ホームページの運用代行の契約は、成果を何で数えるかから決める

運用代行の見積書には、「SEO対策」「コンテンツ更新」「月次レポート」といった項目が並び、その横に月額が書いてあります。並んでいるのは作業の名前です。御社の手元の見積書か契約書で、その作業によって何が起きたら「うまくいった」と言えるのかを書いた一行を探してみてください。その一行がなければ、契約で最初に決めるべきことが、まだ決まっていません。

契約で決めることを数え上げれば、作業の範囲、報告、アカウントの名義、期間、終えたあとの扱い、と多くあります。けれども当社は、先に一つ決まれば残りは順に決まると考えています。成果を何で数えるか。これが決まっていない契約では、ほかの項目をどれだけ細かく書いても、一年後に「頼んでよかったのか」を測る物差しが御社の手元にありません。

数え方のない契約で、業者が見せられるのは件数と順位

成果の数え方が契約にないとき、代行する側はそれでも毎月何かを報告しなければなりません。手元にあって、動きが見えて、グラフにできる数字。アクセス数、検索の順位、書いた記事の本数、広告のクリック数。報告書がこうした数字で埋まるのは、業者が不誠実だからではありません。それ以外に見せるものを、契約が決めていないからです。

困るのは受け取る御社の側です。アクセスが二割増えた、この言葉で三位に上がった、と報告されても、それが電話の本数にどうつながったのかは報告書から読み取れません。読み取れないまま一年たつと、続けるかやめるかを判断する材料がない。更新のときに「数字は上がっています」と言われれば、そのとおりでもあります。評価できない契約は、よくも悪くも、そのまま続いていきます。

手元に最近の報告書があれば、一枚開いてみてください。最初のページで大きく扱われている数字を一つ選び、それが御社の側の記録——電話の着信履歴、フォームから届いたメール、予約や受注の台帳——で同じように数えられるかを確かめます。数えられないなら、その数字は業者の画面の中にしかない成果です。

当社が「問い合わせが来ること」を成果と呼ぶわけ

当社は、運営を引き受けたサイトの成果を「そのホームページから問い合わせが来ること」と決めています。アクセスでも順位でもなく問い合わせを選んでいる理由は、二つあります。

一つは、問い合わせは御社の側で起きることだからです。電話が鳴る、フォームのメールが届く。これは御社の中で、御社の人が数えられます。当社の料金の決まりでも、何を数えるかと、どう数えるか(御社の台帳や予約記録など)を、始める前に決めて書面に残すことにしています。数える場所を御社の側に置いておけば、当社の報告が数字をよく見せる余地はなくなります。

もう一つは、問い合わせより手前の数字は、商売と切り離して増やせるからです。アクセスは、御社の仕事と関係の薄い読み物を書けば増えます。順位は、誰も検索しない言葉を選べば上がります。どちらも報告書の上では成果に見えます。問い合わせは、読んだ人が御社に連絡しようと決めたときにしか起きません。そこまで来て初めて、ホームページが商売の役に立ったと言えます。

当社の料金にも、アクセスを見る段階はあります。始める前の月間アクセスが倍になった月から、月額一万円です。ただ、この額は固定で、アクセスがそれ以上伸びても増えません。当社の報酬が大きくなるのは、サイト経由で来たお客さまが始める前より増えたときで、増えた一人あたり、平均売上の一割を、その月に増えた人数分いただく形です。アクセスをいくら伸ばしても、当社の稼ぎはそこでは増えません。

件数ではなく、商談につながった問い合わせを数える

問い合わせを成果と呼ぶと、次に「では件数を増やせばよいのか」という問いが出ます。当社の答えは、件数だけを数えるのはやめたほうがよい、です。

件数だけが成果の契約では、件数を増やすことが業者の利益になります。問い合わせを安く集められる言葉——まだ依頼する気の固まっていない人が、気軽に使う言葉——へと、広告も記事も広がっていく。報告書の件数は伸びても、面談や見積もりに進む人の数は変わらず、対応する御社の手間だけが増えます。当社が運営に携わっている相続の事務所でも、単価の安い言葉で集めた問い合わせは面談に進まず、広告を面談につながる言葉だけに絞りました(経緯は士業の検索広告で、どの言葉にお金を使うかに書いています)。

ですから当社は、問い合わせを数えるとき、そのうちいくつが商談——面談、見積もり、来店、予約——に進んだかまで見ます。料金の決まりで、数えるものを「問い合わせの件数か、成約の数か」から始める前に選ぶことにしているのも、成果が出たあとの報酬を件数ではなく、増えたお客さまの人数で計算しているのも、このためです。

もう一つ、当社は報酬に上限を設けていませんが、御社が対応できる件数に限りがある場合は、その上限を書面に書きます。受けきれない問い合わせは、数えても成果ではないからです。

商談まで数えると、問い合わせは来ているのに先へ進まない、という形が見えることがあります。原因が折り返しの電話の遅さや、料金の伝え方のように、サイトの外にあることもあります。件数だけを見ていると、ここは見えません。数え方の具体的な手順は、ホームページからの問い合わせの数え方にまとめました。

数え方が決まると、名義も期間も競合の扱いも決まる

成果を何で数えるかが決まると、ほかの項目は、その数字を守るための条件として順に出てきます。

まず、記録の置き場所と名義です。問い合わせのメール、計測の数字、広告の管理画面が業者のアカウントの中にあると、契約を終えた日に、始める前の数字もこれまでの推移も御社の手元から消えます。次に頼む相手は、比べる基準のないところから始めることになります。ですから、ドメイン、計測、広告のアカウントは御社の名義で持ち、代行する側を管理者として招く形にしておきます。ドメインの確かめ方はドメインの名義が制作会社のままになっていないかに書きました。

次に、期間です。最低期間があること自体には理があります。検索からの問い合わせは、手を入れてから動くまでに時間がかかるからです。見るべきは、その期間が何を数え終えるための長さなのかを、相手が説明できるかどうか。「そういう規定ですので」としか返ってこなければ、その期間は、成果を数えるために置かれたものではありません。

終えたあとの帰属も同じ筋にあります。問い合わせを生んだ文章や構成が、契約の終わりと一緒に消える作りなら、数えてきたものは御社に何も残りません。サイトの中身が終えるときに誰のものになるかを、書面にしておいてください。

最後に、同じ商圏の競合です。成果を件数や順位で数えるなら、同じ地域の同業を二社手伝っても、両方に何かしら伸びた数字を見せられます。言葉を分け合えばよいからです。けれども成果を「御社に問い合わせが来て、お客さまになること」で数えるなら話が変わります。同じ地域で同じ仕事の依頼先を探している人は一人で、その人がどちらかに連絡すれば、もう一方には来ません。二社を同時に手伝えば、どちらの成果を優先するかという判断が、代行する側にどうしても生まれます。契約の前に、同じ地域の同業を手伝っているか、これから引き受ける予定はあるかを聞いておいてください。

当社の契約は、こう決めています

当社の契約も、この順番で決めています。

最初に決めるのは数え方です。何を数えるか(問い合わせの件数か、成約の数か)と、どう数えるか(御社の台帳や予約記録など)、アクセスの基準を、始める前に書面に残します。費用は、お引き受けが決まった時点の契約料と、実費と、成果が出てからの報酬だけで、制作費は別にいただきません。何をして何が変わったかはその月のうちにお伝えし、うまくいかなかった判断もそのまま報告します。

名義と帰属は、数えた記録を御社に残すための決まりです。ドメインは最初から御社の名義で、サイトの中身(文章・構成・画像)の権利は、契約を終えるときにお渡しします。

期間も、数えた結果で決まるようにしています。既存のサイトで十二か月たっても問い合わせが増えず、これ以上打てる手も見当たらなければ、当社から終わりを申し出ます。そのとき成果の報酬は発生しません。成果の報酬が発生し始めてからは二年間続けていただき、それより前に御社の都合で終える場合の精算は、契約料と同じ二十万円を上限にしています。

競合については、同じ商圏で同業は一社だけです。同時にお預かりするのは五つの事業までにしています。

費用の詳しい決まりは料金に、引き受けるまでの流れは進め方に書いています。十二か月で当社から終わりを申し出る、という条件は、成果を問い合わせで数えると決めているから書けるものです。数え方が決まっていない契約では、いつ終えるべきかも、誰にも決められません。