AIにホームページを作らせるときの指示(プロンプト)には、①目的、②読み手、③事業の事実、④ページ構成、⑤トーン、⑥禁止事項、⑦確かめ方、の7つを入れます。なかでも大事なのは③で、会社名・所在地・料金・資格・実績の数字は、AIに考えさせずに自分で書いて渡し、「ここに書いたこと以外の事実を足さない」と添えます。
もう一つは、一度で完成させようとしないことです。構成だけを出させて人が直し、次に1ページずつ本文、最後に見た目、という順に分けて頼むと、出来上がりの食い違いが減ります。この記事の下のほうに、会社のサイト・士業の事務所・店舗のそれぞれで、事実の欄を埋めればそのまま使える例文を置きました。ChatGPT、Claude、Geminiなど、どの対話AIでも同じ形で使えます。ChatGPTで作るときの流れは、ChatGPTでホームページを作る方法:できること・できないことと公開までの手順に手順をまとめています。
良い指示に入れる7つと、抜けると起きること
Anthropicが公開しているClaudeの指示の書き方の手引きは、はっきり具体的に書くこと、なぜその指示なのかという背景を添えること、順番が大事な手順は番号付きで書くことを勧めています。また、作業の事情を知らない同僚に見せて迷うような指示なら、AIも迷う、という確かめ方を挙げています。ホームページの指示に当てはめると、次の7つになります。
| 入れるもの | 書くこと | 抜けると起きやすいこと |
|---|---|---|
| ①目的 | このページを読んだ人に何をしてほしいか(見積もりの依頼、来店、電話) | 会社の自己紹介で終わり、問い合わせへの道が弱くなる |
| ②読み手 | 誰が、どんな状況で、何を知りたくて来るか | 誰に向けたのか分からない一般論になる |
| ③事業の事実 | 会社名、所在地、対応地域、業務、料金、営業時間、資格、書いてよい実績の数字 | AIが仮の数字や架空の実績、お客様の声を補う |
| ④ページ構成 | ページの一覧と、各ページの見出しの順番 | ページ同士で内容が重なったり、抜けたりする |
| ⑤トーン | です・ます、専門用語の扱い、文の長さ | ページごとに口調がばらつく |
| ⑥禁止事項 | 書いてはいけない言葉と内容 | 「No.1」「業界最安」など、根拠を示せない言い切りが入る |
| ⑦確かめ方 | 本文のあとに、補ったことや確かめが要る表現を一覧で出させる | どこをAIが補ったのか、人が見つけにくくなる |
禁止事項は「〜しない」だけでなく、代わりに何を書くかも添えると守られやすくなります。たとえば「『地域No.1』と書かない。代わりに、対応している市の名前を並べる」のように書きます。上の手引きも、してほしくないことより、してほしいことを伝えるよう勧めています。
事実は先に自分で書き出す
指示を書く前に、ページに載せる事実を一枚にまとめておくと、どのページを頼むときにも同じものを貼るだけで済みます。会社概要のページに載せる項目は会社概要の書き方に、料金を載せるかどうかの考え方はホームページに料金は載せるべきかに書いています。
- 会社名(正式な名称)、所在地、電話番号、営業時間、定休日
- 対応する地域(市や区の名前。出張か来店か、オンラインか)
- 業務の名前(お客様が使う言葉で)と、それぞれの料金の幅、料金に含まれるもの
- 依頼から完了までの手順と、かかる期間
- 資格、許認可の名前と番号、加盟している団体
- 書いてよい実績の数字(何を、いつからいつまで数えたか)。なければ「なし」と書く
- 電話や窓口でよく聞かれる質問と、その答え
- 使ってよい写真のファイル名と、写っているもの
「書いてよい実績の数字」がない場合に「なし」と書いておくのは、空欄だとAIが埋めようとすることがあるからです。ここに書かれていない数字が本文に出てきたら、それはAIが補ったものだと分かります。Googleも、生成AIは事実を取り出すのではなく単語の並びを予測するため、不正確な情報が含まれる可能性があるとして、公開前に事実を確かめるよう勧めています(Google検索セントラルのガイダンスによる)。
そのまま使える指示の型(会社のサイト)
枠の中をそのままコピーし、[ ]の中を自社の事実で埋めて使います。例として、外壁の塗り替えをしている会社の「料金と工事の流れ」のページを頼む場合で書きます。
あなたは、地域の中小企業のホームページの文章を書く担当です。次の条件で、[料金と工事の流れ]のページの本文を書いてください。 【目的】このページを読んだ人に、[無料の現地調査と見積もり]を申し込んでもらうこと。 【読み手】[市の名前]に住み、[築20年前後の戸建ての外壁の塗り替え]を考えている人。問い合わせの前に、[費用の幅、工事の期間、工事中の生活への影響]を知りたい。 【事業の事実】ここに書いたこと以外の事実(数字、実績、お客様の声、資格)は足さないでください。 ・会社名:[ ]/所在地:[ ]/対応地域:[ ] ・料金:[延べ床面積ごとの金額の幅]([税込/税別])。含まれるもの:[足場、高圧洗浄、下塗り・中塗り・上塗り]。別にかかるもの:[ ] ・工事の期間:[ ]/工事の流れ:[ ] ・資格・許認可:[名称と番号] ・書いてよい実績の数字:[なし] 【ページ構成】見出しは次の順にしてください。[料金の目安/料金に含まれるもの・含まれないもの/工事の流れと期間/工事中に気をつけること/よくある質問/見積もりの申し込み] 【トーン】です・ます。一文を短く。専門用語は最初に出たところで一言説明する。 【禁止事項】「No.1」「業界最安」「地域一番」「どこよりも」などの比べる言い方は使わず、代わりに料金の内訳を具体的に書く。他社の名前は出さない。 【確かめ方】本文のあとに、次の3つを箇条書きで出してください。 ①【事業の事実】にない情報で、補ったもの ②事業者が確かめるべき表現 ③読み手が読んでも分からないまま残る疑問
最後の【確かめ方】で出てくる一覧が、人が確かめる場所の目印になります。①に何か出てきたら、事実を書き足すか、その箇所を消させます。
士業の事務所の例文
士業の事務所では、【禁止事項】に所属の会の広告の規程を入れます。「専門」「No.1」「実績◯件」の扱いは士業ごとに違うので、士業の「専門」「No.1」「実績◯件」の表示で確かめてから書き込んでください。例として、行政書士事務所の業務のページを頼む場合です。
あなたは、士業の事務所のホームページの文章を書く担当です。次の条件で、[建設業許可の申請]のページの本文を書いてください。 【目的】このページを読んだ人に、[初回の相談]を申し込んでもらうこと。 【読み手】[県の名前]で、初めて[建設業許可]を取ろうとしている[小さな工事会社や一人親方]。自分が許可の条件を満たしているか、費用と期間がどのくらいかを知りたい。 【事業の事実】ここに書いたこと以外の事実は足さないでください。 ・事務所名:[ ]/所在地:[ ]/対応地域:[ ] ・報酬:[金額]([税込/税別])。別にかかる実費:[申請手数料などの名前と金額] ・申請までの流れと、かかる期間の目安:[ ] ・相談の方法:[来所/電話/オンライン]、初回の相談の料金:[ ] ・書いてよい実績の数字:[なし] 【ページ構成】[許可が要る工事・要らない工事/許可を取るための主な条件/必要な書類/報酬と実費/申請までの流れと期間/よくある質問/相談の申し込み] 【トーン】です・ます。法律の言葉は、最初に出たところで日常の言葉で言い換える。 【禁止事項】「専門」「No.1」「実績多数」のような根拠を示せない言い切りと、「許可が取れます」のような結果の約束を書かない。代わりに、手続きの流れと、許可が取れない場合にどうするかを書く。他の事務所との比較を書かない。制度の説明で年度や金額が要る箇所は、[要確認]と書いて空けておく。 【確かめ方】本文のあとに、①補った事実、②制度の説明のうち事業者が根拠を確かめるべき箇所、③広告の規程に照らして確かめるべき表現、を箇条書きで出してください。
制度の説明は、AIが古い情報や別の制度と混ぜて書くことがあります。年度や金額を[要確認]で空けさせておけば、人が公式の情報で埋める箇所がはっきりします。
店舗の例文
店舗のトップページで欠かせないのは、営業時間、定休日、場所、予約の方法です。ここがGoogleマップに出ている情報と食い違うと、来店した人を困らせます。例として、飲食店のトップページを頼む場合です。
あなたは、地域の店舗のホームページの文章を書く担当です。次の条件で、トップページの本文を書いてください。 【目的】このページを読んだ人に、[電話かネットで予約]してもらうこと。 【読み手】[駅の名前]の近くで、[平日の昼に一人で入れる店/週末に家族で行ける店]を探している人。スマートフォンで見ている。 【事業の事実】ここに書いたこと以外の事実は足さないでください。 ・店名:[ ]/住所:[ ]/最寄り駅からの道順:[ ]/駐車場:[台数/なし] ・営業時間:[ ]/定休日:[ ] ・主なメニューと価格(税込):[ ] ・予約の方法:[電話番号/予約ページのアドレス] ・使ってよい写真:[ファイル名と、写っている料理や店内] 【ページ構成】[店の特徴を一文で/おすすめのメニューと価格/営業時間・定休日・アクセス/予約の方法] 【トーン】です・ます。短く。飾りの多い言葉より、価格や量など選ぶ材料を書く。 【禁止事項】写真にない料理を説明しない。「地域一番」「行列のできる」など、根拠を示せない言い方を書かない。お客様の声を作らない。 【確かめ方】本文のあとに、補った事実と、Googleマップの店舗情報と照らすべき項目を箇条書きで出してください。
悪い指示の例と、出てきやすい結果
AIは、渡された情報が少ないほど、よくある文章の型で埋めて答えやすくなります。次のような指示は、手軽ですが、直す手間があとで増えます。
| 悪い指示 | 出てきやすい結果 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「おしゃれな工務店のホームページを作って」 | 会社名や地域が仮のまま。どの会社にも当てはまる文章になり、架空の実績やお客様の声が入ることがある | 目的・読み手・事業の事実を渡す |
| 「SEOに強い記事を書いて」 | 検索語をくり返すだけで、読み手の疑問に答えていない長い文章になりやすい | 読み手と、その人が知りたいことを書く |
| 「この会社のサイトみたいにして」と他社の文章を貼る | 他社に似た表現になり、著作権の問題につながりうる | 自社の事実から書かせる。似せる相手を渡さない |
| 「実績を盛って信頼感を出して」 | 根拠のない数字や言い切りが入る | 書いてよい数字だけを渡し、なければ「なし」と書く |
| 「全ページを一度に作って」 | 後ろのページほど薄くなり、ページ同士で内容が食い違う | 構成を先に決め、1ページずつ頼む |
| 「名古屋・豊田・岡崎の地域ページを作って」 | 地名だけを入れ替えた、ほぼ同じページが並ぶ | 地域ごとに違う事実がある場合だけ作る |
三つ目と四つ目は、出来の問題ではなく、著作権や広告の決まりにかかわります。文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も、既存の著作物と似たものを作らせる目的でそれを入力する使い方には、権利者の許諾が要る場合があるとしています。詳しくはAIで作ったホームページの注意点に書きました。最後の地域ページについては、業種別・地域別のページは、名前を入れ替えるだけなら作らないが判断の目安になります。
一度で完成させず、直させる手順
当社のサイトでも、トップページや下層ページの見た目は、AIにモックを組み立てさせ、何度も作り直させてから人が決めました。文章も、AIに下書きさせたあと別のAIに校閲させ、最後に人が読者の側から読んで確かめてから公開しています。一度で仕上げるつもりで頼むより、段階を分けて直させるほうが、どこで何を決めたかが残ります。
- 構成だけを出させます。「ページの一覧と、各ページの見出し、各見出しで答える読み手の疑問を表にしてください。本文はまだ書かないでください。」人がここで並べ替え、要らないページを消します。
- 1ページずつ本文を書かせます。会話が長くなったら、事実の一覧と禁止事項をもう一度貼ります。
- 【確かめ方】で出てきた一覧を見て、補われた事実は、正しい事実を書き足すか、消させます。
- 直してほしい箇所は、場所と理由と直し方を添えて伝えます。「もっと良くして」ではなく、「2段落目の『〜』は、読み手が料金を知りたいので、金額の幅を先に書いてください」のように頼みます。
- 見た目は最後に頼みます。例:「この本文を、スマートフォンで読みやすい1ページのHTMLとCSSにしてください。幅320pxでも横にはみ出さないこと。電話番号はタップで電話をかけられるリンクにすること。画像は指定したファイル名だけを使い、ない画像を作らないこと。」
- 別のAIに校閲させます。例:「次の本文の数字と固有名詞を一覧にし、それぞれ本文の中に根拠があるかを示してください。また、事実のように書かれているが推測にすぎない文と、根拠を示せない言い切りを挙げてください。」
- 最後に人が、検索してきた読み手として読みます。冒頭で答えが分かるか、事業者として約束できない表現がないかを見て、公開します。
WordPressでClaudeに直接ページを作らせる場合の流れはClaudeでWordPressのホームページを作る方法に、AIでホームページを作るやり方そのものの選び方はAIでホームページを作る方法に書いています。
指示に書かないほうがよいもの
指示を詳しく書こうとして、入れてはいけないものまで入れてしまうことがあります。お客様の名前が入った問い合わせの文面、スタッフの個人的な情報、サーバーやWordPressのパスワード、APIキーは、指示に含めません。事例を書かせたいときは、名前や会社名、地名を伏せてから渡します。他社のサイトの文章や写真を貼って「似せて」と頼むのも避けます。理由と公式の説明はAIで作ったホームページの注意点にまとめました。
指示を書いてみて、事実の欄がなかなか埋まらないなら、AIより先に、自社の料金や手順、対応地域を決めるところから始める段階かもしれません。当社は、ホームページの運営に加わり、問い合わせが来るところまでを引き受けています。何から書けばよいか迷う場合は、相談するから今のサイトのアドレスをお送りください。
参考にした公式の説明
- Claude Platform Docs「Prompting best practices」(英語)
- Google 検索セントラル「ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス」
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(PDF)
※内容は、2026年10月8日に各社・各機関の公式の資料で確かめたものです。