士業の検索広告で、どの言葉にお金を使うか。面談につながる言葉の見分け方

「クリック単価の安いキーワードが見つかりました。ここを増やしましょう」。検索広告を出していると、こういう提案を受けることがあります。数字の上では筋が通って見えますし、実際に問い合わせの件数は増えます。

ただ、増えた問い合わせが面談まで進んでいるかというと、話は別になることがあります。当社の答えは、安い言葉は捨てるのではなく、受ける場所を広告から記事に移す、というものです。

安い言葉が、効率よく見えてしまう仕組み

広告の管理画面に並ぶのは、表示回数、クリック数、クリック単価、問い合わせの件数、そして一件あたりの獲得単価です。どれも、広告の画面の中で完結している数字です。言い換えると、問い合わせが発生した時点で計測が終わっています。

単価の安い言葉というのは、たいてい、まだ困りきっていない人が打ち込む言葉です。調べ始めたばかりで、依頼するかどうかも決めていない。同業も強く入札しないので、単価は下がります。それでいて、軽い問い合わせや資料請求までは届きます。だから件数は出ますし、費用を件数で割れば、いちばん優秀な言葉として画面の上のほうに並びます。

当社が運営に携わっている相続の事務所でも、ここで一度つまずいています。単価が安いからといって確度の低い言葉で問い合わせをいくら集めても、離脱ばかりが目立ち、費用対効果でいうと微妙だった、というのが数えてみて分かったことでした。

士業の場合、これは広告費だけの損では済みません。問い合わせが一件増えれば、誰かが電話に出て、話を聞いて、断るか案内するかを判断します。件数が増えるほど所内の時間が減っていきます。管理画面には出てこない費用です。

面談まで追うのに要る記録は、二つだけです

必要なのは、次の二つを同じ行に残すことです。

  • 問い合わせが来た時点で、どの言葉・どの広告から来たのか
  • その問い合わせが、面談まで進んだかどうか

フォームからの問い合わせは、設定しておけば流入元が残ります。厄介なのは電話です。士業の相談は電話が多く、こちらは自動では残りません。受けた人がその場で一行、どこで見たかを書き足すと決めておくほうが続きます。数え方そのものの作り方はホームページからの問い合わせの数え方に分けて書きました。ここから先は、広告の言葉に絞って進めます。

代理店に任せている場合に、頼む資料

管理画面を自分で開けない場合は、次の四つを出してもらってください。

  • 実際に打ち込まれた検索語の一覧。御事務所が登録しているキーワードの一覧ではなく、利用者が実際に入力した語のほうです。ここがずれていることがあります。
  • その検索語ごとの、費用と問い合わせ件数
  • 問い合わせが発生した日時。所内の面談記録と突き合わせるために要ります
  • どの検索語が、どの広告グループに属しているかの対応

どれも広告の側に残っている記録で、特別な作業を頼むものではありません。御事務所の費用で集まった記録です。遠慮される話ではないと思います。

今日、その場で確かめられること

道具を入れていなくてもできます。

  1. 直近三か月で面談になった方を、十件ほど名簿から書き出します。
  2. その一件ずつについて、最初の問い合わせがどこから来たか分かるかを確かめます。分からない件が半分を超えるようなら、言葉を選ぶ前に、そこが最初の課題です。
  3. 分かる件については、広告経由だった方が何を調べていたかを見ます。
  4. 管理画面を開けるなら、費用の多い順に二十語ほど並べ、面談に至った語に印をつけます。印のつかない語に、月いくら払っているか。

確度の高い言葉、薄い言葉の傾向

言い切れる法則はなく、業務によっても商圏によっても違います。出発点として挙げるなら、確度が高いほうに寄りやすいのは、期限が迫っている、手続きの途中で止まっている、といった状態の言葉と、地域名や具体的な手続きの名前がついた言葉です。薄いほうに寄りやすいのは、「とは」「違い」のように知識を確かめる言葉と、書き方やひな形のように自分で済ませようとしている言葉です。

優先するのは、この傾向ではなく、手元の記録のほうです。

薄い言葉は、捨てるのではなく受ける場所を変えます

先の事務所で決めたのは、広告費を増やしていくことをやめ、面談につながっている言葉だけに絞る、ということでした。ここで大事なのは、薄い言葉を相手にしないと決めたわけではない、という点です。

「とは」で調べている人も、半年後には誰かに依頼します。その時期の人と接点を持つこと自体は、むしろ士業では効きます。問題は、その時期の人に毎月お金を払って会いに行く必要があるか、ということのほうです。

確度が薄い言葉は、広告ではなく検索の側、つまりその言葉に答える記事を用意して上位に出しておけば十分にカバーできる、という印象を持っています。記事にかかるのは書く手間で、一度上位に着けば翌月も同じ場所から人を連れてきます。急いでいる人には広告で届き、調べている段階の人には記事で届く。同じ人を、来る時期によって別の入口で受けるという考え方です。

そもそも広告以外の入口が一本も育っていない、という状態であれば、順番を間違えると件数が落ちます。そちらは広告を止めると問い合わせが止まる状態から抜け出すにまとめました。

絞るときに、気をつけること

一気に止めないことです。費用の多い言葉から、面談に至っていないものを二割か三割ずつ外し、一か月置いて様子を見ます。全部を一度に止めると、何が原因で件数が動いたのか分からなくなります。

もう一つ、件数が減ることを先に所内で共有しておくことです。絞れば、問い合わせの総数はいったん減ります。事前に言っていないと、「広告を触ったら反響が落ちた」という話になり、数か月で元に戻ります。減るのは織り込みずみであること、これからは面談の件数で見ること。この二つを、絞る前に所内で口に出しておくほうが安全です。前年の同じ月と比べるのも忘れずに。士業の相談には時期の波があり、絞ったせいなのか季節なのか、月ごとの比較では分かりません。

代理店に任せている場合、責める話にはしないほうがうまくいきます。安い言葉を勧めるのは、悪意ではなく、代理店から見える数字が問い合わせ件数までだからです。面談になったかどうかは、御事務所の中にしかありません。ですから、こう持ちかけるのが早いと思います。「成果の見方を、問い合わせ件数から面談の件数に変えたい。面談の記録はこちらから毎月お渡しするので、検索語ごとに突き合わせてもらえますか」。渡すものを先に出すと、話が進みやすくなります。

絞る前に、広告から降りたページも一度開いてください。費用の目安も、面談の流れも、断る条件も書いていなければ、どんなに確度の高い言葉を買ってもそこで止まります。その場合、面談に至らない理由は言葉ではなくページの側にあり、言葉を選び直すより先に直すところがあります。

先の事務所で、広告のほかに二年のあいだ何をしてきたかは相続の事務所のホームページで、二年のあいだにやったことに、順を追って書いています。

自分でできることと、代理店と話す材料

問い合わせの時点で流入元を残すこと、検索語の一覧をもらうこと、面談の有無を同じ表に並べること。この三つは外に出す必要がなく、むしろ御事務所のほうが正確にできます。

費用の多い順に二十語を並べ、面談に至っていない語に月いくら払っているかを書き出す。それが次に代理店と話す材料になります。