ホームページ運用の丸投げが失敗するのは、数え方を決めずに渡すから

運用を任せて一年たち、契約の更新の案内が届いたとします。毎月の報告書は届いていて、表示回数が伸びた、順位が上がった、記事を何本足した、と書いてあります。嘘はどこにもありません。それでも、続けるべきかどうかを決められない。

丸投げの失敗とは、この状態のことだと考えています。お金を失ったことより、判断する手段を失ったことのほうが問題です。そしてそれは、任せた相手が手を抜いたからではなく、任せる前に「何を数えれば成功と言えるか」を決めずに渡した、その渡し方から生まれています。

更新の時期に「続けるかどうか」を決められないのは、物差しを持っていないから

報告書に並ぶ数字は、相手の管理画面から取り出したものです。表示回数も順位も、相手の側でしか確かめられません。御社の手元にあるのは、電話がなんとなく増えた気がする、最近は少ない気がする、という感覚だけです。

この組み合わせだと、評価は相手の説明を信じるかどうかの問題になります。信じて続ければ費用が積み上がり、疑って止めれば、実は効いていたものまで止めてしまうかもしれない。どちらを選んでも、根拠がありません。

ここで押さえておきたいのは、物差しは相手から渡されるものではない、ということです。問い合わせが何件来て、そのうち何件が面談や見積もりに進んだか。その数は、御社の電話の着信履歴と受信メールと、受けた人の記憶の中にしかありません。相手がどれだけ誠実でも、そこには手が届きません。

当社が運営に携わっている相続の事務所で、広告費を増やしていくのをやめる判断ができたのも、事務所の側で、広告から来た相談が面談まで進んだかどうかを数えていたからでした。件数の報告だけを受け取っていたら、減らすという結論は出てこなかったはずです。経緯は相続の事務所のホームページで、二年のあいだにやったことに書いています。数えている側だけが、やめる判断ができます。

任せてよいのは判断まで。渡してはいけないのは数え方

外に任せる形には、性質の違う二つがあります。

一つは作業の代行です。何を載せるかは御社が決め、載せる手間だけを頼む。費用は抑えられますが、決める人が社内にいなければ、依頼そのものが出ないまま止まります。頼んでいるのに更新が進まない、という状態になりやすいのは、こちらの形です。保守の契約で頼めることの範囲はホームページの保守契約には何が含まれるのかに分けて書きました。

もう一つは、判断ごと預ける形です。どのページを書き直すか、どの言葉を広告に残すか、次の月に何をするか。そこまで外に委ねます。当社はこちらの形でお引き受けしていて、文章の書き直しや相談への導線の変更は、いちいち確認をいただかずに進めています。小さな会社の経営者が、こうした判断を毎月下し続けるのは現実的ではないと考えているからです。

判断を預けることと、丸投げは違います。違いは一点で、成果の数え方と、それを数える場所が、御社の側に残っているかどうかです。判断を預けても、数え方が御社の手元にあれば、一年後に「続けるかどうか」を自分で決められます。数え方まで相手に渡すと、判断も評価も相手の中で完結し、御社には請求書だけが残ります。

社内の兼任が止まるのも、同じ構造です

外に任せず、社長や事務の方が片手間で見ている会社も、同じところでつまずきます。

兼任の担当は、仕組みとして後回しになるようにできています。本業が忙しくなればホームページは後回しになり、後回しにしても、その週に困る人はいません。売上の数字で評価される仕事でもないので、優先する理由もありません。最初の二か月は動いて、半年後に止まっている。そのとき担当の方を責めても、何も変わりません。

止まる理由は、担当者の意欲ではなく、「誰が・何を・どの頻度で見るか」が決まっていないことです。見る人が決まっていなければ、料金表が二年前のまま、問い合わせフォームがいつからか送信できない、営業時間を変えたのにサイトは旧のまま、といったことに誰も気づきません。直すのは短い作業でも、気づくきっかけがない。外に丸投げした会社と、社内で誰も数えていない会社は、評価する手段がないという点で同じ状態にあります。

当社が引き受ける前に、書面にしていること

では、判断を預かる側としてどう決めているか。当社が進め方と料金のページに公開している条件を、そのまま並べます。お引き受けが決まる前に、担当の分担、費用の内訳、成果の数え方、終えるときのデータと権限の扱いを書面にしてお渡ししています。見込みが立たなければ、理由をお伝えして、お引き受けしません。

成果の数え方と、数える場所

何を数えるか(問い合わせの件数か、成約の数か)と、どう数えるか(御社の台帳や予約記録など)を、始める前に決めて書面に残します。アクセスの基準も同じです。

数える場所を御社の台帳にしているのには理由があります。当社は報酬の中心を、成果が出てからの月額に置いていて、その額は、サイト経由のお客さまが開始前より何人増えたかで毎月計算します。つまり、何を一人と数えるかが、そのまま当社の報酬を決めます。その数を当社の管理画面の中で数えれば、評価する側とされる側が同じになってしまう。だから数は御社の側で持っていただきます。

報酬に上限は設けていません。ただし、御社が対応できる件数に限りがある場合は、その上限を書面に書きます。受けきれない数の問い合わせは、御社にとって成果ではないからです。

報告の形

何をして、何が変わったかは、その月のうちにお伝えします。うまくいかなかった判断も、そのまま報告します。

確認をいただかずに進めるのは、文章の書き直しや導線の変更までです。料金やサービスの内容、会社の情報など、事業の中身に関わる部分は、事前に確認します。判断を預かる範囲と、預からない範囲の境目を、最初に決めておくということです。外れた判断が報告書に載らなければ、御社は当たった話だけを読むことになり、それでは評価になりません。

御社にお願いすること

実績の開示や、お付き合いのある団体からの紹介など、御社にしかできない項目があります。これは当社が代わりに書いても薄くなるので、担当の分担として一緒に進めます。

分担を書面にしておくのは、うまくいかなかったときに、原因がどちらの側にあったかを言えるようにするためでもあります。数えてみると、問い合わせは減っていないのに面談に進んでいない、その理由が折り返しの電話が翌日になっていたことだった、ということもあり得ます。そこはサイトをどう直しても動きません。分担が書いてあれば、そう言えます。

終えるときの扱い

既存のサイトの場合、十二か月たっても問い合わせが増えず、これ以上打てる手も見当たらなければ、当社から終わりを申し出ます。そのとき成果の報酬は発生しません。見込みを誤った責任は当社にあると考えています。

反対に、成果の報酬が発生し始めてからは、二年間は続けていただく約束です。それより前に御社の都合で終える場合は、それまでの作業の対価を、契約料と同じ額を上限に精算します。ドメインは最初から御社の名義で、サイトの中身(文章・構成・画像)の権利は、契約を終えるときにお渡しします。

終わり方を先に決めておくのは、冒頭の「続けるかどうかを決められない」状態を、最初から作らないためです。いつ、何が起きていなければ終えるのかが書いてあれば、一年後の判断は書面を開くだけで済みます。

どの会社に任せる場合でも使える確認の項目は、ホームページの運用代行を頼む前に契約で決めておくことにまとめています。

今月の報告書を開いて、御社の台帳で数え直せる数字に印をつける

いま任せている相手がいるなら、直近の報告書を開いてください。そこに並んでいる数字のうち、御社の側で同じ数を数え直せるものに印をつけます。表示回数や順位には、印はつかないはずです。問い合わせの件数が書いてあれば、電話の着信履歴と問い合わせフォームの受信メールを同じ月の分だけ遡って、数が合うかを見ます。何も入れていなくても、これはできます。

印が一つもつかなければ、報告の中身が悪いのではなく、御社の側に物差しがないということです。その場合、まず決めるのは任せる相手ではなく、社内で「誰が・何を・どの頻度で見るか」です。最低限なら、次の三つで足ります。

  • 月に一度、その月に来た問い合わせの件数と、そのうち面談や見積もりに進んだ件数を書く。電話口で「ホームページを見て」と言われた分だけでも構いません。数え方をもう少し整えたい場合はホームページからの問い合わせの数え方に手順を書いています。
  • 季節に一度、料金のページ、サービスのページ、会社概要、問い合わせフォームの動作を見る。予定表に先に書き込んでおきます。
  • 料金や営業時間、対応できる地域が変わったとき、「この人に伝える」という一人を決めておく。直す技術があるかどうかは関係ありません。

三つ合わせても、月に一時間ほどです。この一時間が社内にあれば、外に判断を預けても丸投げにはなりません。

次の報告書が届く前に、御社で数えた先月の問い合わせと面談の件数を相手に渡し、報告書の一行目に置いてもらってください。それを嫌がらない相手かどうかで、続けてよいかどうかの半分は決まります。