範囲や対応を具体的に書いたページで届くことを考えます。
同じ業種でも、町が違えば画面が変わります。当社の記録では、「地名 行政書士」の1ページ目の地元の事務所が、宇都宮では9件中8件、熊本では10件中2件でした。業種の定石を探すより、自社の町で実際に打ってみるほうが確かです。
ローカルSEOのツール:無料の計器が二つと、順位を測る道具
「ローカルSEO ツール」と調べると、順位の計測や口コミの管理をする有料の道具が多く出てきます。その前に、Googleが無料で出している計器が、二つの側に一つずつあります。
| 道具 | 見る側 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|---|
| ビジネスプロフィールの「パフォーマンス」 | 地図の枠 | プロフィールが見られた数、使われた検索語句、通話、ルート検索、ウェブサイトのクリック | サイトに来たあと、連絡したかどうか |
| Search Console の「検索パフォーマンス」 | 通常の検索結果 | クリック数、表示回数、クリック率、平均掲載順位。クエリ、ページ、国、デバイスなどで絞り込める | 国より細かい地域での内訳 |
| 順位計測の道具(有料) | 主に地図の枠 | 決めた言葉の順位の毎日の記録 | 問い合わせが増えたかどうか |
| 自分のスマートフォン | 両方 | 自分の町で、いまお客が見ている画面 | ほかの地点からの見え方 |
Search Consoleの検索パフォーマンスで地域を選ぶ絞り込みは「国」までです(出典:Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」)。地域の言葉を見るときは、クエリの絞り込みで自社の市の名前を含む言葉だけを表示させると、通常の検索結果の側でどんな地域の言葉から人が来ているかが分かります。ビジネスプロフィールの検索語句と並べると、地図で探されている言葉と、ページで探されている言葉の違いが見えてきます。
順位計測の道具を含め、どの道具も、数えているのは順位や表示やクリックまでで、問い合わせが来たかどうかは自社で数える必要があります。
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その地域で検索されている言葉と上位の顔ぶれを数える商圏調査を行っています。当社の道具で数えているのは通常の検索結果の側で、地図の枠が何件出るかはまだ数えていません。そのため、地図の側は御社の町のスマートフォンの画面で確かめることを前提にしています。
GoogleのAIによる概要やChatGPTの検索の答えに地域の会社として出るために、ホームページで何ができるかは、AIの検索で地域の会社が見つかるには:ホームページで今日からできることに、各社の公式情報で確かめた範囲で書いています。どの町までを自社の商圏とするかの決め方と、その大きさを無料の公的データで調べる手順は、地域密着の集客方法:商圏の調べ方と、その範囲の人に見つけてもらう経路にまとめました。名古屋で税理士や司法書士などの士業を探す20の言葉で、1ページ目に誰が並んだかは名古屋で士業事務所が検索で見つかるにはに数えた記録があります。
今日、自社で確かめられること
- スマートフォンで「自社の市の名前と業種」を検索し、地図の枠が出るか、出たら自社が何番目かを書き留めます。
- 同じ画面を下へ送り、通常の検索結果の1ページ目に、自社のサイト、ポータル、同業、役所などのページがそれぞれ何件あるかを数えます。
- お客から実際によく受ける用件を一つ選び、「市の名前と用件」で検索して、その用件に答える地元のページがあるかを見ます。自社のサイトに、その用件だけを扱うページがあるかも確かめます。
- Googleマップで自社の名前を検索し、プロフィールの「ウェブサイト」のボタンを押して、今のサイトの正しいページが開くか、そこから料金と連絡先にすぐたどり着けるかを見ます。
- Search Consoleを使っているなら、クエリを自社の市の名前で絞り込み、出てきた言葉を書き出します。使っているか分からなければ、サイトを作った会社に登録の有無を問い合わせます。
- 周辺の市や区ごとのページがあるなら、2枚を並べて地名を消し、見分けがつくかを確かめます。