UTMパラメータ(URLの末尾に付けて、どこから来た訪問かをGA4に伝える目印)の作り方は、utm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン名)の三つを、社内で決めた命名表のとおりに半角の小文字で付けることです。付けた結果は、GA4(Googleアナリティクス4)の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」で、表の項目を「セッションのキャンペーン」や「セッションの参照元 / メディア」に切り替えると見えます。
付け方でいちばん差が出るのは utm_medium です。GA4は medium の値を見て、訪問を Email や Organic Social といった大きな分類(チャネル)に振り分けます。Googleが決めている値を使えば狙った行に入り、思いつきの値を使うと Unassigned(どの分類にも当てはまらなかった訪問)に入ります。
この記事では、Googleのアナリティクス ヘルプで2026年10月に確かめた仕様をもとに、medium の値とチャネルの対応、チラシ・名刺・LINE・メールマガジン・Instagramなど場面ごとの命名表、QRコードに入れるときの注意、よくある間違いをまとめます。流入元の表そのものの読み方はGA4で流入元を調べる方法に、チラシの反響の数え方はチラシ・ポスティングの効果と反響率に分けて書いています。
三つの目印の意味と、GA4で見える場所
アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」は、URLにパラメータを付けるときは、どのようなケースでも utm_source、utm_medium、utm_campaign の三つを使う必要があると説明しています。付けなかった項目は、レポートで「(not set)」と表示されます。
| 目印 | ヘルプでの意味 | 当社の決まり | トラフィック獲得で見る項目 |
|---|---|---|---|
| utm_source | 参照元。例として google、newsletter4、billboard(看板)が挙がっている | 何から来たか。配布物や媒体の名前(chirashi、meishi、instagram など) | セッションの参照元 |
| utm_medium | マーケティング媒体。例は CPC、バナー、メール | 手段の種類。使う値を print、email、social、organic、referral の五つに限る | セッションのメディア |
| utm_campaign | 商品、スローガン、プロモーション コードなど。例は spring_sale | いつ、どこに置いたか。年月や置き場所(2026-11-kita、profile など) | セッションのキャンペーン |
| utm_content | 同じメールの中の二つのリンクなど、クリエイティブの区別 | 同じ配布物の中の違い(表面と裏面など)。要るときだけ付ける | セッションの手動広告コンテンツ |
ほかに utm_term(検索広告のキーワード)や utm_id(キャンペーンのID)などもありますが、広告を出していない会社が自分で配るリンクなら、三つと、必要なときの utm_content で足ります。utm_creative_format と utm_marketing_tactic は、ヘルプによると現在GA4のレポートには含まれません。各目印がどの項目(ディメンション)に入るかは、ヘルプ「トラフィック ソースのディメンション、手動タグ設定、自動タグ設定」に一覧があります。
値の大文字と小文字は区別されます。ヘルプには、utm_source=google と utm_source=Google は異なる、とあります。目印を並べる順番に決まりはありません。
レポートごとの見え方の違い
- トラフィック獲得:訪問(セッション)ごとに、その訪問が持って来た目印で数えます。「このチラシで何回来たか」はここで見ます。
- ユーザー獲得:新しく来た人を、最初に来たときの経路で数えます。初めは検索で来て、2回目にチラシのQRコードから来た人は、ここではチラシに入りません。
- 「ランディング ページ + クエリ文字列」:ヘルプによると、この項目では UTM の部分が省かれます。目印付きで届いたかを、ランディングページの表で探しても見つかりません。
utm_medium の値で、チャネルの行が決まる
トラフィック獲得の最初の表は、Googleのルールで流入元を大きく分けた「セッションのデフォルト チャネル グループ」ごとの数です。ヘルプ「デフォルト チャネル グループ」によると、UTMを付けた訪問は主に medium の値で次のように振り分けられます(一部は source の値でも判定されます)。
| utm_medium の値 | 入るチャネル | 地域の事業者が使う場面 |
|---|---|---|
| email、e-mail、e_mail、e mail | メールマガジン、メールの署名 | |
| social、social-network、social-media、sm、social network、social media | Organic Social | Instagram、LINE、Facebook などの無料の投稿やプロフィール |
| organic(完全一致) | Organic Search | Googleビジネスプロフィールのウェブサイト欄(当社の決まり) |
| referral、app、link | Referral | 取引先や団体のサイトに載せてもらうリンク |
| cpc、ppc、retargeting、paid で始まる値、cp を含む値 | Paid Search、Paid Social、Paid Other などの有料の分類(source により分かれる) | 広告費を払ったリンクだけ |
| display、banner、expandable、interstitial、cpm | Display | バナー広告 |
| affiliate | Affiliates | 成果報酬型の紹介 |
| sms(完全一致) | SMS | ショートメッセージ |
| 上のどれにも当たらない値(print、qr、line、chirashi など) | Unassigned | 思いつきで付けると、ここに入る |
ヘルプには、チャネルの定義では大文字と小文字が区別されない、ともあります。medium を「Email」と書いても Email の行には入ります。ただし「セッションの参照元 / メディア」の表では email と Email が別の行に分かれるので、数えるときに足し算が要ります。
medium 以外で気をつけたいのはキャンペーン名です。ヘルプのルールでは、キャンペーン名に「shop」や「shopping」を含むとオーガニック ショッピング(Organic Shopping)の条件に、「cross-network」を含むと Cross-network の条件に当てはまります。店の開店記念のつもりで campaign=shop-open と付けると、SNSからの訪問がショッピングの条件にも当てはまってしまいます。キャンペーン名を年月と地域、置き場所で付けておけば、こうした言葉は入りません。
チラシや名刺など紙のものは Unassigned に入る
デフォルト チャネル グループには、紙やオフラインのための分類がありません。当社は紙の配布物の medium を print にそろえ、チャネルの表では Unassigned に入ることを承知のうえで、「セッションのキャンペーン」の表で数えています。Unassigned にはほかの原因の訪問も混ざります。その見分け方はGA4の「Direct」「Unassigned」「(not set)」とはに書いています。
チャネルの表でも紙を一行で見たい場合は、カスタム チャネル グループ(自社でチャネルの分け方を作る機能)が使えます。ヘルプ「カスタム チャネル グループ」によると、「管理」の「データの表示」にある「チャネル グループ」から作り、プロパティの編集者以上の役割が要ります。通常のプロパティで作れるのは二つまでで、過去のデータにも遡って適用されます。
場面ごとの命名表:社内の決まりを一つにする
UTMは、作る人ごとに書き方が違うと数字が分かれて使えなくなります。同じメールマガジンが mailmag、newsletter、Mail の三行に分かれると、毎月の足し合わせに手間がかかり、足し忘れも出ます。当社は次の三つの決まりを先に書き、配るリンクはすべて命名表から作るようにしています。
- 値は半角の小文字と数字、区切りはハイフン(-)だけにする。日本語や空白は使わない。
- medium は print、email、social、organic、referral の五つから選び、勝手に新しい値を足さない。
- campaign は、期限のある配布物なら「年月-地域」、ずっと置いておくリンクなら「置き場所の名前」にする。
この決まりで、地域の事業者がよく使う場面を並べると次のようになります。source の名前は自社で分かりやすいものに変えてかまいません。
| 場面 | utm_source | utm_medium | utm_campaign の例 | 入るチャネル |
|---|---|---|---|---|
| チラシ・ポスティング | chirashi | 2026-11-kita | Unassigned | |
| 名刺 | meishi | 2026(刷った年) | Unassigned | |
| 店頭のポスター・看板のQRコード | kanban | tento | Unassigned | |
| LINE公式アカウントの配信 | line | social | 2026-11-10(配信日) | Organic Social |
| LINE公式アカウントのリッチメニュー | line | social | richmenu | Organic Social |
| メールマガジン | mailmag | 2026-11(配信月) | ||
| メールの署名 | shomei | |||
| Instagramのプロフィールのリンク | social | profile | Organic Social | |
| Instagramのストーリーズのリンク | social | story-2026-11 | Organic Social | |
| Googleビジネスプロフィールのウェブサイト欄 | organic | gbp | Organic Search |
表の補足です。名刺は何年も使われるので、キャンペーン名は刷った年にしています。担当者ごとに分けたいときは utm_content に担当の番号を入れ、名前は入れません。LINEを social にして Instagram と同じ Organic Social に入れるか、別の値で分けるかは、何と並べて見たいかで決めてかまいませんが、一度決めたら変えないことが大事です。Googleビジネスプロフィールを google / organic にすると、チャネルの表ではふつうの検索と同じ Organic Search に入りますが、キャンペーン名 gbp で地図の画面から来た人だけを取り出せます。Instagramのプロフィールのリンク先をどのページにするかは、インスタ集客を地域の店舗・中小企業でに書いています。
付けなくてよい場所
取引先や業界団体のサイトに載せてもらうリンクは、UTMを付けなくても「セッションの参照元 / メディア」にリンク元のドメインが referral として出ます。先方にURLの差し替えを頼む手間に見合う場面は限られる、と当社は見ています。自社サイトの中のリンクには付けません。理由は「よくある間違い」の章に書きます。
当社がサイトの運営をお引き受けするときも、最初に命名表を一枚作り、共有の表に「作った日、場面、完成したURL、配った先、配った数」を一行ずつ残すところから始めています。数か月後に表を見て「この行は何だったか」が分からなくなるのを防ぐためです。
URLの作り方:生成ツールで組み立てて、命名表に残す
- ヘルプで案内されているGoogleの「Campaign URL Builder」(キャンペーン URL 生成ツール)を開く。
- リンク先のページのURLを入れる。トップページより、その配布物を見た人向けに書いたページのほうが、来た人が迷いません。
- 命名表から source、medium、campaign の値を写す。手で打たずにコピーすると、綴りの違いが出ません。
- 画面の下に出る完成したURLをコピーし、命名表のその行に貼る。
- 自分のスマートフォンで開き、ページが表示されること、アドレス欄に utm_ の目印が残っていることを確かめる。
手で組み立てるときは、URLと最初の目印の間を「?」、目印どうしを「&」でつなぎます。チラシなら次の形です(ドメインは例です)。
https://example.jp/hajimete/?utm_source=chirashi&utm_medium=print&utm_campaign=2026-11-kita
配った翌日以降に、トラフィック獲得の項目を「セッションのキャンペーン」に切り替え、2026-11-kita の行が出ているかを見ます。データが表に出るまでの時間と、リアルタイムのレポートで確かめるときの注意はGA4で流入元を調べる方法の確認の章にまとめています。
QRコードに入れるときの注意
チラシ、名刺、店頭のポスターでは、UTM付きのURLをQRコードにして載せることになります。紙は刷ったあとで直せないので、画面で使うリンクより先に確かめることが増えます。
- QRコードは完成したURLから作り、刷る前に試し刷りをスマートフォンで読み取ります。開いたページのアドレス欄に utm_ が残っているかまで見ます。
- 値は短くします。QRコードを開発した株式会社デンソーウェーブの説明では、データ量が増えるとQRコードを構成するセルがたくさん必要になり、QRコードが大きくなっていきます(出典:QRコードドットコム「QRコードの情報量とバージョン」)。名刺の隅のような小さな場所に刷るなら、URLが長いほど細かい模様になります。日本語の値はURLの中で「%E3%83…」のような長い文字列に置き換わるので、その意味でも使いません。
- 短いURLから目印付きのURLへ転送する形にする場合は、転送のあとで目印が消えていないかを確かめます。ヘルプ「「(direct) / (none)」トラフィックについて」は、リダイレクト(転送)によってURLから UTM パラメータが削除されることがある、と書いています。消えると、その訪問は Direct などに入ります。転送の設定のしかたはWordPressでリダイレクトを設定する方法にあります。
- 刷ったQRコードの先のページは消さず、URLも変えません。チラシや名刺は配ってから何か月も使われます。どうしてもURLを変えるときは、古いURLから新しいURLへ転送し、目印が残るかを確かめます。
QRコードで数えられるのは、読み取った人だけです。チラシを見て社名で検索して来た人は検索として記録されます。専用の電話番号や受付で聞く方法との組み合わせは、チラシ・ポスティングの効果と反響率に書いています。
よくある間違い
自社サイトの中のリンクに付ける
トップページのバナーから料金のページへのリンクに utm_campaign=top-banner を付ける、といった使い方です。ヘルプはUTMを、広告のリンク先や、メール キャンペーン、ソーシャル メディアの投稿など、外から入ってくるリンクに付けるものとして説明しています。サイトの中のリンクに付ける使い方は、当社が確かめた範囲のヘルプには出てきませんでした。
また、ヘルプ「キャンペーンとトラフィック ソース」によると、セッションの途中で新しいキャンペーンが見つかっても新しいセッションが始まったとは見なされず、一つのセッションが複数のキャンペーンに結び付くこともありません。トラフィック獲得の表では、サイトの中のどのバナーが押されたかは分からないということです。そのうえ、問い合わせの送信のような一つひとつの操作の記録には、外から来た経路の代わりにサイト内の目印が残り、Instagramから来た人の問い合わせが top-banner の成果に見える、といった読み違いにつながるおそれがあると当社は見ています。サイトの中の動きは、探索レポートの経路やページごとの表示回数で見ます。
同じ配布物の表記がゆれる
Instagram、instagram、insta、ig。担当者が別々に作ると、同じ場所からの訪問が何行にも分かれます。チャネルの分類は大文字と小文字を区別しませんが、参照元やキャンペーンの表は区別します。命名表の値をコピーして使う、を決まりにするのがいちばんの防ぎ方です。
medium に思いつきの値や、広告の値を入れる
LINEの配信に medium=line、QRコードに medium=qr と付けると、どちらも Unassigned に入ります。反対に、無料の投稿や取引先のサイトの無料のバナーに cpc や banner を付けると、広告費を払っていないのに Paid Other や Display などの有料の分類に入ります。無料のものに cp を含む値や paid で始まる値は使いません。
「?」を二つ書く、「#」の後ろに付ける
リンク先のURLにもともと「?」が入っている場合は、「?」を重ねずに「&」で続けます。ページの途中の見出しへ飛ぶ「#」付きのURLを使う場合は、目印を「#」より前に置きます。生成ツールを使えば「?」と「&」は自動で付きますが、元のURLに「#」があるときは、できたURLを一度開いて確かめます。
目印付きのURLがそのまま広まることを忘れる
目印はURLそのものに入っているので、メールマガジンの読者がURLをコピーして知人に送ると、その知人の訪問もメールマガジンとして数えられます。SNSでURLが共有された場合も同じです。数が思ったより多いときは、こうした広がりも含まれていると考えて読みます。
今日、自社で確かめられること
- GA4のトラフィック獲得で項目を「セッションの参照元 / メディア」に切り替え、同じ配布物や媒体が、大文字と小文字や綴りの違いで何行にも分かれていないかを見る。
- Instagramのプロフィール、LINE公式アカウントのリッチメニュー、メールの署名、Googleビジネスプロフィールのウェブサイト欄に入っているURLを書き出し、utm_source、utm_medium、utm_campaign の三つが付いているかを見る。
- 付いている medium の値を、この記事のチャネルの表と照らし合わせ、狙った行に入る値かを確かめる。
- 「medium は五つ」「値は半角の小文字とハイフン」「campaign は年月か置き場所」の三つの決まりを一枚に書き、命名表の最初の行を作る。
- 手元のチラシや名刺のQRコードを読み取り、ページが今も開けるか、アドレス欄に utm_ が残っているかを確かめる。
- 自社サイトのトップページと主なページを開き、サイトの中のリンクに utm_ が付いていないかを確かめる。
※画面の名前と仕様は、2026年10月時点のGoogleのアナリティクス ヘルプで確かめたものです。GA4の画面やチャネルのルールは変わることがあります。