士業のブログのネタ切れは、検索結果の空白から次の題を取る

当社がホームページの運営を引き受ける前に作っている商圏調査の報告書に、浜松市×相続の見本があります。検索結果に繰り返し出てくる地元の事務所を八つ開いて作りを確かめたところ、コラムに2026年に入ってからの記事が確認できたのは三つでした。2022年で止まっているように見える事務所もありました。

同じ調査の中で、検索結果の側には、どの事務所もまだ正面から答えていない問いがいくつも残っていました。更新が止まったコラムと、誰も書いていない題が、同じ商圏に並んでいたことになります。止まった理由は外からは分かりません。ただ、書く題がなかったわけではないことだけは、検索結果が示していました。

この記事は、書くと決めている御事務所の、次の一本をどこから取るかの話です。書くこと自体に意味があるのかという手前の問いは、士業のブログは意味がないのかに書きました。

頭の中を探すと、手続きの名前の数だけ書いて尽きる

ネタが切れたと感じるとき、探しているのは所長ご自身の頭の中です。扱っている業務、知っている制度、最近あった改正。その棚から一本ずつ取り出していくと、業務の名前の数だけ書いたところで棚が空になります。相続なら、相続登記、相続放棄、遺言、生前贈与。棚の数はそれほど多くありません。

しかも、その棚は御事務所だけのものではありません。見本の八つの事務所のうち七つは、まさにこの手続きごとのページをそろえていました。手続きの名前で並べた棚は、上位の事務所がもう埋めています。同じ棚をもう一周して書き足しても、同じ題で並ぶ相手が一つ増えるだけです。

題は、答えているページがないと確かめてから決める

相談者が面談や電話で口にした言葉は、よい材料です。ただ、それだけで題を決めるのは早いと当社は考えています。相談者の言葉からは「こういう問いがある」ことは分かっても、「その問いにまだ誰も答えていない」かどうかは分かりません。地元の事務所がすでに三つも四つも答えている問いに五本目を足しても、探している人は先に上の三つを開きます。

ですから、次の一本は検索結果の空白から取ります。相談者の言葉は、題そのものではなく、空白を探すための検索語として使います。当社が商圏調査で「入る余地」と呼んでいるのも、この空いている問いのことです。

見本の検索結果には、書かれていない題が四つあった

見本で見えた空白は、そのまま記事一本ずつの題になります。

実家の名義変更。 「浜松 実家 名義変更」の1ページ目は、三分の一ほどが自動車の名義変更のページでした。親の家を相続したあとの手続きに正面から答えているページは、実質一つか二つです。相続登記のページは七つの事務所が持っているのに、「実家」「名義変更」と打った人の前には車の手続きが出てきます。題は「親が亡くなった。実家の名義を変えるには、何という手続きを、どこから始めればよいか」で一本になります。

相続放棄の期限。 相続放棄には三か月の期限があり、探す人は急いでいます。それでも「浜松 相続放棄」の上位で、相続放棄の専用ページを持っていた地元の事務所は、確認できた範囲で一つだけでした。ほかは相続全般のページの中の一項目です。「亡くなってから二か月が過ぎた。相続放棄の期限までに、何を済ませればよいか」。一項目ではなく一本で答える題です。

遠方に住む子。 八つの事務所のいずれにも、県外に住むお子さん向け、遠方から手続きを進めたい人向けのページは見当たりませんでした。「実家から離れて暮らしている。事務所に行かずに、どこまで進められるのか」。

区の再編。 浜松市では2024年1月1日に、行政区が7区から3区に再編されました。市は町字ごとの新旧対応表を公開し、法務局も登記の取扱いのQ&Aを出しています。旧区名で覚えている人と新しい表記との間で迷う人がいるはずの時期ですが、それに答える案内は、八つのいずれにもありませんでした。「登記簿の住所が旧区名のまま。相続の手続きで何か必要になるのか」。

四つとも、新しい業務を始める話ではありません。すでに扱っている手続きの説明を、相談者が打つ言葉の側からもう一本書くことです。逆に、扱っていない手続きの題は、空いていても書かないでください。相談が来たときに困るだけです。

一つ、限界もあります。この観察は2026年9月20日に一つの道具を通して見た並びで、それぞれの言葉が月に何回検索されているかまでは分かっていません。空いているのが「誰も答えていないから」なのか、「誰も探していないから」なのかは、検索結果だけでは決められません。そこで相談者の言葉が効いてきます。面談や電話で実際に聞いた言い方で検索して空いていたなら、少なくとも、その言い方で困っている人がいることの手がかりにはなります。

御事務所の地域で、一つ検索して数える

道具は要りません。スマートフォンで足ります。

  1. 最近の面談か電話で聞いた言い方を一つ選びます。手続きの名前ではなく、相談者の言葉のままにします。「実家の名義」「借金があるらしい」「遠くに住んでいる」のような言い方です。
  2. 御事務所の地域名と並べて検索します。
  3. 1ページ目を上から見て、その問いに正面から答えているページを数えます。正面から、というのは、題と最初の段落がその問いへの答えになっているものです。相続全般のページの中に一項目あるだけのもの、用件の違うページ(見本でいえば車の名義変更)、求人のページは数えません。
  4. ゼロなら、それが次の一本です。題には、打った言葉をそのまま入れます。一つか二つなら、そのページを読んで、御事務所ならもっと具体的に答えられるかを見ます。
  5. 三つ以上あれば、その問いは埋まっています。言い方を変えるか、期限が迫っている場合、遠方の家族、区や周辺市の単位のように一段狭い問いにずらして、もう一度検索します。

見本でこの数え方をしたときは、「相談」「遺言書」「相続税」のような中心の言葉ほど地元の事務所で埋まっていて、生活の言葉や、期限・地域の単位に寄せるほど空いていました。御事務所の地域で同じ形になるとは限りませんが、ずらす方向の目安にはなります。

書き始める前に、二つだけ

一つは、いまある記事です。検索に出ない設定のまま置かれている記事や、中身の薄い記事があるなら、新しい題より先にそちらを直すほうが早いことがあります。運営に携わっている相続の事務所でも、そうした記事の書き直しに時間を使いました。どちらを先にするかは過去の記事を書き直すべきか、新しく書くべきかに書いています。

もう一つは守秘義務です。検索結果の空白から取った題は、特定の事案から出発していません。答えるのは「実家の名義を変えるには」という問いであって、誰かの件の経緯ではないので、事案を書かずに一本が仕上がります。相談の記録から題を探すより、この点で気が楽です。本文に例を入れたくなったときだけ、一件をそのまま書かず、同じ問いを持った複数の相談に共通する形にならしてください。地名や時期、家族構成が一つでも残れば、ご本人には分かります。

今日、面談か電話で聞いた言い方を一つ、地域名と並べて検索してください。1ページ目に正面から答えたページが一つもなければ、次の一本の題はもう決まっています。