毎月、報告書が届きます。狙っている言葉の順位が上がった。先月よりアクセスが増えた。記事を何本足した。グラフは右肩上がりで、書いてあることはどれも事実です。それなのに、電話の鳴り方は去年と変わらない。
この状態で報告書を読み込んでも、答えは出てきません。順位とアクセスの報告は、業者がその月に作業をしたことの証明であって、成果ではないからです。報告の中に「面談や商談に進んだ件数」がなければ、その報告は読まなくてかまいません。読むべきなのは、その数字を見て何を続け、何をやめたかという判断の一行です。
順位とアクセスの報告は、作業をしたことの証明になっている
報告書に順位とアクセスが並ぶのには、理由があります。どちらも、業者が自分の管理画面だけで数えられる数字だからです。御社に何も聞かなくても、毎月同じ形で出せます。
一方で、問い合わせが何件来て、そのうち何件が面談や見積もりに進んだかは、御社の電話の着信履歴と、受信したメールと、応対した人の記憶の中にしかありません。業者の側からは見えません。見えない数字は報告に載りようがない。報告書が順位とアクセスで埋まるのは、業者が手を抜いているからではなく、それしか手元にないからです。
そして、作って納品するところまでを引き受ける契約や、作業の量に対して月額を払う契約では、それで困る人がいません。業者は約束した作業をして、その証拠を出している。契約の上では、それが報告の役目です。問い合わせが来るかどうかは、最初から報告の範囲に入っていません。
困るのは、報告を受け取る御社の側だけです。順位が上がったのが、面談につながる言葉なのか、誰も相談には至らない言葉なのか。アクセスが増えたのが、相談の入口になるページなのか、読まれて終わるページなのか。報告書の数字だけでは区別がつきません。
面談に進んだ件数が書かれていない報告は、読まなくてよい
こう書くと、順位は問い合わせより先に動く数字なのだから、見る意味はある、という反論があると思います。それはそのとおりです。ただ、先に動く数字が役に立つのは、後ろの数字とつなげて見ているときだけです。どの言葉の順位が上がった月に、面談に進んだ相談が増えたのか。そこがつながって初めて、その順位は「続ける理由」になります。後ろの数字がない報告で順位だけを追っても、どちらへ進んでいるのかは分かりません。
件数が書いてあれば十分か、というと、それも違います。当社が運営に携わっている相続の事務所では、単価の安い広告の言葉で問い合わせの件数は増えたものの、面談まで並べてみると離脱ばかりだった、ということがありました。その経緯は士業の検索広告で、どの言葉にお金を使うかに書いています。件数は、増やそうと思えば増やせてしまう数字です。面談に進んだ件数と並んでいなければ、件数もまた作業量の一種になります。
ですので、読まなくてよいというのは、報告を捨てるという意味ではありません。その報告をもとに、続けるかどうか、お金を増やすかどうかを判断しなくてよい、という意味です。判断の材料が入っていない書類を、毎月時間をかけて読み解く必要はありません。
当社の毎月の報告に書いているのは、件数と、面談と、判断の一行
当社が運営をお引き受けしている先には、毎月、次の中身を報告しています。
- その月に実際に来た問い合わせの件数。電話とフォームの合計で、売り込みや間違い電話は含めません。
- それぞれがどこから来たか。広告か、検索か、紹介か。
- そのうち、面談や商談に進んだ件数。
- そこからの判断。どの言葉を続け、どの言葉を減らすか。どのページを次に書き直すか。
いちばん大事なのは最後の行です。たとえば「この言葉から来た相談は面談に進んでいるので残す」「この言葉は件数は出ているが面談に進んでいないので、広告からは外して、検索で受けるページの側に回す」。こういう一行が、その月の報告の本体です。うまくいかなかった判断も、同じ場所にそのまま書きます。外れた判断が書かれていない報告では、当たった話だけを読むことになり、評価になりません。
判断の一行を報告に書くのは、御社がそれに反対できるようにするためです。判断が業者の中だけで行われていれば、御社は結果を待つことしかできません。「この言葉を減らします」と書いてあれば、「その言葉のお客様は、実は電話で来ている」と言い返せます。そうしたやりとりは、順位の表からは生まれません。
面談に進んだかどうかの数は、御社の記録から数えていただいています。当社の報酬の中心は成果が出てからの月額に置いているので、その数を当社の管理画面で数えてしまうと、評価する側とされる側が同じになってしまうからです。数える列の作り方はホームページからの問い合わせの数え方にまとめています。
手元の報告書で確かめる:順位・アクセス・件数のほかに数字があるか
いま業者から報告を受けているなら、直近の一通を開いてください。書類でなく、メールの本文で届いているものでもかまいません。
見るのは一点です。「順位」「アクセス数(表示回数、訪問者数、ページビューなど)」「問い合わせの件数」、この三種類のほかに、数字が一つでもあるか。面談に進んだ件数、見積もりを出した件数、受注や受任に至った件数。そういう数字が一つでもあれば、その報告は判断の材料を持っています。次に、その数字の近くに「続ける」「やめる」「減らす」にあたる文があるかを探してください。数字があっても判断の文がなければ、材料はあるのに誰も判断していない状態です。
三種類のほかに数字がなければ、次の報告が届くまでに、御社の側で一つだけ数えてください。先月の問い合わせのうち、商談や面談になったのは何件か。フォームの受信メールを先月分だけ遡り、電話の着信履歴と、実際に会ったお客様の予定を並べれば、道具を何も入れていなくても出せます。正確でなくてかまいません。出した数を、報告書の横に一行で書き込みます。「先月、ホームページ経由の問い合わせ◯件、うち面談◯件」。
この一行は、自分で書けます。業者に頼む必要はありません。そのうえで、業者に同じ数を報告に載せてもらうかどうかは、その次の話です。毎月の一行を御社から渡し、それを見て何を続け何をやめるかを返してもらえるなら、今の相手と続ける理由があります。渡しても順位の表しか返ってこないなら、その報告は作業の記録として受け取り、判断は御社の一行のほうで行ってください。
もう一つ、書き込んだ一行を数か月並べると、ホームページの外に原因があることが見える場合もあります。問い合わせは来ているのに面談に進んでいないなら、返事の早さや価格、応対の段取りのほうを先に見たほうが早いかもしれません。いつまで待つかをこの数字で決める考え方は、ホームページの成果が出るまで何か月待つかに書きました。
来月の報告書で読むのは、順位の表ではなく、何を続けて何をやめたかの一行です。その一行がどこにもなければ、御社が報告書の横に書いた一行が、その月のいちばん確かな報告になります。