自宅の住所を出さずにGoogleマップに載せられるのは、自宅でお客を迎えない「非店舗型」の事業の場合です。お客の所へ出向く、電話やメール、先方の事務所で用件が済む、という形なら、Googleビジネスプロフィール(Googleマップと検索結果に事業の情報を載せる無料の仕組み)に住所を登録したうえで非表示にし、代わりにサービス提供地域(出向いて仕事をする範囲)を表示できます。Googleの掲載ガイドラインも、自宅で営業している非店舗型の事業は住所を非表示にするよう求めています。
反対に、自宅の一室で相談を受けたり、お客が来て品物を受け取ったりする場合は、扱いが変わります。この記事では、どちらに当たるかの判断、すでに登録した住所を非表示にする手順、非表示にしたあとに見え方がどう変わるか、サービス提供地域の決め方、住所を出さない場合のオーナー確認を、2026年10月に当社がGoogleの公式ヘルプで確かめた範囲で書きます。ヘルプに書かれていることと、それを読んだうえでの当社の見立ては、分けて書きます。
先に結論:住所を出さずに載せる条件と手順
- 住所を非表示にできるのは、拠点の住所でお客に商品やサービスを提供していない非店舗型の事業です。ヘルプは、住所を表示しない選択は非店舗型の場合だけにするよう勧めています。
- 住所そのものは、Googleが見つけられる形で登録します。非表示にするのは「お客に見せるかどうか」で、Googleに伝えないわけではありません。オーナー確認にも住所を使います。
- 非表示にする操作は、「プロフィールを編集」→「所在地」→「ビジネス所在地」の編集で「ユーザーにビジネスの住所を表示する」をオフにして「保存」です。
- 非表示にすると、プロフィールにはサービス提供地域だけが表示されます。サービス提供地域は市区町村や郵便番号などで最大20か所、全体の範囲は拠点から車で約2時間以内が目安です。
- バーチャルオフィスや私書箱の住所で登録すること、市ごとにプロフィールを作ることは、ガイドラインで認められていません。
自宅の使い方で決まる:実店舗か、非店舗型か
住所を出すかどうかは、好みで選ぶものではなく、事業の形で決まります。ヘルプとガイドラインは、事業を三つの形に分けています。自宅で開業している場合に当てはめると、次のようになります。
| 自宅の使い方 | ヘルプでの区分 | 住所の扱い |
|---|---|---|
| お客は自宅に来ない。お客の所へ出向く、または電話・メール・先方の事務所で用件が済む | 非店舗型 | 住所は登録して非表示にし、サービス提供地域を表示する |
| 自宅の一室でお客を迎える。事業の名前の看板を常設し、営業時間中は対応できる | 実店舗 | 住所を表示する。表示した住所は一般に公開される |
| 自宅でお客を迎えることも、出向くこともある。看板を常設し、営業時間中は対応できる | ハイブリッド型 | 住所を表示し、サービス提供地域も指定できる |
| お客が来ることはあるが、看板は出していない | 非店舗型 | ヘルプでは、看板が常設されていない拠点は実店舗とみなされず、非店舗型として登録すると説明されている |
| 対面でのやり取りがなく、オンラインだけで完結する | 対象外 | オンラインのみで営業する事業は、ビジネスプロフィールに載せられない |
判断の決め手は、看板と人です。ガイドラインは、Googleに住所を載せるなら、その住所に事業の名前の掲示を常設する必要がある、としています。実店舗とサービス提供地域の両方を載せる場合も、営業時間中にスタッフがいてお客に対応できる態勢が条件です。自宅の玄関に看板を出しておらず、営業時間中に誰かがいるとは限らないなら、住所を表示する条件を満たしていない、と読むのが自然です。
なお、アルコールや武器など、年齢の確認が要る商品やサービスを扱う事業は、非店舗型としては認められず、店舗が必要とされています。
自宅で開業している士業が迷う場面
行政書士や社会保険労務士、税理士などが自宅を事務所にしている場合、ふだんは依頼者の会社や自宅へ出向き、ときどき自宅で面談する、という形がよくあります。この場合、ヘルプの区分に当てはめると、分かれ目はやはり看板と営業時間中の対応です。事務所の名前の看板を常設し、営業時間中は来客に対応しているなら、実店舗かハイブリッド型として住所を表示する形になります。看板を出しておらず、面談はたまに予約で受けるだけなら、非店舗型として住所を非表示にする形になります。
当社の見立てとして、迷ったときは「初めてのお客が地図を見て、予約なしで訪ねてきたら対応できるか」と考えると整理しやすくなります。対応できないなら、地図に住所を出すことは、お客にとっても不親切です。
すでに表示している住所を非表示にする手順
これから新しく登録する場合は、作成の途中で「お客が来られる場所があるか」を聞かれ、「いいえ」と答えるとサービス提供地域の入力に進みます。作成全体の流れはGoogleビジネスプロフィールの登録方法:作成からオーナー確認までに書きました。ここでは、すでに住所を表示した状態で登録している場合の手順を、ヘルプ「ビジネス拠点の住所を管理する」に沿って書きます。
- プロフィールを管理しているGoogleアカウントでログインし、ビジネスプロフィールを開きます。
- 「プロフィールを編集」を選び、「所在地」を選びます。
- 「ビジネス所在地」の横にある編集のアイコンを選びます。
- 「ユーザーにビジネスの住所を表示する」をオフにします。
- 「保存」を選びます。
- 同じ「所在地」の画面で、「サービス提供地域」の横の「編集」から、出向く地域を入れて「保存」を選びます(地域の決め方は後の見出しで書きます)。
住所の欄を消すのではなく、表示のスイッチを切る、という操作です。プロフィールの変更が反映されるまでの時間は、ヘルプでは通常10分ほど、場合によっては30営業日ほどかかるとされています(英語版のヘルプでは「最長30日」)。サービス提供地域の編集は、承認されると反映まで最長48時間ほどかかることがあります。保存した直後に見え方が変わらなくても、何度も編集し直さずに待ちます。
住所そのものを変える場合は話が別です。ヘルプ「ビジネス プロフィールを編集する」は、オーナー確認の後に拠点の住所が変わった場合は、オーナー確認をもう一度行う必要がある、としています。引っ越しなどで住所が変わるときは、表示のオン・オフとは分けて考えてください。なお、表示をオフにする操作だけで再確認が必要になるかどうかは、当社が確かめた範囲のヘルプには書かれていませんでした。
住所を非表示にすると、見え方はどう変わるか
ヘルプに書かれているのは、次の二点です。
- 住所を非表示にすると、ビジネスプロフィールにはサービス提供地域だけが表示されます。
- サービス提供地域を入れていない場合は、地域が自動で選ばれます。この地域は後から編集できます。
二つ目は見落としやすい点です。住所を隠しただけで終えると、自分で選んでいない地域がプロフィールに出ていることがあります。非表示にしたら、サービス提供地域の欄を開いて何が入っているかを確かめ、実際に出向く地域に直してください。
一方で、住所を非表示にしたことで地図上のピンがどう描かれるか、地域と業種で検索したときの順位がどう変わるかは、当社が2026年10月に確かめたヘルプには書かれていませんでした。ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」は、地図の順位は主に関連性、距離(検索している人から各ビジネス拠点までの距離)、知名度で決まると説明していますが、住所を表示しない事業の距離をどう扱うかには触れていません。ここは推測で判断せず、実際の見え方を確かめるのが確実です。
確かめ方は、ブラウザのシークレットウィンドウ(ログインや履歴を使わない窓)でGoogleマップを開き、自社の名前と市の名前で検索することです。ログインしたままだと、自分の管理画面が出て、一般の人に見えている姿が分かりにくくなります。住所の番地が出ていないか、サービス提供地域が意図どおりかを、スマートフォンでも同じように見ておきます。名前で検索しても出てこない場合の切り分けはGoogleマップにお店が表示されないときにまとめています。
サービス提供地域の決め方
住所を非表示にすると、お客がプロフィールで目にする「どこの事業者か」の手がかりは、サービス提供地域だけになります。ヘルプ「非店舗型ビジネスとハイブリッド型ビジネスのサービス提供地域を管理する」には、設定すると、サービスを提供できる地域をユーザーに示せ、プロフィールを見つけてもらいやすくなる、とあります。決まりは次のとおりです。
| 項目 | ヘルプの説明 |
|---|---|
| 指定の仕方 | 市区町村や郵便番号などで指定する。候補から選ぶか、入力する |
| 数 | 最大20か所 |
| 半径での指定 | できない。以前に半径で設定した地域は編集できず、市区町村や郵便番号などで設定し直す |
| 範囲の目安 | 全体の境界は、拠点から車で約2時間以内に収める。ガイドラインには、事業の内容によってはより広く設定するほうが適切な場合もある、との記載もある |
| 書き方 | できるだけ具体的かつ正確に設定する |
| すべて削除する場合 | サービス提供地域をすべて削除できるのは、住所を登録して表示している実店舗の場合だけ |
20か所の枠は、区や郵便番号の単位で細かく入れていくと早く埋まります。どこまでを入れるかについて、当社は次の順で考えるのが現実的だと見ています。
- この一、二年に実際に仕事をした先の住所を、市区町村の単位で数えます。
- 件数の多い順に並べ、まず件数がまとまっている市区町村を入れます。
- 枠が余れば、今後出向く予定がはっきりしている地域を足します。行く予定のない地域は入れません。
- 入れ終えたら、全体が拠点から車で約2時間に収まっているかを地図で見ます。
「県内全域」のように広く取りたくなる気持ちは分かりますが、ヘルプが求めているのは具体的で正確な範囲です。実際に行かない地域を並べると、そこから連絡してきたお客に断る手間が増えるだけ、というのが当社の見立てです。お客の住所から商圏の線を引く手順は地域密着の集客方法:商圏の調べ方に詳しく書きました。
もう一つ、範囲が広いからといって、市ごとや区ごとにプロフィールを分けて作ることはできません。非店舗型のプロフィールは、サービス提供地域全体で一つです。登録のヘルプは、同じ都市圏に同じビジネスのプロフィールが複数あると分かった場合、Googleアカウントが停止される可能性がある、と注意しています。複数の拠点があり、それぞれ別のサービス提供地域とスタッフで運営している場合に限って、拠点ごとに一つ作れます。
住所を出さなくても、オーナー確認には住所を使う
自宅の住所を入力すること自体に抵抗がある方は多いと思います。ただ、ヘルプ「ビジネス拠点の住所を管理する」は、ビジネスの確認を行うには、Googleで検索可能な拠点の住所を入力する必要がある、としています。ガイドラインも、非店舗型の事業は拠点となる事務所や店舗の住所に対して一つのプロフィールを作り、サービス提供地域を指定する形を示しています。住所を入れずに地域だけで登録する、という方法は用意されていません。
オーナー確認(その事業の持ち主であることをGoogleに証明する手続き)の方法はGoogleが自動で決め、こちらでは変えられません。プロフィールに複数の方法が表示されている場合は、別の方法を試せます。自宅で営業している場合に関係が深いのは、動画の録画での確認です。ヘルプ「動画の録画でビジネスのオーナー確認を行う」には、次のように書かれています。
- 所在地の証明として、拠点の住所にある道路案内標識、近くのランドマーク、その他の目印を録画する。自宅で営業している場合は、近隣のランドマークや標識を録画すれば住所を確認できる。空き地や目印のない場所の録画は無効になる。
- 事業が実在する証明として、仕事で使う道具、設備、商品などを録画に含める(作業スペースや名刺なども例に挙がっている)。
- 運営者であることの証明として、サービスを提供している様子や自社の機材を使っている様子、またはプロフィールの名前と一致する営業許可証や請求書、公共料金の請求書などの書類を録画できる。
自宅開業の場合、事業の名前が入った書類や、業務用の道具を一か所にまとめておくと、録画になったときに慌てずに済みます。審査は通常5営業日ほどで、まれにそれより長くかかります。はがきでの確認を進めている間に住所を編集すると、郵送されたコードが使えなくなるので、確認が終わるまで住所には触れないでください。確認の方法ごとの準備はGoogleビジネスプロフィールのオーナー確認に分けて書いています。
住所を出さない登録で、よくある間違い
自宅の住所を出したくない、という動機から、ガイドラインに反する登録をしてしまうことがあります。起きやすいものを、ヘルプとガイドラインの記載に照らして並べます。
| やりがちなこと | ガイドラインでの扱い | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 自宅を隠すため、バーチャルオフィス(郵送先として借りているだけの住所)で登録する | その住所で実際にサービスを提供していない場合は利用できない | 実際に事業をしている自宅の住所を入れ、非表示にする |
| 私書箱の住所で登録する | 遠隔地にある私書箱は使用できない | 同上 |
| コワーキングスペースの住所で登録する | わかりやすい看板が常に設置され、営業時間中に顧客対応できるスタッフが常駐している場合を除き、登録できない | 条件を満たさなければ、実際の拠点の住所で非店舗型として登録する |
| 住所を非表示にしたまま、自宅への来客を案内している | 住所を表示しないのは非店舗型の場合だけにするよう勧められている | 来客を受けるなら看板と営業時間中の対応を整えて住所を表示する。整えられないなら、面談は先方に出向く形にする |
| 地図に多く出ようと、市ごとにプロフィールを作る | 同じ都市圏に同じビジネスのプロフィールが複数あると、アカウントが停止される可能性がある | プロフィールは一つにし、サービス提供地域で範囲を示す |
| オンラインだけで完結する事業で登録する | オンラインのみで営業する事業は対象外 | 地図ではなく、ホームページの記事や広告で見つけてもらう経路を考える |
| 住所を非表示にしたのに、サービス提供地域を確かめていない | 入れていなければ地域が自動で選ばれる | サービス提供地域を開き、実際に出向く地域に直す |
もう一つ、ガイドラインの外の話として、当社が気にかけているのはホームページとの食い違いです。地図では住所を伏せているのに、自社のホームページの会社概要には番地まで載っている、という状態だと、地図で住所を隠した意味が薄れます。ホームページに何をどこまで載せるかは、地図の設定とは別に、業種ごとの決まりも踏まえて決めておく必要があります。会社概要の項目の考え方はホームページの会社概要の書き方にまとめています。
参考にした公式の説明
いずれも2026年10月16日に当社が確認したGoogle ビジネス プロフィール ヘルプです。画面の名前や手順は変わることがあるので、表示が違うときはヘルプの最新の説明を優先してください。
- ビジネス拠点の住所を管理する
- 非店舗型ビジネスとハイブリッド型ビジネスのサービス提供地域を管理する
- Google に掲載するビジネス情報のガイドライン
- ビジネスの適格性とオーナー権限に関するガイドライン
- ビジネス プロフィールに登録する
- 動画の録画でビジネスのオーナー確認を行う
このほか、オーナー確認の方法と審査日数は「Google でビジネスのオーナー確認を行う」、住所変更後の再確認は「ビジネス プロフィールを編集する」、地図の順位の要素は「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」の各ヘルプで確かめました。
今日、自社で確かめられること
- 自宅に事業の名前の看板を常設しているか、営業時間中に来客に対応できるかを確かめ、実店舗・ハイブリッド型・非店舗型のどれに当たるかを決めます。
- シークレットウィンドウでGoogleマップを開き、自社の名前と市の名前で検索して、住所の番地が表示されていないかを見ます。
- 非店舗型なのに住所が出ていれば、「プロフィールを編集」→「所在地」で「ユーザーにビジネスの住所を表示する」をオフにして保存します。
- 同じ画面でサービス提供地域を開き、自動で選ばれた地域や、実際には行かない地域が入っていないかを確かめます。
- この一、二年の仕事先を市区町村ごとに数え、件数の多い地域から20か所以内、車で約2時間以内に収まるように入れ直します。
- 自社のホームページの会社概要や問い合わせのページに、地図で伏せた番地が載っていないかを見比べます。