ホームページを引き継ぐ前に、メニュー一つで何か所直すかを数える

引き継ぎの確認は、名義と権限だけでは足りない

制作会社を変えると決めたあと、まず思い浮かぶのは「何を返してもらえばよいか」です。ドメイン、サーバー、管理画面のログイン。これを押さえておかないと、移ることそのものができないので、先に確かめるのは正しい順番です。変えるかどうかをまだ迷っている段階なら、制作会社を変えるタイミングを先に読んでください。この記事は、変えると決めたあとの話です。

ただ、名義と権限がそろって、無事に引き継げたとしても、そのあとに残る問題があります。引き継いだ先の会社が、そのサイトをどれだけの手間で直せるか、です。これは名義の書類を見ても分かりません。サイトがどう作られているかで決まります。

当社は自社のサイトで、それを数字で経験しました。2026年9月23日、上部のメニューに「コラム」を一項目足しただけで、直した場所は11か所になりました。記事ページに共通で差し込んでいる部品が2つと、手で組んだトップと固定ページが9つです。手組みのページは、それぞれが自分のメニューとフッターを抱えているからです。一括で置き換える途中で「会社概要」へのリンクが消える事故も起き、全ページで戻して、公開画面で並びを確かめました。経緯はページごとに作られたサイトの話に書いたので、ここでは繰り返しません。

言いたいのは一つです。引き継ぐ前に、「メニューを一つ変えたら何か所直すか」を数えておいてください。その数が、引き継いだあとの一回ごとの手間と、見積もりの額を決めます。

以下、確かめることを三つの問いに寄せて書きます。誰の名義か、誰が触れるか、何か所直すか、です。前の二つは引き継げるかどうかを、最後の一つは引き継いだあとにいくらかかるかを決めます。

誰の名義か:終わったあとに、御社の手元に何が残るか

名義の確認は、「契約が終わった日に、前の会社の協力なしで何ができるか」を知るための作業です。

まずドメインです。登録者が御社か制作会社かで、移管の手続きの手間がまるで違います。確かめ方と頼むときの文面はドメインの名義の記事にまとめました。

次にサーバーです。サイトの中身が置かれている場所で、その契約者が誰かを見ます。制作会社がまとめて契約している場合、サイトは他のお客様のサイトと同じ契約の中に置かれていることがあり、そのときは「御社の分だけ取り出して移す」作業が要ります。請求書にサーバーの費用がどう載っているかで、ある程度見当がつきます。

三つ目は、計測の道具です。GA4(Google のアクセス解析)と Search Console(検索での見え方を確かめる道具)は、それぞれ誰の Google アカウントで作られているかを見ます。作った人の持ち物のままだと、引き継いだあとに過去のデータを見られなくなることがあります。サイトは移せても、何年分もの数字は移せない、ということが起こりえます。

誰が触れるか:管理者の権限と、フォームの送り先

名義が御社にあっても、実際に触れる人が前の会社にしかいなければ、同じことです。

WordPress の管理画面には、権限の段階があります。サイトの設定やテーマ、プラグインまで変えられるのは「管理者」で、「編集者」や「投稿者」では記事は直せても、作りには手が出せません。御社が持っているアカウントが管理者かどうかを、管理画面の「ユーザー」の一覧で確かめます。管理者が前の会社の担当者一人だけなら、引き継ぎの前に御社の管理者を一人足してもらうのが先です。

テーマ(サイト全体の見た目と型を決める部品一式)も見ておきます。「外観」の「テーマ」で、使っているテーマの名前と、それが子テーマ(元のテーマを残したまま手を加える形)かどうかが分かります。子テーマで作られていれば、前の会社が手を加えた場所は子テーマの中にまとまっています。そうでなければ、テーマそのものに直接手が入っていて、テーマを更新したときにその手直しが消えることがあります。どちらなのかは、引き継ぐ側がまず知りたいことです。

見落としやすいのが、問い合わせフォームの送り先です。フォームから送られた内容が、どのメールアドレスに届いているか。前の会社の担当者のアドレスが写しの宛先に入ったままになっていないか。フォームのプラグイン(Contact Form 7 なら「メール」の設定)で確かめられます。引き継いだあとに問い合わせが前の会社にも届き続けるのは、情報の扱いとしても困ります。フォームの送信を計測しているなら、その設定がどこに入っているかもあわせて聞いておきます。計測の考え方はGA4で問い合わせを計測する記事に書きました。

何か所直すか:引き継いだあとの費用は、ここで決まる

名義と権限は、そろっているか、いないかの話です。そろえれば終わります。それに対して「何か所直すか」は、引き継いだあとずっと続く話です。

共通の部分(メニュー、フッターの住所や電話番号、問い合わせへの案内)がテンプレートで一か所にまとまっていれば、メニューの変更は一か所の直しで済みます。ページごとに手で組まれていれば、ページの数だけ直すことになります。引き継ぐ側の会社は、この数を見て作業の見積もりを出します。同じ「メニューを一つ足す」でも、一か所で済むのとページの数だけ直すのとでは、手間も、事故の起きやすさも違います。

この数は、引き継ぐ前に御社が自分で数えられます。そして、数えておくと二つのことが決めやすくなります。一つは、引き継ぎ先への頼み方です。「手組みのページが何枚あります」と先に伝えておけば、見積もりの前提がそろい、あとで「思っていたより手間がかかる」という話になりにくくなります。もう一つは、引き継ぎを機に作りを変えるかどうかです。手組みのページが多いなら、引き継ぎのときに共通部分をテンプレートへ移してもらう、という選択肢があります。少なければ、そのまま引き継いで困りません。

前の会社を責める材料として数えるのではありません。短い期間で見栄えのするページを仕上げるなら、手で組むのは筋の通った作り方です。ただ、その作り方の手間は、作った人が離れたあとに引き継いだ側へ回ってきます。それを引き継ぐ前に知っておく、というだけのことです。

管理画面で、カスタムHTMLのかたまりになっているページを数える

WordPress なら、次の順で数えられます(画面の名前は変わることがあります)。

  1. 管理画面の「固定ページ」の一覧を開きます。トップ、会社概要、サービスの説明、料金など、記事ではない常設のページが並んでいます。
  2. 一枚ずつ編集画面を開き、本文を見ます。見出しや段落の部品に分かれて並んでいれば、ふつうの作りです。本文の全体、またはほとんどが一つの「カスタムHTML」のかたまりになっていて、開くとコードが並んでいるなら、そのページは手組みです。
  3. 手組みのページの本文を一番下まで見て、メニューやフッター(住所・電話番号)まで中に入っているかを確かめます。入っていれば、メニューを変えるときに、そのページも直すことになります。
  4. 手組みで、しかもメニューやフッターを中に抱えているページの数を書き留めます。これに、テンプレートの側の部品の数を足したものが、「メニューを一つ変えたら何か所直すか」のおおよその数です。

ページビルダー(画面上で部品を並べてページを組む追加の道具)で作られたサイトでは、編集画面の見え方が違い、この方法では数えにくいことがあります。管理画面に入れない場合も含めて、そのときは前の会社に、引き継ぎの前にこう聞いてください。「メニューに一項目足すとしたら、何か所を直すことになりますか」。答えが一か所なら、引き継いだあとの手間は小さく済みます。答えが返ってこなければ、それも一つの答えで、引き継ぎ先の会社に最初に調べてもらう項目になります。

数えた数は、引き継ぎ先の見積もりを取る前の打ち合わせで、名義と権限の確認結果と一緒に渡してください。