会社のホームページを自分たちで作るか、制作会社に頼むか。「ホームページ 自作」で調べると、上位にはWixやジンドゥー、ペライチ、WordPressといった作り方の比較や、作成手順の解説が多く並びます。どれで作れるかは分かりますが、自社がどちらを選ぶ側なのかは、そこからは決めにくいままです。この記事は、地方の中小事業者や士業事務所で、ホームページを自作するか依頼するかを決めかねている方に向けて書いています。
先に結論を書きます。
- 作ること自体は、ノーコード(画面上で部品を並べてページを作るサービス)でもWordPressでも、自社でできる範囲に下がっています。分かれ目になるのは作る手間より、①作った後に誰が直し続けるか、②独自ドメイン(〜.co.jp のようなサイトの住所)を誰の名義で持つか、③アクセス解析と検索の基本設定を誰のアカウントで持つか、の三つだと当社は考えています。
- 2026年10月3日に各社の公式の料金表で確かめた範囲では、今回見たノーコードの有料プラン(Wixの法人向け最上位プランを除く)は月1,290円〜7,678円、WordPressを自分で置くならサーバー代が月1,100円ほどからでした(税の表記はサービスごとに違います)。
- 引っ越しのしやすさは大きく違います。Wixとペライチは、作ったサイトを他のサーバーで使える形で持ち出せないと公式ヘルプに書いています。WordPressは標準の機能で中身を書き出せます。
自作か依頼かの分かれ目は、作る手間ではない
上位の記事の多くは、自作の長所を「費用が安い」「自分で更新できる」、短所を「時間がかかる」「デザインや機能に限界がある」と整理しています。どれも間違いではありません。ただ、会社のホームページで後から困ることの多くは、作った日ではなく、作った半年後や数年後に起きます。
当社は、作り方を選ぶ前に、見た目より先に次の三つを決めておくことを勧めています。
- 料金や営業時間、取り扱う仕事が変わったとき、誰がどの画面から直しているか。
- ドメインとサーバー(サイトのデータを置く場所)の契約者が誰になっているか。
- アクセス解析と、Googleの検索での見え方を確かめる道具(Google Search Console)が、誰のアカウントで設定されているか。
この三つは、自作でも依頼でも決めなければならないことで、決めないまま作り始めると、作り方を選んだ時点で自動的に決まってしまいます。自作か依頼かは、この三つをどう持ちたいかから逆算すると決めやすくなります。
作り方ごとの費用・自由度・引っ越しのしやすさ(2026年10月3日確認)
2026年10月3日に、各サービスの公式の料金表とヘルプで確かめた内容を並べます。料金は改定されることがあるので、検討するときは最新の料金表を見てください。3年の利用料は、表の料金を36か月分にした当社の計算で、ドメイン代は含めていません。
| 作り方 | 公式の料金表で確かめた料金 | 3年の利用料の目安 | 独自ドメイン | 作ったサイトの持ち出し |
|---|---|---|---|---|
| Wix | パーソナル月1,300円〜ビジネス月2,700円(ホームページ向けの4プランのうち下の3つ)。表示は月額で、選んだ利用期間分を一括払い。税は含まない表示 | 約46,800円〜97,200円(税別) | 有料プランで接続できる。.com などは1年無料の特典があるが、対象の一覧に .jp は見当たらない | 外部のサーバーへのエクスポートはできないと公式ヘルプに明記 |
| ジンドゥー(AIビルダー) | Start 月1,290円(10ページ)、Grow 月2,070円(50ページ)。12か月契約の月額換算、税込。Freeは5ページまで | 約46,440円〜74,520円(税込) | 有料プランで接続・移管ができる。Freeは .jimdosite.com のサブドメイン | 公式ヘルプでサイトを書き出す機能の案内は見つけられなかった |
| ペライチ | ライト月1,628円(公開3ページ)、レギュラー月3,278円(5ページ)、ビジネス月4,378円(20ページ)、プロフェッショナル月7,678円(20ページ)。月払い、税込 | 約58,600円〜276,400円(税込) | 有料プランはすべて対応 | 他社のレンタルサーバーで使える形式での提供はしていないと公式ヘルプに明記 |
| WordPressを自分で置く | サーバー:エックスサーバーのスタンダード、12か月契約で月1,100円(税込)。テーマ(見た目の部品一式)は無料のものから有料まで | 約39,600円(税込、テーマ代を除く) | 自社で取得して接続する | 標準の「エクスポート」で、投稿・固定ページ・コメント・カテゴリー・メニューなどをXMLファイルに書き出せる |
| 制作会社に依頼 | 当社が見た4社の公開料金表では、CMS(管理画面から更新できる仕組み)の導入が50,000円〜132,000円、トップページのコーディングが35,000円〜110,000円。保守の最も安いプランは月8,800円〜22,000円(税込) | 制作費+保守の月額×36 | 契約しだい。制作会社の名義で取られることがある | 作り方と契約しだい。著作権の扱いも契約で決まる |
制作会社の欄の数字は、ホームページ制作の費用と依頼前に決めることとホームページの保守費用の相場で、当社が各社の公開料金表から拾ったものです。エックスサーバーの料金は2026年10月2日の確認です。ドメインとサーバーの実費は、同じ保守費用の記事で確かめた範囲では、.co.jp のドメインと一般的なレンタルサーバーで年17,578円でした。
月々の利用料は、ページ数と機能で選ぶプランしだいで幅があります。それと同じくらい作り方によって違うのが右の二列、つまりドメインをどこで持つかと、やめるときに何を持って出られるかです。ここが、次の三つの分かれ目につながります。
分かれ目1:作った後に、誰が直し続けるか
ホームページは、公開した日から少しずつ古くなります。料金、営業時間、取り扱う仕事、スタッフ、お知らせ。直す頻度が月に一度でも、その一度を誰がやるかが決まっていないと、数か月で止まります。
当社が熊本市、静岡市、宇都宮市の行政書士事務所24のサイトを同じ項目で見たときは、2026年9月に何かを更新していたのは4、2026年の日付がどこかに見えたのは9でした(行政書士のホームページ制作・作成)。作り方が自作か依頼かにかかわらず、手を入れ続けているサイトは多くありませんでした。
ここから当社の見立てです。自作が向くのは、社内に月に数時間、ページの文章に時間を使える人がいて、その人が料金や仕事の中身を自分で書ける場合です。ノーコードのサービスは、その人が画面を触って直すことを前提に作られているので、作ったあとの手間は小さく済みます。反対に、社内で直す人を決められないなら、作り方より先に、直す人を外に持つかどうかを決めることになります。制作会社に頼む場合も、公開後の修正が料金に含まれるのか、一回ごとに見積もりなのかで、3年の総額も直る速さも変わります。社内で文章を書く手間をAIで減らすやり方と、その向き・不向きは、AIでホームページを作る方法に書きました。
自由度の差が出るのも、作った後です。ノーコードは、サービスが用意した部品と設定の範囲で直します。範囲の中なら速く、範囲の外のことはできません。WordPressは、テーマやプラグイン(機能を足す部品)で手を広げられますが、そのぶん、テーマの更新や部品の組み合わせを見る人が要ります。WordPressで後から見た目を変えたくなったときに、テーマを替えるか今のテーマの中で直すかの判断は、WordPressのテーマは替えずに直すに書きました。更新や脆弱性への備えまで含めて、WordPressが向く会社・向かない会社は、会社のホームページにWordPressはやめた方がいいのかで整理しています。
分かれ目2:独自ドメインを誰の名義で持つか
独自ドメインは、ホームページの住所であり、info@ で始まるメールアドレスの後半でもあります。名刺や請求書、取引先の登録にも載るので、作り方を変えても同じものを使い続けたいものです。
ノーコードのサービスでも、有料プランなら独自ドメインを使えます。ただ、取り方によって、後で引っ越すときの手間が変わります。ジンドゥーの料金表のよくある質問には、有料プランなら、ドメインをジンドゥーへ移管することも、ドメインの管理元はそのままで外部から接続することもできる、と書かれています。サービスの外の登録事業者で自社名義のドメインを取り、そこから接続しておけば、サービスをやめるときもドメインは手元に残ります。
メールにも気をつけます。ジンドゥークリエイターのヘルプには、独自ドメインで作ったメールアドレスは解約後にすべて停止・削除されるので、解約前にバックアップを、という案内があります。サイトを作るサービスでメールまでまとめると、サイトを移すときにメールの移し先も同時に決めることになります。
Wixの「独自ドメイン1年無料」の特典は、公式の料金表では .com、.net、.org などが対象で、一覧に .jp や .co.jp は見当たりませんでした。会社として .co.jp を使いたいなら、別に取って接続する前提で考えます。制作会社に頼む場合は、ドメインを制作会社の名義でまとめて取ることがあります。その場合の確かめ方と頼み方はドメインの名義が制作会社のままにまとめています。
分かれ目3:計測と検索の基本設定を、誰のアカウントで持つか
作ったホームページから問い合わせが来ているかを知るには、アクセス解析(Googleアナリティクスなど)と、Googleの検索でどの言葉で何回表示されたかを見るGoogle Search Consoleの二つを設定しておくのが基本です。ここも、作り方によって条件が違います。
- Wixのヘルプは、Googleアナリティクスを使うには独自ドメインが必要なため、無料のWixサイトでは使えないと案内しています。
- ジンドゥーの料金表では、アクセス解析はStartとGrowに含まれ、Freeには含まれていません。
- WordPressを自分で置く場合は、計測のタグを入れる場所を自分で決めます。テーマの設定欄か、プラグインか、テーマのファイルか。どこに入れたかを記録しておかないと、テーマを替えたときに計測が止まっても気づきにくくなります。
作り方より大事なのは、誰のGoogleアカウントで設定するかです。Google Search Consoleのヘルプによると、権限には所有者、フルユーザー、制限付きユーザーなどがあり、所有者は他のユーザーを追加・削除できます。所有者には、自分で所有権を確認した「確認済み所有者」と、確認済み所有者が権限を与えた「委任された所有者」があり、確認済み所有者を外すには、確認に使ったトークン(HTMLファイルなど)も取り除く必要があるとされています。
当社の見立てでは、自作でも依頼でも、所有者は自社のアカウントにしておき、制作会社や運営を頼む先にはフルユーザーなどの権限を渡す形がいちばん後で困りません。制作会社のアカウントで作られた計測は、契約が終わるときに引き継ぎの手間が生じ、それまでの記録を見られなくなることもあります。
条件ごとの向き・不向き
ここまでの三つの分かれ目を、よくある状況に当てはめると次のようになります。どれが優れているという比較ではなく、条件ごとの当社の見立てです。
| 状況 | 合いやすい作り方 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 開業したばかりで、実在と連絡先が分かる数枚があればよい。社内に書く人がいる | ノーコードの有料プラン | ドメインを自社名義で外に取って接続するか。将来、引っ越すときは作り直しになる前提で始める |
| 業務ごとのページや記事を、数年かけて書き足していきたい。社内に書く人がいる | WordPressを自社のサーバーに置く | テーマの更新と部品の確認を誰が見るか。計測のタグをどこに入れたか |
| 社内に書く人も直す人もいない | 制作会社に依頼(公開後の修正を含む契約) | 公開後の修正の範囲と月額、ドメインと計測の名義、著作権の扱い |
| いまのサイトを作り直すか迷っている | 作り方を選ぶ前に、いまのサイトを誰が直しているかを確かめる | いまのサイトから持ち出せるもの(文章、画像、ドメイン、計測の記録)の一覧 |
ノーコードで始めて、ページが増えてからWordPressや制作会社に移る、という順番もあります。その場合、Wixやペライチには他のサーバーで使える形式で持ち出す手段が用意されていないため、文章と画像を一つずつ写し直す作業になると当社は見ています。最初から移ることを考えているなら、文章と写真の元データを自社の手元に残しておくと、移るときの手間が小さくなります。
行政書士など士業事務所が自作する場合
「行政書士 ホームページ 自作」で調べる方は、開業前後でまず費用を抑えたい方が多いと当社は見ています。士業事務所の場合も、分かれ目は同じ三つです。一つ加えるなら、載せる言葉の決まりは、作り方にかかわらず自分で確かめることになります。テンプレートや見本の文言に「専門」「No.1」のような言葉が最初から入っていることがあり、そのまま公開しないことが、作る段階でいちばん手軽な対策です。行政書士の場合の費用の幅と、開業時と数年後に要るページは、行政書士のホームページ制作・作成にまとめています。
当社は、ホームページを作って終わりにせず、問い合わせが来るようになるまで手を入れ続ける運営を、月額でお引き受けしています。自作されたサイトや他社が作ったサイトもそのまま引き受け、ドメインは最初から御社の名義で取ります(料金)。自作で始めて、直す人が足りなくなった段階で相談いただく形でもかまいません。
今日、自社で確かめられること
- 公開後に直す人を一人決め、その人が月に何時間使えるかを書き出す。決められなければ、自作より先に、直す人を外に持つかを決める。
- 使いたいドメインの形(.co.jp か .jp か .com か)を決め、自社名義で取るならどこで取るかを決める。いまのサイトがあるなら、whois検索で登録者名を見る。
- 候補のサービスの料金表で、独自ドメインとアクセス解析が使えるプランの月額を確かめ、36か月分にして並べる。
- 候補のサービスのヘルプで「エクスポート」「移行」を検索し、やめるときに何を持ち出せるかを読む。
- 会社として使うGoogleアカウントを一つ決め、アクセス解析とGoogle Search Consoleの所有者をそのアカウントにする前提で準備する。
出典
- Wix「Wix ご利用料金|Wix プレミアムプラン」https://ja.wix.com/pricing (2026年10月3日確認)
- Wix ヘルプセンター「Wix サイトを外部ホストにエクスポートまたは埋め込む」「無料 Wix サイトで『Google アナリティクス』を使用する」(2026年10月3日確認)
- ジンドゥー「プラン」https://www.jimdo.com/jp/pricing/ 、ジンドゥークリエイターサポート(解約とメールの案内)(2026年10月3日確認)
- ペライチ「料金・プラン一覧」https://peraichi.com/pages/pricing 、ペライチ サポート「FTPについて」(2026年10月3日確認)
- WordPress.org「Tools Export Screen」https://wordpress.org/documentation/article/tools-export-screen/ (2026年10月3日確認)
- エックスサーバー「料金」https://www.xserver.ne.jp/price/ (2026年10月2日確認)
- Google Search Console ヘルプ「Search Console でのユーザー、所有者、権限の管理」https://support.google.com/webmasters/answer/7687615?hl=ja (2026年10月3日確認)