ドメインの名義が制作会社のまま。それは「納品で終わる」関係の痕跡です

当社は、終えるときに渡す前提で、最初から御社名義で取ります

当社が運営を引き受けるときは、ドメインを最初から御社の名義で取ります。登録事業者の口座も御社のものにし、ログイン情報は御社にお渡しします。当社が預かるのは作業の権限だけです。

理由は一つで、当社は終えるときに御社へ渡す前提で始めるからです。当社は引き受けるときに、十二か月経っても見込みが立たなければ終える、と決めています。そのときは当社から終わりを申し出ます。終わりを先に決めて始める以上、終わるときに返すべきものは、始める日から御社の手元にないと筋が通りません。

この記事は、その逆の状態、つまりドメインが制作会社の名義のままになっている状態について書きます。

名義は、作ったときの関係の形をそのまま残している

ドメインは、御社のホームページのアドレスであり、info@ で始まるメールアドレスの後半でもあります。名刺にも請求書にも、取引先の連絡先の登録にも載っています。それでいて、登録事業者の台帳の上では「登録者」として誰かの名前で押さえられているだけで、その誰かが御社とは限りません。

制作会社の名義になるのは、作るときにそれがいちばん早いからです。御社に登録事業者の口座を作ってもらい、支払い方法を登録してもらうより、制作会社が自社の口座でまとめて取ったほうが、公開までの作業は進みます。そこに悪意を読む必要はありません。

ただ、ここには関係の前提が表れています。作って、納品して、終わる。その契約の中では、ドメインは「作るために手配した部品」の一つです。納品のあとにドメインを誰が持ち、関係が終わるときにどう返すかは、契約のどこにも書かれていないことがほとんどです。書く必要がないからです。納品で終わる契約には、その先の終わり方がありません。

契約は終わっても、ドメインは相手の口座に残る。名義が制作会社のままになっているのは、その前提が形として残った、いちばん分かりやすい痕跡です。

名義が相手にあると、終え方を相手が決めることになる

困るのは、関係が変わるときだけです。運営を別の会社に移す、契約を終える、相手と連絡がつかなくなる。どの場面でも、登録者の変更や移管には、今の登録者である相手の手続きが要ります。更新の費用が相手の請求に含まれていれば、契約を終えた時点で更新も止まり、期限が過ぎればサイトは表示されず、そのドメインのメールも届かなくなります。サイトが消えればすぐ気づきますが、メールが届いていないことには気づくのが遅れます。

もう一つ、見えにくい影響があります。名義が相手にあると、「続けるかどうか」の判断に「やめるのが面倒だから」という理由が混ざります。当社が最初から御社名義にこだわるのは、この理由で続けてもらうことを避けたいからでもあります。続けてもらう理由は、問い合わせが来ているかどうかだけであるべきで、手続きの手間であってはいけません。

念のために書いておくと、名義を整えても問い合わせは一件も増えません。これは集客の話ではなく、続けるか終えるかを御社が自分で決められる状態にしておく、という話です。

登録者名は、その場で確かめられる

手順は短くて済みます。

  1. 「whois 検索」で検索し、出てきた登録情報の検索ページに、御社のドメインを example.co.jp の形で入れます(https:// や www. は外します)。
  2. 「登録者名」「Registrant」「Registrant Organization」の欄を見ます。御社の商号なら御社の名義、制作会社の社名なら制作会社の名義です。
  3. 登録事業者や代行業者の名前しか出ない場合は、代理公開で伏せられています。その場合は、過去一年分の請求書を見て、ドメインの更新費が制作会社の請求に入っているか、登録事業者から御社に直接届いているかを確かめます。

ドメインの種類(.co.jp、汎用の .jp、.com など)によって、公開される項目も手続きも違います。細部は御社のドメインを管理している登録事業者の案内に従ってください。

整えるなら、関係が普通のうちに

名義を整える話は、関係がこじれてから切り出すと「移るつもりか」と受け取られやすくなります。今の会社と続けるかどうかとは切り離して、今のうちに頼んでおくほうが、話はずっと軽く済みます。

頼む文面は、このくらいで足ります。

社内の管理の都合で、ドメインの登録者名を弊社名義に整えたいと考えております。現在の登録内容と、変更に必要な手続き・費用をお教えいただけますでしょうか。切り替えの際にメールが止まらないよう、作業の順番もあわせてご相談させてください。

進め方は大きく二つで、今の登録事業者の中で登録者の名前だけを書き換えるか、御社が契約する登録事業者へドメインごと移すかです。どちらの場合も、名義と一緒に、支払い方法と更新のお知らせの宛先を御社に変えてください。ここが相手のままだと、名義だけ移って実態は変わりません。サイトとメールの向き先を切り替える作業は、止まりうる時間を先に聞いたうえで、詳しい人に任せてください。

これから運営を誰かに任せるなら、名義と終え方は契約の前に決めておく項目です。当社がそこをどう決めているかは運用代行を頼む前に契約で決めておくことに書いています。保守の費用に名義の管理が含まれているかどうかは、保守契約に何が含まれるのかで確かめ方を書いています。

whois で登録者名が御社でなかったら、今の会社と続けるかどうかを決める前に、上の文面をそのまま送ってください。