「行政書士 集客」で読める記事の多くは、ホームページ、ポータル、SNS、交流会、紹介と、手段を順に並べたものです。「行政書士」を「税理士」に差し替えても、ほとんどそのまま読めます。間違ってはいません。ただ、御事務所の地域で建設業許可を探す人と、ビザを探す人の1ページ目に、それぞれ誰が並んでいるかは、そこからは分かりません。行政書士は業務の幅が広く、業務ごとに頼む人も、打つ言葉も、競う相手も違います。
当社はホームページの運営を引き受ける前に、その商圏で検索結果を数えます。行政書士について、2026年9月24日に、熊本市、静岡市、宇都宮市の三つの市で同じやり方を試しました。各市で九つの言葉を検索しています。地名に「行政書士」を付けた言葉、「相談」を足した言葉、そして建設業許可、ビザ申請、車庫証明、会社設立、補助金の申請、農地転用、古物商の許可です。1ページ目を、地元の事務所、全国のポータルや全国展開の事務所の地域ページ、他の市町の事務所、行政書士会や役所、無関係の五つに分けて数え、よく出てくる事務所を市ごとに八つ、合わせて24事務所のサイトを同じ項目で並べました。熊本市は商圏調査の見本として一本にまとめています。相続・遺言は探され方がまったく違うため、今回は数えていません。
使った道具は一つの言葉につき9件か10件を返し、見えるのは題とアドレスだけです。地図枠と広告は、どの言葉でも見えていません。どの言葉が月に何回探されているかも分かりません。静岡の八つには、「静岡」の言葉で繰り返し上位に出た県内の他の市町の事務所を二つ含めています。以下は、その範囲で数えた話です。
中心の言葉は、市の名前が県の名前と同じかどうかで顔ぶれが変わった
いちばん素直な言葉から見ます。「宇都宮 行政書士」は、九件のうち八件が市内の事務所でした。ポータルは一件だけです。ところが「熊本 行政書士」は十件のうち地元の事務所が二件で、熊本県行政書士会のサイトとその発信が四件、ポータルが三件、求人が一件でした。「静岡 行政書士」も九件のうち地元は二件で、静岡県行政書士会と支部のページが五件を占めています。
熊本と静岡は、市の名前が県の名前と同じです。県の会の名前に地名がそのまま入り、ポータルも「静岡県の行政書士」のように県で束ねたページを出します。宇都宮の会は栃木県行政書士会なので、「宇都宮」の言葉とは重なりません。差の理由はそこにあると見ていますが、確かめたわけではありません。
「市」を付けても、熊本と静岡の形はあまり変わりませんでした。「静岡市 行政書士 相談」は九件のうち、市の相談窓口と会のページが五件、ポータルが三件で、地元の事務所は一件です。「熊本市 行政書士 相談」もポータル五件、会の相談会などが二件で、地元は二件でした。宇都宮の同じ言葉では、地元が五件です。
県の名前として読まれると、県内の他の市町の事務所も入ってきます。静岡では九つの言葉の延べ83件のうち20件が静岡市の外の事務所で、そのうち18件は富士宮市、浜松市、富士市など県内の事務所でした。「静岡 農地転用 行政書士」は九件のうち六件が市外の事務所で、静岡市の事務所は一件も出ていません。熊本でも市外の11件のうち8件が、合志市、菊陽町、菊池市、阿蘇の事務所です。宇都宮は県の名前ではありませんが、「宇都宮 車庫証明 代行」では九件中五件が日光市、足利市、塩谷町、栃木市の事務所で、トップの題に「宇都宮で」と入れている市外の事務所もありました。地名が別の範囲に取られる話は狙った言葉が別の意味に取られるときにも書いています。
御事務所の市の名前が県の名前と同じなら、「○○ 行政書士」の1ページ目で並ぶ相手は、近所の事務所より先に、県の会と、県で束ねたポータルと、県内全域をうたう事務所です。
地元が取れている業務の言葉と、全国型のページに渡っている業務の言葉
業務の言葉に移ると、三つの市でかなり似た形が出ました。
地元の事務所が厚いのは、建設業許可と車庫証明です。「熊本 建設業許可 行政書士」は九件中八件、宇都宮は九件中六件が市内の事務所でした。静岡は市内三件ですが、富士市や富士宮市など県内の事務所が四件あり、県内で九件中七件です。車庫証明は、三つの市ともポータルが一件ずつしかなく、残りを市内と県内の事務所で分け合っていました。会社設立も熊本は九件すべて、宇都宮は九件中六件が地元です(静岡は地元二件で、ポータルが四件)。
こうした言葉に出ている地元のページには、共通点があります。業務ごとの専用のページで、料金が書いてあることです。熊本の建設業許可では、建設業許可だけを扱う専用のサイトを別に立てた事務所がいくつも並んでいました。静岡の車庫証明では、市内の四件のうち三件が、検索結果に出る題そのものに「税込〇円から」という形で金額を入れていました。
反対に、地元の事務所がほとんど出ない業務の言葉もあります。「補助金 申請 サポート」は、熊本で十件中二件、静岡と宇都宮では十件中〇件でした。静岡と宇都宮の1ページ目には、行政書士の事務所が一件もありません。並んでいたのは補助金の一覧を集めたポータルと、市や県、商工会の案内です。「古物商 許可 申請」は、熊本で十件中一件、静岡で二件、宇都宮で三件でした。残りは県警の案内と、全国展開の事務所が都道府県ごとに同じ型で作ったページです。同じ事務所の県別のページが、静岡と宇都宮の両方に出ていました。
地元の事務所が、その業務を扱っていないわけではありません。宇都宮では、補助金の申請の専用ページを持ち、採択の件数まで書いている事務所が、補助金の言葉には出てきませんでした。静岡では、取扱業務の筆頭に農地の許可を掲げる市内の事務所が、農地転用の言葉に出てきません。業務の一覧に名前があることと、その業務を探す人の問いに一枚で答えていることは、別のことです。
ビザの言葉には、外国語の入口がほとんどない
いちばん差がはっきりしたのは、ビザでした。「ビザ 申請 行政書士」で地元の事務所は、静岡と宇都宮で九件中〇件、熊本で九件中四件です。並んでいたのは、全国展開の事務所が入管や県ごとに作ったページと、県外や県内他市の事務所でした。東京の一つの事務所が入管ごとに作ったページは、三つの市のビザの言葉すべてに出ていました。
外国人の住民は増えています。熊本市は11,361人で、一年で769人増えました(2025年12月末、熊本市国際交流振興事業団)。宇都宮市は13,553人で、前の年の12,357人から増え、栃木県内で最も多い市です(2025年12月31日現在、栃木県の調査)。静岡市の数は、公式の資料から読み取れませんでした。
それなのに、24事務所のうち、外国語での相談をサイトに書いていたのは一つだけです。宇都宮の一つが四つの言語を挙げていました。熊本と静岡の八つはどちらもゼロで、ビザを主な業務に掲げる事務所も日本語だけのサイトでした。熊本のビザの言葉で複数の言語をはっきり掲げていたのは、確認できた範囲では、熊本の名前を冠した、県外に本拠を置く事務所のサイトだけです。そして宇都宮で四つの言語を挙げていた事務所も、英語のページを持つ別の市内の事務所も、ビザの言葉の1ページ目には出てきませんでした。在留資格の入口をどう分けるかは、行政書士のビザの集客で掘り下げています。
24事務所を並べると、料金は載っていて、扱ってきた中身が載っていない
サイトの中を、同じ項目で見た結果です。
- 料金の目安:24事務所中16。熊本と静岡は八つ中六つ、宇都宮は四つでした。
- 事例や実績の件数:24中6(熊本二つ、静岡一つ、宇都宮三つ)。静岡では、件数の代わりに「100%」「多数」「NO.1」といった言い方をしている事務所が三つありました。
- お客様の声:24中5(熊本二つ、静岡三つ、宇都宮ゼロ)。
- 更新:2026年9月に何かを更新していたのは24中4。2026年の日付が見えたのは9で、熊本ではそのうち二つが休業のお知らせでした。日付がどこにも見えない事務所も少なくありません。
- 周辺の市町村のページ:24中3で、三つとも静岡です。熊本と宇都宮はゼロでした。
- 相談の入口:LINEが24中5、オンライン面談が5。フォームがなく電話だけの事務所もありました。
料金と業務のページは、よく整っています。薄いのは、その業務をどれだけ、どう扱ってきたかを伝える部分と、市の外に向けた案内です。宇都宮の市内の八つは、対応地域を「栃木県」「栃木県全域」と一行で書くところが多く、市町村の名前をはっきり並べていたのは、むしろ県内の他の市の事務所でした。車庫証明の言葉で市外の事務所が五件入っていたのと、向きが合います。
料金を載せていれば上に出る、という関係も見えませんでした。中心の言葉で地元が最も強かった宇都宮は、料金を載せていた事務所が八つ中四つで、三つの市でいちばん少なかった市です。料金は、出てきたあとに比べられるときの材料だと考えています。載せるかどうかの考え方は料金を載せるべきかに書きました。
行政書士の広告の決まりで、書けることと避けること
行政書士には、医療のように「広告してよい事項」を並べた決まりはありません。そのかわり、法律と連合会の倫理が一般的な言葉で縛っています。公式の資料で確かめた範囲を書きます。当社は法律の専門家ではないので、迷う書き方は所属の会に確かめてください。
行政書士法第10条は、行政書士の信用や品位を害する行為を禁じています。第10条の2は、事務所の見やすい場所に報酬の額を掲示することを義務づけています。これは事務所での掲示の義務で、ホームページへの掲載を義務づける条文ではありませんが、報酬を示すことは法の側から求められている仕事です。日本行政書士会連合会の「行政書士倫理」は、第10条で「品位を損なうおそれのある広告宣伝」を禁じ、第7条で不正・不当な手段で依頼を誘うこと、第26条で他の行政書士を誹謗中傷することを禁じています。
これをホームページに当てはめると、次のようになります。
- 料金は載せてよく、法の趣旨にも沿います。「〜円から」と書くなら、どういう場合に上がるかを添えます。倫理第16条は、事案の難易や手間に照らして適正な報酬を示すことを求めています。
- 実績の件数を出すこと自体を禁じる条文は見当たりません。根拠のない件数や率は、品位の問題にも、景品表示法の優良誤認にもなりえます。何を数えたか、いつ時点かを書きます。
- 他の事務所との比べ方は、景品表示法の考え方では、客観的な実証、正確な引用、公正な方法の三つが揃わなければなりません。「他より安い、早い」は書かないのが無難です。
- お客様の声は、守秘の義務(倫理第3条)があるので、依頼者の了解と、特定できない書き方が前提です。事務所が選んで載せる声は事務所の表示で、2023年10月からは、事業者の表示であることが分かりにくい口コミも規制の対象になっています。
確かめきれていないことも書いておきます。静岡で見た「100%」「NO.1」のような言い方が品位の問題になるかどうかは、判断していません。都道府県の会ごとの会則や規則は、熊本の会の分を公開の資料で見つけられず、栃木と静岡の会の分は確かめていません。補助金については、2026年1月施行の法改正で、行政書士でない者が名目を問わず報酬を得て書類を作ることの禁止が明確になりましたが、補助金の申請書類のどこまでが行政書士の業務かの線引きは確かめていません。書くなら、所属の会の見解に沿って書きます。
ホームページが効く業務と、効きにくい業務
数えた結果から、当社の立場ははっきりしています。行政書士のホームページで集客をするなら、取扱業務を広く並べて間口を広げるより、地元の事務所が空けている業務を一つか二つ選び、その地域での手続きの具体と料金で答えるページを置くほうが効きます。中心の言葉の順位は、追わなくてかまいません。
業務は幅広いのだから全部載せて入口を増やすべきだ、という考え方もあります。ただ、24事務所はどこも業務の一覧を持っていました。それでも、一覧にある業務の言葉に出てこない事務所がありました。静岡の建設業許可と車庫証明の言葉に出ていたのは、その業務に絞った専用のサイトや、業務ごとに作り分けたページが中心です。どの業務を選ぶかの考え方は行政書士が業務を絞るときに分けて書きました。
効きにくい場面も、数えた範囲で書きます。
- 地元がすでに厚く埋めている業務の言葉。熊本の建設業許可は九件中八件、宇都宮は六件が地元で、専用のサイトが並んでいます。後から同じ形で並ぶのは簡単ではありません。建設業の許可は、更新や決算の届出、業種の追加が続く業務でもあり、いまの依頼の多くは、取引先や同業からの紹介と、同じ事務所への継続で回っているのかもしれません。そうなら、ページを一枚足しても依頼の流れはあまり変わりません。
- 記事の量で取られている言葉。熊本では、記事を大量に出している事務所が一つあり、多くの言葉の1ページ目に入っていました。会社設立の言葉では、1ページ目の大半がその事務所の記事です。量で並ぼうとすることは勧めません。
- 中心の言葉。熊本と静岡では会とポータルが先に出る言葉で、事務所のサイトで上から取りにいく場所ではありません。考え方は地方の会社と全国ポータルに書きました。
- 会の相談の仕組みから来る依頼。静岡では区役所や商工会議所での相談会、栃木では会の相談センターが、相談者と行政書士をつないでいます。こうした入口から来る依頼には、ホームページの出番は大きくありません。
- 空いて見えるだけの言葉。古物商や補助金で地元が少ないのは、探す人が少ないからかもしれません。地図枠も見えていません。検索回数を見るまでは、時間をかける価値のある空白かどうかは決められません。
効きやすいのは、その逆の場所です。ビザは、実際にその言語で相談に応じられるなら、三つの市とも入口が空いていました。古物商と補助金は、全国の型のページが、その地域の窓口や日数、受けたときの費用まで書いていないところに、答える余地があります。市の外から市内へ入ってくる事務所がいる業務では、御事務所の側からも周辺の市町に案内を出せます。実績の件数と声は、順位の空白ではなく、読んだ人が依頼を決めるときの空白です。
原因がホームページの外にある場合もあります。受けたい業務が決まっていなければ、ページを直しても入口は定まりません。すでに手いっぱいなら、ページを増やす理由はありません。
御事務所で、今日確かめられること
道具を入れていなくても、スマートフォンで確かめられます。三つの市で実際に差が見えた順に並べます。
- 御事務所がこれから増やしたい業務の名前と地名を並べて検索し、1ページ目に地元の事務所のページが何件あるか、御事務所のページがあるかを数えます。出ていたら、出ているのがトップページか、その業務のページかを見ます。数え方は検索結果の1ページ目を数えるにあります。
- 市の名前が県の名前と同じなら、「○○市」を付けた言葉と付けない言葉で二回検索し、県内の他の市町の事務所が何件入っているかを数えます。
- 同じ1ページ目に出ている全国の型のページを一つ開き、御事務所の地域の窓口、日数、費用まで書いてあるかを読みます。書いていなければ、そこが御事務所のページで答えられる場所です。
- 御事務所の料金のページを開き、金額の横に、別料金になる条件が書いてあるかを見ます。ビザを受けているなら、どの言語で相談できるかがどこに書いてあるかも見ます。
- 次の一か月、問い合わせのたびに、どこで御事務所を知ったかを一行で残します。紹介か、会の相談会か、ポータルか、ホームページか。
最初の二つで、御事務所の地域で空いているのがどの業務の言葉なのか、おおよその見当がつきます。
この記事にたどり着いた道筋
この記事は、「行政書士 集客」のような、業種と悩みを掛け合わせた言葉で読まれることを想定して書いています。その言葉で検索すると、上位には業種名を入れ替えただけの一般論が並びやすいものです。そこに、三つの市で実際に数えた中身のあるページを置きました。
御事務所に依頼する人も、同じように探しています。「静岡 車庫証明 代行」「宇都宮 ビザ 申請 行政書士」のように、地域と用件と困りごとを掛け合わせた言葉です。当社が御事務所の商圏でするのは、それと同じことです。誰が上位にいて、どこが空いていて、御事務所が実際に知っていることで答えられる場所はどこかを数え、そこにページを置く。見込みが立たなければ、調べた結果とともにそうお伝えします。調べ方の中身は商圏調査に書いています。