ドメインの有効期限は、.jp なら JPRS の WHOIS、.com などは ICANN の検索ページで、誰でも確かめられます。期限が切れて止まると、サイトが表示されなくなるだけでなく、そのドメインのメールも届かなくなります。取り戻せる期間は種類によって違い、汎用JPドメイン名(example.jp の形)は廃止になった翌月の1日から20日まで、.com などは削除から30日間です。どちらも登録の窓口になっている事業者を通した手続きで、多くの場合は手数料がかかります。.jp では、この期間を過ぎると同じ文字列を第三者が登録できるようになります。
更新忘れは、期限の日付そのものより、「更新の案内が誰に届くか」と「自動更新の支払いが通るか」で起きることが多い、というのが当社の見立てです。この記事では、期限の確かめ方、切れたときに起きること、社内で担当と連絡先を決める手順を順に書きます。ドメインが誰の名義で登録されているかの確かめ方はドメインの名義が制作会社のままになっているときの記事に書いたので、ここでは扱いません。公式の情報は、2026年10月時点で JPRS と ICANN の公開ページを読んで確かめたものです。
まず有効期限を確かめる:WHOIS の見方
WHOIS(フーイズ)は、ドメインの登録情報を誰でも引ける検索の仕組みです。.jp と .com などでは、調べる場所も表示のされ方も違います。
.jp は JPRS WHOIS で調べる
.jp ドメインの登録を管理している JPRS(株式会社日本レジストリサービス)の検索ページ(whois.jprs.jp)に、ドメイン名を入れます。見る欄は、ドメインの種類で違います。
- 汎用JPドメイン名(example.jp)と都道府県型(example.aichi.jp など)は、「有効期限」の欄に日付が出ます。
- 属性型JPドメイン名(example.co.jp、example.or.jp など)には「有効期限」という欄がありません。「状態」の欄に状態と日付が並び、JPRS の表示例の説明では、その括弧の中の日付が有効期限です。
- JPドメインの有効期限は、登録した日の1年後の「月末」です。更新されると1年ずつ延びるので、期限はいつもどこかの月の末日になります。
JPRS は、WHOIS への反映に最長で1日かかる場合があるとしています。更新を済ませた直後に日付が古いままでも、翌日にもう一度見てから判断してください。
.com などは ICANN Lookup で調べる
.com、.net、.biz などの gTLD(分野を限らない一般のトップレベルドメイン)は、ICANN(ドメイン名を世界的に調整している非営利の団体)が案内している検索ページ lookup.icann.org で調べます。ICANN は2025年1月28日から、gTLD の登録情報の正式な提供元を、従来の WHOIS から RDAP という新しい仕組みに切り替えました。呼び名は変わりましたが、ドメイン名を入れて登録事業者や日付を見る、という使い方は変わりません。
表示の読み方が分からない、期限の日付が見当たらない、というときは、ICANN 自身が「期限が分からなければ登録事業者に問い合わせる」よう案内しています。契約している登録事業者の管理画面でも、期限と自動更新の設定を見られるのがふつうです。
確かめるときによくある見落とし
- サーバーの契約期限とドメインの期限を取り違える。同じ会社で契約していても、期限は別々に来ることがあります。
- サイトのドメインだけを見て、メールだけで使っているドメインや、以前のサイトから転送しているだけの古いドメインを見落とす。
- 期限の日付だけを見て、その日までに誰が何をするのかを決めないまま閉じる。
期限が切れるとどうなるか:サイトとメールが止まる
ICANN は、期限が切れたドメインでは、ウェブサイトやメールなど、そのドメインに結びついたサービスが止まることがあると説明しています。gTLD の登録事業者は、ICANN の「期限切れ登録の回復に関する方針」(Expired Registration Recovery Policy、略して ERRP)に沿って、期限が切れたあとの一定期間、ドメインの名前解決(ドメイン名からサーバーの場所を引く仕組み)を止めることになっています。止めているあいだにサイトを見に来た人を案内のページに向けるなら、そのページには、登録が期限切れであることと更新の方法を目立つように示す決まりです。
サイトが止まれば、自社でもすぐ気づきます。気づきにくいのはメールです。そのドメインのアドレスに送られたメールは届かなくなり、問い合わせフォームの通知も、そのドメインのアドレスで受け取る設定なら同じように止まります。フォームの通知が届かないときの確かめ方はWordPressのお問い合わせフォームの記事に書いています。
もう一つ、当社が見落とされやすいと考えているのが、更新の案内の届き先です。ERRP では、期限の前の案内(おおむね1か月前と1週間前の2回以上)と、期限から5日たっても更新も削除もされていないときの追加の案内は、登録情報に載っている登録者のメールアドレスに送られます。そのアドレスが、期限を迎えるそのドメインのアドレス(info@自社のドメイン など)だと、名前解決が止まったあとの案内は受け取れません。期限前の案内も、退職した人や以前の制作会社の担当者のアドレスになっていれば、社内の誰にも届きません。
回復できる期間と費用:.jp と .com で違う
期限を過ぎたあとの流れは、ドメインの種類ごとに決まりが違います。公式の説明の範囲でまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 汎用JP(example.jp) | 属性型JP(example.co.jp など) | gTLD(.com など) |
|---|---|---|---|
| 有効期限 | 登録した日の1年後の月末 | 登録した日の1年後の月末 | 登録事業者と契約した期間の終わり |
| 廃止・削除のあと | 期限の翌日から1か月間(月末まで)、使えない状態になる | 廃止日か有効期限の翌日から6か月間(月末まで)、使えない状態になる | 登録事業者は期限後いつでも削除できる。削除までの最後の8日間は名前解決が止まる |
| 取り戻せる期間 | 使えなくなった月の1日から20日まで(登録回復) | 廃止の申請を経て廃止になったものに限り、使えなくなった月の1日から20日まで | 登録事業者が任意に設ける期限後の更新の受付(1〜45日)と、削除後30日の回復期間 |
| 費用 | 登録回復には通常手数料がかかる。手続きと受付期間は事業者ごと | 同左 | 更新料、期限後の更新料、回復の料金を、登録事業者が自社のサイトに示す決まり |
| そのあと | 削除され、同じ文字列を再登録できるようになる | 同左 | 方針の上で取り戻せる期間として決まっているのは、削除後30日の回復期間まで |
.jp には、少し分かりにくい点があります。JPRS の説明では、有効期限までに廃止されなければ、JPRS の側で有効期限が1年延びる仕組みです。それでも JPRS は、登録更新の期限を過ぎて意図せず廃止になってしまった場合に備えて、登録回復の手続きを案内しています。更新料の支払いは、契約している指定事業者(.jp の登録の窓口になる事業者)とのあいだの話で、申請の受付期間や扱いも事業者ごとに違うとされています。自社のドメインが今どの状態に当たるかは、その事業者に確かめるのが近道です。
gTLD の期限後の更新の受付(ICANN の説明では Auto Renew Grace Period)は、登録事業者が任意に設けるもので、長さも料金も事業者の規約で決まります。ICANN は、この期間中に規約によってはドメインが第三者に渡ったり、登録事業者が競売にかけたりすることがある、とも書いています。「45日あるから大丈夫」とは言えません。削除後30日の回復期間(Redemption Grace Period)は、gTLD のレジストリ(ドメインの台帳を管理する組織)が設けることになっており、そのあいだは他社への移管ができず、元の登録者が登録事業者を通して取り戻せます。
費用は、金額そのものより「どの段階で、いくらに変わるか」を見ておくのが実務的です。gTLD の登録事業者は、通常の更新料と、期限後の更新料(違う場合)、回復の料金を、自社のサイトに分かりやすく示すことになっています。.jp の登録回復も、JPRS が「通常手数料がかかる」としています。契約している事業者の料金表で、期限後の更新と回復の欄を、何も起きていない今のうちに見ておくと、いざというときに迷いません。
第三者に取られた場合に起きること
回復の期間を過ぎて第三者に登録されると、元の持ち主の手を離れます。JPRS は、廃止したドメインが第三者に再登録されたときのおそれとして、次のことを挙げています。
- ほかのサイトからのリンクや検索エンジンの評価が残るため、そのアクセスを見込んだ第三者に、詐欺サイトや誹謗中傷のサイトに使われる。
- 同じメールアドレスを作られ、素性を偽ったメールを送られる。
- そのアドレスを SNS などのログインに使っていた場合、パスワードの再設定を悪用されて、アカウントを乗っ取られたり登録情報を見られたりする。
- 再登録されたドメインは、商標の侵害などドメイン名紛争処理方針に当たる事情がない限り、差し止めることができない。
当社が付け加えたいのは、古いアドレス宛てのメールです。同じアドレスを作れるということは、取引先やお客様、各種の窓口が古いアドレスに送ったメールも、新しい登録者が受け取れるということです。名刺や請求書、取引先の連絡先の登録、ネットのサービスの登録に残ったアドレスは、思っているより長く使われ続けます。
JPRS は、使わなくなるドメインについても、手放さずに登録を続けるか、ほかの組織へ引き継ぐことが、トラブルを防ぐうえで最も有効だとしています。サイトを閉じる、社名を変えてドメインを移す、といった場面でも、古いドメインはすぐに手放さず、メールのアドレスや各種アカウントの付け替えが終わるまで持っておくほうが安全です。
更新の担当と連絡先を社内で決める手順
案内のメールも自動更新も、登録事業者の側には一通りそろっています。それでも止まるのは、案内の届き先と支払いの方法が、人の入れ替わりや契約の変更に追いついていないときです。次の順で決めると、抜けが出にくくなります。
- 自社で使っているドメインを書き出します。サイトのドメインのほか、メールだけで使っているもの、以前のサイトから転送しているだけのもの、催しや商品のために取ったものも含めます。
- ドメインごとに、登録事業者、有効期限、自動更新の有無、支払いの方法、更新の案内が届くメールアドレスを一行にまとめます。名義(登録者)の欄を足すなら、確かめ方は名義の記事の手順のとおりです。
- 主担当と副担当を一人ずつ決めます。担当は「期限を覚えておく人」ではなく「止まったら手続きをする人」として決め、二人とも登録事業者の管理画面に入れることを確かめておきます。
- 更新の案内が届くアドレスを、二人以上が読めるアドレスにします。当社は、期限を迎えるそのドメイン自体のアドレスではなく、別のドメインのアドレスにしておくことを勧めています。ドメインが止まったあとにも案内を受け取れるようにするためです。
- 期限の2か月前と1か月前に、主担当と副担当の両方の予定表へ通知を入れます。JPドメインは期限が月末なので、月の初めに確かめる習慣と合わせやすくなります。
- 年に一度、この一覧を見直します。人の異動、カードの切り替え、制作会社や運営の委託先の変更があったときは、その場で直します。
制作会社や運営を任せている会社が更新の手続きをしている場合も、一覧の作り方は同じです。誰が払っていて、案内が誰に届いているかを委託先に聞いて埋めます。委託先を替えるときに確かめる項目はホームページを引き継ぐ前に確かめることの記事に、保守で年に一度見る項目はWordPressの保守とはにまとめています。当社が他社の作ったサイトの運営を引き受けるときも、最初にこの一覧を作り、期限と支払いの方法が御社の手元で分かる状態にしてから始めています(進め方)。
自動更新でも止まる場面:カードの期限切れ
ICANN は、多くの登録事業者が自動更新を用意していること、使うなら支払いの情報を最新にしておくことを、登録者向けの説明で呼びかけています。自動更新は心強い仕組みですが、「設定してある」ことと「支払いが通る」ことは別です。当社が気をつけているのは、次の場面です。
- 登録してあるクレジットカードの有効期限が、ドメインの期限より前に来る。カードが新しくなっても、登録事業者に届けてある情報まで変わるとは限りません。
- 退職した人や、以前の担当者の個人のカードで払われている。
- 制作会社のカードでまとめて払われていて、その会社との契約を終えた時点で更新されなくなる。
- 支払いに失敗したという知らせが、誰も読んでいないアドレスに送られている。
上の一覧に、カードの有効期限の月とドメインの期限の月を並べて書いておくと、ずれに気づけます。自動更新を使っていない場合は、手で更新する担当と、期限の何日前までに払うかを決めておきます。JPRS も説明しているとおり、申請の受付期間は事業者ごとに違うので、期限の当日では間に合わないこともあります。
すでに期限が切れていたときの順番
- WHOIS で状態と日付を見て、いつ切れたのかをつかみます。
- すぐに登録事業者へ連絡し、通常の更新で戻せるのか、回復の手続きになるのか、費用はいくらかを聞きます。汎用JPの登録回復は使えなくなった月の20日まで、gTLD の回復期間は削除から30日です。
- 戻ったら、サイトの表示とメールの送受信を確かめ、問い合わせフォームから試しに一通送ります。
- 止まっていたあいだに送られたメールは届いていない可能性があるので、取引先やお客様からの連絡が途切れていなかったかを確かめます。
- 届かなかった案内、通らなかった支払いなど、止まった理由を突き止めて、上の一覧を直します。
今日、自社で確かめられること
- 自社のドメインを WHOIS で引き、有効期限の日付を書き留める(.jp は whois.jprs.jp、.com などは lookup.icann.org)。
- 登録事業者の管理画面で、自動更新が入っているか、登録してあるカードの有効期限がドメインの期限より後かを見る。
- 更新の案内が届くメールアドレスを確かめ、そのドメイン自体のアドレスや、退職した人・以前の委託先のアドレスなら変える。
- メールだけで使っているドメインや、転送だけしている古いドメインがないかを社内で聞く。
- 期限の2か月前と1か月前に、主担当と副担当の予定表へ通知を入れる。
- 契約している事業者の料金表で、期限後の更新と回復の料金を見ておく。
参考にした公式の説明(2026年10月に確認。期間や手続きは改定されることがあり、細部は契約している事業者の案内に従ってください)
- JPRS「JPドメイン名のライフサイクル」
- JPRS「ドメイン名の廃止に関する注意」
- JPRS「JPRS WHOIS検索結果の表示例」
- JPRS「公開・開示対象情報一覧」
- ICANN「Expired Registration Recovery Policy」(英語)
- ICANN「5 Things every Domain Name Registrant should know about ICANN’s Expired Registration Recovery Policy」(英語)
- ICANN「Do You Have a Domain Name? Here’s What You Need to Know」(英語)
- ICANN「ICANN Update: Launching RDAP; Sunsetting WHOIS」(英語)