学習塾のホームページを作る、あるいは作り直すときに、何を載せ、季節講習の募集をどういう順番で回すか。この記事はその二つに絞って書きます。検索で何位に入るか、地区や中学校の名前のページをどう作るかは、別の記事で扱っています(学習塾のホームページ集客、塾の地域名のページ)。
材料は、当社が2026年9月24日に群馬県高崎市・前橋市と愛媛県松山市で開いた、小中学生向けの地元の学習塾24塾のサイトの記録です。当社は学習塾のホームページを運営したことはありません。ここに書くのは、数えた範囲と公的な資料で確かめた範囲のことです。
この記事の結論
- 当社の見立てでは、保護者がサイトで比べるのは、料金、通い方、実績、先生と教室、相談の入口です。24塾で見ると、月謝の金額を載せていた塾は各市8塾のうち3、3、6でした。松山で月謝を載せていた6塾のうち、講習の費用に触れていたのは一つです。
- 季節講習の募集は、休みに入る日から逆算して、ページを直す日と案内を送る日を先に決めます。講習のページは毎年同じアドレスで書き換えると、去年の案内が残り続ける事故を防げます。
- 合格実績、「No.1」、料金の表示には、景品表示法、消費税の総額表示、特定商取引法が関わります。年度と数え方を書く、税込の総額で書く、比べるなら同じ条件で比べる。この三つは今日から守れます。
保護者は何を比べてサイトを開くのか
先に市場の前提を一つ置きます。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日の訂正版)では、公立中学校に通う子ども1人あたりの学習塾費は年平均で約23万円です。学年別では1年生が約13万4千円、2年生が約21万4千円、3年生が約34万1千円と、受験の年に大きく増えます。この平均は塾に通っていない子どもも含めた数字で、同じ調査で学習塾費を支出した人だけの平均は、公立中学校で約34万9千円です。保護者が料金のページで月謝だけでなく一年の総額を確かめたくなるのは、このくらいの出費になるからだと当社は見ています。
保護者が塾のサイトで確かめたいのは、だいたい次の五つです。いくらかかるか。うちの子の学年と時間帯で通えるか。成果を出しているか。どんな先生がどんな教室で教えるか。どうやって相談すればよいか。検索で上位に出る制作会社の記事も、特徴、実績、講師、コース、価格、声、体験の流れといった、ほぼ同じ項目を挙げています。違いが出るのは、その五つを実際の塾がどこまで載せているかです。
三つの市で開いた24塾の記録を、分かる範囲で並べます。
| 項目 | 高崎(8塾) | 前橋(8塾) | 松山(8塾) |
|---|---|---|---|
| 月謝の金額を載せていた | 3 | 3 | 6 |
| 2026年に入ってからの更新が確かめられた | 5 | 7 | 6 |
| LINEで相談を受けていた | 2 | 4 | 3 |
| 相談の入口が電話だけ | 1 | 1 | 1 |
| 地区・中学校の名前のページ | 0 | 0 | 0 |
高崎の8塾については、実績と声も見ています。年度か人数を添えて合格実績を載せていたのは三つ、進学先の高校名を並べているだけのものが二つ、中央中等の合格者が出ていると一行で書いているものが一つ、実績を確かめられなかったものが二つでした。生徒や保護者の声を確かめられたのは四つで、多いところでも数件です。詳しくは高崎市×学習塾の見本に載せています。
どれもサイトの作りを外から見ただけの記録です。紹介で席が埋まっている塾が、サイトを薄くしていても困らないことは十分あり得ます。そのうえで、ホームページから問い合わせを増やしたい塾に限って言えば、保護者が比べる五つのうち、記録のある項目でいちばん抜けていたのは料金で、料金を載せている塾でも、講習の費用まで書いている塾はわずかでした。
載せるページと、それぞれに書くこと
ページの数は多くなくてかまいません。当社が勧めるのは次の七つです。教室が一つの塾なら、トップと料金と講習と相談の入口の四つだけでも始められます。
- トップ:誰に向けた塾か(学年、目的)、どこにある教室か、何曜日の何時に開いているかを、最初の画面で読めるようにします。「地域密着」「一人ひとりに寄り添う」のような言葉は、どの塾にも当てはまるので、学年と場所と時間の具体に置き換えます。
- 料金:月謝の表に加えて、いちばん多い通い方の生徒一人分の「月にいくら、一年でいくら」を一行書きます。書き方は塾の料金表の記事で12塾の例とあわせて扱いました。
- 通い方と時間割:何年生が何曜日の何時から入れるか。部活のあとに間に合う時間帯があるかは、中学生の保護者がまず見るところです。
- 先生と教室:誰が教えるのか、教室の中の写真、自習に使えるかどうか。塾長一人で教えている塾は、それをそのまま書くほうが伝わります。
- 実績と声:年度と数え方を添えて載せます。数え方については後の章で書きます。
- 講習:春・夏・冬の講習の日程、対象学年、費用、申し込みの締め切り。ここは毎年書き換えるページなので、次の章で段取りを書きます。
- 相談の入口:電話、フォーム、LINEのうち、塾の側が確実に返事をできるものを置きます。フォームは学年と通いたい曜日くらいまでにとどめ、項目を増やしすぎないようにします。
道具は、作成サービスで自分で作っても、制作会社に頼んでもかまいません。分かれ目は道具より、この七つを誰がいつ書き換えるかです。料金や講習の日程は年に何度か変わります。塾長が管理画面から自分で直せるのか、毎回制作会社に頼むのかを、作る前に決めておくと、古い情報が残る事故が減ります。
季節講習の集客は、休みに入る日から逆算する
講習は、塾にとって新しい生徒と出会う機会の一つです。講習だけを受けに来た子が、そのまま通常の授業に残るかどうかで、一年の生徒数が変わります。ところが24塾のサイトを見ると、講習の扱いは薄いものでした。松山で月謝を載せていた6塾のうち、講習の費用を料金の項目として挙げていたのは一つです。高崎には、お知らせの最新が2022年度の講習の案内で止まっている塾が一つありました。
お知らせの記事として講習を案内すると、時期が過ぎれば一覧の下に流れ、翌年は新しい記事を一から書くことになります。当社は、講習のページを一枚だけ作り、毎年同じアドレスで中身を書き換える形を勧めます。去年の案内が検索に残り続けることがなく、保護者がブックマークしたアドレスもそのまま使えます。
段取りは、休みに入る日から逆算して決めます。下の表の時期は当社の目安で、確かめた数字ではありません。終業式や始業式の日は自治体や学校ごとに違うので、教室のまわりの中学校の学年暦で確かめてください。
| やること | 目安の時期 | 中身 |
|---|---|---|
| 前回の記録を見る | 休みの2か月ほど前 | 前回の講習で、問い合わせ、体験、講習の参加、その後の入塾がそれぞれ何件だったか。どこから来たか。 |
| 日程と費用を決める | 休みの2か月ほど前 | 学年ごとの日程、費用(税込の総額)、定員、締め切り。 |
| 講習のページを書き換える | 休みの1か月半ほど前 | 同じアドレスのページを今回の中身に入れ替え、更新日を書く。料金のページの講習の欄もそろえる。 |
| 案内を送る | 休みの1か月ほど前 | 在塾生の保護者、過去に問い合わせや体験があった家庭、兄弟姉妹。チラシやSNSを使うなら同じ中身で。 |
| 地図の情報をそろえる | 休みに入る前 | Google ビジネス プロフィールの営業時間を講習の時間割に合わせる。お盆や年末年始の休みは特別営業時間に入れる。 |
| 講習の最終日までに | 講習中 | 講習のあとも通う場合の曜日と月謝を、参加した家庭に紙で渡す。 |
| 記録を閉じる | 講習のあと1か月 | 講習の参加から何件が入塾したか。次の講習の表の一行目に使う。 |
いちばん大事なのは、最初と最後の行です。前回の記録がなければ、案内をいつ出せばよかったのか、どの経路から来たのかが分からないまま、毎回同じことを繰り返すことになります。記録の付け方は問い合わせ記録シートに置いています。Google ビジネス プロフィールの特別営業時間は、祝休日などの例外的な営業時間を登録する機能として、Googleのヘルプで手順が案内されています。
講習は、すでに通っている生徒の保護者がいちばん申し込みやすい相手でもあります。新しい家庭への案内と、在塾生の保護者への案内を同じ日に出す必要はありません。在塾生への案内を先に出して席の残りを確かめ、残った席で新しい家庭を募るほうが、定員の管理はしやすくなります。
保護者向けの表示で気をつけること
塾の広告に関わる決まりのうち、公的な資料で確かめられたものを書きます。個々の表示が問題になるかどうかの判断は、所管の窓口や専門家に確かめてください。
合格実績と「No.1」は、景品表示法の優良誤認に当たらないように
景品表示法は、サービスの内容を実際より著しく良く見せる表示(優良誤認表示)を禁じています。消費者庁の解説冊子「事例でわかる景品表示法」には、予備校が他校と異なる方法で数値化し、適正な比較をしていないのに「大学合格実績No.1」であるかのように表示した例が、優良誤認の例として載っています。また消費者庁は2024年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、合理的な根拠に基づかないNo.1表示は不当表示として問題になること、顧客満足度のような主観的な評価を指標にしたNo.1表示に根拠を欠くものがあったことを指摘しています。
当社が勧めるのは、実績に年度と数え方を添えることです。何年度の、どの学年の生徒の結果か。通常の授業に通っていた生徒だけか、講習だけの参加者も含むか。これを一行書いておけば、数字の大小にかかわらず、読む保護者は判断できます。高崎の8塾で年度か人数を添えていたのは三つでした。添えるだけで、残りの五つとは違って見えます。
料金は税込の総額で、比べるなら同じ条件で
消費者に対してあらかじめ価格を表示するときは、税込の総額で表示する義務があります(国税庁 タックスアンサーNo.6902「総額表示」の義務付け)。ウェブサイトやチラシも対象です。「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」のような書き方が例として示されています。一方で、価格を表示していない場合は対象になりません。載せるかどうかは塾の判断で、載せるなら税込です。
他の塾との比較にも注意が要ります。消費者庁は2023年3月2日、個別指導塾を運営する事業者に措置命令を出しました。自社サイトに他の個別指導塾との料金の比較表を載せ、「1時間あたり835円」と表示していたところ、実際の時間単価は1,188円で、比較の相手も同じ条件のサービスではなかった、という内容です(消費者庁 令和5年3月2日の報道発表資料)。時間単価や「年間でいくらお得」のような計算を載せるなら、実際の料金と同じ条件で計算し、計算の前提を書いておきます。
長く通う契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たることがある
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、学習塾は、契約の期間が2か月を超え、金額が5万円を超える場合に「特定継続的役務提供」の対象になります(浪人生だけを対象にしたコースなどは除かれます)。対象になると、著しく事実と違う表示や、実際より著しく良く見せる表示(誇大広告)が禁じられ、契約の前に概要書面、契約のあとに契約書面を渡す必要があります。書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができ、授業が始まったあとの中途解約で塾が求められる額には上限があります(2万円か、1か月分の授業料相当額の低いほう)。
ホームページにこれを全部書く必要はありませんが、保護者が気にするのは「途中でやめるときどうなるか」です。入塾の手続きのページに、中途解約の扱いを一段落書いておくと、面談の場で慌てずに済みます。講習だけの申し込みが対象になるかどうかは期間と金額の組み方によるので、契約の形に合わせて確かめてください。
生徒の名前と写真
合格体験記や教室の写真には、生徒本人と保護者の了解が要ります。生徒は未成年なので、学年と学校名と下の名前を組み合わせると、地元の人には誰のことか分かってしまうことがあります。声を載せるときは、誰のことか特定できない形に整えてから載せます。
外に頼むなら、何を頼むか
「塾 経営 コンサル」「学習塾 web集客」と調べている方もいると思います。当社の考えでは、塾のホームページの中身、つまりどの中学校の生徒をどう見てきたか、講習で何をするかは、塾長や教室長の頭の中にしかなく、外の人が代わりに書くことはできません。外に任せてよいのは、検索結果のどこが空いているかを数えること、ページの置き場所を整えること、問い合わせの記録をつけて講習の前後を比べることです。
当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その地域で何が検索され、誰が上位にいるかを数える商圏調査を行い、見込みが立たなければお引き受けしません。進め方は進め方に書いています。
今日、御社のサイトで確かめられること
- スマートフォンで御社のサイトを開き、料金、通える曜日と時間、相談の入口の三つにそれぞれ何回押せば届くかを数えます。
- 講習の案内がどこにあるかを探し、日付が今年度のものかを確かめます。去年の案内が残っていたら、今日のうちに「今年度の日程は◯月に掲載します」と書き換えます。
- 合格実績に年度と数え方が書いてあるかを確かめます。なければ一行足します。
- 料金がすべて税込の総額で書いてあるかを確かめます。他の塾と比べる表や「お得」の計算があれば、実際の料金と同じ条件か見直します。
- 前回の講習で、問い合わせ、講習の参加、その後の入塾が何件だったかを書き出します。数字が出てこなければ、次の講習の前に記録の形を作るところから始めます。
5まで終えると、次の講習の案内をいつ出し、どのページを直すかが決まります。
出典
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替) https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html
- 消費者庁「事例でわかる景品表示法」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_160801_0001.pdf
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書の公表について」(令和6年9月26日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms216_240926_01.pdf
- 消費者庁 報道発表資料(令和5年3月2日、個別指導塾を運営する事業者に対する景品表示法に基づく措置命令) https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_230302_1.pdf
- 国税庁 タックスアンサーNo.6902「総額表示」の義務付け https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「特別営業時間を設定する方法」 https://support.google.com/business/answer/6303076?hl=ja
前橋市で、保護者が塾を探す検索結果と地元の塾のサイトを実際に数えた例は、前橋市の学習塾の集客:検索から問い合わせを増やせるか(商圏調査の見本)に載せています。
作るときと作ったあとにかかるお金(講習のページの書き換え、教室の追加)を料金表で比べた記事は、学習塾のホームページ制作の費用:作り方ごとの目安と、講習や教室が増えたときにかかるお金です。