御社の地域名と業務名で検索して、1ページ目に出てくる同業のサイトを、いちばん下までスクロールしてみてください。小さな文字で「制作:」や「Produced by」と書かれていることがあります。そこに、御社のサイトの下にあるのと同じ社名が並んでいることもあります。
地域で実績のある制作会社に、同じ業種の仕事が集まるのは自然なことです。それが問題になるかどうかは、御社がその会社に何を頼んでいるかで決まります。作ることだけを頼んでいるなら、何も困りません。問い合わせを増やすことまで頼んでいるなら話が変わります。同じ商圏で同業を同時に手伝う業者には、御社の順位を上げる動機が、構造として薄くなるからです。担当者の人柄や誠実さとは関係のない話です。
検索結果の席は、同じ地域の同業で分け合うしかない
地域名と業務名で検索したときの1ページ目は、十件ほどです。そこに全国のポータルや比較サイト、自治体の案内が混じり、残った席を地元の事業者が取り合っています。
当社が公開している浜松市×相続の見本では、「浜松 遺言書 作成」の1ページ目は大半が地元の事務所でした。こういう言葉では、席を持っているのは同じ地域の同業どうしです。ある事務所が一つ上がれば、誰かが一つ下がります。上がった側がポータルを押し出したのなら二社とも上がることはありえますが、1ページ目がすでに地元の同業で埋まっている言葉では、押し出される相手はたいてい隣の同業です。
順位の先にも、同じことがあります。検索している人は、何件かのサイトを見比べたあと、最後に一つを選んで電話をかけます。同じ用件で二つの事業者に同時に依頼する人は、多くはないはずです。席を分け合うことはできても、一人の相談を二社で分け合うことはできません。
ですから、同じ商圏の同業二社を同時に「上げる」ことは、言葉の上ではできても、中身としては片方を上げて片方を下げることと同じになります。
納品で終わる契約なら、同業を何社手伝っても困らない
制作だけを請け負う会社にとって、同じ業種のサイトを何社も手がけていることは、むしろ強みです。その業種の人がどんな説明を求めるのか、どんな写真を載せると伝わるのかを知っている。御社にとっても、それは頼む理由になります。
ここに衝突が起きないのは、契約が納品で終わるからです。制作会社が約束したのは、サイトを作って渡すことでした。渡したあとにどちらが上に出るかは、契約の外にあります。責任を持っていないことについては、利害も生まれません。
衝突が生まれるのは、同じ会社が順位や問い合わせまで引き受けたときです。見え方が変わるところが、少なくとも三つあります。
一つ目は、どちらが上かが業者にとって同じ価値になることです。御社が三位で同業が五位でも、その逆でも、業者がその地域から受け取る仕事の総量は変わりません。御社を同業より上に押し上げるための手間は、業者から見れば、差し引きで何も増えない手間です。手を抜くつもりがなくても、その手間にいちばん力を注ぐ理由がありません。「動機が薄い」とはこのことです。
二つ目は、知ったことの行き先です。運営を続けていると、どの言葉から来た問い合わせが面談に進むのか、どの案内を置いたら電話が増えたのかが、御社の記録から分かってきます。同じ業者が同じ地域の同業も手伝っていれば、それをもう一方にも使うかどうかを決めなければなりません。使えば御社の手の内が隣へ渡り、使わなければもう一方の顧客に出し惜しみをすることになります。どちらを選んでも、どちらかの顧客に対して十分ではなくなります。業者の悪意ではなく、二社を同時に持った時点で避けられない問題です。
三つ目は、報告の上では両方とも伸びて見えることです。一方には遺言の言葉を、もう一方には登記の言葉を、というように言葉を分ければ、どちらの報告書にも上がった順位を載せられます。両社とも数字は伸びている。けれどもその状態は、業者が二社を並べて持つためにいちばん都合のよい配置であって、御社が選んだ配置ではありません。順位の報告が何を示していて何を示していないかは、順位の報告は成果ではないに書きました。
当社は、同じ商圏で同業を一社だけ、同時に預かるのは五つまでにしています
当社は、ホームページの成果を「そのサイトから問い合わせが来ること」と決めて、そこまで運営を引き受けています。そう決めた以上、同じ商圏の同業を二社同時に預かることはできません。検索している一人がどちらに電話をかけるかを、当社が両方の側から動かすことになるからです。どちらの味方でもある、という立ち位置は、成果を引き受ける仕事では成り立ちません。
これには帰結があります。ある商圏で同業を一社お預かりしているあいだは、あとから同じ商圏の同業から相談をいただいても、お受けできません。相談のはじめに地域と業種をうかがうのはそのためで、商圏調査の段階でお断りすることもあります。あとから来た相談のほうが、事業の規模や予算だけを見れば大きいこともありえます。それでも、先にお預かりした側との約束を変えることはしません。約束の順番を条件の良し悪しで入れ替えるなら、一社だけと書く意味がなくなります。
同時に預かるのを五つの事業までにしているのも、同じ考えからです。当社は毎月、何を続けて何をやめるかを決め、それを報告しています。預かる数が増えれば、一つあたりの判断は薄くなります。同業一社という決まりは、一社ごとにきちんと時間を割けるときにだけ意味を持ちます。
正直に書いておくと、この決まりで御社の競合がいなくなるわけではありません。同業は同業で、別の会社と組んで、あるいは自分たちの手で、同じ席を取りにきます。当社が一社に限ることで消えるのは、当社の中にある利害の衝突だけです。そのかわり、違う商圏の同業どうしなら席を奪い合わないので、ある事業で分かったことを別の地域の同業に持ち込むことに遠慮がいりません。一つの地域では一社、業種の知見は地域を越えて使う。当社が選んでいるのはこの形です。
上位に並ぶ同業サイトの、いちばん下を見る
御社の今の状態は、次の順番で確かめられます。道具は要りません。
- 御社が見つけてほしい言葉、たとえば地域名と業務名を並べて検索します。スマートフォンでもかまいません。
- 1ページ目に出てきたサイトのうち、ポータルや自治体を除いた同業のサイトを開き、いちばん下までスクロールします。「制作」「Web制作」「Produced by」「Designed by」といった表記や、制作会社へのリンクがないかを見ます。
- 御社の制作会社のサイトを開き、「制作実績」のページで、御社と同じ業種・同じ地域の名前がないかを見ます。
- 御社を含めて同じ社名が二つ以上出てきたら、それが今の構造です。不正の証拠ではありません。そういう形になっている、というだけです。
表記を載せていないサイトもあります。分からなければ、契約書に同業や競合の扱いが書かれているかを見て、書かれていなければ担当者に聞いてください。文面はこのくらいで足ります。
弊社と同じ地域で、同じ業種の会社のホームページを、現在お手伝いされていますか。これからお引き受けになる予定があるかも、あわせてお聞かせいただけますでしょうか。
「手伝っています」と答えが返ってきたら、それは正直な業者です。そこで関係を切る必要はありません。これから運用を誰かに頼むなら、この質問は契約の前に聞いておく項目の一つです。ほかに決めておくことは運用代行を頼む前に契約で決めておくことにまとめています。
分かれ目は、頼んでいるのが「作ること」か「来ること」か
同じ社名が並んでいたとしても、御社が頼んでいるのがサイトを作ることと、作ったものを保つことだけなら、この話は気にしなくてかまいません。同業のサイトを多く手がけている会社なら、作りの面ではむしろ頼りになります。
気にするべきなのは、順位や問い合わせを増やすために毎月の費用を払っていて、その同じ会社が同じ地域の同業も手伝っている場合です。そのときは、同じ言葉を両社が取りたいとき、どちらを先にするのかをどう決めているのかを聞いてみてください。答えがはっきりしないなら、それが今の構造の答えです。
一方で、順位が上がらない理由をこの一点にすべて求めるのも正確ではありません。その地域でその仕事を探している人がもともと少ないこともありますし、上位が何年も積み上げてきた同業で埋まっている言葉もあります。業者が同じだというのは、原因の一つになりうる構造であって、すべての説明ではありません。
御社がその会社に毎月払っているのが作ったものを保つための費用ならこの話は置いてよく、問い合わせを増やすための費用なら、同じ地域の同業を手伝っているかどうかは、次の支払いの前に聞いておくべきことです。