WordPressのアップデートは、「バックアップ → 本体 → プラグインを一つずつ → テーマ → 翻訳 → 表示と問い合わせフォームの確認」の順で進めます。WordPress.org の更新の手引きも、本体を上げたあとにプラグインを一つずつ更新してエラーがないかを確かめ、続けてテーマを同じように更新する流れで書かれています。どれも管理画面の「ダッシュボード」→「更新」の画面からできます(2026年10月時点の WordPress.org の説明による)。
本体の小さな更新(7.1.2 → 7.1.3 のように三つめの数字が変わるもの)は、初期設定のままなら自動で当たります。手で気をつけて進めるのは、本体の大きな更新と、プラグイン・テーマの更新です。失敗して「メンテナンス」の表示が残ったらメンテナンスモードの記事へ、画面が真っ白になったり「重大なエラー」と出たりしたら真っ白・重大なエラーの記事へ進んでください。
更新の前にやる三つの準備
公式の手引きは、始める前にサイトをバックアップしておくことを勧めています。何かあったときに元に戻すためです。当社はこれに二つを足して、三つの準備と考えています。
1. バックアップを取り、戻し方を確かめておく
ファイルとデータベースの両方を、更新の直前に一組取ります。サーバー会社の自動バックアップがあっても、前日の分では、その日に書いた記事が戻りません。取り方と、戻せるかどうかの確かめ方はWordPressのバックアップ方法に書いています。
あわせて、管理画面に入れなくなったときに備え、サーバーのファイルを直接触れる手段(FTPソフト、またはサーバー会社の管理画面のファイル管理の機能)に入れるかを確かめておきます。更新に失敗したときの直し方の多くは、この手段を使うからです。
2. テーマに直接手が入っていないか確かめる
「更新」画面のテーマの欄には、公式の説明どおり「テーマに加えたカスタマイズがすべて失われます。テーマを修正する場合、子テーマの利用を検討してください。」という注意が出ます。テーマのファイルに直接手を入れて見た目を直していると、テーマを更新した時点でその手直しが上書きされます。
子テーマ(元のテーマには手を加えず、上書きの指定だけを足す仕組み)を使っていれば、元のテーマを更新しても手直しは残ります。当社のサイトも、SANGO というテーマの子テーマで動かしています。自社のサイトが子テーマかどうかの見方はWordPressのテーマは替えずに直すの最後の節に書きました。子テーマでなく、テーマに直接手が入っている場合は、テーマの更新だけは止めて、先に手直しの置き場所を移すのが順番です。
3. 大きな更新なら、テスト用の場所で先に試す
本体の大きな更新(7.0 → 7.1 のような二つめの数字が変わるもの)や、問い合わせフォーム・予約など大事な機能を担うプラグインの大きな更新は、本番と同じ中身のテスト用の場所で先に試すのが安全です。サーバー会社によっては、本番を複製したテスト用の場所を作る機能(「ステージング」などの名前)があります。
テスト用の場所が用意できない場合は、せめて使っている主なプラグインの公式ページを開き、新しいWordPressで動作を確かめたと書かれているか(英語のページでは「Tested up to」の欄)を見ておきます。管理画面の「更新」の画面でも、新しい版が出ているプラグインごとに「WordPress 〇.〇 との互換性: はい (作成者による評価)」の形の表示が出ます(〇.〇には版の番号が入ります)。対応が書かれていないプラグインがあれば、本体の大きな更新は、そのプラグインの対応を待つという判断もあります。プラグインによっては「この更新は現在使用中の PHP のバージョンでは動作しません。」と出ることがあり、その場合は先にPHPの版を上げる必要があります(PHPとの関係はWordPressのバージョン確認と最新バージョン)。
更新の順番と手順:「更新」画面で一つずつ
サイトを見る人が少ない時間帯を選び、終わったあとに確かめる時間も取れる日に行います。更新の途中、サイトは短いあいだメンテナンスの表示になります。
- バックアップを取り終えたことを確かめます。
- 左のメニューの「ダッシュボード」→「更新」を開きます。本体、プラグイン、テーマ、翻訳の順に、新しい版の有無が並んでいます。
- 本体:新しい版があれば、本体の更新ボタン(WordPress.org の日本語の説明では「今すぐ更新」。版により表記が少し違うことがあります)を押します。終わるまで画面を閉じずに待ちます。データベースの更新を求める画面が出たら、その案内に従います。
- サイトを別のタブで開き、トップページと記事が表示されるかを確かめます。
- プラグイン:「更新」画面に戻り、プラグインの一覧で一つだけにチェックを入れて「プラグインを更新」を押します。終わったら、サイトの表示を確かめます。これをプラグインの数だけ繰り返します。
- テーマ:テーマの一覧でチェックを入れて「テーマを更新」を押し、表示を確かめます。子テーマを使っている場合、更新が出るのは親のテーマです。
- 翻訳:「新しい翻訳が利用可能です。」と出ていれば、翻訳の更新ボタンを押します。
- 最後に、次の節の「更新後に確かめること」を一通り見ます。
プラグインを「すべて選択」でまとめて更新すると早く済みます。ただ、表示が崩れたときに、どのプラグインが原因かが分からなくなります。プラグインの数が少なく、どれも小さな更新なら、まとめてもかまいません。大きな更新が混じっているときや、表示に関わるプラグインがあるときは、一つずつのほうが結局は早く終わります。
なお、公式の手引きのうち、ファイルを手でサーバーに上げて更新する方法(手動の更新)では、先にすべてのプラグインを停止するよう書かれています。管理画面の「更新」画面から行う、ふつうの更新では、この手順は求められていません。
急ぐ更新と、待ってよい更新の見分け方
すべての更新を同じ慎重さで扱うと、手間がかかりすぎて、結局どれも後回しになります。種類で急ぎ方を変えます。
| 種類 | 例 | 急ぐか | やり方 |
|---|---|---|---|
| 本体の小さな更新 | 7.1.2 → 7.1.3 | 急ぐ | 自動に任せる。当たっていなければすぐ手で |
| プラグインの安全上の修正 | 告知に「security」「脆弱性」とある | 急ぐ | バックアップのうえ、すぐ更新 |
| 本体の大きな更新 | 7.0 → 7.1 | 計画して | プラグインの対応を確かめ、できればテスト用の場所で試す |
| プラグイン・テーマの機能の更新 | 新しい機能の追加 | 計画して | 月に一度などまとめて、一つずつ |
WordPress.org のリリースの告知では、安全上の修正を含む版について「すぐに更新することをおすすめします」と書かれています。「計画して」は「後回しにしてよい」という意味ではありません。日付を決めて、その日に行うという意味です。今のバージョンの確かめ方と、最新の版の調べ方はWordPressのバージョン確認と最新バージョンにまとめています。
自動更新の設定:何を自動にして、何を手で更新するか
WordPressには、本体・プラグイン・テーマそれぞれに自動更新の仕組みがあります。公式の説明では、自動更新は初期設定で1日2回動きます。
本体
小さな更新と翻訳は、初期設定で自動です。大きな更新まで自動にするかどうかは、「ダッシュボード」→「更新」画面の上のほうにある切り替えのリンクで選べます。大きな更新まで自動になっているサイトでは「このサイトは WordPress の新しいバージョンごとに自動的に最新の状態に保たれます。」と出て、その下の「メンテナンスリリースとセキュリティリリースのみの自動更新に切り替えます。」を押すと、小さな更新だけの自動に戻せます(当社が2026年10月に管理画面で見た表示。公式の手引きでは、新しく入れたサイトは大きな更新も自動、以前からあるサイトは管理者が有効にしない限り小さな更新のみ、とされています)。サーバー会社やプラグインの設定で、この切り替え自体が出ないこともあります。
プラグイン
- 左のメニューの「プラグイン」を開きます。
- 一覧の「自動更新」の列にあるリンクで、プラグインごとに有効・無効を切り替えます。
- まとめて切り替えるなら、チェックを入れて、一覧の上の一括操作で自動更新の有効化(または無効化)を選び、「適用」を押します。
テーマ
「外観」→「テーマ」でテーマの画像を押し、作者名のすぐ下にある「自動更新を有効化」のリンクを押します。無効にするときも同じ場所のリンクです。
どれを自動にするかの考え方
自動にすると、安全上の修正を待たずに当てられる代わりに、表示が崩れても誰も見ていない時間に起きることがあります。当社の考えでは、次のように分けると扱いやすくなります。
- 自動にしてよいもの:本体の小さな更新と翻訳(初期設定のまま)。表示にほとんど関わらない、小さな機能のプラグイン。
- 手で更新したいもの:テーマ(親テーマ)、ページの見た目を組み立てるプラグイン、問い合わせフォームや予約など、止まると困る機能のプラグイン。更新のたびに表示や送信を確かめたいからです。
自動にしたものは、放っておいてよいわけではありません。公式の説明では、自動更新が成功したとき・失敗したときに、サイトの管理者のメールアドレスへ知らせが届きます。このメールが届く先が、退職した人や制作会社の担当者のアドレスになっていないかを、「設定」→「一般」の管理者のメールアドレスで確かめておきます。自動更新が動いていない様子なら、公式の説明どおり「ツール」→「サイトヘルス」でエラーを確かめます。
更新後に確かめること
更新が「完了」と表示されても、サイトが正しく動いているとは限りません。次の順に見ていきます。スマートフォンでも一度開いてください。
- トップページ、よく読まれている記事、事業内容などの主なページが、崩れずに表示されるか。
- 問い合わせフォームから、実際にテスト送信して、メールが届くか。送信の完了画面が出るかだけでなく、受け取る側に届くかまで見ます(届かないときの確かめ方はWordPressのお問い合わせフォーム)。
- 管理画面で、記事の編集画面が開けるか、下書きを保存できるか。
- 「ツール」→「サイトヘルス」の「ステータス」に、新しく「致命的な問題」が出ていないか。
- 表示が古いまま変わらないときは、キャッシュ(表示を速くするための一時保存)を消してから見直す。公式の手引きも、キャッシュを使っているなら更新後に消すよう書いています。消す場所はWordPressで変更が反映されないときにまとめています。
問い合わせフォームの確認を最後まで入れているのは、ホームページの役目が問い合わせを受けることだからです。見た目は普段どおりなのにフォームだけが送れない、という状態は、外から誰も教えてくれません。
失敗したとき:症状ごとの行き先
公式の手引きは、ワンクリックの更新がうまくいかなくても慌てず、手動の更新を試すよう書いています。ただ、手を動かす前に、まず症状で行き先を分けてください。
| 症状 | まずすること | 詳しく |
|---|---|---|
| 「メンテナンス」の表示が消えない | WordPressのフォルダにある .maintenance というファイルを消す | メンテナンスモード |
| 真っ白、または「重大なエラー」と出る | 管理者あてのメールを確かめ、原因のプラグインかテーマを止める | 真っ白・重大なエラー |
| 管理画面にログインできない | ブラウザのCookieを消して試す | ログインできないとき |
| 表示が崩れた、一部が動かない | 直前に更新したものを特定し、止めて確かめる | この下の説明 |
| 何をしても戻らない | 更新前のバックアップから戻す | バックアップ方法 |
公式の説明では、更新に失敗したというメッセージが出続ける場合は、FTPで WordPress のフォルダから .maintenance のファイルを消すよう書かれています。更新のあとにログインがおかしいときは、ブラウザのCookieを消してみることも勧められています。
表示が崩れたときは、一つずつ更新していれば、直前に更新したものが原因の第一候補です。そのプラグインを「プラグイン」の一覧で停止し、表示が戻るかを見ます。戻れば、そのプラグインの公式ページやサポートの掲示板で、同じ症状が報告されていないかを確かめます。公式の手引きも、更新後に不具合が出たら、WordPressに最初から入っていないプラグインを止め、一つずつ有効にし直して原因を探すよう書いています。
本体を古い版に戻す(ロールバック)ことは、公式の手引きでは、ふつうはすすめられていません。どうしても戻すなら、ファイルとデータベースの完全なバックアップが前提です。更新前のバックアップが一組あるかどうかで、失敗したときの選択肢の数がまったく変わります。
自社で続けるか、任せるか
更新は、一度やって終わりではありません。月に一度「更新」画面を開き、急ぐものはすぐ、計画するものは日付を決めて行う。この繰り返しを続けられるかどうかが分かれ目です。自社で続けるなら、手順と確認項目を、画面の名前とボタンの順に書き残しておくと、担当が替わっても続けられます。
制作会社や保守会社に任せる場合は、何をどの間隔で更新しているか、更新後に何を確かめているかを聞いてください。保守の範囲の見方は保守費を払っても問い合わせが増えないのは、保守と運営が別の仕事だからに、保守全体でやることはWordPressの保守とはに書いています。更新を怠ったときに何が危ないのかはWordPressのセキュリティ対策とあわせて読むと、優先順位がつけやすくなります。
当社は、中小企業や士業の事務所のホームページの運営に加わり、問い合わせが来るまでを引き受けています。本体やプラグインを新しく保つことはその土台なので、ご相談の際は、いまの更新のやり方もあわせて伺います。更新のたびに表示や問い合わせフォームを確かめる手間を減らしたい、どこまで自社でやるかを決めたい、という場合は相談するからお知らせください。
参考にした公式の説明
いずれも2026年10月8日に確認しました。画面の表示名は版によって変わることがあります。
- Updating WordPress(WordPress.org Documentation)
- WordPress の更新(WordPress.org 日本語)
- Upgrading WordPress – Extended Instructions(WordPress Developer Resources)
- ダッシュボード 更新画面(WordPress.org 日本語)
- プラグインとテーマの自動更新(WordPress.org 日本語)
- WordPress 7.1.3 Maintenance and Security Release(WordPress.org News)
- サイトヘルス画面(WordPress.org 日本語)