WordPressのバックアップ方法:何を・どこに・どのくらいの間隔で残すかと復元

WordPressのバックアップは、「ファイル」と「データベース」の二つを、同じ時点のものとしてそろえて残します。ファイルは画像・テーマ・プラグインなど、データベースは記事の本文・設定・ユーザーなど、管理画面で書いたものの置き場所です。WordPress.org の公式の説明でも、ふつうのサイトを元どおりに戻すには両方が要るとされています。片方だけでは戻せません。

残し方は、サーバー会社の自動バックアップ、バックアップ用のプラグイン、手動の三つです。間隔は、公式の説明では、記事の少ない小さなサイトは週に1回、更新の多いサイトは毎日が目安で、本体やプラグインを更新する前には毎回取ります。直近の控えを少なくとも3〜5つ持ち、別々の場所に置くことも勧められています(2026年10月時点の WordPress.org の説明による)。

そして、いちばん見落とされやすいのが「その控えから、実際に戻せるか」です。バックアップを取っていても、一度も復元を試したことがなければ、いざというときに戻せるかどうかは分かりません。この記事では、何を・どこに・どのくらいの間隔で残すかを決めたうえで、復元の手順と、復元を試すやり方まで書きます。

まず今の状態を確かめる:放っておいてよいか

「バックアップは取っているはず」という状態は、実は確かめてみないと分かりません。次の表で、今のサイトがどこに当てはまるかを見てください。

今の状態判断次にすること
取っているか分からない放っておけないサーバー会社の管理画面と、入っているプラグインを確かめる
サーバーの自動バックアップだけ最低限はある何日分あるか、自分で戻せるかを確かめ、サーバーの外にも控えを置く
プラグインで取っているが、保存先が同じサーバーサーバーごと使えなくなると一緒に失う保存先をクラウドなどサーバーの外にする
サーバーの外にも控えがあるが、戻したことはないあと一歩テスト用の場所で一度復元を試す
サーバーの外に控えがあり、復元も試した当面は放っておいてよい大きな変更のあとや年に一度、試し直す

制作会社や保守会社に任せていて自分では分からない場合は、この記事の後半にある「任せているときに聞くこと」をそのまま聞いてください。

何を残すか:ファイルとデータベースの中身

WordPressのサイトは、サーバーの上で二つの場所に分かれて保存されています。データベース(記事や設定を表のかたちで記録しておく入れ物)は、WordPressのファイルが置かれたフォルダとは別のところにあります。そのため、ファイルをまるごとダウンロードしても、データベースは手元に来ません。公式の説明もこの点をはっきり書いています。

部分主な中身失うとどうなるか
データベース記事・固定ページの本文、カテゴリー、コメント、ユーザー、サイトの設定、プラグインの設定文章と設定が消える。いちばん作り直しがきかない
wp-content フォルダアップロードした画像やPDF、テーマ(子テーマ)、プラグイン画像が出なくなる。手を入れたテーマが消える
wp-config.phpデータベースへの接続情報などの設定ファイルとデータベースがつながらない
.htaccessサーバーの動きを決める設定(URLの形や転送など)URLが開けなくなることがある
WordPress本体のファイルwp-admin、wp-includes など公式から同じ版を入れ直せる

公式の説明では、ファイルの中で特に注意するのは wp-content フォルダで、本体のファイルは多くの場合、公式の配布ファイルから入れ直せるとしています。ただ、取り分ける手間を考えると、ファイルは丸ごと残しておくほうが迷いません。

もう一つ大事なのは、二つを「同じ時点」でそろえることです。月曜のファイルと金曜のデータベースを組み合わせると、記事の中で使っている画像がファイルの側にない、といったずれが起きます。公式の説明では、データベースを先に、続けてファイルを、ほぼ同じ時間に取って一組にするよう勧めています。

バックアップだと思われがちだが、そうではないもの

  • リビジョン:記事や固定ページを保存するたびに残る、本文の過去の版です。当社も固定ページを作り直したときは、差し替え前の版にリビジョンから戻せるようにしてから作業しました。ただ、戻せるのはそのページの中身だけで、プラグインや設定、画像ファイルは戻りません。
  • 「ツール」→「エクスポート」:投稿・固定ページ・コメント・カテゴリーなどを一つのファイル(WXR という形式のXMLファイル)に書き出す機能です。公式の説明に挙がっている中身にはテーマ・プラグイン・サイトの設定が含まれていないので、サイト全体の控えにはなりません。
  • パソコンに残っている原稿や写真:記事の原稿はあっても、WordPressの設定や画像の置き場所までは戻せません。

WordPressのバックアップに入っていないもの

サイトのバックアップを取っても、次のものは別に考える必要があります。

  • 問い合わせフォームで届いた中身:たとえば Contact Form 7(当社のサイトでも使っている問い合わせフォームのプラグイン)は、公式の説明で「送信されたメッセージをどこにも保存しない」とされています。届いたメールが唯一の記録です。サイト側にも残したい場合は、同じ作者の Flamingo というプラグインでデータベースに保存できます。そのときは、その中身もデータベースのバックアップに入ります。
  • メール:会社のメールを同じサーバーで受けている場合、メールボックスはWordPressとは別の場所にあります。
  • ドメインとサーバーの契約:控えがあっても、ドメインやサーバーの契約が自社の手元になければ、戻す先がありません。名義の確かめ方はドメインの名義が制作会社のままになっていないかに書きました。

どこに残すか:サーバー・プラグイン・手動の選び方

三つの方法は、どれか一つを選ぶというより、組み合わせて使います。考え方の軸は「サーバーごと使えなくなったときにも、控えが別の場所に残っているか」です。

方法よいところ気をつけるところ
サーバー会社の自動バックアップ設定しなくても動いていることが多い控えが同じ会社の中にある。何日分か、自分で戻せるかは会社ごとに違う
バックアップ用のプラグイン日時を決めて自動で取れる。保存先をサーバーの外にできる保存先を同じサーバーのままにすると意味が薄い。プラグインの更新も要る
手動(FTPとデータベースの書き出し)道具に頼らず、好きなときに取れる手間がかかり、続かない。取り忘れが起きる

当社がすすめる組み合わせは、サーバー会社の自動バックアップを土台にして、プラグインでサーバーの外(クラウドの保存場所など)にも定期的に残し、本体やプラグインの大きな更新の前には、その場で一組取っておく形です。公式の説明が「直近の控えを少なくとも3〜5つ、サーバー・クラウド・手元のパソコンのような別々の場所に」としているのに沿うと、自然とこの形になります。

サーバー会社の自動バックアップで確かめること

サーバー会社の管理画面(コントロールパネル)に、「バックアップ」や「復元」といった名前のメニューがあるかを見ます。名前や場所は会社ごとに違うので、見つからなければサーバー会社のマニュアルで「バックアップ」を調べてください。確かめるのは次の四つです。

  1. ファイルとデータベースの両方が対象になっているか。
  2. 何日前までさかのぼれるか(保存されている日数)。
  3. 復元を自分の管理画面からできるか、申し込みが要るか、費用がかかるか。
  4. 控えを自分のパソコンにダウンロードできるか。

公式の日本語の説明には、サーバー全体のバックアップからの復元は時間がかかることがあるので、自分のサイトのファイルをバックアップ・復元する方法も覚えておくべきだ、という趣旨のことが書かれています。サーバー会社の控えは「最後の砦」として持ちつつ、それだけに頼らないのが無難です。

プラグインで取る:設定で決める三つのこと

バックアップ用のプラグインは、WordPress.org のプラグインディレクトリに多くあります。たとえば UpdraftPlus と BackWPup は、2026年10月8日時点の公式ページで、無料版でも日時を決めた自動のバックアップと、クラウドなど外部の保存場所への保存ができると説明されています(BackWPup は、無料版でデータベースとファイルの両方を取れると明記しています)。ここでは例として挙げており、当社が使っているという意味ではありません。復元の機能が無料版でどこまで使えるかはプラグインごとに違い、BackWPup の無料版では、手元からアップロードした控えからの復元に限られると書かれています。入れる前に公式ページで確かめてください。

どのプラグインでも、設定で決めることは同じです。

  1. 対象:ファイルとデータベースの両方にする。ファイルは少なくとも wp-content(画像・テーマ・プラグイン)を含める。
  2. 保存先:同じサーバーの中ではなく、クラウドの保存場所など外にする。保存先のアカウントは、制作会社の個人のものではなく自社のものにする。
  3. 間隔と残す数:次の節の考え方で間隔を決め、古い控えを何世代残すか(保持する数)を決める。数を決めないと、保存先がいっぱいになって途中から取れなくなることがあります。

設定したら、最初の1回は手で実行し、保存先に本当にファイルが届いているかを目で確かめます。自動のバックアップは、止まっていても画面の上では気づきにくいからです。公式の説明も、自動のバックアップに頼るなら、ときどき手動でも取って、仕組みが動いているかを確かめるよう勧めています。

手動で取る:FTPとデータベースの書き出し

プラグインを増やしたくない場合や、一度だけ確実に控えを取りたい場合の方法です。公式の説明に沿うと、手順は次のとおりです。

  1. サーバー会社の管理画面から phpMyAdmin(データベースを画面から操作する道具)を開き、WordPressのデータベースを選びます。
  2. 「エクスポート」を開き、すべての表を対象にして、形式は SQL のまま実行します。手元に .sql のファイルが保存されます。
  3. 続けて、FTPソフト(サーバーとファイルをやりとりする道具)か、サーバー会社の管理画面のファイル管理の機能で、WordPressのフォルダを丸ごとパソコンにダウンロードします。
  4. 二つを同じフォルダにまとめ、日付を付けた名前にして、パソコンとは別の場所(社内の共有ドライブやクラウドなど)にも写しておきます。

データベースを選ぶとき、サーバーに複数のデータベースがあってどれか分からない場合は、wp-config.php の中に書かれているデータベース名と照らし合わせます。このファイルにはパスワードも書かれているので、扱いには気をつけてください。

どのくらいの間隔で残すか:失ってよい作業の量で決める

間隔の答えは、「最悪の場合、何日分の作業を失っても我慢できるか」です。週に1回取っているなら、最悪で1週間分の記事や設定の変更を、手で作り直すことになります。公式の日本語の説明も、頻度は記事を書く量や、どれだけの損失を許せるかで決まり、最後は利用者が決めることだとしています。

サイトの様子間隔の目安あわせて
更新は月に数回。会社案内が中心週に1回(公式の目安)更新した日は、その日のうちに一組
記事を週に何本も書く。ブログが中心毎日(公式の目安)保持する数を多めに
予約や会員など、サイトに日々記録がたまる毎日、またはそれより短くデータベースだけ短い間隔で取る方法もある
どのサイトでも本体・プラグイン・テーマの更新の前引っ越しや大きな作り直しの前も

残す数(世代)も一緒に決めます。たとえば毎日取って2日分しか残さない設定だと、3日前に紛れ込んだ不具合や改ざんに気づいたときには、きれいな控えがもう残っていません。気づくまでに時間がかかる問題に備えるなら、少なくとも数週間前までさかのぼれる数を残すのが安心です。公式の説明も、控えは一つではなく、いくつか持っておくよう勧めています。

復元の手順:ファイルを戻してから、データベースを戻す

公式の説明では、復元はファイルを先に戻し、そのあとデータベースを読み込む順番です。プラグインやサーバー会社の機能を使う場合は、その道具の手順に従えば、この順番はたいてい中で処理されます。手で戻す場合の流れは次のとおりです。

  1. 今の状態も控えておく:壊れた状態でも、念のためファイルとデータベースを取っておきます。原因を調べるときや、復元が裏目に出たときに使います。
  2. どの日の控えに戻すか決める:問題が起きる前で、いちばん新しい一組を選びます。その日以降に書いた記事や届いた記録は消えるので、何が失われるかを先に書き出しておきます。
  3. ファイルを戻す:FTPやファイル管理の機能で、控えのファイルをサーバーに上書きします。
  4. データベースを戻す:phpMyAdmin で対象のデータベースを選び、「インポート」から .sql のファイルを読み込みます。公式の説明にあるとおり、これは今のデータベースを控えの内容で置き換える操作です。
  5. 接続を確かめる:サーバーを移ったなどで、データベースの名前やパスワードが変わっている場合は、wp-config.php の接続情報を今のものに合わせます。
  6. 表示を確かめる:トップページ、記事を数本、問い合わせフォーム、管理画面へのログインを確かめます。表示が古いままなら、キャッシュ(表示を速くするための一時保存)を消します。場所はWordPressで変更が反映されないときにまとめています。

改ざんされたサイトを戻す場合は、控えに戻すだけでは終わりません。入り込まれた原因(古いプラグインや、漏れたパスワードなど)が残っていれば、また同じことが起きます。戻したあとに、パスワードを変え、本体やプラグインを最新にするところまでを一続きの作業と考えてください。考え方はWordPressの脆弱性とはに書いています。

「復元を試したことがあるか」がいちばん大事な理由

バックアップの仕組みで起きる困りごとの多くは、取る段階ではなく、戻す段階で初めて分かります。保存先にファイルはあるのに中身が途中で切れている、データベースが入っていなかった、復元の機能が有料版にしかなかった、手順を知っている人が社内にいない。どれも、試しに一度戻してみれば、平時のうちに気づけることです。

試すときは、本番のサイトに上書きしてはいけません。次のような「本番とは別の場所」を使います。

  • サーバー会社が用意しているテスト用の複製の機能(「ステージング」などの名前で用意されていることがあります)
  • 同じサーバーの、本番とは別のサブドメインやフォルダ(検索に出ないよう、表示の設定で検索エンジンに読ませない指定をしておく)
  • パソコンの中にWordPressを動かす環境を作る道具

試しに戻したら、次の点を確かめます。トップページと記事が開くか。画像が出るか。管理画面にログインできるか。問い合わせフォームが送れるか(テスト用の場所なら、送り先を自分にしておく)。そして、ここまでにかかった時間を記録しておきます。「本番が止まったら、戻すまでにおよそこれだけかかる」が分かっていると、いざというときに慌てません。

試すのは、仕組みを作ったときに一度、バックアップの方法やサーバーを変えたとき、そして年に一度くらいを目安にするとよいでしょう。手順は、社内の誰が見ても分かるよう、画面の名前とボタンの順に書き残しておきます。担当者が一人しか知らない手順は、その人がいない日には使えないからです。

制作会社や保守会社に任せているときに聞くこと

保守の契約に「バックアップ」と書かれていても、中身は会社によって違います。次の五つを聞けば、今の状態がほぼ分かります。

  1. ファイルとデータベースの両方を取っていますか。
  2. 間隔はどのくらいで、何日前までさかのぼれますか。
  3. 控えはどこにありますか。サーバーの外にもありますか。
  4. 実際に復元を試したことはありますか。戻すのにどのくらい時間がかかりますか。
  5. 契約が終わるとき、控えを当社に渡してもらえますか。

五つめは忘れられがちです。控えが制作会社のアカウントの中にしかないと、契約を終えたときに一緒に手を離れます。保守で何が買えていて、何が入っていないかは保守費を払っても問い合わせが増えないのは、保守と運営が別の仕事だからに、費用の目安はホームページの保守費用の相場に書いています。保守全体でやることの一覧はWordPressの保守とはにまとめました。

なお、サーバーを移る(引っ越す)ときも、手順の中心はバックアップと復元です。移す前後で確かめることはWordPressの引っ越し(サーバー移行)に書いています。更新の前にバックアップを取る流れはWordPressのアップデート手順とあわせて読むと、つながりが分かります。

自社でやるか、任せるか

バックアップの仕組みは、一度きちんと作れば、あとは「動いているか」をときどき確かめるだけで回ります。手間がかかるのは最初の設定と、復元の試しです。この二つを社内でやる時間が取れない場合は、そこだけ外に頼み、その後の確認を社内で続ける分け方もあります。

当社は、中小企業や士業の事務所のホームページの運営に加わり、問い合わせが来るまでを引き受けています。サイトを止めずに保つことはその土台なので、ご相談の際は、いまのバックアップがどうなっているかもあわせて伺います。今のサイトがどの状態にあるか分からないときは、相談するからお知らせください。

参考にした公式の説明

いずれも2026年10月8日に確認しました。画面の表示名や機能は変わることがあります。