介護事業所の集客方法:ケアマネジャー・公表システム・ホームページ・求人の役割と順番

「介護事業所 集客 方法」で調べると、ケアマネジャーへの営業、チラシ、ホームページ、SNS、Googleマップ、口コミと、手段を並べた記事が多く出てきます。どれも間違いではありません。ただ介護の事業所は、利用する人が自分だけで事業所を選ぶとはかぎらない点が、ほかの業種と違います。多くの場合、家族とケアマネジャーが一緒に候補を挙げ、比べ、決めます。

この記事では、利用を考える家族、ケアマネジャー、働きたい人という三つの読み手ごとに入口を分け、ケアマネジャーとの関係、介護サービス情報公表システム、地図、ホームページ、求人の役割と、手をつける順番をまとめます。デイサービスや訪問介護などの事業所の管理者・経営者の方に向けて書いています。当社は法律の専門家ではないので、指定の内容や運用は指定権者(都道府県や市町村)の案内で確かめてください。

この記事の結論

  • ケアマネジャーの事業所の運営の基準(たとえば札幌市の条例)は、利用者が複数の事業者の紹介を求めてよいことを、利用者や家族に説明するよう定めています。家族は候補を比べる前提で動くので、比べられたときに答えが載っている場所を先に整えます。
  • 比べられる場所は三つあります。介護サービス情報公表システム、自社のホームページ、地図です。定員、営業日、送迎の範囲、空きの状況、受け入れられる状態を、三つで食い違わないようにそろえます。
  • ケアマネジャーの側は、特定の事業者のサービスを利用させる見返りに金品を受け取ってはならないとされています。ケアマネジャーとの関係は、謝礼ではなく、空きの状況と受け入れの条件をすぐ伝えられることで作ります。
  • 求人を載せるなら、職業安定法の決まりで、正確で最新の内容に保ちます。

読み手ごとの探す場面と、使う言葉

言葉は当社が想定した例で、検索の回数を調べたものではありません。

読み手と場面使いそうな言葉の例最初に開く場所事業所の側で用意するもの
退院が決まり、家族が通いの先を探す「デイサービス ◯◯市」「リハビリ デイ ◯◯区」ケアマネジャーの紹介、地図、公表システム送迎の範囲、一日の流れ、受け入れられる状態、空きの状況
家族が訪問の介護を探す「訪問介護 ◯◯市」ケアマネジャーの紹介、地図対応する地域と時間帯、できることとできないこと
ケアマネジャーが候補を探す事業所の名前、サービスの種類と地域公表システム、事業所のサイト、電話空きの状況、医療的なケアの対応、連絡の窓口
紹介された事業所を家族が確かめる事業所の名前事業所のサイト、地図写真、料金の目安、重要事項
働きたい人「介護 求人 ◯◯市」「デイサービス パート ◯◯区」求人サイト、ハローワーク、事業所のサイト募集要項、職場の様子、掲載の時点

ケアマネジャーが最初に知りたいのは、空きがあるか、その人を受け入れられるかです。家族が最初に知りたいのは、どんな場所で、どう過ごすのかです。同じ事業所でも、読み手によって答えるべきことが違います。

入口ごとの役割分担

入口役割気をつけること
ケアマネジャー・地域包括支援センター利用の候補に挙げてもらう空きの状況と受け入れの条件をすぐ伝えられるようにする。見返りになる金品は渡さない
介護サービス情報公表システム家族やケアマネジャーが事業所を比べる報告した内容と、自社サイトの数字をそろえる
Googleビジネスプロフィール事業所の名前や「近く」で探す人に、場所と電話番号を見せる事業所の名前に地名やサービスの説明を足さない(Googleのガイドライン)
ホームページ家族が確かめに来る場所。重要事項の掲載先にもなる重要事項、料金の目安、送迎の範囲、一日の流れ
求人サイト・ハローワーク働きたい人と出会う自社サイトの募集要項と同じ内容にそろえる

Googleのガイドラインは、ビジネス名を店舗や看板、ウェブサイトで実際に使っている名称にそろえ、所在地やサービスの説明を名前に加えないこととしています。

手をつける順番

  1. 介護サービス情報公表システムの内容を見直す。定員、営業日、サービスの内容が、いまの事業所と合っているかを確かめます。比べる人が最初に開く場所の一つです。
  2. ホームページに重要事項を載せる。指定居宅サービス等の運営基準は、運営規程の概要などの重要事項をウェブサイトに掲載するよう求めていて(訪問介護なら第32条第3項。ほかのサービスにも同じ形の決まりがあります)、静岡市の案内は、2025年度(令和7年度)から全ての介護サービス事業者が対象で、掲載先は法人のホームページ等か公表システム上だと説明しています。自社サイトに載せるなら、改定のたびに差し替える人を決めます。
  3. ケアマネジャー向けの一枚を作る。空きの状況、送迎の範囲、受け入れられる状態(医療的なケア、認知症の方の対応など)、連絡の窓口と受付の時間。紙で渡すものと、サイトの同じ内容のページを用意します。
  4. 家族向けのページを作る。一日の流れ、写真、料金の目安(介護保険の負担割合で変わることを添える)、見学や体験の申し込み方。
  5. 地図の情報を合わせる。営業時間、電話番号、建物の入口の写真。
  6. 求人のページを整える。求人サイトやハローワークの求人票と同じ内容にし、掲載の時点を示します。採用のページの作り方は採用ページの作り方に書きました。

介護の決まりで、集客の場面で気をつけること

当社は法律の専門家ではありません。ここに書くのは、公開されている資料を読んだ範囲で、集客の場面で気をつけていることです。

  • ケアマネジャーとの関係:ケアマネジャーの事業所の運営の基準は、市町村などが条例で定めています。たとえば札幌市の条例は、ケアマネジャーの事業所に、利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができることなどを説明するよう求めています(札幌市の条例第7条第2項)。同じ条例の第28条は、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として、その事業者から金品その他の財産上の利益を受け取ってはならないとしています。営業のつもりで渡す品が、相手を困らせることがあります。
  • 重要事項の掲載:上の順番の2に書いたとおりです。料金や加算の表は、重要事項説明書と同じ内容にそろえます。
  • 求人:職業安定法第5条の4は、募集の情報を出すときに、虚偽や誤解を生じさせる表示をせず、正確で最新の内容に保つことを定めています。厚生労働省と都道府県労働局のリーフレットは、自社ホームページでの募集にも、2024年4月から加わった明示事項(業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準)を含めた労働条件の明示を求めています。
  • 口コミ:消費者庁は、広告であるのに広告と分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)を2023年10月1日から景品表示法の違反としていて、事業者が第三者に頼んで書かせた口コミやSNSの投稿も含まれ、規制の対象は広告主の事業者だと説明しています。

ホームページを作る・作り直すときの費用の幅と、重要事項の載せ方は、介護事業所のホームページ制作の費用:作り方ごとの目安と、重要事項の掲載や求人で載せるものにまとめています。

数え方:利用の相談と応募を、入口ごとに分ける

  1. 利用の相談の記録に、「どこから来た相談か」を一行残す。ケアマネジャー(事業所の名前)、地域包括支援センター、家族からの直接の連絡、ホームページ、地図、で分けます。
  2. 相談から見学、契約に進んだかを同じ行に書き足す。
  3. 応募の記録に、求人サイト、ハローワーク、事業所のサイト、職員の紹介、のどこから来たかを残す。

ケアマネジャーの事業所ごとの件数が並ぶと、空きの状況を誰にいつ伝えるかが決めやすくなります。記録の形はホームページからの問い合わせの数え方に、チラシやLINEのQRコードに付ける目印の作り方はUTMパラメータの作り方に、地図の側の数字の見方はGoogleビジネスプロフィールのパフォーマンスの見方に書きました。

当社の進め方

当社は、作って終わりにせず、問い合わせが来るようになるまで手を入れ続ける形でホームページの運営をお引き受けしています。始める前に商圏調査(5万円・税別、二週間ほど。お引き受けに進めば契約料に充当)で、その地域で検索されている言葉と1ページ目の顔ぶれを数え、上の表のどの入口から手を入れるかを決めます。料金と進め方は料金に載せています。

今日、御事業所で確かめられること

  1. 介護サービス情報公表システムの定員、営業日、サービスの内容が、いまの事業所と合っているかを見ます。
  2. 自社サイトか公表システムに重要事項が載っているか、いま使っている重要事項説明書と同じ版かを見ます。
  3. ケアマネジャーに、空きの状況をいつ、どう伝えているかを書き出します。
  4. 求人のページの掲載の日付と、2024年4月から加わった明示事項が書いてあるかを見ます。
  5. この半年の利用の相談を、入口ごとに分けて数えます。

出典