制作会社を変えるタイミングは、一年の問い合わせ件数に誰も答えられないとき

修正を頼んだメールに、三日たっても返事がない。お知らせの差し替えを頼んだら、載ったのは翌月だった。制作会社を変えようかと頭をよぎるのは、こういうときだと思います。

この記事では、それは変える理由としては弱い、という立場を取ります。変えるべき時期は別のところにあります。そしてその時期は、いまの契約の形のままだと、誰も言い出しません。

返事の遅さで変えると、同じ問いが次の会社に持ち越される

返事が遅い、更新が少ない、担当者と話がかみ合わない。どれも不満としてはもっともです。ただ、これらはすべて作業の速さと手際の話です。会社を変えれば、返事の速い相手には出会えるかもしれません。それでも、変えた先で一年たったとき、「ホームページを頼んでよかったのか」に答える材料は、前と同じく手元にないままです。

逆の場合もあります。返事は遅いけれど、サイトから問い合わせは来ていて、そのうち何件かは商談になっている。それが数字で分かっているなら、変える理由は薄くなります。返事の速さは、頼める範囲と期日を決め直すことで直る余地があります。更新してくれないときに先に確かめることは保守契約に何が含まれるのかに書きました。

対応のよしあしは、変えるかどうかの物差しとしては、的を外しています。

変える時期は、「この一年で何件来て、何件が商談になったか」に誰も答えられないまま一年たったとき

当社が分かれ目として見ているのは、一つの問いです。この一年で、ホームページから何件の問い合わせが来て、そのうち何件が商談、つまり面談や見積もりや来店に進んだか。

この問いに、制作会社が答えられるか。御社が答えられるか。

どちらかが答えられるなら、判断はその答えでできます。件数が少なく商談にもつながっていないなら、変える理由になります。十分に来ているなら、不満があっても、直し方を話し合う段階です。

困るのは、どちらも答えられない場合です。業者は「アクセスは増えています」と言い、御社は「電話はなんとなく増えた気がする」と言う。この状態が一年続いたら、それが変える時期だと考えています。一年は、季節が一巡して、忙しい月と静かな月の両方をくぐる長さです。それだけの時間があって誰も数えていないなら、数えない形が、もう関係の中に根づいています。

ただし、先に変えるのは御社の側の数え方です。数えていない状態のまま業者だけを替えれば、次の一年もまた、答えのない一年になります。数えることは、いまの契約のままでも始められます。電話を受けた人が「何をご覧になってお電話くださいましたか」と一言うかがい、月末に件数と、商談に進んだ件数を書く。手順は問い合わせの数え方にまとめています。

数えてみると、問い合わせは来ているのに商談に進まず、その理由が折り返しの遅さや見積もりの出し方にあった、と分かることもあります。そうであれば、制作会社を変えても数字は動きません。数えることは、変える理由を探すことであると同時に、変えなくてよい理由を見つけることでもあります。

納品で終わる契約には、終わりが書かれていない

では、なぜ答えのない一年が、二年、三年と続いてしまうのか。当社は、業者の怠慢ではなく、契約の形の問題だと見ています。

作って納品する契約には、作るまでのことが書かれています。納品がゴールなので、その先で何が起きたら関係を見直すのか、終えるときに何をどちらに渡すのかを書く欄が、そもそもありません。そのあとに続く保守や更新の契約は、同じ条件のまま毎年続いていく形になりがちです。

この形の中では、終わりを言い出す人がいません。業者の側には、毎月の費用が入り、目立った問題も起きていない関係を、自分から終える理由がありません。御社の側には、終えてよいかを判断する数字がなく、終えるとなればドメインやログインの確認といった手間が見えています。どちらにも悪意はありません。ただ、続けることが、いちばん手間のかからない選択になっています。

そうなると、終わりを決めるのは、成果とは関係のない出来事になります。担当者が辞める、更新の費用が上がる、返事が遅くなる。冒頭の「返事が来ない」も、その一つです。成果について何も分からないまま、手際への不満をきっかけに関係が終わり、次の会社でまた同じ形が始まります。

当社は、終わりを当社の側から言うと決めている

当社は運営を引き受けるとき、十二か月たっても見込みが立たなければ当社から終える、と先に決めています。終わりを言い出すのは、御社ではなく当社です。

そう決められるのは、始める前に、何を数えるかを御社と決めているからです。問い合わせの件数と、そのうち商談に進んだ件数を、御社の側の記録で数える。十二か月の時点でその数字が動いていなければ、当社から申し出ます。数え方が決まっていなければ、「見込みが立たない」と言う根拠も持てません。

終わりを決めて始めると、もう一つ決まることがあります。終えるときに渡すものは、最初から御社の側に置いておく、ということです。ドメインの名義、管理画面や計測のログイン、問い合わせの記録は、始める日から御社の手元にあります。名義についてはドメインの名義が制作会社のままになっていないかに、契約で決めている中身は運用代行を頼む前に契約で決めておくことに書きました。終えるのに相手の手続きが要らなければ、続けてもらう理由は、問い合わせが来ているかどうかだけになります。

契約書を開いて、「終わるとき」の一行を探す

いまの契約書か発注書を、なければ見積書と請求書を、手元に出してください。探すのは二か所です。

  • 終えるときに、何が御社の手元に残るか。ドメイン、サーバー、管理画面のログイン、アクセス解析のデータ、サイトの文章や画像の扱い。
  • どういう条件で終える、あるいは見直すか。期間、解約を申し出る時期、成果についての取り決め。

どちらも書かれていなければ、それが御社のいまの契約の形です。変えるかどうかを決める前に、いまの会社にこう聞いてみてください。

社内で体制の整理を進めております。今後のために、仮に契約を終える場合、ドメイン・サーバー・管理画面・アクセス解析のうち、どれが弊社の手元に残り、どれに手続きが必要かを教えていただけますでしょうか。あわせて、この一年でサイトから届いた問い合わせの件数を、そちらで把握されている範囲でお知らせいただけると助かります。

前半への返事で、終えるときの手間が分かります。後半への返事で、相手がこの一年を数えていたかどうかが分かります。

後半の問いに、相手の返事からも御社の記録からも数字が出てこなければ、変える時期はもう来ています。