WordPressのテーマは替えずに直す。見た目をそろえたときの判断

記事ページの見た目をそろえるとき、当社はテーマを替えませんでした

2026年9月、当社はこのサイトの記事ページの見た目を、トップページにそろえました。記事から入った人が、トップページと色や文字の調子が違うページを見れば、同じ会社のページだと伝わりにくくなる、と考えたからです。

WordPress では、サイト全体の見た目と型を決める部品一式を「テーマ」と呼びます。見た目を大きく変えたいとき、まず思いつくのはテーマを替えることです。当社はそうしませんでした。使っているのは SANGO というテーマで、元のテーマに手を加えずに上書きの指定だけを足せる「子テーマ」の形で入れています。そのまま、次のことをしました。

  • テーマの「コンテンツブロック」という機能(共通の部品を作っておき、決まった位置に差し込む機能)で、共通のヘッダー、共通のフッター、記事末尾の会社案内、「ページが見つかりません」と出る404ページの中身の四つを作り、テーマの設定から差し込んだ。
  • 追加のCSS(見た目の指定を書き足す欄)で、色・文字・余白をトップページに合わせた。

途中で一度、別のやり方を試しています。記事を一本ずつ、固定ページのように手で組み直す方法です。一本やってみて、やめました。それでは新しく書く記事に効かず、記事を足すたびに同じ作業が要るからです。部品と共通のCSSで直す方式に切り替えてからは、新しい記事は書いて公開するだけで同じ見た目になります。

テーマを替えなかった理由は一つです。今のテーマの機能で足りたからです。

テーマを替えると、テーマが持っていたものが置いていかれる

テーマの乗り換えは、服を着替えるようにはいきません。テーマは見た目だけでなく、そのテーマでしか動かない部品や設定も抱えているからです。替えた日に、次のようなところが効かなくなることがあります。

まず、ショートコードです。本文の中に角かっこで書いておくと、テーマがそれを囲み枠やボタンに変えて表示する、という仕組みがあります。そのテーマが用意したショートコードは、テーマを替えると解釈する側がいなくなり、本文に角かっこの文字がそのまま出ることがあります。テーマ独自のブロック(記事の編集画面で使う、テーマ専用の部品)も同じで、新しいテーマでは表示が崩れたり、編集画面で扱えない部品として残ったりします。記事が多いサイトほど、どの記事のどこに使われているかを探す手間が大きくなります。

次に、ウィジェット(サイドバーやフッターに置く小さな部品)とメニューの置き場所です。置き場所の名前と数はテーマごとに違うので、新しいテーマに同じ場所がなければ、置き直しになります。

もう一つは、カスタマイザー(外観の設定画面)で決めた設定です。WordPress の開発者向けの公式の手引きには、カスタマイザーの設定の保存のしかたには二通りあり、そのうち「テーマの設定」として保存されるものは、特定のテーマに結びついていると書かれています。テーマを替えると、色やロゴの位置などをそのテーマで決めた設定は、新しいテーマには移りません。元のテーマに戻せば残っているのは救いですが、新しいテーマでは一から決め直しです。

当社のサイトに当てはめると、先に書いたコンテンツブロックの四つの部品は、テーマの機能として差し込んでいます。テーマを替えれば、その差し込みはテーマと一緒に外れます。見た目をそろえるために作ったものが、見た目を変えるための乗り換えで消える、という順番になります。

替える前に、今のテーマの三つの道具で試す

見た目を直したいとき、当社が先に試すのは次の順番です。

一つ目は、テーマが持っている共通の部品の機能です。ヘッダーやフッター、記事の末尾など、全ページに同じものを出したい所は、テーマの機能で一か所にまとめられることが多く、まとめておけば直すのも一か所で済みます。テーマによって名前は違い、当社の使っているテーマではそれがコンテンツブロックでした。

二つ目は、追加のCSSです。色、文字の大きさ、余白、角の丸み。見た目の違和感の多くはこの範囲で、テーマを替えなくても指定を書き足せば変えられます。

三つ目は、子テーマです。公式の手引きは、子テーマを使う利点として、親のテーマを更新しても手を加えた部分が失われないことを挙げています。逆に言えば、テーマのファイルに直接手を入れてあると、テーマの更新でその手直しが上書きされるおそれがあります。部品の配置そのものを変えたいなど、CSS では届かない直しは、子テーマの側で行えば更新と両立します。

ただ、当社のサイトも全部をテーマの中で直せているわけではありません。トップページと固定ページ(事業内容や料金など、記事ではない常設のページ)は、ページごとに手で組んだ HTML を置いていて、テーマの外にあります。そのため、メニューを一つ足すだけで何ページも直すことになり、その手間は制作会社しか直せないのはページごとに作られているからに書いたとおり、今も払っています。テーマを替えずに済んだのは記事ページの話で、サイト全体がきれいに一つの型に収まっているわけではない、ということは添えておきます。

替えるのが筋の通る場合も、先に数えることは同じ

テーマを替えるべきではない、と言いたいのではありません。親のテーマの更新が止まっている、今のテーマの機能では、部品を足しても CSS を書き足しても実現できないことがある、サイトを作り直す機会がもともと決まっている。こうした場合は、乗り換えが筋の通った選び方になります。

そのときも、替える前に数えておくことは変わりません。ショートコードやテーマ独自のブロックを使っている記事が何本あるか。ウィジェットとメニューをいくつ置き直すか。カスタマイザーで決めた設定のうち、新しいテーマで決め直すものは何か。この数が、乗り換えの手間と費用のおおよそを決めます。制作会社から「テーマを新しくしましょう」と勧められたなら、見た目の見本と一緒に、この数を出してもらってください。作り直しの話が制作会社そのものを変える話と重なっているなら、制作会社を変えるタイミングで順番を整理できます。

なお、見た目をそろえることと、問い合わせが増えることは別の話です。当社も、記事ページの見た目をそろえたことで問い合わせが変わったかは、まだ測っていません。見た目の違和感は直す理由になりますが、成果が出ない理由がそこにあるとは限りません。

管理画面で、テーマの名前と子テーマかどうかを見る

WordPress で作られたサイトなら、管理画面で次の順に確かめられます(画面の名前は変わることがあります)。

  1. 管理画面の「外観」から「テーマ」を開きます。いま使っているテーマが「有効」として先頭に並んでいます。その名前を控えます。
  2. そのテーマの「テーマの詳細」を開きます。子テーマであれば、説明の中に、親にあたるテーマの名前が添えて表示されます。テーマの一覧に、親のテーマも並んでいるはずです。
  3. 子テーマでなければ、これまでの手直しがどこに入っているかを、今の制作会社に聞いてください。聞き方は「テーマのファイルに直接手を入れていますか。テーマを更新したら、その手直しは残りますか」で足ります。

子テーマの形になっていて、テーマに共通の部品の機能と追加のCSSの欄があるなら、見た目の直しはたいていその中で試せます。子テーマでなく、テーマに直接手が入っているなら、見た目より先に、その手直しの置き場所を移すほうが順番としては先です。

いまのテーマの部品とCSSで違和感が消えるなら替えずに直し、どう書き足しても届かないことが一つでもはっきりしたときに、はじめて乗り換えの手間を数えてください。