保険代理店の集客方法:既存の契約者・紹介・ホームページの役割と、募集の決まりで気をつける頼み方

「保険代理店 集客 方法」で調べると、紹介、セミナー、SNS、比較サイトへの掲載、見込み客の紹介サービス、ホームページと、手段を並べた記事が多く出てきます。どれも間違いではありません。ただ保険代理店の集客には、ほかの業種にない前提があります。お客様を集める手前の段階でも、保険業法と金融庁の監督指針の「募集」の決まりがかかることです。誰かに見込み客を紹介してもらう、比較サイトに載る、紹介のお礼を出す。どれも、やり方しだいで決まりの内側にも外側にもなります。

この記事では、お客様が代理店を探す場面ごとに入口を分け、既存の契約者、紹介、地図、ホームページ、比較サイトや紹介サービスの役割と、手をつける順番をまとめます。地域の保険代理店の代表や、集客を担当する方に向けて書いています。当社は法律の専門家ではないので、個々の判断は所属保険会社の指示に従ってください。

この記事の結論

  • 当社の見立てでは、地域の代理店の新しい契約は、既存の契約者の家族や取引先からの紹介と、車や家、事業の節目での相談から始まることが多いと考えます。最初に整えるのは、既存の契約者に「ほかの保険のことも相談できる」と伝わる仕組みと、紹介された人が確かめに来るホームページです。
  • 見込み客を紹介してもらう仕組みを使うなら、金融庁の監督指針のいう「募集関連行為」にとどまる形かを確かめます。保険商品の推奨や説明をせず、見込み客の情報を渡すだけなら募集関連行為ですが、報酬を得て特定の会社の商品を積極的に紹介したり、具体的な商品を推奨・説明したりすると、募集に当たりうるとされています。
  • 紹介のお礼や契約のお礼に品物を出すときは、保険業法が禁じる「特別の利益の提供」に当たらないかを、所属保険会社の基準で確かめてから決めます。

お客様が代理店を探す場面と、使う言葉

言葉は当社が想定した例で、検索の回数を調べたものではありません。

探す場面使いそうな言葉の例最初に開く場所代理店の側で用意するもの
車を買う、乗り換える「自動車保険 相談 ◯◯市」、販売店の紹介販売店、地図、代理店のサイト取扱保険会社、代理か媒介か、相談の流れ
家を買う、建てる「火災保険 相談 ◯◯市」不動産会社や工務店の紹介、代理店のサイト相談できる内容と、来店か訪問か
事業を始める、従業員が増える「法人 保険 相談 ◯◯市」税理士などの紹介、代理店のサイト扱う分野、法人のお客様の対応の範囲
事故や災害のあと、手続きに困った「事故 保険 相談」、代理店の名前代理店のサイト、地図事故の連絡先、受付の時間
紹介された代理店を確かめたい代理店の名前代理店のサイト、地図会社概要と代理店の情報一式

最後の行の人は、すでに誰かから名前を聞いています。ホームページで迷わせないことが、そのまま紹介を生かすことになります。

入口ごとの役割分担

入口役割決まりで気をつけること
既存の契約者更新のときに、ほかの保険の相談や家族の紹介につなげるお礼の品が特別の利益の提供に当たらないか
紹介(契約者、販売店、士業など)名前を伝えてもらう紹介する側が保険の推奨や説明をしない形にとどめる。紹介料の額と、個人情報を渡す同意の手続き
Googleビジネスプロフィール代理店の名前や「近く」で探す人に、場所、営業時間、電話番号を見せる代理店の名前に地名や保険の種類を足さない(Googleのガイドライン)
ホームページ確かめに来る人への案内と、相談の入口取扱保険会社、代理か媒介かの別、勧誘方針。比べる表示と断定する表示を避ける
比較サイト・見込み客の紹介サービス保険を比べたい人とつながる運営者が報酬を得て具体的な商品を推奨・説明していないか。募集関連行為を委ねる先の管理
セミナー・相談会保険の仕組みを知ってもらう一般的な仕組みや活用法の説明は募集に当たらないとされるが、その場で商品を勧めれば募集になる

Googleのガイドラインは、ビジネス名を店舗や看板、ウェブサイトで実際に使っている名称にそろえ、所在地やサービスの説明を名前に加えないこととしています。

手をつける順番

  1. 既存の契約者への案内を決める。更新の連絡のときに、扱っている保険の分野と、家族や事業の相談もできることを一枚で伝えます。
  2. ホームページの会社概要に、取扱保険会社の名前、代理か媒介かの別、勧誘方針、プライバシーポリシー、事故の連絡先をそろえる。紹介された人が最初に見る場所です。
  3. 地図の営業時間、来店の可否、駐車場をいまの店に合わせる。
  4. 相談の場面ごとのページを作る。車を買う、家を買う、事業を始める、のように、お客様の節目ごとに一枚。商品の説明は所属保険会社の公式ページへの案内にとどめ、相談の流れと、来店か訪問かを書きます。
  5. 紹介をくれる取引先との約束を書面にする。紹介する側は名前と連絡先を伝えるまでにとどめ、保険の説明は代理店がすることを、最初に共有します。
  6. 比較サイトや見込み客の紹介サービスは、ここまで整えてから、契約の形と運営者のやり方を確かめて使う。

保険業法と監督指針で、集客の場面で気をつけること

金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」は、見込み客の発掘から契約の成立までの広い意味での募集のプロセスのうち、募集に当たらない行為を「募集関連行為」と呼んでいます。例として、保険商品の推奨・説明をせず見込み客の情報を保険会社や募集人に渡すだけの行為や、保険会社や募集人からの情報を転載するにとどまる比較サイトを挙げています。一方で、業として特定の保険会社の商品だけを見込み客に積極的に紹介して報酬を得る行為や、比較サイトの運営者が報酬を得て具体的な商品を推奨・説明する行為は、募集に当たりうるとしています。

監督指針は、募集関連行為を外に委ねる場合について、委ねた先で募集行為や特別の利益の提供など規制を潜り抜けることが行われていないか、誤った商品説明をしていないか、個人情報を渡す同意の手続きが適切かを確かめるよう求め、高額な紹介料は本来できない推奨・説明をする可能性を高めると考えられるとしています。紹介料の額を決めるときは、この点を所属保険会社と一緒に確かめます。

ほかに、集客の場面で関わるのは次の決まりです。

  • 特別の利益の提供:保険業法第300条第1項第5号は、保険契約者や被保険者に保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約束したり提供したりすることを禁じています。紹介や契約のお礼の品は、所属保険会社の基準で確かめます。
  • 比べる表示と断定する表示:同項第6号と第7号は、誤解させるおそれのある比較や、断定的な判断を示す表示を禁じ、誰でも見られる表示も含まれます。「どこより安い」「必ず得をする」のような言葉は、サイトにも広告にも使いません。
  • 口コミ:消費者庁は、広告であるのに広告と分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)を2023年10月1日から景品表示法の違反としていて、事業者が第三者に頼んで書かせた口コミやSNSの投稿も含まれ、規制の対象は広告主の事業者だと説明しています。

ホームページに必ず置く代理店の情報と、乗合代理店が商品を並べるページの考え方は、保険代理店のホームページ制作の費用:作り方ごとの目安と、保険業法で載せるもの・避ける表示にまとめています。

数え方:相談と契約を、入口ごとに分ける

  1. 相談の記録に、「何を見て、誰の紹介でご連絡いただいたか」を一行残す。既存の契約者、紹介(紹介元の名前)、地図、ホームページ、比較サイト、セミナー、で分けます。
  2. 相談から契約に進んだか、どの分野の契約かを同じ行に書き足す。
  3. 紹介料や掲載料を払っている入口は、その額を並べ、契約一件あたりいくらかかったかを出す。

紹介元ごとの件数が並ぶと、どの取引先との関係に時間を使うかが決めやすくなります。記録の形はホームページからの問い合わせの数え方に、チラシやLINEのQRコードに付ける目印の作り方はUTMパラメータの作り方に、地図の側の数字の見方はGoogleビジネスプロフィールのパフォーマンスの見方に書きました。

当社の進め方

当社は、作って終わりにせず、問い合わせが来るようになるまで手を入れ続ける形でホームページの運営をお引き受けしています。始める前に商圏調査(5万円・税別、二週間ほど。お引き受けに進めば契約料に充当)で、その地域で検索されている言葉と1ページ目の顔ぶれを数え、上の表のどの入口から手を入れるかを決めます。料金と進め方は料金に載せています。問い合わせの件数に応じて月額が変わる形が、所属保険会社との委託契約や社内の規程に触れないかは、契約の前に確かめてください。

今日、御社で確かめられること

  1. 会社概要に、取扱保険会社、代理か媒介かの別、勧誘方針、プライバシーポリシーがそろっているかを見ます。
  2. 見込み客の紹介を受けている先があれば、紹介する側が保険の説明をしていないか、紹介料の額と同意の手続きを書き出します。
  3. 紹介や契約のお礼に出している品があれば、所属保険会社の基準に照らして確かめます。
  4. サイトや広告に「一番」「必ず」「確実に」の言葉がないかを探します。
  5. この半年の契約を、入口ごとに分けて数えます。

出典