GA4(Googleアナリティクス4)の「Direct」は、どこから来たかの手がかりが何も届かなかった訪問です。Googleのヘルプの定義では、参照元が「(direct)」で、メディアが「(not set)」か「(none)」のものがDirectに入ります。「Unassigned」は、GA4が決めているどのチャネル(流入元の大きな分類)のルールにも当てはまらなかった訪問、「(not set)」は、その項目の情報が得られなかったときに入る仮の名前です(2026年10月時点のGoogleのヘルプによる)。
どれも、それ自体はエラーではありません。ただ、割合が大きいと「どこから人が来ているか」が読めなくなります。小さな会社のサイトでまず疑うのは、社内や関係者の閲覧がDirectに混ざっていることと、自分で配ったリンク(メール、チラシのQRコード、SNSの投稿など)に目印(UTMパラメータ)を付けていないこと、付け方がGoogleの決まりと合っていないことの二つです。前者は「内部トラフィックの定義」と「データフィルタ」で除外でき、後者は目印の付け方を社内で決めれば減らせます。
当社の自社サイトでも、2026年10月8日に見た過去28日間のセッションの84%がDirectでした。その数字をどう読んだかも含めて、確かめる順番を書きます。
Direct・Unassigned・(not set) の公式の定義
三つの言葉は、出てくる場所が違います。DirectとUnassignedは、「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」の表で、流入元を大きく分けた「チャネル」の行に出ます。(not set)は、参照元、メディア、キャンペーン、ランディングページなど、いろいろな項目の値として出ます。
| 表示 | Googleのヘルプの定義 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| Direct(ヘルプの日本語版では「直接」) | 参照元が「(direct)」と完全一致し、かつメディアが「(not set)」か「(none)」 | どこから来たか分からない訪問 |
| Unassigned(ヘルプによっては「未割り当て」) | イベントのデータに一致するほかのチャネルのルールがない場合に使われる値 | どの分類にも入らなかった訪問 |
| (not set) | ディメンション(表の項目)の情報が得られていないときに使われる仮の名前 | その項目が空だった |
出典は、アナリティクス ヘルプの「デフォルト チャネル グループ」と「レポートに表示される『(not set)』という値の意味」です。当社の管理画面では、チャネルの名前は「Direct」「Organic Search」のように英語のまま表示されていました。ヘルプの日本語版では「直接」「オーガニック検索」のように訳されていますが、同じものです。
Directについて、もう一つ知っておくと読み違いが減る説明があります。ヘルプ「トラフィック ソース ディメンションのスコープ」には、「直接の訪問で開始されたセッションは、そのユーザーの UTM 値に関連付けられます」とあります。以前に検索や目印付きのリンクから来たことが分かっている人が、次にブックマークから来た場合は、Directではなく前の流入元の側で数えられることがある、ということです。逆に言えば、Directに残るのは、その人について流入元の手がかりが一つもない訪問です。初めての人が、どこからも手がかりを残さずに来た分がここに積もります。
当社のGA4ではDirectが84%だった:数字と読み方
当社のサイトのGA4で、2026年10月8日に「トラフィック獲得」を過去28日間(9月11日〜10月8日)で開いたときの数字です。表の項目は「セッションのメインのチャネル グループ」でした。
| チャネル | セッション(割合) | エンゲージメント率 | 平均の関わった時間 |
|---|---|---|---|
| Direct | 189(84%) | 40.21% | 1分02秒 |
| Organic Search | 28(12.44%) | 78.57% | 47秒 |
| Unassigned | 6(2.67%) | 33.33% | 35秒 |
| Referral | 2(0.89%) | 100% | 46秒 |
| 合計 | 225 | 45.33% | 59秒 |
「平均の関わった時間」は、画面では「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」という指標です。エンゲージメント率の意味はGA4のエンゲージメント率と直帰率、セッションの数え方はGA4のセッションとはに書いています。
この84%を、当社は「お客様の多くがブックマークや名前の直接入力で来ている」とは読んでいません。この期間はサイトの作り直しの最中で、当社や関係者が確認のために開いた分がDirectに多く含まれていると見ています(見立てです)。理由は三つあります。
- 社内の閲覧を除外する設定を、この期間はしていませんでした。確認のたびに開いた分は、すべて数に入っています。
- ページ別の表示回数で、作り直し中の確認用ページ(/top-new/)が20回表示されていました。外の人が探して来るページではありません。
- Directのエンゲージメント率は40.21%で、Organic Search(Googleなどの検索から来た訪問)の78.57%の半分ほどでした。一方で、平均の関わった時間はDirectのほうが長めでした(1分02秒と47秒)。表示を確かめてすぐ閉じる回と、動きを確かめるために長く開いておく回が混ざっていれば、こういう形になります。
ただし、これはどれも状況から考えた見立てで、Directの189セッションのうち何件が社内かは、いまのデータでは区別できません。区別できないこと自体が、除外の設定を先にしておくべきだった理由です。Unassignedの6セッションも、何が入っているかはこの表だけでは分かりません。中身の見方は後の章に書きます。
この経験から言えるのは、Directの割合を見て判断する前に、社内の閲覧を外すことです。アクセスがまだ少ないサイトほど、社内の数十回の閲覧で全体の形が変わります。
Directに入るよくある原因
Directは「どこから来たかの情報(ブラウザが送る、直前に見ていたページの情報など)がGA4に届かなかった」ときに入ります。届かない場面は、小さな会社のサイトでは次のようなものが多いです。
| 原因 | 例 | 対処 |
|---|---|---|
| 社内・関係者の閲覧 | 更新の確認、作り直し中の表示確認、社員がお気に入りから開く | 内部トラフィックとして除外する(次の章) |
| ブックマーク・URLの直接入力 | 何度も来ているお客様、名刺のURLを打った人 | 正しいDirect。減らす必要はない |
| 目印のないQRコード・紙 | チラシ、名刺、店頭のPOPのQRコード | QRコードの先のURLにUTMを付ける |
| アプリやメールの中のリンク | LINE、メールソフト、PDFやWord・Excelの資料の中のリンク | 自分で配るリンクにはUTMを付ける |
| 相手側が情報を送らない設定 | リンク元のサイトやブラウザの設定で、直前のページの情報が送られない | こちらでは直せない。割合を見て判断する |
アプリやメールの中のリンクは、開いたときに直前のページの情報が送られないことがあり、そうなるとDirectに入ります。どのアプリでどうなるかはアプリや端末によって違うため、相手の側の事情を調べるより、自分たちが配るリンクにはすべて目印を付ける、と決めておくほうが確実です。付け方はGA4で流入元を調べる方法の中で、チラシのQRコード、メール、SNSの投稿の例と一緒に書いています。
放っておいてよいDirect、調べたほうがよいDirect
Directは、ゼロにするものではありません。何度も来ているお客様がブックマークから来るのは、むしろよいことです。判断は割合の大小より、変化と、ほかの数字との食い違いで行います。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 社内を除外したうえで、Directの割合が毎月ほぼ同じ | 放っておいてよい |
| チラシを配った週、メールを送った日だけDirectが増える | 目印の付け忘れ。次の配布からUTMを付ける |
| サイトの作り直しや更新の時期にDirectが増えた | 社内の閲覧を疑う。内部トラフィックの除外を入れる |
| Directが急に何倍にもなり、関わった時間がほぼゼロ | 機械的なアクセスの可能性も含めて、ページ別・地域別に中身を見る |
| Directばかりで、ほかのチャネルがほとんどない | まず社内の閲覧を外す。それでも同じなら、外から見つけてもらう経路がまだ育っていない |
最後の行は、始めたばかりのサイトでよく起きます。当社のサイトもこの期間、Googleの検索に登録されているページがまだ少なく、検索からの訪問は28セッションでした。この場合に先に手を付けるのはGA4の設定ではなく、検索に見つけてもらう準備です。当社が9日で登録ページを3から98に増やした記録は新しいサイトがGoogleに登録されるまでの記録にあります。
社内のアクセスを除外する手順(内部トラフィックの定義とデータフィルタ)
社内の閲覧は、IPアドレス(インターネットに出るときの住所のような番号)で見分けて除外します。作業は二段階で、プロパティの「編集者」以上の役割が必要です(役割の違いはGA4の権限付与とユーザー追加に書いています)。以下はアナリティクス ヘルプ「内部トラフィックの除外」の手順です。
第1段階:社内のIPアドレスを「内部トラフィック」として登録する
- GA4の左下の「管理」を開き、「データの収集と修正」の中の「データ ストリーム」を押す。
- 自社サイトのウェブのデータストリームを押す。
- 下のほうにある「タグ設定を行う」を押し、「設定」の欄の「すべて表示」を押す。
- 「内部トラフィックの定義」を押し、「作成」を押す。
- ルール名(例:本社)を入れる。traffic_type の値は、初めから入っている「internal」のままでかまいません。
- 「IP アドレス」の「マッチタイプ」で「等しい」などを選び、「値」に事務所のIPアドレスを入れる。自分のIPアドレスは、同じ画面の「IP アドレスを確認」で調べられます。
- 事務所が複数あるなら「条件を追加」で足す(どれか一つに当てはまれば内部として扱われます)。「作成」を押す。
第2段階:データフィルタを「テスト」で作り、確かめてから「有効」にする
- 「管理」の「データの収集と修正」の中の「データフィルタ」を押す。
- 「フィルタを作成」を押し、種類で「内部トラフィック」を選ぶ。
- フィルタ名を入れ、「除外」を選ぶ。traffic_type の値が第1段階で入れた値(internal)と一致するものが対象になります。
- フィルタの状態は、最初は「テスト」にして「作成」を押す。
「テスト」の間は、データは消されず、社内と判定された分に印が付くだけです。ヘルプでは、データ探索(自由に表を組める画面)で「テストデータのフィルタ名」という項目を行に置くと、印の付いた分を確かめられると案内されています。反映には24〜36時間かかることがあるので、翌日以降に、事務所から開いた分に印が付いているかを見ます。探索の画面の使い方はGA4の探索レポートの作り方に書いています。
確かめられたら、状態を「有効」に変えます。ここで注意が一つあります。「有効」にしたフィルタで除外されたデータは、あとから戻せません。ヘルプにも、除外されたデータは処理されず、アナリティクスでもBigQueryでも使えなくなると書かれています。IPアドレスの打ち間違いでお客様の訪問まで消すことがないよう、テストの段階を飛ばさないでください。データを消さずに様子を見たい間は、フィルタを「テスト」のままにしておけば、探索で印の付いた分を分けて見られます。
IPアドレスで外せない閲覧もある
この方法で外せるのは、決まったIPアドレスから来る閲覧だけです。社員がスマートフォンの回線や自宅から確認した分、外出先から開いた分は、IPアドレスが変わるので残ります。プロバイダーの契約によっては、事務所のIPアドレスもときどき変わります。小さな会社では「すべては外せないが、事務所からの確認分は外せる」くらいに考え、作り直しや大きな更新の時期のDirectは割り引いて読む、と決めておくのが現実的です。ヘルプによると、データフィルタは1つのプロパティに10個まで作れます。
Unassigned の原因と直し方:多くはUTMの値
Unassignedは「どのチャネルのルールにも当てはまらなかった」訪問なので、原因はたいてい、自分で付けたUTMパラメータの値です。GA4は、utm_medium(メディア)などの値を見てチャネルを決めます。ヘルプの「デフォルト チャネル グループ」に書かれたルールの例は次のとおりです。
| utm_medium の値 | 入るチャネル |
|---|---|
| email、e-mail など | |
| social、sm、social-media など | Organic Social |
| referral、app、link | Referral |
| organic | Organic Search |
| sms | SMS |
| cpc、ppc、paid で始まる値など | Paid Search など有料のチャネル(参照元による) |
| print、qr、flyer など上にない値 | Unassigned |
ヘルプのチャネルの一覧には、紙やオフラインのためのチャネルがありません。チラシのQRコードに utm_medium=print のような値を付けると、Unassignedに入ります。これは間違いではなく、わざとそうしているなら放っておいてよいUnassignedです。チャネルの表ではなく、キャンペーン名で数えると決めておけば困りません(チラシでの数え方はチラシ・ポスティングの効果と反響率に書いています)。
直したほうがよいのは、意図しないUnassignedです。よくあるのは次の三つです。
- メールマガジンに utm_medium=mail、utm_medium=newsletter のような値を付けた(Emailのルールは email、e-mail、e_mail、e mail のいずれか)
- utm_source だけ付けて utm_medium を付けなかった、またはその逆。ヘルプは utm_source、utm_medium、utm_campaign の三つを「どのようなケースでも」使うよう案内しています
- 参照元とメディアがどちらも (not set) になった。ヘルプでは、この場合はチャネルが「未割り当て」になると説明されています(原因は次の章)
Unassigned の中身を見る手順
- 「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を開く。
- 表の一番左の項目名の横にある「+」を押し、二つ目の項目として「セッションの参照元 / メディア」を選ぶ。
- 表の上の検索欄に「Unassigned」と入れて、その行だけにする。
- 並んだ「参照元 / メディア」を見る。「newsletter / mail」のように自分で付けた値なら、次から値を直す。「(not set) / (not set)」なら、次の章のタグの確認に進む。
付けてしまった過去のURLは、直しても過去の分はUnassignedのままです。これから配る分の値を、社内で一つの表に決めておくことが一番の対策です。
(not set) が出たときの原因と確かめ方
(not set)は、どの項目に出たかで原因が違います。ヘルプ「レポートに表示される『(not set)』という値の意味」に挙がっているもののうち、小さな会社のサイトで関係しやすいものを抜き出します。
| 出た場所 | ヘルプが挙げる原因 | 確かめること |
|---|---|---|
| セッションの参照元 / メディア | セッションの始まりの合図(session_start)が記録されていない | タグマネージャーを使っているなら、GA4のタグの発動のきっかけ(トリガー)が「初期化 – すべてのページ」になっているか |
| 同上 | 同意モード(Cookieの同意の設定)の入れ方により、最初のイベントが失われる | Cookieの同意の表示を入れた時期と、(not set)が増えた時期が重なっていないか |
| キャンペーンなど | 手動で付けたUTMが足りない、または正しくない | utm_source、utm_medium、utm_campaign の三つがそろっているか |
| Google 広告関係 | 広告のアカウントとGA4がリンクされていない、自動タグ設定が無効 | 広告を出している場合だけ確かめる |
| ランディング ページ | そのセッションで page_view(ページの表示)が記録されていない | ページ表示のタグが一部のページで抜けていないか |
判断の目安は、件数と傾向です。全体のごく一部で、増えてもいないなら、放っておいてかまいません。ある日から急に増えた、ある種類のページだけで出る、という場合は、その前後でタグやプラグイン、Cookieの同意の表示を変えていないかを確かめます。WordPressでタグを入れ直す手順はGA4の設定方法に書いています。
今日、自社のGA4で確かめること
- 「トラフィック獲得」を過去28日間で開き、Direct、Unassigned の割合を書き留める。
- 「管理」→「データフィルタ」を開き、内部トラフィックのフィルタがあるか、状態が「有効」か「テスト」かを見る。なければ、この記事の手順で「テスト」から作る。
- Unassigned に「+」で「セッションの参照元 / メディア」を足し、自分で付けた値が混ざっていないかを見る。
- これから配るメール、チラシ、SNSのリンクに付けるUTMの値を、一枚の表に決める。
- 1か月後に同じ画面を開き、1の数字と比べる。
流入元が読めるようになっても、それは問い合わせの件数ではありません。件数は受付の記録で数え、GA4の流入元は「どこから来た人が問い合わせにつながっているか」の手がかりとして横に並べます。数え方はホームページからの問い合わせの数え方に、GA4で送信や電話のタップを数えるときの注意はGA4で問い合わせを計測するに書いています。
当社は、ホームページの運営に加わり、問い合わせが来るまでを引き受けています。GA4の数字はそのための材料で、社内の閲覧の除外や目印の決め事のような、数字を読む前の下ごしらえも含めてご相談いただけます。「Directばかりで、何から直せばいいか分からない」という段階でも、相談するからお知らせください。
参考にした公式の説明
- アナリティクス ヘルプ「デフォルト チャネル グループ」
- アナリティクス ヘルプ「レポートに表示される『(not set)』という値の意味」
- アナリティクス ヘルプ「トラフィック ソース ディメンションのスコープ」
- アナリティクス ヘルプ「内部トラフィックの除外」
- アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」
※定義と画面の名前・手順は、2026年10月時点のGoogleのヘルプによるものです。GA4の画面は変わることがあります。当社の数字は、2026年10月8日に当社サイトのGA4で見た過去28日間(9月11日〜10月8日)のものです。