小さな不動産会社のWeb集客:ポータルと自社サイトの分担と集客アイデア

「不動産 集客」で調べると、ポータルサイトへの掲載、一括査定サイト、チラシ、SNS、ホームページと、手段を並べた記事が多く出てきます。どれも間違いではありません。ただ、小さな不動産会社が知りたいのは手段の数よりも、限られた手間をどこに置くかではないでしょうか。

この記事では、賃貸・売買・売却査定のそれぞれについて、ポータルサイトで勝負が決まる部分と、自社のホームページでしか取れない部分を分けて、一枚の全体図にします。結論を先に書きます。物件を探して比べる人はポータルで動くので、物件の見せ方と返信の速さはポータルの側で整えます。自社サイトが持てるのは、物件を探すより前の問いです。家を売るかどうか、相続した家をどうするか、その町で何が売れてきたか。ポータルが取りにこない、こうした言葉です。不動産会社のホームページで物件ページより先に決めることは、不動産会社のホームページ制作の費用と、物件ページより先に決めることに書いています。

根拠には、国土交通省の二つの調査と、当社が2026年9月に三つの市で検索結果と地元の不動産会社21社のサイトを数えた記録を使います。後半では、自社サイトに物件や成約事例を載せるときに「不動産の表示に関する公正競争規約」で気をつけることを、公式の資料で確かめた範囲で書きます。

物件を探す人の入口は、ネットが5〜7割、不動産業者が3〜5割

国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」は、2023年4月から2024年3月までに住み替えた世帯に、物件をどう探したかを聞いています(複数回答)。住宅の種類ごとに抜き出すと、次のとおりです。

住宅の種類インターネット不動産業者知人等の紹介
分譲戸建て61.8%46.0%13.0%
分譲マンション69.2%33.2%14.6%
中古戸建て62.1%45.2%22.1%
中古マンション63.8%47.5%13.6%
民間賃貸住宅55.8%44.7%14.9%

どの種類でもインターネットがいちばん多く、不動産業者が続きます。ただし、この「インターネット」にはポータルサイトも各社のホームページも含まれていて、どちらで探したかまでは分かりません。もう一つ目を引くのは、中古の戸建てで知人等の紹介が22.1%と、ほかより高いことです。

ここからは当社の見立てです。物件を探す人は、条件を入れて何十件も見比べます。その比べる作業に向いているのは、多くの会社の物件が一つの画面に並ぶポータルです。自社サイトに同じ物件を載せても、探す人が最初に開くのはポータルの側で、自社サイトは「ポータルで見つけた会社がどんな会社か」を確かめに来る場所になりやすいと考えています。物件を比べる場でポータルと正面から競うのは、小さな会社にとって分の悪い勝負です。

賃貸・売買・売却で、ポータルと自社サイトの持ち場を分ける

依頼の種類ごとに、探す人が最初に比べる場所と、自社サイトの持ち場を一枚にまとめました。売却に関わる行は当社が三つの市で数えた結果から、賃貸と購入の行は上の調査からの見立てです。右の列は、自社サイトで何を書くかの案です。

依頼の種類最初に比べる場所勝負が決まるところ自社サイトの持ち場
部屋を借りたいポータル写真、情報の正しさ、成約した部屋を下ろす速さ、返信の速さ確かめに来た人への案内(店の場所、対応地域、来店から契約までの流れ)
家や土地を買いたいポータル同上同上と、その町で買う前に知っておくこと
家を売りたい(査定)一括査定サイトと、地元の会社の売却ページ頼む前に知りたいことに答えているか手数料、査定の根拠、成約事例と査定のつながり
相続した家、実家、古家付きの土地地元の会社のトップや売却の総合ページ問いの言葉を題にした一枚があるか名義、家族、家の中、壊すか残すか、費用を順番に
空き家の管理市の窓口や全国の団体市の案内とどう関わるか何を何か月に一度、いくらで、どう知らせるか

売却の行の根拠を書いておきます。当社は2026年9月24日に、広島県福山市、高知県高知市、長野県上田市で、家や土地を売りたい人が打つ九つの言葉を検索し、1ページ目を数えました。「不動産 売却」「不動産会社」「不動産 買取」の三つを合わせると、福山は28件のうち地元の会社が15件、高知は27件のうち17件で、地元の会社がすでに並んでいました。上田は地元7件に対してポータルが15件です。「土地 査定」は福山と上田で9件のうち8件がポータルでした。三つの市の九つの言葉の1ページ目は延べ247件で、そのうち68件が一括査定や査定の比較のサイトです(詳しくは不動産売却の相談を検索から受けるには:不動産会社のホームページに足りないページ)。

一方で、「相続した家 売却」「実家 売る」「古家付き土地 売却」の三つでは、三つの市の1ページ目84件に地元の会社のページが24件入っていましたが、24件とも会社のトップページか、売却の総合ページか、物件の一覧でした。「相続した家 売却」の27件には、題に「相続」を含むページが一つもありません(不動産会社の相続の集客に分けて書きました)。

同じ「売却」の言葉でも、「不動産 売却」は先に誰かが座っている場所で、「相続した家 売却」は、まだ誰も問いの形で答えていない場所です。小さな会社が後から一枚を置くなら、後者のほうが置きやすいと当社は考えています。ただし、空いて見える言葉は、探す人の少ない言葉かもしれません。当社はこの三つの市で検索回数を見ていないので、そこは留保が残ります。

ポータルが取りにこないのは、まだ決めていない人の言葉

ポータルや一括査定のサイトは、市や町の単位、物件の単位でページを作ります。売ると決めた人や、探す条件が決まっている人を迎える作りです。反対に、まだ決めていない人の問いには、市の単位のページでは答えられません。

その層が小さくないことは、国の調査からも読めます。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」(2025年8月公表)では、空き家を取得した経緯の57.9%が相続でした。いまも空き家になっている住宅について今後5年程度の使い方を聞くと、「空き家として所有しておく」がおよそ3割、「売却する」がおよそ2割です。相続で家を持ち、売るかどうかをまだ決めていない人が多い、ということになります。

こうした人の問いは、価格の話より前にあります。たとえば次のようなものです。

  • 相続した家:名義が亡くなった親のままでも相談できるか、兄弟姉妹でどう決めるか、家の中の片付けは誰がするか
  • 古家付きの土地:壊してから売るか、そのまま売るか、買取に出すか
  • 実家:遠くに住んでいて見に行けないとき、最初に何をすればよいか
  • 空き家の管理:売る前に、まず管理だけ頼めるか
  • 町の相場:この町では、どんな家がいくらくらいで売れてきたか
  • 町の事情:古い分譲地、道路との接し方、農地が絡む土地など、地元の会社が日々扱っている話

どれも、その会社が実際に扱ってきた家の話でしか答えられない問いです。全国のサイトが市ごとに同じ形のページを並べても、ここは埋まりにくいところです。実際、三つの市の21社で、売る人に向けて町名ごとに何が売れてきたかをまとめたページを持つ会社はありませんでした。町名や学区のページを持つ会社は11社ありましたが、11社とも買う人か借りる人に向けたページです。

依頼の種類ごとの集客アイデア

全体図を踏まえて、依頼の種類ごとに手を入れる場所を書きます。どれも当社の見立てで、御社の町に当てはまるかは、最後の見出しの方法で確かめてください。

賃貸:ポータルで決まる部分は、ポータルで整える

部屋を探す人に対しては、ポータルでの見え方が勝負の大半だと当社は見ています。写真の枚数と並べる順番、間取りや設備の情報の正しさ、成約した部屋をすぐ下ろすこと、問い合わせへの返信の速さです。自社サイトを作り込むより先に手を入れる場所です。

自社サイトでは、ポータルで御社を見つけた人が確かめに来たときに困らないことを優先します。店の場所と駐車場、対応している地域、来店から契約までの流れ、定休日。派手な作り込みは要りませんが、ここが古いままだと、ポータルで選ばれた後に取りこぼします。

賃貸で自社サイトならではの言葉があるとすれば、借りる人よりも貸す人の側です。空室が続いている家主や、相続したアパートの管理を考えている人の問いには、ポータルは答えません。ただ、当社はこの種の言葉の検索結果を数えていないので、実際に空いているかは御社の町で確かめてください。

売買(買う人):物件の載せ直しより「その町で買う前に」

買う人も、物件はポータルで比べます。自社サイトに物件を全部載せ直しても、比べる場としてはポータルに及びにくく、更新の手間が二重になります(この手間は規約の話にもつながるので、後で書きます)。それより、案内のたびに毎回聞かれていることを一つずつページにするほうが、御社にしか書けないものになります。その分譲地の成り立ち、冬の道、通学の道筋など、聞かれる中身は町によって違います。

売却査定:フォームを速くするより、フォームの手前を書く

三つの市の21社のうち、査定の依頼のフォームを置いていたのは16社で、そのうち4社は入力にかかる秒数を掲げていました。一方で、売却の仲介手数料を書いていたのは1社、査定の価格を何から決めるのかに一文でも触れていたのは4社、2024年7月に始まった800万円以下の空き家などの報酬の特例に触れていた会社はありませんでした。

入力の速さは、一括査定のサイトが得意とするところです。地元の会社が別の入口を作るなら、手数料、査定の根拠、自社の成約事例から査定のページへのつながりを、フォームの手前に置くほうが筋がよいと考えています。書き方は仲介手数料と査定の根拠をホームページににまとめました。

相続した家・空き家:問いの順番に一枚ずつ

相続した家を売る人には、価格の前に止まりやすい段があります。名義、誰が決めるか、家の中、家そのもの、費用です。一枚に全部を詰める必要はありませんが、題には市の名前と問いの言葉を入れ、「福山市で相続した家を売るとき」のように、どこの、どういう家の話かを言い切ります。空き家の管理は、売却の前置きとして書くと、まだ決めていない人が身構えます。管理のページの書き方は空き家管理の集客に書きました。

手元に、相続した家や古家付きの土地を扱った事例がなければ、このページは作らないほうがよいと当社は考えます。来た人の問いに、自社の経験で答えられないからです。

検索の外の入口:地図の店の情報と、紹介

地図に出る店の情報(Googleビジネスプロフィール)は、店名に地名やキーワードを足すことがガイドラインで認められていません。登録できるのは、看板があり、営業時間中に客に対応できるスタッフが常駐している実際の所在地で、実際にサービスを提供していない郵送先の住所は使えません(Google「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」)。手を入れるなら店名ではなく、営業時間、写真、取り扱っている内容の説明を、いまの店と合わせておくことです。

紹介も入口の一つです。先の調査で、中古の戸建てを買った世帯の22.1%が知人等の紹介で探していました。相続した家の相談は、司法書士や税理士、知り合いから回ってくることもあります。紹介してくれる人が「この会社なら、相続した家の順番をここに書いている」とURLを渡せる一枚があると、紹介と自社サイトがつながります。これも、ポータルにはない使い方です。

自社サイトに物件や事例を載せるときの決まり

不動産の広告には、不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」があります。規約は、規制の対象になる「表示」に、インターネットによる広告を含めています。ポータルに載せる物件情報と同じく、自社サイトに載せる物件情報もこの規約の上にあります。ここでは、ポータルと自社サイトの二か所に載せることで起きやすい点に絞って、連合会の資料で確かめた範囲を書きます。「格安」「地域一番」のような言葉の制限や、手数料の掲示の義務は不動産会社のホームページに足りないページの中で書いたので、ここでは繰り返しません。

一つ目は、おとり広告です。連合会の「おとり広告ガイドライン」(2019年11月)は、規約が禁じるおとり広告を三つの型で説明しています。

  • 物件が存在しない:表示した所在地に物件がない、または表示した内容と同じ物件と認めがたい
  • 実際には取引の対象になり得ない:成約済みの物件、売ることを任されていない他人の物件など
  • 実際には取引する意思がない:合理的な理由がないのに案内を断る、欠点をことさらに言って別の物件を勧める、など

二つ目は、更新です。同じガイドラインは、インターネットの広告について、成約済みの物件は掲載を続けず速やかに削除すること、更新の周期は最長でも2週間とし、その間に成約が分かった物件は期間を待たずに削除すること、そして情報の登録日か直前の更新日と、次の更新の予定日を、広告の見やすい位置に書くことを求めています。

三つ目は、細かな表示の決まりです。たとえば駅などからの徒歩の所要時間は、道路距離80メートルにつき1分として出すことが、規約の施行規則で決まっています。ポータルの入力欄に沿って書いている情報も、自社サイトで手書きで作り直すときには、この決まりから外れやすくなります。

以下は、規約やガイドラインの内容ではなく、当社の考えです。二か所に物件を載せると、成約した物件を下ろす作業も二か所になります。ポータルでは下ろしたのに、自社サイトの物件ページが残っている、というのが起きやすい形です。小さな会社が自社サイトに物件一覧を持つなら、ポータルと連動して更新される仕組みがあるか、なければ載せる件数を絞って登録日と次の更新予定日を書く。物件の一覧で集客することをそもそも狙わないなら、自社サイトには物件を置かず、ポータルの御社のページへ案内するという選び方もあります。

成約事例を載せることそのものを規約がどう扱っているかは、今回の資料では確かめていません。ただ、成約済みの物件を販売中のように見せれば、ガイドラインの言う「取引の対象となり得ない」物件の表示になります。事例には成約済みであることと時期を書き、価格や町名をどこまで出すかは売主の了解を前提にします。会社の案内やコラム記事に規約の表示事項がどこまでかかるかも確かめきれていないので、迷うときは所属する団体や地域の公正取引協議会に確かめてください。

「集客できない」と感じたら、止まっている入口を分けて数える

「集客できない」と一口に言っても、ポータルの反響が減ったのか、一括査定から来た依頼が契約に進まないのか、自社サイトから来ないのか、紹介が止まったのかで、手を入れる場所が違います。ポータルの反響が減ったのに自社サイトを作り直しても、効くとは限りません。

一括査定から来る依頼は、同じ家に何社もの査定が並ぶ依頼で、査定の額や返事の速さで比べられやすいものです。自社サイトを読んでから来る人は、手数料や査定の決め方、相続した家の順番を知ったうえで来ることができます。どちらの依頼が媒介の契約まで進みやすいかは、御社の記録を入口ごとに分けて数えてみるまで分かりません。分けて記録していなければ、次の問い合わせから「何を見てご連絡いただいたか」を一行残すところから始めます。記録の形は問い合わせの数え方に書きました。

当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏で検索されている言葉と1ページ目の顔ぶれを数える有償の商圏調査を行います。上の表のどの行が御社の町で空いているかを、作る前に確かめるためです。運営の料金は、始めるときの契約料20万円と実費のほかは月額で、低く始めて問い合わせが増えるにつれて上がる形にしています(料金)。

今日、自社で確かめられること

  1. この三か月の問い合わせを、ポータル、一括査定、自社サイト、電話や来店、紹介に分けて数え、それぞれ何件が契約まで進んだかを並べます。
  2. ポータルで成約済みにした物件が、自社サイトに残っていないかを見ます。自社サイトの物件ページに、登録日か更新日と、次の更新予定日が書いてあるかも見ます。
  3. 御社の市の名前に「相続した家 売却」「古家付き土地 売却」「空き家 管理」を足して検索し、1ページ目にある地元の会社のページが、その問いに答えた一枚なのか、トップや売却の総合ページなのかを数えます。
  4. 最近扱った売却の中から、相続した家、古家付きの土地、遠方に住む持ち主の家を一件ずつ思い出し、売主の了解を得て書けそうなものに印を付けます。それが自社サイトの最初の一枚の材料になります。
  5. Googleビジネスプロフィールの店名に地名やキーワードが足されていないか、営業時間と写真がいまの店と合っているかを確かめます。

一つの市で、家や土地を手放す人の検索結果と地元の不動産会社のサイトを実際に数えた例は、高知市の不動産会社の集客:検索から問い合わせを増やせるか(商圏調査の見本)に載せています。