浜松市の相続の事務所の集客:検索結果と地元8事務所のサイトを数えた(商圏調査の見本)

この見本について

当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏を調べます。どれだけの規模があるのか、どういう言葉で探されているのか、いま上位にいるのは誰で、何を書いてそこにいるのか。そのうえで、入る余地があるかを判定します。見込みが立たないときは、その理由をお伝えして、お引き受けしません。

調査そのものは有料でお受けしているもので、費用は5万円(税別)、期間は二週間程度です。ただ、費用だけを見せられても、中身が分からなければ判断のしようがないと思います。そこで、実際の報告書がどういう形をしているのかをお見せするために、この見本を作りました。

先に、この見本が何でないかを書いておきます。

これは、特定の事務所からご依頼をいただいて作ったものではありません。静岡県浜松市と相続という分野を、当社の側で題材として選んだだけのものです。調査時点は2026年9月で、使ったのは公開されている情報だけです。検索して出てきたページを開いて読み、公的統計を参照した、それ以上のことはしていません。

そして、実際にお引き受けする調査には、この見本に入っていないものが二つ加わります。一つは、御事務所のサイトの現状です。検索からどれだけの人が来ているのか、どのページに来ているのか、問い合わせが何件あって、そのうち何件が面談まで進んだのか。これは御事務所の中にしかない記録で、外から見ることはできません。もう一つは、検索回数の実数です。どの言葉が月にどれくらい検索されているのかは、有料の道具を使わなければ確定できません。この見本では扱っていないため、以下で「探され方」と書いているのは、検索結果に何が出るかという意味であり、何人が探しているかという意味ではありません。

地元の事務所については、実名を出さず、件数だけで扱います。誰がどうという話をするための調査ではなく、その商圏に余地があるかを見るための調査だからです。

商圏の規模

最初に見るのは、その商圏に人がいるかどうかです。書き直しても読む人がいない商圏では、何をしても数字は動きません。

浜松市の人口は781,011人、世帯数は358,438世帯です(令和7年4月1日現在、浜松市産業部「浜松の産業 令和8年度版」)。2020年の国勢調査では790,718人でしたから、直近も減少は続いています。

高齢化率は28.8%で、2015年の25.3%から3.5ポイント上がっています(2024年、浜松市「高齢化」)。年間の死亡数は10,055人でした(2024年1月から12月、浜松市「人口・世帯数の概要 令和6年版」)。

この1万人という数字の扱いには注意が要ります。亡くなった方の数であって、相続手続きが発生した件数ではありません。実際に手続きが起きた件数の公表統計は、今回の調査では見つけられませんでした。ですので、これは「年間で相続が起こりうる件数の、上限に近い規模感」としてだけ使います。それでも、世帯数が35万を超え、年間の死亡数が1万人規模という商圏は、相続を扱う事務所にとって小さくはありません。

もう一つ、この商圏には2024年1月1日という区切りがあります。行政区が、従来の7区から3区(中央区・浜名区・天竜区)に再編されました(中日新聞しずおかWeb、浜松市「行政区の再編について」)。旧区名で覚えている方と、新区名で表記されている公的な案内との間に、ずれが残っている時期です。不動産登記の実務にも関わるため、静岡地方法務局が取扱いのQ&Aを公開しています。

隣接する生活圏も見ておきます。磐田市の人口は163,130人、世帯数は72,439世帯です(令和8年8月31日現在、磐田市公式サイト)。湖西市については、市の一次資料で人口・世帯数を確認できなかったため、この見本では不明として扱います。

実務上は、浜松市の相続系の事務所の多くが磐田市・湖西市・袋井市までを対応地域として掲げており、浜松市単体ではなく西部の広い範囲を商圏とみなしています。

探され方

次に見るのは、どういう言葉で探されたときに、どういうページが出てくるかです。九つの言葉について、検索結果の1ページ目に何が並ぶかを記録しました。

先に限界を書きます。検索結果は、見る人・時点・地域設定によって変わります。ここに書いたのは2026年9月20日に、ある検索の道具を通して見えた並びであり、生活者がスマートフォンで検索したときの画面と同じとはかぎりません。また、この道具はタイトルとURLの一覧しか返さないため、地図枠(ローカルパック)が出ていたか、広告が出ていたかは確認できていません。この二つは全項目で不明です。

そのうえで、傾向として三つに分かれました。

地元の事務所が強く占めている言葉。「浜松 遺言書 作成」は1ページ目の大半が地元の事務所でした。「浜松 相続税 税理士」も、地元の税理士事務所のページが六つ入り、全国規模のポータルは二つにとどまります。「浜松 相続 相談」も、1ページ目の多くが地元の事務所で、全国規模のポータルは三件にとどまります。この種の言葉に後から入っていくのは、相応の時間がかかります。

全国のポータルや他都市の業者が混じっている言葉。「浜松 相続登記」では、全国展開しているチェーン系のサービスが浜松市専用のページを作って上位に入っていました。「浜松 家族信託」はさらに顕著で、地元の金融機関、全国規模のポータル、浜松市に拠点を置かない他都市の事業者が浜松向けのページを作って入っています。地元の相続専業の事務所が、強く占めきれていない言葉です。

意図が別のものに奪われている言葉。「浜松 実家 名義変更」がこれにあたります。1ページ目の三分の一ほどが、自動車の名義変更に関するページでした。「名義変更」という言葉が車の登録のほうに引っ張られていて、不動産、つまり親の家を相続したあとの手続きに正面から答えているページは、実質的に一つか二つしかありません。「浜松市 相続手続き」でも求人関連のページが紛れ込んでおり、探す側の意図がまだ一つに固まりきっていない様子がうかがえます。

上位の顔ぶれ

検索結果に繰り返し出てきた地元の事務所のうち、八つを実際に開いて、サイトの作りを確かめました。司法書士、税理士、行政書士が混在しており、規模もさまざまです。確認した項目ごとに、横並びで見ていきます。

  • 手続きごとの個別ページ:八つのうち七つは、相続登記、相続放棄、遺言、生前贈与といった手続きごとにページを分けていました。1ページに箇条書きでまとめているだけの事務所が一つあります。
  • 費用の明示:具体的な金額を出していたのは八つのうち三つです。手続きごとに、数万円台から二十万円台までの目安を示しています。残りの五つは、着手したあとにいくらかかるのかが、サイトを見ただけでは確かめられません。
  • 解決事例・利用者の声:数十件の規模で載せていたのは一つだけでした。数件にとどまる事務所、件数が読み取れない事務所があり、掲載そのものがないのが二つです。
  • コラムの更新:2026年に入ってからの記事が確認できたのは三つです。一つは月に1〜2件の更新が続いていますが、確認できた最新は2025年11月でした。残りは2022年で止まっているか、更新の頻度が読み取れませんでした。
  • 地域ごとのページ:周辺市(磐田・湖西・袋井など)の専用ページを持っていたのは一つだけです。浜松市内の新しい3区の単位で専用ページを作っている事務所は、八つのうちゼロでした。
  • 相談への導線:電話・フォーム・LINEを揃えているのが二つ、電話だけが確認できたのが二つ、残りは電話とフォームです。

全体として、手続きごとのページ・費用の明示・相談への導線の三点がそろっているのは、八つのうち三つです。それとは別に、更新を続けているという点で強い事務所が二つあります。残りの三つは、ページの数や費用の情報という点で、他より薄い状態です。

ただし、これはサイトの作りを見ただけの話です。実際にどれだけ受任しているか、広告をどれだけ出しているかは外から分かりません。サイトが薄い事務所が仕事をしていない、という意味ではありません。

入る余地

ここまでを踏まえて、入る余地がどこにあるかを六つ挙げます。なぜ余地と言えるのかも、あわせて書きます。

一つ目、実家の名義変更という言葉。 先に書いたとおり、「浜松 実家 名義変更」の1ページ目は自動車の名義変更に引っ張られており、不動産の文脈で正面から答えているページは実質一つか二つでした。相続という言葉を知らない方が、生活の言葉で「実家 名義変更」と打ち込む場面は想像がつきます。その言葉に合わせたページが空いている、というのが根拠です。

二つ目、期限のある手続き。 相続放棄は三か月という期限があり、探す側は急いでいます。ところが「浜松 相続放棄」の上位でも、相続放棄の専用ページを持っていた地元の事務所は、確認できた範囲で一つだけでした。ほかは相続全般のページの中の一項目として扱っています。期限、期限を過ぎてしまった場合、何を準備すればよいのか。急いでいる人の問いに専用のページで答えている事務所が少ない、というのが根拠です。

三つ目、区と周辺市の単位。 周辺市の専用ページを持つのは八つのうち一つ、新3区の単位のページはゼロでした。加えて2024年の区再編があり、旧区名と新区名の対応が分かりにくい時期にあたります。市が町字ごとの新旧対応表を公開し、法務局も登記の取扱いを出している以上、迷っている人はいるはずです。それに答える案内は、今回見た八つのいずれにもありませんでした。そこが手薄だ、というのが根拠です。

四つ目、家族信託。 この言葉は、地元の相続専業の事務所の占有率が、ほかの言葉より低くなっています。金融機関や他都市の事業者が入ってきているのは、地元側が強く押さえきれていないからだと見ることができます。認知症への備え、親の財産の管理という切り口から厚く書けば、届く余地があります。

五つ目、遠方に住む子世代。 八つの事務所のいずれにも、県外に住むお子様向け、あるいは遠方から手続きを進めたい方向けの専用ページは見当たりませんでした。年間の死亡数が1万人規模という商圏の広さからすると、相続人が市外・県外にいる件数も相応にあるはずです。来所しなくても進められること、郵送や画面越しでのやりとりができることを前面に出したページは、いまのところ誰も置いていません。

六つ目、費用の明示。 具体的な金額を出しているのは八つのうち三つです。費用が分からないことが相談をためらう理由になるのは、相続にかぎった話ではありません。ただしこれは探され方の空白ではなく、サイトの作りの問題です。順位を取ることとは別の話として扱う必要があります。

この商圏に、これから入る事務所の見込みはあるか

この範囲の情報からは、次のように見えます。

規模の面では、足りています。世帯数が35万を超え、周辺市まで含めれば商圏はさらに広がります。読む人がいない商圏ではありません。

競争の面では、二層に分かれています。「相談」「遺言書」「相続税」といった中心の言葉は、地元の事務所が何年もかけて積み上げてきた場所で、いまから同じ土俵に入って上位を取るのは、簡単ではありません。一方で、生活の言葉に寄った言い方、期限のある手続き、地域の単位、家族信託、遠方の相続人といった周辺には、空いている場所が複数あります。

サイトの作りの面では、上位の八つのうち五つが、費用を出していないか、事例がないか、更新が止まっているかのいずれかにあたります。作りで並ぶこと自体は、それほど難しくありません。

ですので、この範囲からは「中心の言葉で正面から戦うのではなく、周辺の空いている場所から入り、作りの面で上位三つに並べる形を作れば、見込みはある」と見えます。断定はできません。

断定するために足りていないのは、次の三つです。一つは、各言葉が実際に何回検索されているか。「実家 名義変更」の余地が広くても、探す人が月に数人であれば、そこに時間をかける意味は薄くなります。二つ目は、地図枠と広告の状況です。今回は画面を確認できていません。地図枠が大きく出ている言葉であれば、記事で上位に入っても目に触れにくくなります。三つ目は、御事務所自身の現状です。いま検索からどれだけ来ていて、そのうち何件が相談になっているのか。ここが分からないと、何を直せば何が変わるのかを見積もれません。

実際にお引き受けする調査では、この三つが埋まります。それでも見込みが立たないと判断したときは、その理由をお伝えします。

もし引き受けるなら、最初の半年に何をするか

以下は、この商圏で一般的にどういう順番になるか、という話です。お約束の形ではありませんし、御事務所の現状によって順番は変わります。

  1. 数え方を決める。 電話とフォームから何件来たか、そのうち何件が面談まで進んだか、どこを経由して来たか。これを記録する形を先に作ります。直すのはそのあとです。記録がなければ、何を直せばよいかを決める材料が手元にありません。
  2. すでにあるページを整える。 新しく書く前に、いまあるページのうち検索に出ない設定のままのものや、内容が薄いまま置かれているものを見つけて、一本ずつ書き直します。
  3. 空いている場所に一本ずつ置く。 実家の名義変更、相続放棄の期限、区と周辺市、家族信託、遠方の相続人。上で挙げた余地のうち、御事務所が実際に扱っていて、話せる中身のあるものから順に作ります。扱っていない手続きのページを作っても、相談が来たときに困るだけです。
  4. 費用と事例を出す。 上位の八つのうち五つが出していない以上、ここは並ぶのが早い部分です。ただし事例は、ご依頼者の了解を取れる範囲に限られます。
  5. 相談への道を一つずつ変える。 まとめて全部変えると、数字が動いたときに何が効いたのか分からなくなります。一つずつ変えて、記録と突き合わせます。

半年で順位が付くかというと、そこは動き始めるかどうかの時期です。当社が運営に携わっている相続の事務所でも、数字が動き始めたと感じたのは半年ほど経ってからでした。その経過は相続の事務所のホームページで、二年のあいだにやったことに書いています。半年で変わると言い切る相手がいたら、何をもって変わると言っているのかを確かめたほうがよいと思います。

この見本で分からないこと

繰り返しになる部分もありますが、まとめて書いておきます。

  • 検索順位は、見る人・時点・地域設定によって変わります。ここにあるのは2026年9月20日の一つの記録です。
  • 地図枠(ローカルパック)と広告の表示は確認できていません。この二つは全項目で不明です。
  • 各言葉の検索回数は、公開情報だけでは分かりません。この見本では扱っていません。
  • 各事務所の受任件数、売上、広告の出稿状況は非公開の情報であり、分かりません。書いたのは公開されているページから読み取れたことだけです。
  • 相続手続きが実際に何件発生したかの統計は見つけられませんでした。年間の死亡数は規模感の参考値です。
  • 湖西市の人口・世帯数は、市の一次資料で確認できていません。不明として扱っています。
  • サイトを開いて確認したのは、検索結果に繰り返し出てきた八つだけです。浜松市内には相続を扱う事務所がほかにも多数あります。八つは全数ではなく、よく見つかる事務所の代表例です。
  • ページの内容は、要約を介して読み取った部分があります。金額や件数は元の表現をそのまま拾うよう努めましたが、見落としの可能性は残ります。

これだけ「分からない」が並ぶことに、不安を覚えられるかもしれません。ただ、公開情報だけで調べられる範囲は、正直に言ってここまでです。ここから先を埋めるために、実際の調査では御事務所の記録と検索回数の実数を加えます。

御事務所でも、今日できること

道具を入れていなくても、今日のうちに確かめられることがあります。

  • 御事務所の地域名と、扱っている手続きの名前を並べて、実際に検索してみる。1ページ目に、地元の事務所がいくつ、全国のポータルがいくつ、自治体がいくつ出るかを数える。
  • そのとき、御事務所のページが何番目に出るか、あるいは出ないかを見る。
  • 出てきた地元の事務所のサイトを三つ開いて、費用が書いてあるか、事例があるか、コラムの最新がいつかを見る。
  • 御事務所のサイトをスマートフォンで開いて、電話番号に指が届くかを見る。

これだけでも、御事務所の商圏が、中心の言葉が埋まっている層なのか、周辺に空きのある層なのかは、おおよそ見当がつきます。上位の事務所と比べてどこから見直すかは士業のホームページから問い合わせが来ない理由と、見直しの順番にまとめました。

御事務所の商圏でも、同じ形で調べます

この見本は浜松市と相続を題材にしましたが、形はどの商圏でも同じです。規模を見て、探され方を見て、上位の顔ぶれを見て、入る余地を挙げ、見込みを判定する。その結果、見込みが立たないときは、その理由をお伝えして、お引き受けしません。調べた報告書は、お引き受けに至らない場合もお渡しします。工務店、学習塾、税理士事務所と、業種を変えて作った見本は商圏調査のページに並べています。業種と土地が変わると、答えがどう変わるかも見ていただけます。

なお、同じ商圏で同業の事務所を同時にお預かりすることはありません。先にお預かりしている商圏では、お受けできない場合があります。御事務所の商圏でこの形の報告書を見たい、という段階でしたら、相談するからご連絡ください。

出典