工務店の集客方法:インスタ・見学会・ポータル・ホームページの役割の分け方

工務店の集客方法を調べると、インスタ、見学会、住宅ポータル、ホームページ、チラシ、広告と、十前後の手段が並んだ記事が多く出てきます。どれも間違いではありません。ただ、地方の工務店がそのすべてを同じ力で回すのは難しく、並べられた手段から「どれをやるか」を選んでも、問い合わせが増えない理由はなかなか見えてきません。

この記事の結論を先に書きます。当社は、工務店の集客は「どの手段をやるか」より「どの経路に、何を担わせるか」を一つずつ決めるほうが、問い合わせにつながりやすいと考えています。インスタ・SNSは施工事例を見せて名前を覚えてもらう役、見学会・イベントは決める前の確認の場、住宅ポータルは比較の土俵、自社のホームページは検索で来た人と名前で来た人の受け皿と問い合わせの窓口です。この記事では、その割り当て方と、当社が三つの市で24社のサイトを数えた結果から見える「どこで流れが止まりやすいか」をまとめます。

  • 家を建てる人が工務店を探す経路(国の調査の数字)
  • インスタ・見学会・ポータル・自社サイトに割り当てる仕事と、それぞれで見る数字
  • 「インスタは伸びるのに問い合わせが来ない」などの悩みを、どの経路の問題かで切り分ける方法
  • 今日、自社で確かめられる五つのこと

家を建てる人は、一つの経路だけで工務店を決めていない

まず、家を建てた人がどうやって建てる会社を探したのかを、国の調査で見ておきます。国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」では、2023年4月から2024年3月に注文住宅を建てた世帯(全国)に、施工者を探した方法を聞いています。複数回答で、「住宅展示場」が50.8%、「インターネット」が46.6%、「知人等の紹介」が25.1%でした。

複数回答なので、足すと100%を超えます。展示場にも行き、インターネットでも調べ、知り合いにも聞く。多くの家族が、いくつもの経路を通って一社を選んでいる、ということです。なお、調査の選択肢は「住宅展示場」で、工務店の完成見学会やモデルハウスがここに含まれて答えられているかどうかは、調査からは分かりません。

家を建てる家族の数そのものは減っています。同じく国土交通省の「建築着工統計調査報告(令和7年計)」では、令和7年の持家(自分で住むために建てる家)の着工は201,285戸で、前年から7.7%減り、4年続けての減少でした。一棟の重みが大きい業種で、探す人が減っている。そのなかで、一つの家族が通るいくつもの経路のどこかで御社の名前が落ちてしまうと、取り返す機会は多くありません。

ここから当社が考えているのは、経路を増やすことより先に、経路ごとの仕事を分けておくことです。インスタにも、見学会にも、ポータルにも、ホームページにも「とにかく問い合わせを取る」ことを求めると、どれも中途半端になり、どこで止まっているのかも分からなくなります。

集客方法の全体図:四つの経路に、一つずつ仕事を割り当てる

当社が工務店のホームページを見るときに使っている割り当てを、表にしました。「担わせないこと」の列は、その経路に無理をさせると流れが詰まりやすい点です。

経路担わせる仕事来る人の状態見る数字担わせないこと
インスタ・SNS施工事例を見せて、名前を覚えてもらうまだ会社を決めていない。眺めている社名での検索、プロフィールからサイトへの移動、メッセージ価格や条件の質問にすべて答えること
見学会・イベント決める前の確認(実物、担当者、総額の感触)候補に入れて、確かめに来ている予約数と、来場から打ち合わせに進んだ数初めて名前を知ってもらう役
住宅ポータル比較の土俵に並ぶ条件で絞って、何社かを比べている掲載ページからの資料請求・来場予約御社らしさを伝えきること
自社のホームページ検索で来た人と名前で来た人の受け皿。問い合わせの窓口両方が混ざる来場予約・資料請求・電話の件数と、どこから来た人か名前を知らない人を一手に集めること

表の「見る数字」の列が、経路ごとに違うことが大事です。インスタの成果を「いいね」の数で見ていると、名前を覚えてもらえたのかどうかが分かりません。見学会の成果を来場者数だけで見ていると、確認の場として働いているのかが分かりません。仕事を一つに決めると、見る数字も一つに決まります。

もう一つ、この表で見てほしいのは、四つの経路のうち三つが、最後は自社のホームページを通ることです。インスタで気になった人も、ポータルで比べている人も、見学会の前に「どんな会社か」を確かめる人も、御社のサイトを開きます。全体図の真ん中にサイトを置いているのは、そのためです。

インスタ・SNS:施工事例を見せて、名前で探される状態を作る

家を建てる年代の多くは、インスタを使っています。総務省情報通信政策研究所の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」では、Instagramの利用率は30代で70.5%、40代で67.0%でした(13〜79歳の1,800人、2024年12月の調査)。写真で家を見せられる工務店にとって、施工事例を届ける場所として向いていることは確かです。

一方で、当社が調べた範囲では、インスタの投稿は検索で探す人の前にはあまり出てきませんでした。三つの市で「地名 工務店」などを検索したときも、1ページ目の半分前後はポータルで、残りも多くは会社のサイトや記事でした。宇都宮では地元の一社が会社のサイトとSNSの2件で入っていた例もありましたが、インスタは基本的に、アプリの中で眺めている人に見てもらう経路です。だから担わせる仕事は「問い合わせを取ること」より、「この会社の家、いいな」と名前を覚えてもらうことだと当社は考えています。

名前を覚えた人は、次にプロフィールのリンクを押すか、社名で検索して、御社のサイトに来ます。ここで止まる会社が多いと当社は見ています。当社が数えた24社は、すべてのサイトに施工事例がありました。ところが、自社の家の価格を数字で示していたのは3社で、事例に建てた市町村を書いていたのは松本では8社中2社でした。インスタの写真で気になった家が、どこに建っていて、だいたいいくらなのか。サイトに来た人が最初に確かめたいことに、答えきれていないサイトが多数でした。

そのため、インスタの投稿と事例ページは、同じ項目でそろえておくことを勧めます。建てた市町村、平屋か二階建てか、延床面積、土地から探したのか建て替えか、そして出せるなら総額の幅です。プロフィールのリンク先も、トップページより、こうした項目がそろった事例の一覧のほうが、気になった人の次の一歩に合います。価格の出し方は工務店の価格の載せ方についての記事に書きました。

見る数字は、フォロワー数より、社名での検索が増えているか、プロフィールからサイトへの移動があるか、メッセージで相談が来ているか、です。来場のときに「何で知りましたか」と聞いて、インスタと答えた人を数えるのがいちばん確かです。

見学会・イベント:来場を「決める前の確認」の場にする

見学会は、どの工務店もよく作り込んでいる経路です。当社が数えた24社のうち、見学会や来場予約の入口をサイトに置いていたのは22社(松本8社、倉敷8社、宇都宮6社)、資料請求を置いていたのは18社でした。入口の数では、ほとんど差がつきません。

見学会に予約して来る人の多くは、すでにどこかで御社を知り、候補に入れたうえで確かめに来ています。だから当社は、見学会に担わせる仕事を「決める前の確認」と置いています。確かめたいのは、写真で見た広さや明るさが本当か、夏や冬の室内の感じはどうか、担当者と話しやすいか、そしてこの家はいくらくらいだったのか、です。

この確認に、数字で答える準備ができている会社は多くありません。24社で、断熱や気密の性能を実測の数字で示していたのは各市1社ずつの3社でした。見学会の家について、総額の幅(建物と付帯工事でいくらからいくらか)、性能の数字(実測か設計値かを分けて)、建てた方の条件を一枚にまとめておくと、来た人は持ち帰って他社と比べられます。比べられることは、決めてもらうための材料になります。

イベントの種類も、来る人の条件で分けると役割がはっきりします。24社のうち、平屋の専用ページを持つのは12社、土地探しの案内を置いているのは10社でしたが、実家の建て替えの専用ページは1社だけでした。完成見学会は「この会社の家を確かめたい人」、土地探しの相談会は「土地がまだない人」、建て替えの相談会は「親の家をどうするか迷っている人」と、入口の違う人を受ける場です。建て替えの人が最初に何で迷うかは、「実家 建て替え」で工務店が出てこない話にまとめました。

見る数字は、予約数に加えて、来場のあとに打ち合わせへ進んだ数です。予約は多いのに打ち合わせに進まない場合は、見学会の中身より、来る前に予算や条件のずれを確かめる材料がサイトに足りていないことを疑います。

住宅ポータル:比較の土俵に並ぶ。決め手は御社のサイトに置く

検索の1ページ目で、比較の場所を押さえているのは住宅ポータルです。当社が2026年9月24日に、長野県松本市、岡山県倉敷市、栃木県宇都宮市で「地名 工務店」「地名市 注文住宅」「隣の市 工務店 注文住宅」の三つの言葉を検索したところ、それぞれ27件のうち、住宅ポータル・比較サイト・フランチャイズの本部のページは、松本で16件、倉敷で17件、宇都宮で16件でした。暮らしの言葉を含めた九つの言葉全体でも、松本で83件中43件、倉敷で82件中41件、宇都宮で82件中47件と、半分前後を占めていました(工務店のホームページとポータルサイト:地元の工務店が検索で入れる言葉)。

三つの市のどこでも、この形はほとんど変わりませんでした。名古屋で20の言葉を数えたときも、「名古屋 工務店」と「名古屋 注文住宅」の18件のうち12件が、ポータルとフランチャイズの本部のページでした(名古屋で工務店・リフォーム会社が検索で見つかるには)。「地名 工務店」で比べ始める人の多くは、まずポータルの一覧を目にしている、と見るのが自然です。ここに載っていなければ、比較の候補に入る機会そのものが減ります。ポータルに担わせる仕事は、この「比較の土俵に並ぶ」ことです。

ただ、ポータルの中では、どの会社も同じ形式の枠に並びます。比べる人は、そこで気になった何社かのサイトを開いて、最後の判断をします。当社が倉敷と宇都宮で「注文住宅 費用 相場」を調べたときも、1ページ目は相場を解説する住宅会社のコラムで埋まっていて、倉敷ではそのうち5件が市の外の会社のものでした。地元の工務店のページで自社の家の金額まで分かったのは、二つの市を合わせて1件です。比べる人は相場をつかんだうえで地元の会社のサイトに来て、そこで値段が分からなくなります。ポータルで並び、サイトで決めてもらう。決め手になる材料は、ポータルではなく御社のサイトの側に置いておくことを勧めます。

掲載の費用や条件は、ポータルごと、地域ごとに違います。当社は各社の料金を確かめていないので、この記事では扱いません。判断の目安として、掲載ページから来た資料請求や来場予約を別に数え、掲載の費用と並べておけば、続けるかどうかを決める材料になります。

自社のホームページ:検索で来た人と、名前で来た人の両方を受ける

自社サイトに来る人は、二通りいます。インスタ、ポータル、紹介、看板などで名前を知って来る人と、名前を知らずに検索で来る人です。

名前で来る人に対しては、確認に答える役です。価格の見当、建てた場所、性能、相談の申し込み方。ここまでに書いたとおり、24社でこの確認にいちばん答えきれていなかったのは価格(3社)と性能の実測(3社)でした。どの経路から来た人も最後に通る場所なので、ここを埋めると、インスタにもポータルにも見学会にも効きます。

検索で来る人に対しては、暮らしの問いに答える役です。中心の言葉はポータルが厚い一方で、「平屋 建てたい」「高断熱 住宅」のような暮らしの言葉には、地元の工務店がコラムで入っている町がありました。倉敷の「倉敷 高断熱 住宅 工務店」は9件中5件が地元で、宇都宮の「平屋 建てたい」では地元の二社が平屋についてのコラムで3枠を取っていました。反対に「実家 建て替え」は、三つの市の1ページ目30件のうち、工務店が建て替えについて書いたページは1件だけでした。誰も答えていない問いに、御社が実際に建ててきた家で答えられるなら、そこが自社サイトで最初に置くページの候補になります。

「地名 工務店」のような言葉では、Googleマップの枠が検索結果の上に出ることがあります。Googleのヘルプ(「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」)は、地図の枠の順番は主に関連性、距離、知名度で決まると説明しています。当社の調査では地図の枠を確かめられていないので、ここでは、マップの店舗情報も名前で来る人の入口の一つになる、とだけ書いておきます。

サイトの更新についても、一つ見えたことがあります。2026年9月に入ってから更新があったのは24社中18社でしたが、そのうち家づくりについての読み物だったのは8社で、残りは見学会の案内、完成の報告、社内行事の報告でした。見学会の告知は大切ですが、それだけでは検索で来る人の受け皿は増えません。見学会の案内は見学会の仕事、問いに答えるページはサイトの仕事と分けておくと、更新の中身も決めやすくなります。

問い合わせの窓口は、24社のうち22社が見学会や来場予約、18社が資料請求、9社がLINEで相談を受けていました。窓口を増やすことより、どの経路から来た人がどの窓口を使っているかを記録できる形にしておくほうが、次に何を直すかを決めやすくなります。

集客の悩みは「どの経路が仕事をしていないか」で切り分ける

よく聞く悩みを、全体図に当てはめると、見る場所が絞れます。

悩み止まっていそうな場所最初に確かめること
インスタのフォロワーは増えるが、問い合わせが来ないインスタからサイトへの受け渡しプロフィールのリンク先で、価格の見当と建てた場所が分かるか
見学会に人は来るが、打ち合わせに進まない来る前の確認材料サイトに総額の幅と性能の数字があるか。来場者の予算と合っていたか
ポータルからの反響が、価格の問い合わせばかりポータルとサイトのつなぎ掲載ページから開いた自社サイトで、価格の考え方が読めるか
ホームページからの問い合わせがほとんどないサイトに来る人の数か、来た人の確認か来場者のうち、サイトを見て来た人が何人いるか
紹介頼みで、月によって波が大きい紹介された人の確認先紹介する方が送れる事例ページがあるか

どの行も、最後は自社サイトと記録に行き着きます。当社が限られた手間の使い道を聞かれたら、まず来場や資料請求がどの経路から来たかを数える形を作り、次にサイトの施工事例に建てた場所と総額の幅を足す、その順を勧めます。インスタやポータルに手を広げるのは、その受け皿ができてからでも遅くないと考えています。

反対の考え方もあります。紹介や地元での看板で見学会が十分に埋まっている会社なら、ホームページに時間をかけても、紹介より早く予約が増えるとは言いにくいでしょう。その場合は、紹介された人が確認に来たときに困らない程度に、事例と価格の考え方をそろえておけば足ります。どちらに当たるかは、次の記録を数えれば分かります。

当社は、ホームページの運営をお引き受けする前に、その商圏で検索されている言葉と1ページ目の顔ぶれを数えます。ポータルが厚い言葉と、地元の誰も答えていない問いを分けてから、サイトに置くページを決めるためです。進め方は進め方と費用に書いています。

今日、自社で確かめられること

  1. この三か月の来場予約と資料請求を、インスタ、ポータル、ホームページ、紹介、その他に分けて数えます。記録がなければ、次の見学会から「何で知りましたか」を一行だけ聞きます。記録の形は問い合わせの記録シートに置いています。
  2. スマートフォンで御社のインスタのプロフィールを開き、リンクを押して、価格の見当と建てた市町村が分かるところまで何回押したかを数えます。
  3. 「地名 工務店」と「地名市 注文住宅」で検索し、1ページ目にポータル、地元の工務店、御社がそれぞれ何件あるかを数えます。ポータルが半分を超えていれば、当社ならその言葉はポータルに任せる場所と見ます。
  4. ポータルの御社の掲載ページと、御社サイトの施工事例を並べ、サイトのほうが詳しく書かれているかを見ます。同じ家の情報が食い違っていないかも確かめます。
  5. 次の見学会の家について、総額の幅、性能の数字(実測か設計値か)、建てた方の条件を一枚にまとめられるかを、担当者と確かめます。

一つ目の数字が出れば、どの経路が仕事をしていて、どこで止まっているかの見当がつきます。止まっている経路が分かれば、次に手を入れる場所は一つに絞れます。

一つの市で、家を建てたい人の検索結果と地元の工務店のサイトを実際に数えた例は、倉敷市の工務店の集客:検索から問い合わせを増やせるか(商圏調査の見本)に載せています。